突然の衆議院選挙が昨年12月。そのとき、佐賀県の古川氏が知事を辞職し自民から小選挙区に出る、その後任の指名はユニークさで知られた「武雄市長の樋渡氏」ということになった。
ちょうど、武雄市には、一昨年の10月に議会で行政視察にうかがっていたので、なお縁あり感。その時の視察テーマは、「タブレット端末を活用した授業」と市の「営業部 いのしし課」(有害鳥獣駆除対策)。それぞれの個性的な取り組みがあった。そのあとには、話題の"図書館"にも案内していただいた。
・・・当然、個人的にもいろいろと調べてから視察に行くのだけれど、「武雄市長の樋渡氏」には右傾化した印象も強く、その他の懸念もあった。知事選ということで、こんな人たちが増えていくのはいかがなものか、そんな気分でいた。
とはいえ、同氏が知事選に出ること自体は面白いことで、どうなるか注目していた。
名古屋の選挙講座や岡山出張が済んで昨日帰って、「11日投票」された結果をゆっくりと見てみた。
前知事の突然の辞任と、ともなう直接指名だから、当選すると見るのが主流だったけれど、対する山口氏に地元の自民党の支持が流れて、意外な結果となった。自民の分裂選挙。
佐賀県選管の「知事選挙開票状況 速報県計表」を見ると、当選した山口氏は市部計でも町部計でも上回ってはいるものの、個別の市町別にみるとバラつきがあった。まさに、分裂の故か。
今日のブログにはそんなあたりが分かる内容をまとめておいた。ついつい、ボリュームも膨らんでしまった。
佐賀新聞。
★≪山口氏は、県内最大規模の政治団体・県農政協や県有明海漁協の推薦を受け、複数の首長、一部の自民党議員のほか、民主党や連合なども支援した。選挙戦を通じ、樋渡氏の政治手法を「非民主的」と批判。「県民党」を訴えて支持拡大を図った。これまで自民選挙を支えた農政協がフル稼働し、徹底した組織戦を展開した。出馬表明からわずか3週間という出遅れを跳ね返した。樋渡氏は、改革の実績と高い知名度に加え、首長経験者としての「即戦力」を訴えた。前知事の古川康衆院議員ら自民党国会議員のほか、政府与党も安倍政権が進める「地方創生時代の旗手」として大臣や党幹部を連日投入した。≫
背景や経過を見るのには、「ザ・選挙の高橋さん」の分析が面白い。
★≪山口氏が逆転/・・『ザ選挙』が衆院選から始めた「モギ投票」では、最初から山口氏がリードしていた。「モギ投票」は選挙区や年齢に関わらず誰でも投票できる。しかも登録も必要ないため、実際の選挙を占うものではなく、遊び的な要素が強い。しかし、結果を見てみると、首長選挙においては8割以上の確率で実際の選挙結果と同じ結果が出ている。正確性の問われる情勢調査(RDD方式)では、告示日にはリードしていた樋渡氏は、徐々に差を詰められて最後には逆転された。知名度や著名な自民党幹部の応援よりも、地元の「草の根」が強かったと言える結果となった。≫
日刊ゲンダイは、
★≪「ネットでは『ノーモア樋渡』という特設サイトがつくられ、武雄市長時代に強引に進めた行政手法に対する批判や、『ひまじんうんこ』『君はゴキブリ以下』といった過去のネット発言が次々とバクロされています。樋渡陣営は必死に削除しているようですが、拡散するばかり。さらに今回の“怪電話”ですからね。ダメージは大きいですよ」(佐賀県政記者)≫
THE PAGE(ザ・ページ)
★≪4月には統一地方選が予定されているが、こうした保守分裂図式は、佐賀に限らず他の自治体にも広がっていくかもしれない。≫
佐賀新聞。
★≪樋渡氏を全面支援した安倍政権は昨年の滋賀、沖縄県知事選に続く敗北を喫し、農協改革など今後の政権運営や4月の統一地方選に影響が出そうだ≫
ふむふむ。
国政の今の選挙制度と解散・選挙のタイミングで多数をとつた安倍政権だけど、自治体選挙では苦戦が続く、ということか。
