暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

詐欺師は「選択権を与えよう」と言う。

2008-04-29 | 錯乱
フローリングの木目にあわせておどる
らんららららんるらんらら
時限発火装置的にあみだくじを
しらみつぶしに選んでいく
迷路を進みくちずさむ曲は
いつから頭にすりこまれたのだろう
張ってしまった皮には
指紋がのこっていないから

えらべ
えらぼう
のこりのひとつ

報復の後

2008-04-28 | かなしい

どうか答えて
そうでないと捨ててしまうよ
愛玩するための人形を持っていたいわけじゃない
あたたかいだけの肉の塊なら事足りているから
どうか小さくでも返事をして

声が聞こえない
きみを泣かせる奴は追い払ったから
もうすすり泣く音も聞こえない
それはきっと きみが
泣き疲れて眠っているにすぎないんだ
だってまだあたたかい
だから返事をしてほしいんだ
きみはまだ 呼吸しているだろう
ぼくが遠くにいるだけなんだろう
それならばそうだと言って
ばかなひとと笑ってほしい

うごかないきみなどきみじゃない
どうかその指で
ぼくの頬をなでておくれよ
すこしずつ熱が下がっている
きみを泣かせるひどい奴らは
みんな遠くへいってしまったよ
きみもまたそっちへ
行ってしまったなどとは言わないでしょう
ぼくの ぼくの
ぼくときみの国は守られて存在しているはずだ
それならばかえってくるのが当然だろう
だって笑っていたじゃないか

きみの涙も笑顔も
怒った顔もすべていとしいけれど
ねえ どうか
どうか返事をしてほしい
そんなきみはいとしくない

KILLING

2008-04-27 | -2008

無知が人を殺していく
(人? そうだ人だ)
非常に理性的だ、非常に理性的だからこそ
彼あるいはそれが狂人だなどと称される
行き過ぎた知性は狂気ととられ
迫害ののち

無知が人を殺す
あれも、それも、これも
(人? そうだ人間)
お前の無知が彼を殺した
彼の人生を殺した
誰も知らないと言うことで
彼は死んだ彼は死んでしまった
もはやそれはただのモノ
白と黒のモノトーン

技術、併合、人智、凝縮
それらはすべて無知ゆえの技術
科学、宗教、神仏、創生
あまたの獣を人をそれらにし
まだ足りないと無知がわめく
まだ足りないと無知がわめく

まだ足りないと無知にわめく
(人を? そうじゃないそれらを)

だれもいない

2008-04-26 | 

 ま  っ さ ら な 壁が 白々 しい、 学 校の 教室ほどの 広さがあ る部屋の中央に私は 置かれていた。
 天井の四隅に取り付けられた白熱灯は私の体に影をつくることも許さない。
「だれか、いないのですか。」
 私はそう言ってみた。きいぃん、と耳鳴りをともなった反響が
 むなしく部屋に響き渡っただけだった。
 不思議なことにその部屋には扉もなかった。私が出ることも
 そもそもどうやってこの部屋に入ったのかさえもわからない。
 私はこの部屋で自我をつくる前のことを思い出そうとした。いたずらに
 頭が痛くなるだけ
 だった。
「だれか、いませんか。」
 今度はすこし質問を変えて、私はそう
 大声で言ってみた。やはり反響がかえってくるばかりで、しかも
 反響はまた変に頭に響いてひどく
 不快なのだ。私は思わずこめかみのあたりをおさえた。
「う、うううううう。頭が、痛い。」
 思わず口に出してしまった時には
 あとの祭りで、反響音が鼓膜を突き抜けて脳髄をえぐる。
 この痛みはひどい。たった今自我をつくったばかりなのに
 私ははっきりとそう
 思った。ひどい痛みだ。まるで
 生きたままの鮫を泳がせているかのようだ。
 涙が出てきた。口からしぜんとうめき声がもれ、それがさらに
 頭痛を助長させる。
「誰か、来てください。頭が、痛いのです。うう。耐えられない、誰かいませんか。お願いします。」
 しかし私は叫びはしなかった。口をわずかにずらして発音し、できるだけ
 頭に響かないようにするためだ。誰も
 来ない。誰も来なかった。
 私は立ち上がり壁まで必死で歩いた。
 壁のどこかに扉がないか探すためだ。
 足音で頭痛がひどくなり、壁を掻く音で頭痛がひどくなり、立ちくらんで
 私は床に倒れこんでしまった。
「痛い。痛い。痛い。あああああ、痛い。い、た、い……。」
 もはや頭痛と呼べるものではなくなった。それは
 激痛だ。頭を強く強く
 つかんで痛みをやわらげようとした。まるで
 すべてが硫酸にでもなってしまったかのように
 頭が沸騰しているのだ。
 だれか、誰か助けてくれと私は唇だけ動かした。唇の音で
 頭痛はひどくなる。
 何かすがるための視界がほしくなり、私は天井を見上げた。
 蛍光灯しか見えなかった。
 影を見つめようとして、影も
 ないことに気がついた。
 自分の肌を見ようとした時、すべてを悟った。
 私は、生首だ。

