暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

自己を嫌悪しているうた

2007-08-31 | 錯乱
自信を持っていた
かつての私は消え去り
濾過の後の滓にも似た
醜い自己嫌悪が素顔を晒し始めた

いつかはきっと笑えるだろう
今はただ自嘲する
存在そのものがもはや
私のものではなくなったから
突き破ろう
くだらない虚栄心など
やましい嘘など
他人と暮らす常識など

眠っている
起きるために
起きないように
眠っている

あらかたの皮膜は剥がされて
潰れた内臓がついに露見し
(それは幻視だ)
ここまでみずからを打ち付けてきたのは
誰でもないというのに
(だからこそ)
眠りに落ちたのは
少しでも傷付きたくはなかったから
(矛盾が生じた)
被害妄想の布をかぶり過ごす
隙間から他人の目をうかがう
(幻聴だ幻聴だ幻聴だ幻聴だ幻聴だ幻聴だ)

枯渇したはずの滓から
まだまだ堊は溢れてくる
足元を滴り落ちるどす赤い泡
これが醜くないなどとどうして言えるだろう
真価はいまだ眠らせて
ここに住まうのは残滓の境界



十円の悲劇

2007-08-28 | -2007:わりとマシなもの
毎朝午前七時半
自動販売機でお茶を買う
隣のスーパーの方が安いけど
たかだか十円の話じゃないか

自動販売機でお茶を買う
毎朝あの娘を見るために

あの娘も僕を覚えているかな
僕が毎朝見るように
いつものあの人 今日もいたって
気にしていてくれるはず

お釣りをわざと忘れてしまって
言ってみようかな
「すみません、お釣りが入ってると思うんですが」
あの娘と少し話して
それからは毎日少しずつ話すようになって
小さな友達になるんだろうな

そしたら本当にお釣りを忘れて
振り返ったらあの娘がいて
自動販売機にお金を入れてた

今だ
今言わなきゃ
背中にじっとり汗にじませて
あの娘の背中に近寄った
「あ……」
声が出ない
あの娘は買うもの選んでる
「あの……」
コーラに指がのばされて
(白くて細い綺麗な指)
ガコン

あの娘はすぐに踵を返して
間近の僕を見つめた
『何こいつ?』
目がそう言っていた

たかだか五分の浪費じゃないか
僕は置いてきぼりさ

忘れたお釣りは十円玉で
たかだか十円の話というのに
なんだか無性に悔しくなった



LINE

2007-08-27 | 錯乱
時折私には
見えないはずの線が見えることがある
ふと屈んだ時
鼻の先にはっきりと現れる
それが何の線かはわからない
ただ頭が気化したような 錯覚に
いつも、とらわれる

どうということはない
ただ気が滅入っているだけで
何が評価されようと
何が事実として存在しようと
私はひたすらに平凡な
一人の人間だ
それもまた紛れもない事実
月並みの言葉をつづる

線が見える、手のひらから
滴り落ちるのは果たして
(目の前に鎮座しているものを受け入れる覚悟がないからそうやって人をだまし自分は高見の見物を決め込んで、卑怯だと思わないのか。お前の茶番には苛々させられてきたが、もううんざりだ。)
その線を画す私のまともな
精神だったのか


別に線を踏もうとは思わない
ただ見えるだけだ
それをいつか越えたいとは思わない
ただ見えるだけだ

怖い
掠める線は 確かに
異質を感じさせ
今日もまた背筋が寒く
頭がどろりと溶け出した

依存している

2007-08-26 | 錯乱
ずっと一緒にいようねって言ったのに
君が見えない、見えない、見えない
どこにいるの
(どこにいるの)
見つけてみせるよ
どこにいたって

手探りじゃ自分さえ見つけられない

五感はもう君に捧げてしまったから
おもいだけで君を捜すよ
なくしたものは何だろう
それはきっと全部であり
何であることもなく
自信を持って言うならば
それはきっと時間なんだ

体って
何だったかな

本当は大切なことに目を向けないといけないのに
君のせいにしている
そんなことわかってる、わかってる、わかってる
(けれど)
君はどこにいるのかな

すり替えの理論
理屈にかなって
いる?


