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てらまち・ねっと



 大分県の教育汚職。
 本人のせいではないとはいえ不正採用者、急にいなくなっても困るし、いても収まりがつかないし・・・どうなるのだろうと思っていた。

 報道では、「得点かさ上げの現職教員は合格取り消し」、「不合格者救済も」とされた。
 不合格者救済は、任命権者の教育委員会の判断としても、合格取り消しはそんなに簡単にできるのだろうかと思っていた。
 これについては、7月17日の読売新聞が分かりやすくまとめていたので紹介する。
 
 汚職事件とは関係は無いはずなんだけど、最後に紹介する記事(サンケイ 2008.7.8)は、現状を語る
 「地方の教員採用は抑制が続いている。試験倍率は、九州や東北各県は軒並み10倍を超し、今年度もこの傾向は変わっていない。理由について大分県教委は、(1)少子化の進行(2)市町村合併などによる学校の統廃合-を挙げた。さらに地方では団塊世代の退職も少なく、『本当はもっと採用したいが行革推進法の規制もあり不可能』

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  7月15日ブログ ⇒ ◆大分教員採用やポスト就任の際の不正の問題

●大分県教委汚職、得点かさ上げの現職教員は合格取り消しへ  2008年7月10日04時24分 読売新聞
 大分県の教員採用を巡る汚職事件で、わいろの見返りに採用試験で得点をかさ上げされて合格した現職教員について、同県教委は不正が確認でき次第、合格を取り消す方針を固めた。

 ただ、採用試験の解答用紙は廃棄され、パソコンや資料も警察に押収されているため、贈賄側の子女以外の対象者を独自に突き止めることができないのが現状。合格圏内に入りながら不合格となった受験者も特定不能で、いつどのような救済措置を打ち出すのか、同県教委は難しい判断を迫られている。

 事件の舞台になったのは、収賄側の同県教委の義務教育課参事・江藤勝由被告(52)が統括していた2007年度と08年度の小学校教員採用試験。
 同県警の発表では、江藤被告は08年度の試験で、贈賄側の佐伯市立小校長の浅利幾美被告(52)の長男と長女が合格するよう便宜を図った疑いで逮捕・起訴され、07年度でも、贈賄側の県教委参事の矢野哲郎被告(52)と妻で同市立小教頭のかおる容疑者(50)の長女の合格に便宜を図った疑いが持たれている。

 両年度とも470人を超える受験者のうち合格者は41人だったが、江藤被告の関係者によると、同被告はそれぞれ合格ラインに達していなかった15人前後の得点をかさ上げして合格するよう操作しており、その分、合格圏内にいた受験生が不合格になっていた。
 同県教委は、地方公務員法15条の「職員の任用は成績や能力に基づいて行う」との規定に基づき、得点をかさ上げされて合格した教師は採用時点にさかのぼって、採用を取り消すことができると判断している。

 ただ、贈賄側の子女3人も含め、現在も教壇に立っているのは計82人。ただ得点のかさ上げの詳細については、現段階では特定はほぼ不可能。不当に不合格とされた受験生への救済策も含め、同県教委の小矢(こや)文則教育長は9日の県議会で、「法的解釈も含め検討しているが、事実関係の把握が難しく、現時点では困難」と述べ、相当の時間がかかるとみられる。
 1990年に贈収賄事件が起きた山口県では、不正に合格した受験者が特定できなかったため、合格無効や不合格者の救済などは行われなかった例もある。

●不正合格の教員採用取り消し、不合格者救済も…大分県教委  2008年7月16日14時00分 読売新聞
 大分県の教員採用試験を巡る汚職事件を受け、県教育委員会は16日、臨時会を開き、成績改ざんによって合格した教員の採用を取り消す一方、合格圏内にありながら不合格とされた人については、希望があれば採用することを決めた。
 校長と教頭の登用についても、不正が確認されれば懲戒・分限処分とする。また、県教委内に「教育行政改革プロジェクトチーム」を置き、改革担当の審議監ポストを新設。知事部局や教育現場との人事交流を積極的に進め、開かれた組織づくりを進めるなどの改革方針を打ち出した。

 臨時会では、県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)と県教委義務教育課参事・矢野哲郎被告(52)(贈賄罪で起訴)を懲戒免職処分とすることも決めた。
 県警の調べや江藤被告の関係者によると、江藤被告は2007年度の小学校教員採用試験で当時の教育審議監・二宮政人容疑者(61)(現・由布市教育長、収賄容疑で逮捕)と義務教育課長だった富松哲博・教育審議監(60)から、08年度試験では富松審議監から、それぞれ特定の受験者を合格させるよう指示を受けていた。