自民から民主への政権交代も、まず地方自治体の選挙で崩れていくことが先行したから、そういう過程にある、とみることもできそう。
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●【本記】佐賀県知事選は山口氏が初当選
佐賀 2015年01月11日 23時42分
古川康前知事の辞職に伴い、新人4人が立候補した佐賀県知事選は11日投開票され、元総務省過疎対策室長の山口祥義氏(49)が18万2795票を獲得し、自民、公明の推薦を受けた前武雄市長の樋渡啓祐氏(45)を3万9千票差で破り、初当選を飾った。樋渡氏の政治手法に反発する県農政協議会や佐賀市長ら首長の支援を受けた山口氏は、圧倒的な組織力で出遅れをばん回し、12年ぶりの保守分裂選挙戦を制した。投票率は54・61%で過去最低を更新し、昨年12月の衆院選小選挙区の57・77%も下回った。
樋渡氏を全面支援した安倍政権は昨年の滋賀、沖縄県知事選に続く敗北を喫し、農協改革など今後の政権運営や4月の統一地方選に影響が出そうだ。
山口氏は、県内最大規模の政治団体・県農政協や県有明海漁協の推薦を受け、複数の首長、一部の自民党議員のほか、民主党や連合なども支援した。選挙戦を通じ、樋渡氏の政治手法を「非民主的」と批判。危機管理や過疎対策など山口氏の総務省時代の実績に加え、「県民党」を訴えて支持拡大を図った。これまで自民選挙を支えた農政協がフル稼働し、徹底した組織戦を展開した。出馬表明からわずか3週間という出遅れを跳ね返した。
樋渡氏は、改革の実績と高い知名度に加え、首長経験者としての「即戦力」を訴えた。前知事の古川康衆院議員ら自民党国会議員のほか、政府与党も安倍政権が進める「地方創生時代の旗手」として大臣や党幹部を連日投入した。地元の武雄市などで支持を集めたが、低投票率も響いて涙をのんだ。
九州大大学院教授の島谷幸宏氏(59)は、佐賀空港への新型輸送機オスプレイ配備計画や玄海原発再稼働への反対姿勢を鮮明にし、市民団体を中心に草の根で運動したが浸透できなかった。農業の飯盛良隆氏(44)は食育改革などを訴えたが支持が広がらなかった。
●佐賀知事選で与党敗北 農協支援の山口氏が初当選
日経 2015/1/12 1:11
農協改革を争点に保守分裂選挙となった佐賀県知事選は11日投開票され、農業団体の支援を受けた元総務省職員の山口祥義氏(49)が、自民、公明両党推薦で前武雄市長の樋渡啓祐氏(45)らを破り初当選した。政府・与党が全面支援した樋渡氏の敗北で、成長戦略の一つに据える農協改革に影響を与える可能性がある。自民党は知事選で不振が続いており、春の統一地方選に不安を残した。
山口氏は当選を決めた後、佐賀市内で記者団に「佐賀のことは佐賀で決める、この思いが通じた」と語った。山口氏は陸上自衛隊が導入予定の垂直離着陸輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画の受け入れには賛否を明らかにしていない。九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働については安全性の確認などを前提にしつつ「必要だ」としている。
投票率は54.61%で、過去最低を記録した。自民党の茂木敏充選挙対策委員長は11日夜「年末年始をまたぐ難しい選挙となったこと、投票率が大幅に低下したことなど、敗因をよく分析して今後の対応に当たりたい」との談話を発表。公明党の斉藤鉄夫選挙対策委員長は「自民党支持層の分裂は残念だった」と取材に答えた。
低投票率は農協を中心に組織票固めを徹底した山口氏に奏功した。山口陣営の関係者は「3連休の谷間で投票率が下がったことが結果的に有利に働いた」と分析。樋渡陣営の幹部も「投票率が低く、組織票の強みが出た」と語った。樋渡氏は分裂選挙で自民党支持層を固めきれず、改革派市長の知名度で狙った無党派層への浸透も低投票率に阻まれた形だ。
