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一般質問通告書
質問事項 消防団への協力金の廃止と対応について 答弁者 消防長、市長
私は、昨年の6月議会で消防長に、横浜地裁などを引用し、消防団への協力金(「寄付金というところもある)の実質的な廃止について一般質問した。
私の「割当的寄付金等の禁止に抵触する」との問に対する答弁は、
「消防団から一方的に強制したものではない」「もしも消防団から協力金を強制する行為があった場合には、市としても厳格に対応する」であった。
次に、私の「市の一機関なのに寄付金として歳入されていない」との問に対する答弁は、
「横浜地裁の判決によれば『市民等から慰労などの趣旨で直接寄付金を受領することは違法となる余地がある』としながらも「寄付の趣旨は消防団に対する慰労を目的としたものである・・市は、かかる公務に関連性のない趣旨を目的とした金員を、使途を指定した寄付金としても受領できるものではない。そうすると、市に損害が生じたと認めることもできない。」と判示。当市としても、司法と同様、適正な歳出として会計処理することは到底困難であり、市が直接受領するべき性質の寄付行為ではない」とされた。
さらに、「市としても、消防団員の処遇改善に努め、消防団活動に必要なものは可能な限り予算措置する」と答弁された。
私は、最後に、「これから1年間、協力金廃止につき十分検討し対応すること」をお願いした。
それから1年近く経過した今年3月の予算議会で、市の消防長から「自治会からの協力金は受け取らない旨を文書で通知した」と説明があった。
実際、今年3月18日付の市消防団から市自治会連合会宛の文書には「消防団(分団)としては消防団活動に対する協力金等を要求しない・受け取らないことを議決しました」と記され、さらに「協力金等の趣旨が、消防団(分団)・消防団活動等(公務)に対するものであれば、市に対する指定寄付金として取り扱わせていただきます」とされている。
私は、この受け取らないことの決定を、英断として賞賛するものである。
ところで、山県市議会からの市自治会連合会への照会に対する、先日8月23日付けの連合会の「消防協力費の実態調査について(回答)」が議員に配布されている。
それらよれば、「協力しない」とか「中止した」ところもあれば、従来通りの回答もあるし、「金額を変えて協力」との旨の回答もある。一言でいえば、「協力金への対応につき、極めて混乱している」と映る(別表参照)。そこでまず、消防長に問う。
1.自治会連合会の実態調査の回答から、消防団の「協力金を受け取らない」との旨が、地域に正しく伝わっていると考えるか否か。
2.「受け取らない」と決定したわけだが、実態調査の回答から見ても、協力金の「振り込み」や「持参」は十分にあり得る。そのような場合、消防団(分団)は、今年の春以降どのように対処してきたのか、また、今後どのように対処していくのか。
3.実態調査の回答のとおり、地域や団体ごと、あるいは単位自治会において、どのように対処してよいか苦慮していることが伝わってくる。
ここは、私よりも、法令や制度とともに地域現場を知る山県消防(長)の説明が最も説得力があると考えるのでお願いするわけだが、消防団(分団)は、どのような場合に「お金等の寄付」を受け取ることが可能で、どのような場合は受け取ることができないか、わかりやすく説明していただきたい。
また、消防団員が地域に暮らす一住民としての地域活動に対する「お礼や謝礼」などを受領する余地につき、その範囲や趣旨・目的の設定、支払方法などを示されたい。
4.昨年の一般質問で議論が尽くせなかった点、つまり「『寄付を募集・・しないこと』などを盛り込んだ条例改正」及び「団員としての報酬・手当の個人口座への直接振込」についての検討状況あるいは検討結果はどのようか。
5. 以下は市長に問う。 消防団から、指定寄付金の余地が示されている。私は、「市の補助金を受けている団体等から市への寄付金」という構図、公金が還流する構造はあり得ないし、それは補助の打ち切りないし減額の状況と考えるが、市長の見解はどのようか。
以上
