日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

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2017年12月議会で2議案に反対、請願採択を求め討論

2018年01月21日 | 市議会
2017年12月定例市議会は、16議案と請願1件が審議された。

日本共産党市議団は、このうち2議案に反対し、請願1件の採択を求め、私が反対討論に立った。

反対討論の主旨は以下のとおりである。

日本共産党を代表して、今議会に上程された2議案に反対し討論を行います。

 最初に、議案第60号 平成29年度玉野市一般会計補正予算(第5号)のうち、総務費、情報管理費の電子計算機処理委託料4,563千円について反対します。これはマイナンバー制度の情報連携に伴うシステム改修予算であります。今回は、障害者福祉システム、国民健康保険・介護保険システムについて、マイナンバー制度において、他の公的機関と情報ネットワークを介し、情報提供を行うために、特定個人情報ごとのデータを整理し、共通化するための改修費です。国は、今年秋に情報提供の本格運用を予定していましたが、当初のデータ標準レイアウトでは一部のデータ項目が不足しているなど、情報連携ができない不備が判明し、各行政機関が情報システムを改修するのに準備期間が必要だとして、情報連携の開始時期を2018年7月に延期したものです。マイナンバー制度の運用をめぐって、これまでも多くの不具合、不備が発生しており、その都度、改修費に莫大な税金が遣われてきました。

 反対の理由は、第1に、情報漏洩、プライバシーの侵害、サイバー攻撃や「なりすまし」被害などの危険性があることです。安倍政権は「国民の利便性が高まる」と普及に躍起になっていますが、市民への利便性は、日常的にはほとんど利用することのない、必要のない、住民票、所得証明の添付などの書類がいらなくなるなどの利便性はあるものの、他人に知られてはならないマイナンバーを管理するリスクや手間を考えれば、市民への利便性へのメリットはほとんどなく、逆に情報漏洩の危険性が増す、デメリットのほうが大きいといわなければなりません。

 第2に、このマイナンバー制度導入には、初期投資に約3000億円、運用費用・ランニングコストに毎年300億円も必要と言われています。ところが、財務省の諮問機関である「財政制度等審議会」が2015年6月に出した建議書では、マイナンバー制度などIT投資について「費用対効果について特段の数値目標が設定されていないが、行政効率化という本来の目的に鑑みれば、あり得ない」、「IT投資自体が自己目的化した無駄づかいとの批判は免れない」と断じ、厳しく批判しました。まさに、マイナンバー制度によって大手IT産業は莫大な利益をあげていますが、その費用対効果は不明、税金が無駄遣いされていることは明らかです。今回の補正予算でも国からの補助は約300万円、一般財源による市の持ち出しは約150万円です。今後もこの制度運用に向けて市財政の負担は増大し、一層、財政運営をきびしくすることになります。

第3に、従業員のマイナンバーを記載した住民税関係の事業所宛の通知書を誤って送付した自治体が100以上にのぼっています。中小企業など事業所はこのマイナンバー管理に大きな負担が発生するなど、深刻な問題をかかえています。総務省は、12月15日、働く人の給与から住民税を徴収するため市区町村が事業所に送る「特別徴収税額決定通知書」について、「当面、マイナンバー(個人番号)を記載しない」と、これまでの方針を転換しました。
 マインバー制度は、徴税強化と社会保障費抑制の手段にしたい国、財界の都合で導入されたもので、国が国民の情報を厳格に把握し、国民を監視する手段にされかねない危険があります。国民に弊害ばかりもたらすマイナンバーは中止し、廃止に向けて見直すことが必要です。以上の理由から反対するものです。

次に、議案第66号、指定管理者の指定について反対します。

これは市の体育施設であるレクレセンター、玉原の市民総合運動公園内にある野球場や多目的運動場、弓道場などのスポーツ施設の運営管理をこれまでの公益財団法人 玉野市スポーツ振興財団に代わって、来年4月より5年間、東京に本社のある株式会社東京アスレティククラブなど3事業者の共同事業体である玉野スポーツネットワークJVに管理を行わせるための指定管理者決定議案であります。
 反対理由は第1に、玉野市がスポーツ振興を目的に設立した玉野市スポーツ振興財団は、25年以上もの実績をもち、スポーツ関係団体などと連携、協力してスポーツ振興と市民福祉の向上に寄与してきました。財団の理事長には歴代の教育長が就任し、収益を目的としない公益財団法人として活動してきたことを無視して、運営管理を公募にかけ、東京に本社のある市外の営利企業に運営をまかせるなど、まともな市政のやるべきことではありません。しかも、民間企業に運営管理を丸投げすることで、議会の関与も後退する懸念があります。振興財団つぶしのため、長年財団で働いてきた職員は解雇されることになります。市と教育委員会は、今後、これら職員の雇用を守り、労働条件を悪化させないよう、その責任を果たことが強く求めるものです。