農協改革が争点になった今回、樋渡氏の擁立は首相官邸や自民党本部が主導し、政府・与党は「国政の重要課題を問う負けられない選挙」(閣僚経験者)との姿勢で臨んだ。
昨年暮れに菅義偉官房長官が現地入りしたほか、年明けには自民党の谷垣禎一幹事長、稲田朋美政調会長らを派遣。党幹部自ら農業以外の団体・組織を徹底的に回り、一時は「もう心配ない」(党幹部)と楽観論も漏れていた。それだけに4万票近く水をあけられての敗北は予想外との受け止めが出ている。
当182795 山口 祥義 無新
143720 樋渡 啓祐 無新=自民、公明推薦
32844 島谷 幸宏 無新
6951 飯盛 良隆 無新
●佐賀知事選、山口氏が初当選…自公推薦候補破る
読売 2015年01月12日 01時00分
衆院選に出馬した古川康前知事の辞職に伴う佐賀県知事選が11日投開票され、無所属新人の元総務省過疎対策室長・山口祥義氏(49)が、同県武雄市の前市長・樋渡啓祐氏(45)(自民・公明推薦)ら無所属新人3人を破り初当選した。
政府・与党が全面支援する樋渡氏に対し、自民党の支援団体「佐賀県農政協議会」が山口氏を推薦する保守分裂選挙となり、山口氏が制した。
山口氏は、告示直前に出馬を表明。自民党は、政府が進める農協改革などに理解を示す樋渡氏を党本部主導で推薦したが、これに反発した県農政協議会や自民党の一部県議、首長らが山口氏支援に回った。
佐賀県は、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働など国策に関わる課題も山積している。当選を決めた山口氏は、原発について「再稼働の方向で考えたいと思っているが、県民の意見をしっかり聞きたい」と述べた。
投票率は、前回の2011年4月(59・41%)を下回る54・61%だった。
●「佐賀ショック」 農協改革に影
日経 2015/1/12 1:08
「佐賀ショック」ともいえる佐賀県知事選での与党敗北は、安倍政権が成長戦略の一環として進める農協改革の行方や春の統一地方選に影を落としそうだ。自民党幹部は11日夜、農協改革に及ぼす影響について「党内で慎重論が出て、改革案の落としどころを探ることになるのではないか」との見通しを示した。
「残念な結果になった。引き続き経済再生、地方再生に最優先で取り組み、全国津々浦々まで景気回復の実感を届けることで国民の理解と支持をいただけるよう努めたい」。自民党の稲田政調会長は与党敗北を受けた談話でこう強調した。
農協改革をめぐり、自民党は週明けにも党内論議を始める。政府は全国農業協同組合中央会(JA全中)が持つ全国の農協組織への指導権廃止を盛り込んだ関連法案を検討しており、26日召集予定の通常国会に提出する方針だが、知事選敗北で党内の慎重論が勢いを増す可能性がある。法案審議で野党の追及が激しくなることも予想される。
自民党は昨年7月の滋賀県知事選、11月の沖縄県知事選と与野党対決型の知事選で相次いで敗北した。昨年末の衆院選で勝利し、安倍内閣の支持率は高水準を維持しているものの「地方ではアベノミクスに共感が得られていない」(ベテラン議員)との声が党内にくすぶっており、こうした懸念を裏付けた形だ。
統一地方選や2016年夏に控えた参院選は業界団体の影響が大きいとされる。党幹部は「知事選はそれぞれの要因があり、農業問題だけが全てではない」と今回の敗北が他の選挙に波及することはないとの認識を示すが、党内では「何も手を打たなければ統一地方選は厳しくなる」(中堅議員)との声も出ている。
●佐賀県知事選:山口氏が初当選 樋渡流政治手法は届かず
毎日新聞 2015年01月12日 15時42分
