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てらまち・ねっと



 新潟県知事選で原発再稼働反対の野党候補が当選。昨日に続き気になることを記録しておく。
 政府の原発政策を変えざるを得ないことになっていくのではないか。例えば、静岡県知事選でも、浜岡原発を抱える現職知事は明確な姿勢を公約するだろうし。

 まず、日本の原発の現状をまとめた記事。
 時事★≪政府は現在、原子力規制委員会の審査に合格した原発から順次再稼働させる方針を掲げている。しかし、再稼働にたどり着いた九州電力川内原発は鹿児島県の三反園訓新知事が停止・点検を要請。10月と12月から定期検査で約2カ月間停止した後に運転を速やかに再開できるかは不透明な状況。 関西電力高浜原発は大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受け停止中。 今年末時点で営業運転中の原発は、四国電力伊方原発3号機の1基のみとなる見通し。政府は国内の電源全体に占める原発の比率を2030年度に20~22%に引き上げる計画を示しているが、計画の実現は困難となりつつある。≫

 前知事の立候補を選挙直前に撤回させた「地元新聞」は何を書いているかを確認。
 新潟日報★≪「原発廃炉」の主張も実らず 新潟市長、知事選で森氏支援/新潟市長は、落選した前長岡市長の森民夫氏を全面支援したものの、森氏の得票は新潟市内8区すべてで米山氏に及ばなかった。市長は、泉田裕彦知事の姿勢を批判しつつ「安全な廃炉」を打ち出すなど踏み込んだ主張を展開。・・ 県市長会は9月16日、森氏の推薦を全会一致で決定。≫

 原発問題で「県民投票」を行ったら結果は見えている。
 神戸★≪再稼働対応について米山氏は「県民投票は、最終的な意思決定の場合に考慮すべき選択肢の一つだ」≫

 政権や電力会社が負けたことについては次。
 日経★≪東京電力に激震が走っている。柏崎刈羽原発は東電の経営再建の要。福島第1原発の廃炉費用の捻出でも大きな役割を期待していただけに、影響は計り知れない。・・激震は霞ケ関にも走っている。経済産業省では今月5日に「東京電力改革・1F問題委員会」が立ち上がった。1F(いちえふ)とは東日本大震災で東電が未曽有の事故を起こした福島第1原発のこと。兆円単位で膨らみ続ける賠償や廃炉などの費用をどう負担し、そのために東電の形をどう変えればいいのかを話し合うが、議論の行方が見通せなくなった≫

 民進党の重大な問題については次。
 毎日★≪「県民の皆さん、支援団体、党組織に混乱を生じさせたことは否めない。県連としてしっかり総括し、関係修復に努めたい」 知事選に「自主投票」で臨んだ民進党県連は知事選を総括する談話を発表。だが、県連の公式見解を示すはずの文書に、黒岩宇洋代表の名前はなかった。支援団体とは「連合新潟」を指す。連合との間でねじれとしこりを生んだ知事選での「けじめ」を県連トップに促す、重い意味を持つ文書だった。

 実は、日本の政府と原発の関係、電力会社のヤミの問題については次。
 LITERA★≪政府と原子力ムラは、原発再稼働に反対する地方自治体の首長にはかたっぱしから圧力をかけ、時にはスキャンダルを仕掛けて潰してきた。5期にわたって福島県知事をつとめてきた佐藤栄佐久元知事はプルサーマル導入反対に転じたとたん、東京地検特捜部に収賄容疑であまりに不自然なかたちで逮捕され、司法記者の間でも"明らかな国策逮捕"という声が上がった。高浜原発では、2000年代前半、プルサーマル導入に反対する高浜町長に対し、なんと暗殺計画までもちあがっていたことが明らかになっている。高浜原発の警備担当警備会社社長が関西電力の幹部である同発電所副所長から依頼を受けたと告発。新潟でも泉田知事が出馬断念に追い込まれた≫

