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てらまち・ねっと



 石原産業のフェロシルト不法投棄問題はこのブログでもいろいろと採りあげてきた。
 市民運動的な進め方での、会社や行政とのやり取りののち、刑事事件化した。
 石原産業四日市工場は、不法投棄はやめたけれど、投棄した現地からの回収はなかなか完了しない、というよくあるパターン。

 その後、環境問題や社会問題に取り組む弁護士の皆さんが株主代表訴訟を進めてくださった。
 原告は、愛知、三重、岐阜の3県から各一人の3人の株主。私もその一人。
 もちろん、株主代表訴訟をすることが決まって、3人ともそれぞれ "口外せずに粛々と" 株を取得。
 6ケ月が経過して、株主代表訴訟が提訴できる時期が来ると、あとの舞台は大阪地裁。
 
 弁護団の皆さんの力で、大阪地裁で「石原産業の役員23人に対して、会社に489億円支払え」という株主代表訴訟としては過去2番目に高額な判決が言い渡された。
 
 続く大阪高裁での控訴審。役員個人が地裁判決の高い金額を払えるわけがないのは明らか。
 賠償額よりも、役員の法的責任や社会的責任を認めさせることなどに主眼がおかれ、最終的に先日20日に和解。
 会社も一層、コンプライアンスに努める、としている。

 高裁での和解で裁判は終結。判決としては大阪地裁の判決が残る。
 「過去2番目に高額」という株主代表訴訟判決を勝ち取り、その後の高裁での調整を進めてくださった弁護団の皆さんに感謝。
 今日のブログは、関連の報道、会社の表明、弁護団などの以前の表明などを整理しておく。

 ところで、今日は、私自身が本人訴訟でする住民訴訟の提訴の日。
 1時頃に岐阜地方裁判所に訴状を提出、2時から県弁護士会館のホールをお借りして記者会見。
 テレビ局の担当者から、裁判所に入るところや会見を映させて(夕方6時過ぎのニュースで採りあげる予定なので)と連絡があった。

 ともかく、午前中に訴状や書証のプリントアウトや製本をする、というギリギリの作業。
 今日の提訴の訴訟の訴状や資料は明日のブログで紹介する予定。

 なお、私は基本的に本人訴訟(弁護士に依頼しないで自身て進める訴訟)で住民訴訟や情報非公開処分取消訴訟、他の行政処分取消訴訟などを行ってきた。確か、今回の事件がちょうど50件目の行政訴訟になるはず。
 50件のうちの3件は、途中、弁護士の方にも加わっていただいて進めた。
 先の株主代表訴訟や20年ほど前のゴルフ場開発許可取消訴訟2件の計3件は、「原告」として全国の弁護士の皆さんに訴訟を進めていただいたもの。(本人訴訟の50件には、この3件は含めずカウント)

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(このブログの関連エントリー)
 ★2007年4月25日 ⇒ ◆株主代表訴訟。石原産業のフェロシルト。23人は489億円支払え
 ★2012年6月30日 ⇒ ◆旧経営陣らに485億円賠償命令/3人の原告の一人は私/石原産業フェロシルト問題/株主代表訴訟
 ▲このブログのカテゴリー フェロシルトの不法投棄や石原産業

●石原産業の不法投棄、株主訴訟が和解 大阪高裁
           日経 2014/5/20
大手化学メーカー、石原産業(大阪市)による土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件で、株主3人が旧経営陣に対し、回収費用など489億円を会社に賠償するよう求めた訴訟の控訴審は20日、大阪高裁(田中澄夫裁判長)で和解が成立した。元取締役9人がコンプライアンスの不備に遺憾の意を表明し、和解金5千万円余りを会社に支払う。