古川康前知事の辞職に伴う佐賀知事選は11日投開票され、県農政協議会などが推薦する元総務官僚、山口祥義(よしのり)氏(49)=無所属新人=が、自民、公明両党推薦の前武雄市長、樋渡(ひわたし)啓祐氏(45)▽九州大大学院教授、島谷幸宏氏(59)▽農業、飯盛(いさがい)良隆氏(44)−−の無所属新人3人を破り、初当選を決めた。選挙戦は山口氏と樋渡氏による保守分裂の接戦となったが「対話重視」の県政を主張する山口氏が民主や連合の支援も受け、支持を広げた。安倍政権が目指す農協改革への反発もあり、与党が推す樋渡氏に逆風となった。当日有権者数は67万5865人。投票率は過去最低の54.61%(前回59.41%)。
山口氏の支持者が集まる佐賀市の事務所に当選確実の一報が伝わると、歓声とともに大きな拍手が湧き起こった。山口氏は「当選できたのは皆さん一人一人のお陰です」と深々と頭を下げた。トップダウン型の樋渡流の政治手法の是非も争点だっただけに「一人一人との対話を基本にし、皆さんと改革を進めていく」と決意を語った。
出馬表明が告示日約10日前と出遅れ、知名度不足に悩まされたが、推薦を受けたJAグループ佐賀の政治団体「県農政協議会」(会員約5万5000人)が「これだけまとまったのは初めて」(県農政協幹部)というほどフル稼働し、組織票を固めた。樋渡氏の知事就任に「県政の危機だ」と不安を訴える秀島敏行・佐賀市長や佐賀市議も運動を支え、大票田の佐賀市でも票を伸ばし、樋渡氏を突き放した。
一方、樋渡氏は前知事の古川康・衆院議員の後継者を名乗り古川県政の継続や、市長時代の図書館や教育改革など実績を訴えた。菅義偉官房長官や谷垣禎一幹事長ら自民党幹部が次々応援に入り、保守系組織を締め付けたが、逆に安倍政権が狙う農協改革に反発する農協などが「佐賀のことは佐賀で決める」と結束を強め、県民党を掲げる山口氏陣営に追い風となった。
島谷氏は陸上自衛隊の新型輸送機オスプレイの配備計画や、九州電力玄海原発(玄海町)再稼働の反対を訴えたが、支持が広がらなかった。農業振興などを掲げた飯盛氏も浸透しなかった。【松尾雅也、岩崎邦宏】
◇解説 県民の声に耳を
昨年11月、辞職を前にした古川康前知事は定例記者会見で、佐賀空港への陸上自衛隊の新型輸送機オスプレイなどの配備計画が及ぼす影響について「民間空港としての使用、発展に支障がないことを確認した」と突然、容認をうかがわせる発言をした。
折しも、九州防衛局が佐賀空港周辺の全住民を対象にした配備計画説明会の終了翌日のことだった。会見では更に「地方自治体は基本的には国の安全保障に協力すべきだ」と言及し、受け入れが前提との見解も示した。
知事辞職と自民党からの衆院選出馬を踏まえた発言で、最終判断は「次に(知事に)選ばれた方が判断される」と語り、野党県議らから「県政の投げ出しだ」と非難を浴びる結果となった。
そんな中で、年をまたぐ突然の知事選が始まった。有権者は当然、数ある県政課題の中でも、このオスプレイ配備計画についての候補者の政策に注目した。だが、選挙戦は有力な2陣営の「保守分裂」による批判合戦ばかりが目立ち、有権者を落胆させたまま投票日を迎えた。
選挙が終わり「保守王国・佐賀」には、大きなしこりが残った。山口氏は新知事として、この分裂の修復とともに、オスプレイ配備や玄海原発再稼働などの国政課題に向かい合わなければならない。
安倍政権は今後、これらの国策を押し進めるだろう。山口氏は県民の声に耳を傾けた、しっかりとした県政のかじ取りが求められる。【松尾雅也】
山口祥義(やまぐち・よしのり) 49 無新(1)
[元]総務省過疎対策室長[歴]鳥取県商工労働部長▽長崎県総務部長▽東大院客員教授▽JTB総合研究所地域振興ディレクター▽東大
●安倍政権に地方から逆風 佐賀知事選、農協改革に「待った」
日経 2015/1/12 1:34