召し

2008-04-24 | -2008
兄のかたわらで祈りを捧げ
今日もまた感謝することなく糧をいただく
わたしの生は当然である

存在しているはずの実際から目をそらし
あるがままに生きている
ひとはそれを美徳と呼んだ
幼いころは見えていたそれら
ひとはそれを弱さと呼ぶか

鍵となる言葉の切れ端を
眺めていられる時間もまた
減らされていくと錯覚し
所詮は選択しないという選択をしているにすぎない

横たわる兄の棺には
かわりに山羊の首を入れた

同種だから大切なのだろうか
ひとだから大切なのだろうか
祈りは教えてはくれない
ソースをかけて召し上がる
肉の晩餐
わたしの棺をテーブルにし
祈りのかわりにそれを燃やす
苦い記憶は苦しめる
わたしを?
馬鹿げた空想の遊戯では
ひとは頂点に立つという

それでも実感などしない
美味しそうな肉の塊
兄の棺のかたわらで豚を殺す
殺された豚は二度死ぬ
罪悪とは殺生にあるのではない
腐り落ちる祈りの晩餐

おとうさんぞうきん

2008-04-23 | 
こないだね、
おさいほうばこから
おとうさんがでてきたよ。
おとうさんはびくびくして
とってもくるしそうだった。
ビールをかけてあげたらちょっとないた。
こんどはなにをあげようかなってかんがえてたら
おかあさんがいった。
「はやくぞうきんをぬいなさい。」
しかたがなかったのでおとうさんでぞうきんをつくった。
がっこうへいったら
みんながおとうさんぞうきんをみて、
ちょっとうれしくなった。
やったぞ、おとうさん。

必須条件不明

2008-04-23 | -2008
電話をかける
情報の断絶
よく似せてつくられた模造品
偽の調和率

何が必須だというのだろう
どちらにしても破綻している
秩序の崩壊は甘美だろうか
実際必須とされるものを何一つ所持していない

生きるためには肉体が必須条件である
ならば魂は

情報の媒体に頼り生きる
選択するも個人の自由だと
それっぽくそれっぽく流されて
常識は必須条件ではなかろうか

声は
それっぽくそれっぽく
消される

必須条件不明
瓶の中の虫は死に粉となる
必須条件不明

英雄譚とやら

2008-04-21 | 
渇かない水があると言って
 彼はどこかへ行ってしまった
  あとには涸れた井戸だけを財産とした
   ちいさな一軒家が残されて
    そこにいるはずだった秘密もまた
     誰に知られるともなく軒下に埋められた
    所詮は人もまた水分の奴隷でしかない
   死ぬことがむしろ美徳であると
  自らをお互いで洗脳しあうこの土地では
 彼の選択はあるいは英断だったのかもしれない
「革命に犠牲はつきものである」
 犠牲はひとつの秘密であり
  多くの大衆つまり常識でもあり
   あるいは英雄と称されるその者かもしれない
    彼が旅立って何年と経過している
     もはや誰もは生きることを放棄し
    わたしのみが生きることを選択し
   刺しても血の出ない肉体を殺し
  そうしてもうひとつの秘密を守ってきた
 彼はここにいれば生きてゆけたというのに
秘密もまた床の上を這うことができたというのに
 くだらない罪悪感と正義感にかられたのか
  わたしは秘密の井戸の上で彼をあざわらう
   それくらいしかできない日常にも飽きてきた
    孤独よりも退屈こそが人を殺すのだろう
     そうしてあの秘密は捨てられた
    枯れた家々からは乾いた死体の臭いがする
   木々も枯れた土地でわたしがどのように生きているか
  彼は気にもとめていないのだろう
 彼はおそらくどこかで土に埋もれ死んでいる
くだらない英雄譚を茶渋のようにここに沁みつかせ
 みずからのたてた墓標に花をやることさえせず
  秘密だなどと称した奇形を殺し
   何より大罪と認め得るのは傲慢さ
    枯れない水を探したところで
     おまえは帰る気などないのだろう
    くもりない悪意を腹に飼い馴らし
   彼は英雄でわたしは魔女にすぎない
  この井戸はもちろん誰にもわたしはしない
 なぜならわたしは魔女だからだ
秘密はすべて土の下に埋めて隠している

流れに身を任せっきり

2008-04-20 | 明るい
明日今日昨日と
時間を巻き戻してみたい
特に理由はないけれど
ないよりは楽しいかもしれない

喋っていれば自滅する
昨日よりは明日がいい
特に理由はないけれど
ただ単に言ってみたいだけ

歩けばだいたいたどり着く
それはとてもつまらない
でも結局どうでもいい
歩いていればつくわけだから

頼りない布が頼れるあなた
誰もが必ずとおるのならば
なるようにしてみればいい
まあどうでもいい
結局は