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●政府の再稼働政策に逆風=地元に根強い原発懸念-新潟知事選
     時事 2016/10/17
 16日投開票の新潟県知事選で東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な立場を示す米山隆一氏が当選した。7月の鹿児島県に続く「反原発」知事の誕生で、原発の立地地域の住民の間で安全性への懸念が根強いことが改めて浮き彫りになった。安倍政権の再稼働推進の政策に対する逆風が強まっている。

 菅義偉官房長官は17日の記者会見で「地元のご理解をいただきながら再稼働する考え方に変わりはない」と強調した。しかし、米山氏はこの日も「県民の命と暮らしを守ることができない現状では(柏崎刈羽原発の再稼働は)認められない」と改めて主張。株式市場では、再稼働が遠のいたことで収益改善が遅れるとの見方が広がり、東京電力ホールディングスの株価が急落した。

政府は現在、原子力規制委員会の審査に合格した原発から順次再稼働させる方針を掲げている。しかし、再稼働にたどり着いた九州電力川内原発1、2号機については鹿児島県の三反園訓新知事が停止・点検を要請していた。それぞれ10月と12月から定期検査で約2カ月間停止した後に運転を速やかに再開できるかは不透明な状況だ。

 また、関西電力高浜原発3、4号機は大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受け停止中。周辺地域を含む住民の請求による司法判断で停止に追い込まれる「リスク」も残る。

 今年末時点で営業運転中の原発は、四国電力伊方原発3号機の1基のみとなる見通し。政府は国内の電源全体に占める原発の比率を2030年度に20~22%に引き上げる計画を示しているが、原発に対する国民の不安は根強く、計画の実現は困難となりつつある。


●「原発廃炉」の主張も実らず 新潟市長、知事選で森氏支援
       新潟 2016/10/18
 無所属新人で医師の米山隆一氏が初当選した16日の県知事選。新潟市の篠田昭市長は、落選した前長岡市長の森民夫氏を全面支援したものの、森氏の得票は新潟市内8区すべてで米山氏に及ばなかった。街頭演説などで篠田市長は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に絡め、泉田裕彦知事の姿勢を批判しつつ「安全な廃炉」を打ち出すなど踏み込んだ主張を展開。新幹線の空港乗り入れなどの拠点化、県庁改革の争点化も狙ったが、不発に終わった。

 「森さんが国としっかり交渉して1年でも早い、1基でも多い廃炉、これを工程表にしていく。県民の声をまとめ、国に伝えていきます」。投開票前日の15日午後、新潟市中央区の古町十字路で篠田市長はマイクを手に声を張り上げた。

 県市長会は9月16日、森氏の推薦を全会一致で決定。会長代理として県市長会を率いる立場となった篠田市長は「単なる推薦を超えて、一体となって推進していく形にしたい」と意気込んでいた。

 告示日の同29日から約1週間、韓国とフランスに出張したが、帰国後は精力的に森氏支援で動いた。13日夜に新潟テルサで行われた総決起大会には、富山県であった北信越市長会総会から日帰りで戻り、急きょ応援演説に駆けつけた。

 原発の再稼働問題を巡っては、市議会9月定例会の一般質問に対し、「東京電力が原発に関わることは、現時点で県民の理解は得難い」「安全に廃炉できる体制をつくることが重要だ」と言及していた。

 街頭でも、米山氏が「泉田知事の路線継承」とアピールするのを意識し、「相手候補の言うとおり、原発を(議論せず)そのままにしておけばどうなるか。原発は稼働していなくても危ない」と主張。米山陣営が事実上の「原発ワンイシュー(単一争点)」選挙を展開するのに対抗して訴えを強めたが、森氏への支持拡大には思うようにつながらなかった。

 県が主導する日本海横断航路計画の中古船購入トラブルも挙げ、「総無責任体制の中で(対応を)1年間放置し、このような形になってしまった」と泉田知事や県庁組織を批判。拠点化に関しても、森氏が街頭などで「新潟市を県のトップランナーに」と配慮をみせたものの、浸透しなかった。

