暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

好きに生きろよ

2015-09-25 | -2014,2015
なぜぼくは生きているのかと問うあいだ
淘汰のさだめを持つ虫は土に転がる
代わりにぼくが死ねばいいと悔やむとき
奇形の猿は見世物として持て囃される
何らかの目標を持って生き
何らかの達成感をもって死にたい
そう叫ぶぼくのそばには
特に理由のない生死がごろごろと転がっている
ぼくはかれらに唾を吐くのか
ぼくはかれらを蔑めるのか
目標を考える間もなく細胞は死ぬ
交尾を終えた魚に達成感を問うことはできず
けれどもかれらはかれらの生を全うし
かれらの淘汰は種の役に立っている
目標という名の呪詛を吐き出し
達成感を求め無為に時間を消費するだけ
ぼくの交尾は子を成さず
かといって淘汰されるでもない
ならばぼくはそれでも
それでも選ばれた人間なのか
ぼくのそばではいつものように
アルビノは食われメラニズムは喜ばれ
あるいはその逆も起こり
自意識過剰な誇りの間を通り抜ける
歯車にすらなれないと嘆く歯車を
摂理が鼻で笑うのだ