君が



そばに




いなかった





から、






ふふ

自覚症状

2007-08-23 | 錯乱

どろどろした塊が、
胸のあたりまで迫り上がってくる。
嘔吐したところで違和感は消えずに
わだかまり、
ただ 喉が荒れた。

砂丘の向こう側には何があるの。
僕は聞いてみたことがない。

赤い白い黄色い黒い
夢には
うんざりだ、
何を見た? 何も
見ていないよ。

骨はなんて軟らかいのだろう。
愉悦がはしる、僕は、
歪んでいるのか。
問う前にみんな死に、
誰一人にさえ
問う気は失せた。

これは不快感なのか、
期待感なのか、わからない
けれど
ずっと不快には思っている。
僕ならば構わないのだろう?

恨みたければ恨むがいい
僕を殺すほど強いのなら何だっていい
迫る、迫る、
夢はだんだんと色鮮やかになってきた。
これは夢だと言い聞かせ、
(言い聞かせるだなんて、自覚しきっているね)
吐いて、吐いて、
現実的な提案をすべて散らしてしまえたら。
この砂はどうも黄色すぎて、

自覚せざるを、得ない。

呪血

2007-08-21 | 狂おしい

私は絶対にあなたを忘れはしないだろう
この身に刻まれた理由の一つ一つを
絶対に消すことはないだろう
大切なものすべてを嘲笑い
私の目の前であなたはそれらを奪っていった
今 あなたが何の罪もない人の目の前で
笑っているのかと思うだけで腹立たしい
私の居場所をそのままそっくり奪い
都合のいい過去を改竄して
何食わぬ顔であなたは皆の前で笑っているのかと思うと呪いたくなる
呪ってやる
呪ってやる
呪ってやる
呪ってやる
呪ってやる
一つ一つに刻み込んで
この汚された血液の一滴までをも
すべてあなたへのために捧げよう
呪ってやる
口もきけなくなったこの体を
あなたは確かに嘲笑った
もう二度と 人の前には立てない と
筋はちぎれて目もつぶれたが
それでも私を殺しはしなかった
呪ってやる
私はすべてをあなたへの呪いに捧げたが
呪って
あなたは人間などではない
私の大切な人があなたの歯牙にかかる前に
この血であなたを呪い殺す

待とう
時が来るまでは
瞳をとじて
時が来たときに
この目ですべてを見渡そう
そしてお前を呪い殺す

ORZ

2007-08-19 | -2007:わりとマシなもの
君のことを想うだけで
夜も眠れない僕
明日も君に会えないよ
頭の中ってそればかり

ねぇ 教えて
僕は弱くなっちゃったから
どうしてそんなに強くなれるの?
I can't stand for....
眩しくてきらめく笑顔のカケラ
それが欲しい
君が欲しい

僕は笑っていられない
だってそんなの耐えられない
心が狭くて嫌になっても
それでも君が好きだから
だから弱くて 笑えない

君の笑顔なんてなくなっちゃえばいいんだ……
僕は泣くしかなくて
罪のない君を恨みもした
ねぇ 教えて
どうして夜が明けないの?

でも口が裂けたって
君に嘘はつきたくない
Take me your heart
ずっと笑っていてほしい
できれば僕のずっとずっとそばで

草稿:かみさま

2007-08-17 | 錯乱
時計が泣いたよ。
「ぼくは嘘がつけないんだ。」
ねじをぐるっと
回してあげようね。

馬が泣いたよ。
「自由になりたいの。」
くびをそっと
はねてあげようね。

一緒に踊ろうよ。
うふふあはは。
夜って素敵さ。
だから踊ろうよ。



ANYWHERE

2007-08-16 | -2007:わりとマシなもの

たとえ離れていても
誰もはどこかで繋がっている
世界なんて規模じゃない
どこでだって
何とだって
繋がっているから存在できる

怖いだろう
寂しいだろう
信じられないのだろう?
誰一人

けれど覚えておいて
他人の代わりはたくさんいても
あなたにはあなたしかいないのだから
わからなくたっていい
自己満足じゃないかって言われてもいい

人は一人じゃないなんて
そんなことは言わないけれど
一人だろうと何だろうと
あなたに必要なあなたは
一人しかいない

怖いだろう
信じられないのだろう
自分でさえも
そんな時には体の力を抜いて
すべてを弛緩してごらん
それでも鼓動は止まりはしない
たとえあなたが
世界で一人になったとしても