11日投開票の佐賀県知事選で、自民党県議の一部や農業団体の支援を受けた総務省出身の山口祥義氏(49)が、自民、公明の推薦を受けた前同県武雄市長、樋渡啓祐氏(45)らを破り初当選した。安倍政権の農協改革に県民が「待った」をかけた形で、山口氏は終盤まで追い上げて勝利した。
佐賀市の山口氏の事務所では支援者約300人が総立ちに。山口氏は「佐賀のことは佐賀で決める。この思いが通じ、日に日に共感が広まった」と額に汗を流し、何度も腕を突き上げた。
保守分裂となった選挙戦で議論が深まらなかった九州電力玄海原子力発電所(玄海町)の再稼働問題については「再稼働の方向ではあるが、安全性の確認、県民の意見を聞くことの2点はしっかりする」と指摘した。
一方、敗れた樋渡氏は悲痛な面持ちで事務所に現れ「悔いのない戦いができ、皆さんに感謝したい」と話し、衆院議員に転じた古川康前県知事らと何度も頭を下げた。
●佐賀県知事選挙で樋渡啓祐・前武雄市長が落選! 『twitter』で「自民党本部による佐賀県冷遇策を考える」タグ広がる
ガジェット通信 2015.01.12 00:00 記者 : ふじいりょう
古川康氏が国政に転身したことに伴う佐賀県知事選挙の投開票が2014年1月11日に実施され、無所属の新人で元総務省過疎対策室長の山口祥義氏が182795票を集めて初当選を果たしました。今回、前武雄市長の樋渡啓祐氏が自民党・公明党の推薦を受けて立候補をしたということでネット上でも関心が高く、各メディアもサガテレビが開票速報を『Ustream』で生配信するなどの対応を取っていました。
自民党本部など中央からの支援を受けた樋渡氏と、農協の政治団体や保守系の地方議員からの支持を受けた山口氏の「保守分裂」となった今回の知事選。武雄市長時代に、『twitter』『Facebook』などで自身を批判するユーザーに対して攻撃的な投稿を続けたり、図書館・歴史資料館の管理者にTSUTAYA・Tポイントカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブを指定するなど、その政治手法や発言が批判を受けることが多
山口氏を支援した農協などの保守層はもともと自民党の支持基盤でもあるため、政府・自民党が露骨な冷遇策を採るとは考えにくいですが、やはり与党が推薦した候補を破り就任した翁長雄志沖縄県知事に対して政府首脳が面会しないことがあったと報じられており、今後の山口新知事への対応にも関心が集まることになりそうです。
●佐賀県知事選に武雄市長出馬へ
西日本 2014年11月17日(最終更新 2014年11月17日 14時30分)
佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長(44)=3期目=は16日、同県知事選に立候補する意向を固めた。複数の関係者が明らかにした。現職の古川康知事(56)が近く辞職し、次期衆院選佐賀2区へ国政転身する動きを受けた。樋渡氏は市議会定例会が開会する12月2日に正式表明する方針。
樋渡氏は16日、古川氏と佐賀市内で会談。17日には首相官邸を訪れ、立候補に向けた調整をするもようだ。樋渡氏は西日本新聞の取材に対し「各方面から要請を受けていることは事実でありがたい。立候補については関係者と相談して最終決定したい」と語った。
樋渡氏は武雄市出身。総務省大臣官房秘書課長補佐などを経て、2006年、36歳で武雄市長に初当選。当時の現職市長では全国最年少で、公立図書館の民間委託などを進めた。残り任期は約3年5カ月あり、辞職が市選管に通知されて50日以内に市長選が行われる。
●分析記事 注目選挙 /【選挙の目】佐賀県知事選挙で自民党候補が負けた〜そして今後は
ザ・選挙 2015年01月12日
『ザ選挙』編集長 高橋茂
