暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

死ね

2016-02-26 | -2016,2017
おなかがすいたよ。
うしさんをたべるよ。
かわいそうだとおこられるよ。

ぼくはいいこだと、
よくいわれるから、
ぼくはきっといいこだ。

おなかがすいたよ。
とりさんをたべるよ。
やっぱりかわいそうだといわれるよ。

ひとにめいわくをかけない。
いいこはそういうものだって、
だれかがいっていた。

かえるがでたよ。
わあわあきゃあきゃあ。
ごきぶりがでたよ。

ぼくはひらめいた。
いいこはひとにめいわくをかけない。
こまりごとをたすければもっといいこだ。

おなかがすいたよ。
かえるもごきぶりもたべるよ。
ぼくはいいこだから、

ぼくはいいこだから。
そうしてぼくはいじめられた。

くだらぬ大人になってゆきます

2016-02-22 | -2016,2017
上滑りする熱情は
空気の摩擦でさらに燃え
冷たい大気に晒されて
あっという間に凍りつく

若さを言い訳にするのは容易い、容易い
数年という間隙は
一生をかけても埋まりはしない
あなたがたの一生が
変わらないのと同じこと

根を生やしていると思っていた
確固たるはずの信念でさえ
いつの間にやら水に活けられ
与えられる栄養を
心待ちにしている

腐り始めた信念は
糸を引く妥協がまとわりつき
手入れを少し怠ったがために
先は黒く干からびる、
それはわたしがいつのまにやら
捨て去ってしまったであろうもの

ごたくを言えば口も達者で
おのれを頷かせることも
だれかの同意を得ることも
なんと容易い、なんと容易い

上滑りする熱情は
空気の摩擦でさらに燃ゆ、
燃え尽きたあとの灰を悔やみ
腐りかけの信念を、
確固たるはずの信念を
切って乾かし火にくべる
あとに残るのはどうせ灰だと
ぞっとするような間隙だと
知らないふりをすればいい

大人になりたくないなら死ね

2016-02-05 | -2016,2017
古い写真を見つけた、
まだ苦しんでいたころの私の
痛みをありのままぶつけた写真

(それでもあの頃が幼稚だったとは言えず)
(おのれの手のひらを見下ろす)

つめたく見つめる今の私の
なんと寒々しいことか、
膿んだ傷痕はパテで埋め
痛む神経は痺れてしまった

これが大人に
真に大人へなるということならば
私は果たしてほんとうに
人間の正しさを信ずることができるろうか

(思い出せなくなる感覚、)
(それをこそ忌避していたのに)

埋めた傷の奥深くが
再びじわりと神経を揺るがす
腐った木像のごとく
内部から朽ちていくのか、
そうして中空のパイプのように
軽い体になっていくのか

だけれど
どうしたらいいというの
わたしはただ、
まっとうに生きたかった
ただそれだけだったのに

格差

2016-02-04 | 暗い
ほら、ほら
魚が陸で暮らすには
数多の犠牲が必要なんだ
君ひとりが選ばれるより
君以外が選ばれるほうが
どうしようもなく高くなる

もがいている間にも
陸の彼らは進化を続け
仮に君の身に奇跡が起き
呼吸を身につけた頃合には
彼らは文明を築いているだろう

だから、だからぼくは
泥の底がいいと言っていたのに