 2012年6月の大阪地裁判決は旧経営陣21人のうち3人の責任を認め、約485億円の支払いを命じた。株主側と賠償を命じられた旧経営陣側の双方が控訴していた。

●石原産業株主訴訟が和解=元役員ら5000万円-大阪高裁
          時事(2014/05/20-19:38)
 化学メーカー「石原産業」(大阪市)による土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件をめぐり、会社に損害を与えたとして、株主3人が元役員らに回収費用約489億円を会社に賠償するよう求めた株主代表訴訟は20日、元役員9人が計5000万円余の和解金を支払うことで、大阪高裁で和解が成立した。
 和解金額は、会社が廃棄物処理法違反罪で受けた罰金額の5000万円を上回った。元四日市工場長の3人が取締役としてのコンプライアンス上の不備を認めて相当額を、残る6人は所有する同社株の売却代金を支払うという。

●「石原産業」株主代表訴訟、和解 大阪高裁
        日テレ 、 中京テレビ 5/20
 大阪の「石原産業」が製造し、東海地方で土地の埋め戻し材として使われた「フェロシルト」から有害物質が検出された問題で、「石原産業」の株主代表訴訟が大阪高裁で和解した。

 株主側の弁護団によると、和解の内容は石原産業の当時の役員らがフェロシルトの管理についてコンプライアンス上の不備があったことを認めて、賠償金を支払うという。和解の金額について、株主側の弁護団は「当時の役員9人が合わせて数千万円を石原産業に支払う」としている。

●フェロシルト訴訟が和解 石原産業旧経営陣、責任認める
       朝日 2014年5月21日
 化学メーカー石原産業(大阪市)が、有害物質を含む産業廃棄物を「フェロシルト」の商品名で販売した不法投棄事件で、株主3人が旧経営陣らに撤去費用など約480億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟が20日、大阪高裁(田中澄夫裁判長)で和解した。関係者によると、元取締役とその遺族計13人が計5千万円余りの和解金を同社に支払う内容という。

 一審判決などによると、同社は2001年8月~05年4月に同社四日市工場から発生した六価クロムを含んだ汚泥約72万トンをフェロシルトとして販売。売却先の業者を介して愛知、岐阜、三重、京都4府県の山林などに不法投棄した。原告側代理人によると、13人が同社の法令順守体制に不備があったことに「遺憾の意」を表し、同社に和解金を支払うなどとする和解内容だという。

 原告側代理人の池田直樹弁護士は和解内容について「フェロシルト製造の意思決定に密接に関わった当時の役員全員について一定の経営責任を認めた内容だ」と評価。同社は「引き続き法令順守の充実を図り、会社の再建に取り組む」とコメントした。

 石原産業株式会社 トップページ>
★株主代表訴訟の和解の件
 2014 年5月 20 日 各 位  石原産業株式会社

当社株主から、当社元取締役らに対し、損害賠償を請求する株主代表訴訟が提訴され、
大阪高等裁判所において審理されておりましたが、今般5月 20 日に原告、被告及び利害関
係人である当社との間で和解が成立いたしました。
当社は、改めて全社を挙げ、より一層のコンプライアンスの徹底を図り、引き続き実効
あるコンプライアンス体制の維持・強化に取り組んでまいります。
以上


●【訴訟の紹介】 フェロシルト株主代表訴訟
        JELF 日本環境法律家連盟 大阪支部
環境基準を超える六価クロムやフッ素などの有害物質が含まれる土壌改良材(フェロシルト)を販売していた企業が、製品の売買の形を装って無許可業者に産業廃棄物の埋め立て処分を委託し、それが1府3県にわたる広範囲に不法投棄されたことについて、廃棄物処理法違反で有罪判決を受けました。

5年余にわたる裁判の末、2012年6月29日、大阪地裁は、石原産業株式会社の製品フェロシルトの製造・出荷に関わった元取締役ら3名に対して、それぞれ485億円、254億5050円、101億8020万円の損害を石原産業に対して支払うように命じました。
JELF・弁護団は、企業の環境規制に対する法令遵守(コンプライアンス)の重要性について、声明を出しています。

【訴訟経過】
2007年4月24日 訴訟提起
2012年6月29日 第1審判決

石原産業フェロシルト事件・株主代表訴訟大阪地裁判決声明
石原産業フェロシルト事件1審判決(その1)
石原産業フェロシルト事件1審判決(その2)
石原産業フェロシルト事件1審判決(その3)