注目の佐賀県知事選挙は、激戦を制して山口祥義(よしのり)氏の当選となった。この選挙は保守層が分裂し、自民党本部と公明党は、改革派で知名度のある樋渡(ひわたし)啓祐氏を擁立し前半は有利に進めていたが、自民党の農業政策や樋渡氏自身に反感を持っている地元首長や議員、農業関係者などが元総務省職員の山口氏を擁立・支援し、徐々に追い上げ、終盤でついに逆転した。
選挙結果(ザ選挙)
■自民党にとっては負けられない戦いだった
自民党は国政並みの支援体制を敷き、毎日大物が来県して樋渡氏の応援を行った。自民党がこの戦いを落とせないのは、佐賀県が再稼働を予定している玄海原発を抱えているのに加え、これから行う農業改革を進めるためにも国政に転出した古川康知事の後継者を据える必要があったからだ。
しかも、昨年は滋賀県知事選挙と沖縄県知事選挙で国政並みの支援をした候補を落としてしまっているので、3連敗は免れたい。
そこで白羽の矢を立てたのが、改革派で有名な武雄市長の樋渡氏だった。市の公式サイトをFacebookにしてしまったことで全国的な話題を呼び、公立図書館を民間が運営するといった度肝を抜くような政策を次々と進め、武雄市の知名度を一躍全国区にした手腕は高く評価されている。そして原発推進派だった古川康氏の後継者は、そのまま自民党の政策を進めてくれる人物でないといけない。そこで自民党は樋渡氏にかけた。
■自民党が分裂したところから誤算が始まった
しかし、この戦略は「知名度が高い=当選確率が高い」ということだけにすがったものであり、それが活かされるのは地元も一体となって戦う場合に限るということを考えていたのかどうか。地元の樋渡氏擁立に反対の勢力は山口氏を支援し、劣勢からの挽回を図った。
佐賀県知事選、なぜ「保守分裂」選挙なのか?― 内山融・東京大学大学院教授(THE PAGE)
自民党本部は連日大物幹部を佐賀に送り込み、徹底的に支援を行ったが、それは同じく地元の反発を買うことにも繋がって行く。
知事選3連敗か 安倍自民が推す“佐賀の橋下徹”の嫌われ方(日刊ゲンダイ)
選挙は、中央の押し付けに地元が反発したような構図となった。
■山口氏が逆転
『ザ選挙』が衆院選から始めた「モギ投票」では、最初から山口氏がリードしていた。「モギ投票」は選挙区や年齢に関わらず誰でも投票できる。しかも登録も必要ないため、実際の選挙を占うものではなく、遊び的な要素が強い。しかし、結果を見てみると、首長選挙においては8割以上の確率で実際の選挙結果と同じ結果が出ている。
正確性の問われる情勢調査(RDD方式)では、告示日にはリードしていた樋渡氏は、徐々に差を詰められて最後には逆転された。知名度や著名な自民党幹部の応援よりも、地元の「草の根」が強かったと言える結果となった。
■大物の応援はその場だけでは票にならない
なぜ毎日大物が応援演説をしているのに、票につながらないのか。
昨年の東京都知事選挙を思い起こしてみるとよくわかる。毎回数千人の聴衆を集めていた細川・小泉コンビは、演説しても閑散としていた舛添氏に大差を付けられた。演説を直に聞けるのは有権者の一部であり、そこから支持を広めていって票につなげるのは地元支持者の地味な活動でしかないのである。今回、関心を惹くことに効果はあっても、本来それを広める役割を担う人たちが山口氏支持であれば、大物の応援はかえってマイナスにしかならない。
しかも樋渡陣営は、選挙後半で安倍首相の投票依頼メッセージを電話で有権者に流し始め、それが逆に反感を買うこととなった。
有権者怒り! 佐賀知事選で安倍首相の肉声録音“迷惑”電話(日刊ゲンダイ)
このオートコールの手法は、本来であれば候補者本人の声で、録音であることを最初に説明してから流さないと迷惑電話となってしまうため、ノウハウのない者が行うと逆効果となる。しかも、安倍内閣の支持が高いのは「他に選択肢がない」という理由が半分近くあるからで、決して安倍首相に人気があるからではない。直接関係ない首相からの録音メッセージが流れてきても、それがそのまま樋渡氏の支持につながることは無い。しかし、こんな簡単なことが樋渡陣営にはわからなかった。
