暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

裏切り

2008-12-12 | -2008
眠りにつけば魔物が目覚め
わたしに子守歌を聴かせてくれた
残酷な童謡に夢を委ねて
わたしは魔物に抱かれしあわせな息をたてた
けれど魔物は死んでしまって
わたしの耳は寂しくなった
子守歌の反響だけでは
心地よくなんて眠れやしない
真っ暗でしあわせな夢を見て
寝汗をかいて飛び起きる
魔物はわたしを撫でてはくれない
わたしがおとなになってゆくから
最後の最後の悪あがきさえ
泡のように消えてしまう
忘れてしまいたくなんてない
けれど魔物の歌声は遠い記憶
わたしはもはやあの歌声を
なかったことにしはじめている

コメントを投稿