 篠田市長が支援した森氏が落選したことについて、市幹部は「米山氏は、原発以外の訴えは具体性に乏しい。市とどういう関係を構築していくか、しばらく様子をみるしかない」と語った。

●原発再稼働「県民投票も選択肢」 新潟県次期知事の米山氏
      神戸 2016/10/18
 新潟県知事選で初当選した米山隆一氏(49)が18日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働対応について「県民投票は、最終的な意思決定の場合に考慮すべき選択肢の一つだ」と述べた。ただ、県民投票の時期など具体的な言及はなかった。

 県庁で行われた当選証書付与式の後、記者団の質問に答えた。原発の再稼働には、知事らの「地元同意」が前提となっている。

 16日投開票の知事選では、共産、自由、社民3党が推薦した米山氏が、自民、公明両党推薦の前長岡市長森民夫氏(67)を破って当選した。

●「県民投票も選択肢」 柏崎刈羽原発の再稼働で 新潟県次期知事の米山氏

       産経 2016.10.18

●【社説】新潟新知事 国民的不信の代弁だ
    東京 2016年10月18日
 原発慎重派が勝利した新潟県知事選。地元柏崎刈羽原発再稼働への賛否にとどまらず、3・11後、多くの国民の中に芽生え、膨らみ、臨界に達しつつある感情を代弁した結果ではないのだろうか。
 「県民の命と暮らしを守れない現状で、再稼働は認められない」 当選した米山隆一氏は、繰り返す。
・・・・・(略)・・・
 しかし、3・11がすべてを変えたのだ。同じ立場の福島で、多くの県民が故郷を追われ、仕事をなくし、後からやって来るかもしれない放射線障害へのおびえを抱いて暮らしている。
 十分な補償はされず、科学の粋を尽くしても、完全な除染は不可能、原発のむくろの中に流れ込む汚染水ひとつ止められない。不安を感じて当然だ。
 一方、当の東電は、電気が足りているにもかかわらず、命より、暮らしより補償より、自社の収益改善を最優先するかのように、柏崎刈羽の再稼働を急ぐ。
 政府はといえば、廃炉費用や福島の補償費を過去にさかのぼって電力消費者に“つけ回し”することを企てているようだ。
 規制委は、再稼働に向けて柏崎刈羽を優先審査するという。どこもかしこも、安全は二の次だ。
 知事選の結果は、県民の不安や不信と言うよりも、怒りに近い感情の表れなのではあるまいか。
 それはもはや、新潟や、七月の知事選で川内原発にノーを突きつけた鹿児島のような原発立地県だけにとどまらない。
 地震国日本に暮らす、多くの都道府県民に、そして“国策”による不祥事のつけ回しにさらされる電力消費者に、共通する思いでもあるだろう。
 新潟県民は、「国民」の代弁をしたのである。

●東電 遠のく脱・国有化 新潟知事に米山氏
     日経 2016/10/18
 東京電力ホールディングス(HD)に激震が走っている。16日に投開票だった新潟県知事選で、東電の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働に反対する無所属新人、米山隆一氏が当選したためだ。柏崎刈羽原発は東電の経営再建の要。福島第1原発の廃炉費用の捻出でも大きな役割を期待していただけに、影響は計り知れない。

 8月末に現職の泉田裕彦知事が不出馬を表明した際、東電は「追い風」と受け止めたが、あくまで原発推進派の知事に代わるのが前提だった。泉田氏は東電に厳しい態度で臨みながらも原発の再稼働自体は否定していなかったが、米山氏は「現状では再稼働を認められない」と明言する。東電にはかえって状況が厳しくなったといえる。17日の東電HD株の終値は先週金曜日から33円安い385円となった。