第2に、民間企業のノウハウの活用といわれていますが、目新しい幾つかの事業提案はあるものの、矛盾点も多く、結局は市外企業の儲け口を提供することにより、市民との協働のまちづくりを否定するものです。スポーツ振興財団は、これまで市民と連携・協力してスポーツ振興に取り組んできました。しかし、それが不十分であるというなら、さらにより良い施設運営、管理を目指し、市民が財団と協力して、民間の良いところは学び、取り入れ、様々な改革をすすめる、その取り組みを支援すべきです。民間活力の名で安易に営利企業に丸投げすれば、サービスの劣化、サービスの質の低下を招く懸念があります。市民との協働を大切にしない、市民の取り組みを信頼しない市政運営には反対するものです。

反対理由の第3に、指定管理者基本事業計画書には、「社内一括購入システムによる消耗品の安価購入」を記載し、その一方で、「市内業者からの物品購入━市内業者への積極的発注」とも記載して矛盾した提案をしています。これまでの市内業者への優先発注、物品購入を徹底してきましたが、これは大きく後退することになります。市外企業は利益を本社に吸い上げるため、市民の税金が企業の儲けとなって地域から逃げていくことになります。地域内循環型の地域振興とは明らかに逆行することになります。
 安倍政権が押し進める公共サービスの民間化は、民間事業者のノウハウや、公務員バッシングなどの宣伝とともに、押し進められています。しかし、その本質は、働き手を非正規に置き換えつつ、民間事業者が利益を確保するというもので、官製ワーキングプア生み出すことになります。住民の福祉を増進するための公の施設を舞台にして、収益をあげ、その一方で働き手の労働条件や経費を圧迫する、指定管理者制度はその根本に矛盾があります。今後、現実の進行の中で必ず矛盾をあらわにせざるを得ないでしょう。


次に請願第17号「日本政府に核兵器禁止条約の調印を求める意見書採択を求める請願」の採択を求め、賛成討論を行います。

この請願は、今年7月7日に国連本部において、核兵器の禁止を明文化した歴史的な核兵器禁止条約が、加盟国の6割を超える122か国の賛成で採択されたことをうけ、日本政府に核兵器禁止条約の調印を求めるものです。この条約は、核兵器について壊滅的な結末をもたらす、あらゆる兵器の中で最も残虐な、非人道的な兵器として、人類史上初めて「違法化」されました。9月20日、条約の署名が解放された初日には、条約制定を主導したオーストリア、メキシコ、ブラジルなど50か国が署名しました。

 米国など核保有国は、「段階的アプローチが核軍縮に向けて前進する唯一の選択肢」と主張し、核兵器禁止条約に背を向けています。しかし、核軍縮の部分的措置をいくら積み重ねても、「核兵器のない世界」に到達しえないことは、戦後70年余の核兵器をめぐる状況が証明しています。「段階的アプローチ論」は、核兵器廃絶を永久に先送りするものです。

この条約は、核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、貯蔵、使用とその威嚇にいたるまで、核兵器にかかわるあらゆる活動を禁止しするものとなっています。また、各保有国の条約への参加の道を規定するなど核兵器完全廃絶への枠組みを示しています。同時に、被爆者や核実験被害者への援助をおこなう責任も明記され、被爆国、被害国の切望にも応えるものとなっています。
この核兵器禁止条約は、被爆者とともに国民が長年にわたって熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものです。

広島、長崎への原爆投下を体験し、その経験から戦争放棄を定めた憲法を持つ日本は、核兵器禁止に賛同し、日本政府としてすみやかに禁止条約に署名すること求め、政府・関係機関に意見書を提出するよう求めるものです。

 この核兵器禁止条約の採択に貢献したICANがノーベル平和賞を受賞しましたが、いま、この流れが世界の大勢として大きく前進しています。
玉野市は1984年6月に非核平和都市宣言を行っています。その宣言には、「玉野市は,平和憲法の精神にのっとり,「非核三原則」を将来ともに遵守し,あらゆる国のあらゆる核兵器の廃絶を全世界に強く訴え,核兵器の全面撤廃と軍縮を推進し,もつて世界の恒久平和達成をめざすものである。ここに玉野市は,「非核平和都市」の宣言を行うものである。」と謳っています。日本政府に「核兵器禁止条約」への調印を求めるこの請願は、まさに、この非核平和都市宣言にそった、請願内容であります。 
すでに岡山県下でも、総社市、瀬戸内市、真庭、美作市などの自治体が採択しています。玉野市議会においても、ぜひ本請願を採択されるよう求め、私の討論を終わります。

 請願は自民党系議員、公明党議員などの反対多数で不採択、反対した2議案も賛成多数で可決された。