 08年度試験では、約20人の合格を指示され、合格圏内にいた4、5人を除いた約15人の点数をかさ上げして合格させる一方で、本来の合格者約10人の点数を下げていた。07年度試験でも約20人の成績を改ざんして合格させたとされる。
 県教委は今後、個々の受験者について不正の有無を確認するが、事件発覚後、小、中学校の教員採用試験を担当している義務教育課が内規に反し、各年度末に答案用紙などを廃棄していたことが判明。改ざん前の成績一覧が残っていたとされる江藤被告のパソコンは県警に押収されており、作業開始は返却後になる。

 小矢(こや)文則教育長は臨時会後、記者会見し「事実関係を押さえるには時間がかかるが、学校現場の混乱がないよう配慮したい」と述べた。
 文部科学省によると、過去の教員採用試験で、成績の改ざんによって教員の合格を取り消したケースは「聞いたことがない」(教職員課)としている。

●「解雇」根拠は何? 大分・不正採用教員  2008年7月17日 読売新聞
どこまで…見通し立たず
 教員採用試験を巡る汚職事件に絡み、16日、不正な手段で合格した教員全員の採用取り消しを決定した大分県教委。なぜ不正の全貌(ぜんぼう)が明らかにならない段階で、「過去に例を見ない」(文部科学省)という厳しい措置を打ち出したのか。その背景を探り、今後の課題を検証した。(社会部 村井正美、田中史生、大分支局 吉田均)

■「可能な限り」
 「どこまで確認が可能かはこれから調査する。可能なところまでさかのぼる」
 16日午前、記者会見に臨んだ大分県教委の小矢(こや)文則教育長はそう述べ、過去の教員採用試験についても調査したうえで、不正が判明すれば事実上の解雇となる採用取り消しをする方針を明らかにした。
 今回の事件を巡る捜査で不正採用が確認されているのは2007年度と08年度の小学校教員採用試験。

 収賄側の同県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)のパソコンには、両年度の受験生の得点一覧表とそのデータを改ざんした記録が残っており、不正合格者は両年度で40人近くに上る可能性がある。同県教委ではこのパソコンの記録を入手できれば、少なくとも両年度の不正合格者は特定できるとみている。

 ただ、同県の教員採用試験を巡っては、20年ほど前から県議が県教委幹部に採用の口利きをしていたと証言する元県議もいるなど、どこまでさかのぼって調査できるのか見通しは全く立っていない。
 同県教委が合格圏内にありながら不合格になった受験者は採用すると発表したことを巡っても、同県教委には、さっそく匿名の数人から「どのような基準で調査して採用されるのか」などという電話が寄せられたが、明確な回答はできなかったという。

 ■不信・混乱
 同県教委の決定の背景には、県民の間に教育界への不信感が広がり、学校現場にも混乱が起きているという現状がある。
 江藤被告が、わいろの見返りに採用に便宜を図ったとされる不正合格者3人のうち、2人が教師として通う同県佐伯市。事件後、2人はともに勤務先の小学校を「体調不良」を理由に欠勤していたが、1人は今月8日に出勤し、学校関係者によると、教え子に対し、事件の経緯を泣きながら説明していたという。

 同市内ではほかにも昇任人事を巡る不正が発覚し、結局、校長や教頭計5人が不在という異常事態に。市内の小中学校に3人の子供を通わせている男性(47)は「学校への不信感は高まるばかり。指導に問題のある教諭は不正採用なのではとさえ疑ってしまう。採用を取り消す県教委の判断は当然だが、事件発覚から1か月以上が過ぎての対応は遅すぎる」と憤る。
 公務員の採用取り消しは奈良県中和広域消防組合の04年の採用試験で、不正合格した19人のうち自主退職の1人を除く18人を取り消したケースなどがあるだけ。

 「判断材料が乏しいのに県教委は公正な対応ができるか」。同市立小学校の男性教諭(47)はそう語り、教師の間に不安が広がっている現実を打ち明けた。
 文科省は、同県教委の決定を認める方針で、採用が取り消しになった教師が異議を申し立てた場合などに備え、法的な検討を進めることにしている。

■大分県教委を舞台にした汚職事件の経緯
6月14日 今年度の小学校教員採用試験を巡り県教委義務教育課参事・江藤勝由被告を収賄容疑で、小学校校長・浅利幾美被告や県教委義務教育課参事・矢野哲郎被告ら3人を贈賄容疑で逮捕