 激震は霞ケ関にも走っている。経済産業省では今月5日に「東京電力改革・1F問題委員会」が立ち上がった。1F(いちえふ)とは東日本大震災で東電が未曽有の事故を起こした福島第1原発のこと。兆円単位で膨らみ続ける賠償や廃炉などの費用をどう負担し、そのために東電の形をどう変えればいいのかを話し合うが、議論の行方が見通せなくなった。

 柏崎刈羽原発が再稼働すればその分、火力発電所の燃料を減らせる。コスト削減額は1基で年1000億円以上。原子力規制委員会の安全審査も進み、経産省や東電では再稼働を織り込む雰囲気がでつつあったが、その前提はもろくも崩れた。

 柏崎刈羽原発の現場では、安全強化の工事が進み職員が訓練の日々を続けている。だが、今回の結果は、地元住民の間で再稼働に否定的な考えの方が多いことを示した。

 一定の規模の原発を再稼働させていくのは国のエネルギー政策の基軸だが、どう折り合いを付けていくのか。「東電には原発を任せられない」というのが民意なら、次は東電が他の電力大手と提携したり、原発事業を統合したり、といったシナリオが検討される可能性がある。今回の新潟の判断が、国内の原発再編の引き金をひくことになるかもしれない。

 東電は現在、実質国有化されている。福島の責任を果たせる体制ができてきたと国が判断すれば、来年4月以後に脱・国有化の手続きを順次、進める――。そうした想定スケジュールがすんなり進む可能性は限りなく低くなった。
(企業報道部 西岡貴司)

●新潟知事選 争点は原発 「自主投票」の民進、連合と溝
   毎日 2016年10月18日
 「『原発ワンイシュー(単一争点)』となり、それが投票行動にも表れていた」

 激戦から一夜明けた17日朝、新潟県知事選で初当選を果たした米山隆一氏(49)は新潟県魚沼市の実家前で、淡々とした表情で振り返った。

 米山氏の陣営の戦略は明確だった。東京電力福島第1原発事故による避難者も多く、柏崎刈羽原発再稼働への不安が根強くある県民感情を意識し、出馬表明の段階から、再稼働に慎重姿勢を示していた泉田裕彦知事の路線継承を明言。原発問題を前面に掲げることで争点を絞り、保守層や無党派層の取り込みを図った。

 実際、共同通信社が16日に実施した出口調査によると、柏崎刈羽原発再稼働に反対する有権者は64%に上り、その多くが米山氏に投票。無党派層の69%も米山氏を支持し、自民支持層の24%が流れたことも大きく得票を押し上げた。

 選対本部長を務めた森裕子参院議員は「再稼働問題をこれほど徹底したことはかつてなかった。再稼働反対のほとんどは米山氏支持だ」と胸を張った。今後、米山氏の原発対応を巡る姿勢や発言は全国的に注目されるとみられ、国政にも影響を及ぼす可能性がある。米山氏の背負う責任は、選挙での争点のように単純ではなく、複雑で重い。

    ◇ 「県民の皆さん、支援団体、党組織に混乱を生じさせたことは否めない。県連としてしっかり総括し、関係修復に努めたい」

 知事選に「自主投票」で臨んだ民進党県連は16日夜、大渕健幹事長名で知事選を総括する談話を発表した。だが、県連の公式見解を示すはずの文書に、黒岩宇洋代表の名前はなかった。支援団体とは「連合新潟」を指す。連合との間でねじれとしこりを生んだ知事選での「けじめ」を県連トップに促す、重い意味を持つ文書だった。


 泉田知事の4選出馬撤回後、連合新潟は民進党が独自候補を擁立すれば支援する方針を示していたが、同党県連は9月13日に独自候補の擁立断念を決定。これを受け、連合新潟は同14日に森民夫氏(67)支持を決めた。

 だが、選挙戦に入ると、自主投票のはずの民進党の国会議員が続々と米山氏を応援。9月29日の告示直後こそ、米山氏が所属していた旧維新の党の国会議員が中心だったが、接戦が伝えられた選挙戦中盤以降は、県内の国会議員も相次いで支援を表明した。