●石原産業フェロシルト事件・株主代表訴訟大阪地裁判決について
●石原産業フェロシルト株主代表訴訟 勝訴について/ 日本環境法律家連盟(JELF)、フェロシルト事件株主弁護団

       石原産業フェロシルト株主代表訴訟 勝訴について

2012年6月29日、大阪地裁は、石原産業株式会社の製品フェロシルト
の製造・出荷に関わった元取締役ら3名に対して、それぞれ485億円、25
4億5050円、101億8020万円の損害を石原産業に対して支払うよう
に命じた。

フェロシルトは、石原産業の主力製品である酸化チタンの原料であるチタン
鉱石から出る廃酸汚泥(アイアンクレー)のリサイクル品として、1999年
1月から製造し、2001年8月から販売・出荷した「埋立材」である。石原
産業は、産廃処分コストの大幅軽減を目的として、アイアンクレーにわずかに
手を加えただけで「フェロシルト」の商標をつけ、「商品化」した。一言でいえ
ば、外見は商品、中身は廃棄物という「偽装リサイクル品」であった。後に会
社(罰金5000万円)と実行役の S取締役と社員1名が有罪判決を受けた。
本件は、刑事事件だけでは全容解明も責任の明確化も不十分だとするグリー
ン株主が、歴代取締役に対して、会社に生じた損害を賠償するよう求めて20
07年に提訴した株主代表訴訟である。

大阪地裁判決は、まずフェロシルトの開発、製造、出荷を一貫して担当し、
データ偽装なども行ったS取締役・副工場長に対しては、ほぼ全額の485億
円の損害賠償を認めた。次いで、S取締役の直属の上司にあたり、取締役の中で
フェロシルトを担当(分掌)していたO取締役・工場長、T取締役・工場長に
ついては、フェロシルトが社内の品質管理制度から逸脱していたことを知りえ
たし、また廃棄物処理法違反となりうることを調査しえた(いずれも過失責任)
として、それぞれ関与の度合い等に応じて、101億円余と254億円余の損
害賠償を命じたものである。

この判決の環境面からみた意義は、第1に、企業が環境規制に対する遵法確
認(コンプライアンス)を怠り、事業活動に伴って汚染を拡散してしまった場
合には、企業に生じた巨額の環境回復費用等について担当取締役もまた個人責
任を負いうることを示し、環境コンプライアンスの重要性について、事業活動
を担う取締役らに警鐘を鳴らした点にある。

第2に、ことに廃棄物のリサイクルにおいては、担当取締役としては、商品
としての安全確認義務と廃棄物処理法違反の有無という表裏両面からの調査検
討が不可欠であることを示し、コスト削減のための安易なリサイクルに警告を
発していることである。 他方で、判決が社内に設けられたフェロシルトに関連するプロジェクトチー
ム(開発時には、生産構造再構築計画実行本部、販売時には酸化チタン事業構
造改革推進会議)のメンバーである他の取締役について、フェロシルトの有害
性や廃棄物性について認識しえなかったとして、過失責任はないとした点は問
題である。

判決は、違法行為とされた業務の直接の担当者でなくとも、プロジェクトチ
ームのメンバーであれば、その経歴や属性と当時認識していた事情に応じて、
業務の適法性や商品の安全性等についての調査義務が発生しうることを認めな
がら、結論としてはそのような場合を限定している。特に、廃棄物処理法違反
の認識可能性については、逆有償であるという決定的事実を推進会議のメンバ
ーは知っていたのに、そのことだけでは法違反を認識しうる事情としては足り
ないとしている。これでは、結果的に石原産業の取締役における集団的な遵法
意識の欠如を正当化することになっているのではないか。

現在、東京電力福島第一原発による深刻な環境汚染が問題となっている。ひ
とたび環境汚染を生じれば、原状回復には莫大な費用を要するし、何よりも企
業の社会的責任が強く問われることになる。したがって、環境に関しては予防
こそが何よりも重要である。企業の経営陣は本判決も教訓とし、環境法令の遵
守はもちろんのこと、予防原則に基づいた事業活動を行うことを強く要請する
ものである。



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