暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

忘失を求めて

2022-07-08 | かなしい
手のひらでねむるしじまが
りいんと小さく鳴いている
いいえそれはみみなりの声
しおさいが私を呼んでいる

ひどく疲れてしまったのねと
大きな手をいつまでも待ち続けた
頭を撫でてもらう、それだけで
それだけで良かった
ちっぽけな手のひらを見下ろして
そうしていつしか可愛い静寂が
私たちの耳に棲みついた

おとはいつでも泣いていて
おとはいつしか凪いでいる
おとがなければ踊ればいい
おとがいなんて殺せばいい

抱き締めようと手を伸ばすことも
できずに私は俯いていた
あなたの求める大きな大きな手のひらと
似ても似つかぬつめたい静寂
耳を塞げば潮騒が
りいんりいんと音を鳴らす
私じゃ代わりになれないけれど
踊って
踊ってくださいますか
聴こえもしない音楽で
鳴ることのないステップを刻み
凪いだクライマックスむかえたあとは
泣いて、泣いて、泣き叫んで
眠りましょう しじまを添えて
抱き締めて眠らせてはくれませんか
大きな大きな手のひらの代わりに