 連合新潟は9月末の執行委員会で、米山氏の立候補を抑えきれなかったことへの不信感から、黒岩代表を連合の会合に出席させないことを決めた。連合関係者の間では「除籍もありうる事態に、なぜ離党届を受理したのか説明もない」と不満が渦巻いていた。

 しかし渦中の黒岩代表は、選挙戦も終盤に差し掛かった今月11日、突然米山氏支持を表明。混乱を生じさせた県連トップの対応に、党内外から「組織として筋が通らない」「信用問題に関わる」と責任を問う声が噴出している。

 衆院の解散総選挙すらささやかれる中、民進党と連合との間に生じた溝は大きい。【柳沢亮】

●新潟県知事選で原発再稼働反対の米山隆一候補が当選した理由...官邸の謀略と東電のデタラメに県民が怒り
       LITERA 10月17日 (伊勢崎馨)
 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が争点となった新潟県知事選は、共産、自由、社民党推薦で、再稼働反対の米山隆一氏が、自民、公明党推薦の再稼働容認派の森民夫前長岡市長を破って当選をはたした。

 新潟県知事選をめぐってはこの間、本サイトでも指摘したように、安倍官邸と自民党が原発再稼働のために手段を選ばない謀略を仕掛けていた。

 当初、4選出馬を表明していた再稼働反対派の現職知事・泉田裕彦氏が突如、出馬を撤回したのも、裏で官邸と原発ムラがスキャンダルを使った揺さぶりを仕掛けたためといわれている。

「泉田知事が出馬撤回の理由としてあげたのが、地元紙『新潟日報』からフェリー購入問題で県の責任を追及するキャンペーンを仕掛けられたことでした。ところが、新潟日報は、その前年に東京電力の広告が5回も掲載されていた。そんなところから、東京電力が新潟日報にこの追及をやらせたんじゃないかという見方も流れました。また、それに加えて、官邸と自民党が泉田知事の周辺を徹底的に調べ上げ、もっと決定的な身内の不祥事をつかみ、人を介して、泉田知事にそれをちらつかせたという情報もあります」(全国紙新潟支局担当記者)

 こうして、県民に人気のあった泉田氏は出馬撤回に追い込まれ、自民、公明の知事候補は原発再稼働に理解のある森氏に決まったのだ。そして、原発ムラの一翼を担っている電力労連も森氏支持を表明し、民進党に圧力をかけて、米山氏の推薦を阻止。自主投票に追い込んだ。

 さらに、米山氏が優勢という情勢が判明すると、安倍官邸はより露骨な作戦に出た。13日に安倍首相が自ら泉田知事と会談し、森氏を後継指名するように要請したのである。

「これについては、泉田知事がさすがに拒否したようですが、安倍首相と会談したという事実だけでも、森氏に有利に働く。そのへんを見越して官邸が仕掛けたのでしょう」(全国紙政治部記者)

 しかし、それでも、県民は再稼働反対派の米山氏を支持し、知事に選んだ。当然だろう。いま、政府と東京電力が再稼働を推し進めている柏崎刈羽原発は、客観的に見ても、とてつもなく危険な原発だからだ。

 その理由としてまずあげられるのは、現在、審査中の同原発6号機、7号機が、あの福島第一原発と同じ沸騰水型であり、もし認められれば、沸騰水型としては東日本大震災以来はじめての再稼働となるということだろう。福島原発の事故原因もきちんと検証していない段階で、同じ型の原発を再稼働させようとするのは正気の沙汰とは思えない。