7月4~5日 07年度の採用試験を巡り、元県教委教育審議監・二宮政人容疑者を収賄容疑で逮捕。江藤被告を収賄容疑で小学校教頭ら2人を贈賄容疑で再逮捕

7日 矢野被告が、参事昇進で富松哲博・教育審議監に商品券20万円を贈っていたことが関係者の証言で明らかに

8日 佐伯市の小学校校長と教頭2人が、今年度管理職試験で江藤被告に商品券110万円を渡したと県警に説明
同日 中学教員採用試験で、江藤被告が得点を改ざんしたと供述していることが明らかに

10日 有力な国会議員や県議に教員採用枠があったとの疑惑浮上
11日 浅利被告の懲戒免職を決定
16日 江藤被告と矢野被告が懲戒免職に
             (※太字は捜査の動きと県教委の対応)
法曹界に疑問の声も
「一律に合格取り消し」できるのか――
 公立校の教職員を含む地方公務員はいったん採用されれば、地方公務員法によって身分が保障され、解雇するには〈1〉綱紀違反や違法行為に対する懲戒免職〈2〉公務員としての適格性などを欠く場合の分限免職――の手続きを踏む必要がある。

 しかし今回の事件では、教員採用試験に合格した受験者本人の「不正の認識」が現時点でははっきりしないため、免職の手続きを取ることは困難。大分県教委は、採用試験の成績がそもそも基準に達していなかったとして、給与の返還は求めないものの、採用前にさかのぼって一律に合格を取り消すことにした。

 同県教委が根拠としているのが、地公法15条の「職員の任用は受験成績や能力に基づいて行う」との規定。地公法を所管する総務省も「受験成績の改ざんによる採用は、能力に基づいていないので違法な採用」との見解を示している。

 ただ、法曹界の中には、この判断を疑問視する声もある。
 あるベテラン民事裁判官は、地公法が「懲戒、分限の理由がなければ意に反して免職されない」との身分保障規定を明文化していることを挙げたうえで、「合格ラインに達しなかったからといって一律に取り消すのは難しいのではないか」と指摘。労働紛争に詳しい岩本充史弁護士も「不正な採用だから直ちに適格性を欠くとは言えず、懲戒免職も本人が不正を認識していたケースに限られるのではないか」と語った。

 県教委が採用の取り消しに踏み切った場合、その対象者は県に対し、教員としての地位の確認を求める裁判を起こすこともできる。日本労働弁護団の菊池紘弁護士は「県教委の組織的不正が原因なのだから、不正のつけを受験者だけに負わせるのはおかしい。取り消しが容認されるのは大幅に得点がかさ上げされるなど、極めて不公正なケースに限られるはず」と話した。(2008年7月17日 読売新聞)

●「06年も審議監から指示」 不正依頼者だけで合格定員  下野新聞 7月16日 06:10
 大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件で、県教育委員会義務教育課参事江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=が、「(県教委ナンバー2の)富松哲博教育審議監(60)から2006年の試験でも不正合格の指示を受けた」と関係者に話していることが16日、分かった。

 06年の小学校教員試験当時、富松審議監は義務教育課長。当時の審議監だった二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=からも不正合格の指示があり、2人から指示された分だけで約40人の定員が埋まるほどだったという。
 この試験に絡み同課参事矢野哲郎容疑者(52)は、長女合格の謝礼として二宮、江藤両容疑者に商品券を贈ったとして贈賄容疑で再逮捕されたが、県警は、この件について富松審議監の関与がなかったか調べている。

●教育審議監も合否事前連絡、県議の照会受け…大分採用汚職  2008年7月16日03時10分 読売新聞
 大分県の教員採用汚職事件を巡り、県教委の小矢(こや)文則教育長が2008年度の採用試験の合否を県議数人に事前に通知していた問題で、ナンバー2の小野二生(つぎお)・教育審議監も、合否を事前に県議に知らせていたことがわかった。

 小野審議監は15日、「疑いを招く行為で不適正だった」と述べた。通知に伴う金品のやりとりはなかったとしている。
 小野審議監によると、県議2人からそれぞれ4、5人分の照会があり、08年度試験の合格発表があった昨年10月9日、うち1人に発表の約10分前に携帯電話で合否を伝えた。別の県議は電話がつながらず、発表後に伝えたという。
 小野審議監は読売新聞の取材に対し、「(前任者からの)申し送りがあったわけではない。事前に通知する雰囲気があったとしか言いようがない」などと語った。