■オスプレイ乗り入れ、玄海原発再稼働そして農協改革は
自民党としては、国会議員となった古川康元知事を通じて、新知事がオスプレイ乗り入れ、原発再稼働、農協改革を行ってくれることを想定していたのだろう。しかし、地元の反発を読めず、稚拙な電話戦術や広がりに欠ける大物投入が反感をさらに買い、逆に対立候補支持の火を点けることとなった。
新知事が国の政策に対してどのような方針を立てるのか、まだ未知の部分もあるが、今回の選挙で確実に中央と地元の亀裂は深まっている。国の「上から目線」の指示をそのまま呑むとは思えない。自民党にとっては、昨年の滋賀、沖縄に続いて痛い敗戦となった。4月に行われる統一地方選挙への影響も決して少なくない。
この県知事選挙は、ただ自民党推薦候補が負けたというだけでなく、今後の安倍政権への影響や統一地方選挙の戦略を考えた上でも非常に注目すべき選挙であった。
筆者:高橋茂
『ザ選挙』編集長。電子楽器のエンジニアから2000年の長野県知事選挙を経て、政治家の情報発信の専門家となり現在に至る。株式会社VoiceJapan代表取締役、株式会社世論社代表取締役。武蔵大学社会学部非常勤講師。政治家やNPOなどの活動サポートの傍ら執筆、講演など活動は多岐にわたる。
現在、Facebook上にて会員制オンラインサロン『ザ選挙サロン』を運営している。
●知事選3連敗か 安倍自民が推す“佐賀の橋下徹”の嫌われ方
日刊ゲンダイ 2015年1月7日
今月11日投開票の佐賀県知事選がガ然、面白くなってきた。当初は自公が推薦する前武雄市長の樋渡啓祐氏(45)の圧勝とみられていたが、「年末には対抗馬の元総務省官僚、山口祥義氏(49)との差が数ポイントになり、完全に尻に火がついている」(地元の選挙関係者)といわれている。
この選挙を落とせば、滋賀、沖縄に続き、知事選3連敗になる安倍政権はもう必死だ。菅官房長官、三原じゅん子女性局長、河野太郎衆院議員、佐藤正久参院議員、稲田朋美政調会長、谷垣禎一幹事長と、大物を次々に投入しようとしているが、引き離せない。というか、やればやるほど、地元の反発を買っているような状況だ。
「そもそも、候補者擁立からして、中央主導で地元無視。“佐賀をなめるな”と言われているんです。前知事の古川康氏が突然、知事職をぶん投げ、衆院選に出馬したうえ、樋渡氏は古川氏の総務省の後輩です。菅官房長官がポロッと口を滑らしていましたが、樋渡氏は古川氏の後継指名、禅譲のようなものなんです。その古川前知事は辞める直前、佐賀空港へのオスプレイ受け入れに前向きな発言をした。樋渡氏は、<前知事の発言を重く受け止める>と明言しています。これでは地元の反発も当然ですが、自民党は分かっていない。中央から大物を送り込めば勝てると思っている。とんだおごりであり、勘違いです」(現地で取材をしているジャーナリストの横田一氏)
■“敵”をブログで徹底攻撃
地元の多くの首長や県議、農協、有明海漁協などは山口氏の支援を表明。山口氏は「中央対地方の戦いだ」と訴えている。自民党は青ざめているが、もうひとつ、樋渡氏が苦戦している理由がある。「佐賀の橋下徹」と呼ばれるほど、攻撃的で、敵が多すぎるのである。
「敵と味方を峻別し、敵にはブログなどで徹底的に攻撃するのが特徴です。新聞記事に文句をつけ、朝日記者を名指しで批判したこともあります。そんな樋渡氏の実績は、最年少市長になると、市立の武雄図書館にTSUTAYAやスタバを入れて、来場者を100万人に増やしたことですが、そのために子供用スペースが潰された。公共性より商業主義の人物で、顔をしかめている行政関係者は大勢います」(横田一氏)
選挙結果が見ものである。
●佐賀県知事選、なぜ「保守分裂」選挙なのか?― 内山融・東京大学大学院教授