 しかも、柏崎刈羽原発はもともと耐震性に大きな問題があり、2007年7月16日の新潟県中越沖地震では、火災や放射能漏れを伴う重大な事故を引き起こしている。3号機近くの変電器付近で火災が発生、消火用水の給水管は破損して水漏れを起こし、6号機でも使用済み核燃料貯蔵プールの放射能を含んだ汚染水が海にまで流失した。さらに7号機では主排気筒から放射性物質が大気中に放出され、低レベル廃棄物入りのドラム缶約400本が倒れて放射性物質が床から検出されている。ダクトのずれ、最大1メートル以上の地盤沈下など、当時の東京電力の発表だけでも実に50件ほどの様々なトラブルが生じていた。

 運よく免れただけで、福島原発2号機と同じように、非常用の冷却装置がその機能を失い、メルトダウンを起こす危険性があったと指摘する専門家もいるほどだ。

 ところが、中越沖地震、そして東日本大震災があっても、政府や東京電力の安全軽視、再稼働優先の姿勢は変わっていない。原子力規制委と東電は、6、7号機における、耐震評価のための基準地震動を中越沖地震前の450ガルから1209ガルに引き上げたが、これは、活断層の可能性の高い東縁断層を活断層でないとして、想定地震を小さく見積もったものだ。地震学の権威である石橋克彦神戸大学名誉教授は、この判断を「耐震偽装」だと厳しく追及している。

 また、東京電力は、原発の建物や原子炉格納容器、使用済み核燃料を収納しているラックなどについて、地震の揺れの影響を計算する数式を、これまでと別の数式に変えようとしていることも発覚した。これまでの数式では、基準地震動よりも余裕のある耐震設計が必要だったが、新しい数式を使えばギリギリの設計ですむのだという。明らかに、甘い耐震設計ですむよう工作を行おうとしているのだ。

 他にも、新規制基準で義務化された火災対策として、原子炉の緊急停止などに必要な安全系のケーブルは、他のケーブルと分けて設置することが定められているのに、柏崎刈羽原発ではそれに違反して1〜7号機すべてで、2種類のケーブルを混ぜて敷設していたことが判明。さらに、他の原発に比べて、地下水のくみ上げ量が異常に多いのに、液状化や事故後の地下水流入対策が不十分であることも指摘されている。

 とにかく、どこをとってもインチキと不備だらけ。もし、このまま再稼働されたら、福島原発の二の舞になる可能性は極めて高いはずだ。

 そういう意味では、今回の米山隆一氏の当選は、新潟の危機、いや、日本壊滅を救った新潟県民の英断だったと言っていい。

 しかし、まだ油断はできない。本サイトでも何度も指摘しているが、政府と原子力ムラは、原発再稼働に反対する地方自治体の首長にはかたっぱしから圧力をかけ、時にはスキャンダルを仕掛けて潰してきた。

 たとえば、1980年代終わりから2000年代初めまで、5期にわたって福島県知事をつとめてきた佐藤栄佐久元知事はプルサーマル導入反対に転じたとたん、東京地検特捜部に収賄容疑であまりに不自然なかたちで逮捕され、司法記者の間でも"明らかな国策逮捕"という声が上がった。
 
 また、高浜原発では、2000年代前半、プルサーマル導入に反対する高浜町長に対し、なんと暗殺計画までもちあがっていたことが明らかになっている。冗談のような話だが、当時、高浜原発の警備を担当していた警備会社社長が「週刊現代」(講談社)で、関西電力の幹部である同発電所副所長から依頼を受けたと告発したのだ。そして、新潟でも前述したように泉田知事が出馬断念に追い込まれた。

 新たに新潟県知事に就任する米山隆一氏も、確実に官邸や原子力ムラからの圧力にさらされ、嫌がらせや揺さぶりを受けることになるだろう。


 すでに東京電力は、15 年4月に「東京電力新潟本社」を設立し、東京本社からメディア担当を集結させ、以降、新潟で放送される民放各社に複数のCMを復活させている。雑誌や広報誌、そして全国紙の新潟県版にも広告を出稿するなど原発マネーをバラまき、"メディア包囲網"を着々と築いている。

 再稼働を阻止するためにも、国民はこうした謀略の動きを徹底的にチェックし、批判していく必要がある。


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