●合否連絡は「サービス」 大分県議が口利き認める  下野新聞 7月15日 16:56
 大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件に絡み、現職の中堅県議が15日までの共同通信の取材に対し、県教育委員会の教育長や教育審議監ら幹部に受験者の口利きをしていた事実を認め「議員としてのサービスの一環。発表前に合否を教えてもらうなどしていた」と語った。

 この県議は、毎年1-3人ほどの受験者を口利き。その際、「教育長や審議監に電話で『今回こういう人が受験します』と伝えていた」と具体的に明かし、「それだけ言えば後はあうんの呼吸で、発表の30分から1時間くらい前に合否の連絡をもらった。早く知りたいというのが人の心理」などと話した。

 受験者側から受け取るのは「茶菓子程度」で、現金や商品券の授受は否定。「相手(県教委側)にもモラルがあり試験は公正に実施されるとの前提で、不正にならない範囲でお願いしていた」と強調。
 一方で「合否ラインに複数の受験者が同じ点数で並んだ場合、『議員に言われた方を選ぼう』ということはあり得る。こうした口利きは多くの県議がやっているのでは」とも指摘した。

●教員採用汚職 『現審議監も合格指示』 逮捕の参事供述 口利き窓口役か  東京 2008年7月15日 朝刊
 大分県の教員採用汚職事件で、採用の実務担当だった県教育委員会の義務教育課参事江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=が、現職の富松哲博教育審議監(60)からも特定の受験者を合格させるよう指示があったと話していることが十四日、関係者の話で分かった。江藤容疑者が不正に加点し合格させた十数人の中には、二次試験の成績が極端に低い受験者も二人いたが、富松審議監が「どうしても入れてくれ」と強く要求。二人には千点満点のうち百点以上を加点したとされる。

 江藤容疑者は、富松審議監や、元審議監二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=からの指示について「口利きは審議監に一本化され、頼んだのが誰かまでは自分には伝えられなかった」と話しているという。県警は、県教委ナンバー2の審議監ポストが、以前から口利きの窓口になっていた可能性があるとみて調べている。
 関係者によると、二〇〇七年の試験で江藤容疑者は富松審議監から、約二十人の欄に口利きがあったことを示す丸印を付けた一次試験結果を渡され、合格を指示された。

 江藤容疑者は、うち十数人の一次試験か二次試験の成績を不正に加点するなどして合格させたとされ、「前任者も同じようにやって出世していたので、指示を断ることは考えられなかった」と話しているという。

 また江藤容疑者は、長男と長女の採用試験に絡んで計四百万円分のわいろを提供したとして贈賄罪で起訴された小学校校長浅利幾美被告(52)=懲戒免職が決定=や、「二人をよろしく」と頼んでいた元上司の私立大教授に対し、試験結果の発表前に「二人とも大丈夫でした」と伝えたことも判明した。

●【教員採用汚職】地方ほど高倍率 “狭き門”が影響?  サンケイ 2008.7.8 22:37
 大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件の一因は、地方の採用試験の高倍率にあるとの声が上っている。教員志願者に対し、採用枠はわずかで、10倍を超す競争率の県も少なくない。地方では、親が子供に同じ教員を目指してもらいたいとの“信仰”も根強い。

 地方の教員採用は抑制が続いている。大分県の場合、平成19年度の小学校教員採用試験の受験者は476人で採用者40人。実質倍率は11・9倍だ。秋田県は志願者443人に採用は16人、倍率27・7倍。青森県も志願者747人に採用者は63人、倍率11・9倍と九州や東北各県は軒並み10倍を超し、今年度もこの傾向は変わっていない。 

 理由について大分県教委は、(1)少子化の進行(2)市町村合併などによる学校の統廃合-を挙げた。さらに地方では団塊世代の退職も少なく、「本当はもっと採用したいが行革推進法の規制もあり不可能」(秋田県教委)との声も漏れる。一般に地方の教員志望者は地元志向が強いとされる。

 宮崎県教委も「統計は取っていないが今年の受験者も多くは県内出身者だ」という。中部地方の小学校教員は「大分の事件の根底には地元に残ってほしいという親の願望があったのではないか」と推測する。

 管理職試験も厳しさを増している。東京都のように管理職希望者が不足して主幹教諭(管理職の一つ)を配置できないのは例外だ。ある教育委員会の職員は「試験に合格してから10年たたないとポストが空かず教頭になれない」という。
 学校教育に詳しい尾木直樹法政大教授は「学校は建前だけでも真実や正義を大切にするところ。教委の幹部や校長が自ら罪を犯してどう子供に説明するのか。大分県教委に自浄作用がなければ文部科学省が乗り出すべきだ」としている。

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