THE PAGE(ザ・ページ)2015.01.11 12:00
佐賀県知事選は、自民党・公明党が前佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏を推薦する一方、農業関係者を中心とした地元勢力が元総務官僚の山口祥義氏を擁立するという保守分裂の構図となった。
この保守分裂が起こった背景にあるのは、20世紀後半の主流だった「従来の自民党政治」と、21世紀に入ってから目立ってきた「新しい自民党政治」の対立である。「従来の自民党政治」では、自民党は農業などの部門から支持を受ける一方で、見返りに保護や利益分配を行っていた。政策の形成も、族議員や各省官僚などが中心的な役割を担うボトムアップ的なものであった。このような政治のあり方は、1955年以降の自民党長期政権の下で定着していった。
しかしこうした政治は、1990年代の選挙制度改革や橋本行革を経て変わってきた。すなわち、小泉政権や現在の安倍政権に代表されるように、首相官邸主導のトップダウンで、市場原理を重視する新自由主義的政策が進められるようになった。これが「新しい自民党政治」である。
今回の佐賀知事選はこのような対立図式が表れた典型的な事例と見ることができる。樋渡氏は、トップダウン式の市政運営で市立図書館に民間企業を導入するなど、「新しい政治」を代表している。安倍政権の農協改革にも賛同している。こうした方法に違和感を持つ人々が、地元農業者などの利益を守るため山口氏を擁立し、保守分裂選挙となった。
この4月には統一地方選が予定されているが、こうした保守分裂図式は、佐賀に限らず他の自治体にも広がっていくかもしれない。
内山 融(うちやま ゆう)
東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は日本政治・比較政治。著書に、『小泉政権』(中公新書)、『現代日本の国家と市場』(東京大学出版会)など。
●有権者怒り! 佐賀知事選で安倍首相の肉声録音“迷惑”電話 崖っぷちの樋渡啓祐候補
日刊ゲンダイ 2015年1月9日
自民党が推す前武雄市長の樋渡啓祐氏(45)と、総務官僚出身の山口祥義氏(49)が激戦を繰り広げている佐賀県知事選。佐賀県民が、ある“怪電話”にカンカンになっている。
「正月三が日が終わった頃だったでしょうか、自宅にいたら、突然、電話が鳴ったんです。受話器を取ると、何の説明もなく、安倍首相の声で<新しい佐賀県のリーダーとして樋渡啓祐さんをご支援いただきますように>って録音テープが流れ、そのままプツン。一方的に電話をかけてきて、勝手にテープを流し、勝手に切れる。正月から、これほど失礼な電話はありませんよ」(佐賀県内の主婦)
どうやら保守分裂によって苦戦を強いられている自民党本部が片っ端から安倍首相の応援テープを流しているらしい。樋渡陣営に確認すると、電話は投票を呼び掛ける「総裁テープ」(広報担当)とのこと。県内の有権者宅にランダムにかけまくっていた。すでに終了しているが、いきなり電話で安倍首相の録音テープを聞かされる県民はタマったもんじゃない。県選管にも、苦情や問い合わせが「1日数本あった」(担当)という。
ただでさえ県民の評判が悪い樋渡候補は、電話作戦でさらに反発を買っている始末だ。
「ネットでは『ノーモア樋渡』という特設サイトがつくられ、武雄市長時代に強引に進めた行政手法に対する批判や、『ひまじんうんこ』『君はゴキブリ以下』といった過去のネット発言が次々とバクロされています。樋渡陣営は必死に削除しているようですが、拡散するばかり。さらに今回の“怪電話”ですからね。ダメージは大きいですよ」(佐賀県政記者)
今月11日に投開票される佐賀県知事選が、どうなるか見モノだ。
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