(参考データ)★2012年6月議会での寺町の一般質問に対する消防長の答弁の抜粋
http://www.city.yamagata.gifu.jp/lsc/lsc-upfile/article/37/53/3753_1003_file.pdf 会議録 p100
・・1点目の「割当的寄付金等の禁止に抵触する」とされる点につき、 この協力金は、地域防災の担い手である「消防団員の確保」という大きな課題を背景に、消防団に対する地域の「期待」と「ねぎらいの意」を表したものであり、あくまでも自治会の意思である。・・・しかし、もしも消防団から協力金を強制する行為があった場合には、市としても厳格に対応するとともに、市民の信頼が得られる組織へと導くべきである。
2点目の「市の一機関なのに寄付金として歳入されていない」とされる点につき、議員が引用された横浜地裁の判例や他市町村消防団の不適正事例等を参考に、従前から本来どうあるべきかを検討していた。
横浜地裁の判決によれば「市民等から慰労などの趣旨で直接寄付金を受領することは違法となる余地がある。」としながらも「寄付の趣旨は主として地元のために活動する団体である消防団に対する慰労を目的としたものであると認めるのが相当である。このような寄付金の趣旨を照らすと、市は、かかる公務に関連性のない趣旨を目的とした金員を、使途を指定した寄付金としても受領できるものではない。そうすると市が損失のもと、消防団が不当に利得したとはいえないし、これを費消することによって、市に損害が生じたと認めることもできない。」と判示し、原告の訴えが棄却されている。当市としても、司法と同様、適正な歳出として会計処理することは到底困難で、市が直接受領するべき性質の寄付行為ではないと考えている。
(関連法令等) ★横浜地裁の判決=横浜地裁平成19年(行ウ)第52号/平成22年3月24日判決 横浜地裁判決にリンク
★消防団は、市町村の消防事務を処理するため設けられた市町村の機関(消防組織法第9条)消防組織法。
「消防団の設置は条例により定める」(法15条)「消防団に要する費用は(市)が負担しなければならない」(法8条)。
★地方自治法第210条 「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入」
★地方財政法第4条の5 「割り当てて強制的に徴収(相当する行為を含む)してはならない」
★【寄付とは】 (豊中市Webから抜粋)
豊中市を応援するための寄附条例(平成20 年豊中市条例第44 号)/解説 から
○任意の発意に基づく収入 /一般住民等からの任意の発意に基づき地方公共団体に納入される収入。使途の特定されない一般寄附金と、使途を定めた指定寄附金がある。
○指定寄附金と議会の議決 /指定寄附金が、「負担付きの寄附又は贈与」に当たる場合は議会の議決が必要(地方自治法96条1項9号)。「負担付きの贈与又は寄附」とは、寄附を受ける際、一定の条件が付せられ、その条件に基づく義務の不履行の場合には当該寄附が解除されるようなもの(昭30.11.25行政実例)。
消防の整理表

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それにしても、こんな当たり前のことが未だに全国で是正されないこの国とは何ですかね?
これの解決法としては、行政機関としての消防団と町内会の行事ボランティアの人員を分けることだと思います
。消防団は火災、水害に専念して運動会の手伝いや徘徊老人の捜索などはしない。町内ボランティアは別の人たちに任せて、町内会から日当として寸志を出す。これなら一戸あたり百円も負担は掛からないでしょう。今は行政による目くらましのせいで大半の住民は「消防活動への謝礼」の意識で多額の寄付を「行政機関」に出しています。
公私を分けないかぎり消防団の寄付費消は違法行為であり、寄付金を市への歳入とせずに宙に浮かす市の不作為は住民訴訟の対象と思われます。
>こんな当たり前のことが未だに全国で是正されないこの国とは何ですかね?
そうですね。根深い問題。
>これの解決法としては、行政機関としての消防団と町内会の行事ボランティアの人員を分ける
なるほど。