津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

人質

2008-05-20 19:26:46 | 歴史
 過日「日本談義」の昭和26年11月号に、宇野廉太郎氏の「小笠原少齋の墓に就いて」という一文を見つけてコピーをしてきた。その年の8月19日の新聞に「小笠原尚(ママ)齋の墓を発見」という記事についての私見を述べておられる。氏は昭和3年にこれを発見しておられる。「今更なにを・・」という思いであられたろう。
 話は少齋のお墓の話からそれるが、この一文に「此一挙(ガラシャ夫人及び忠臣の死)によりて、大坂城中評議一変し、諸侯の妻拏を取ることを止めたといふ事である」と氏は記されている。長く信じられてきた事柄であり、揚げ足を取ろうというものではまったくない。

 私は「加藤清正『妻子』の研究」を読み、又著者・福田正秀氏の講演を拝聴し、清正正室清浄院の苦難の大坂脱出行を知った。豊前に着いた清浄院の熊本入りを手助けしたのは、黒田如水である。黒田長政夫人も同様の脱出を試みていた。
人質となった大名夫人もいる。同書によると池田輝政・藤堂高虎・有馬豊氏・加藤嘉明夫人等とある。

 時を経て歴史の真実が明らかにされ、絡まった糸がほぐされて一筋のものと成ってくる。未だ虚説を以っての所見に邂逅する。宇野廉太郎氏は一文の最期に「若し誤りを後世に伝える事があっては実に遺憾千万(中略)筆者の記述にも誤があらんも保し難い、何卒御気付の諸賢に、謹んで御教示を願・・・」と記される。歴史の勉強はこの一言に尽きる。

 
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図書館浴

2008-05-20 10:27:16 | 徒然
 雨も上がって爽やかな風が気持ちいい。かっては友人から、「森林浴」にと里山歩きなどに誘われたものだが、その友人も齢を重ねてお声も掛からなくなった。

 熊本県立図書館がある場所は、かっての細川内膳家別邸・江津花壇の跡地だが、水前寺成趣園から流れ出る整流に面していて、江津湖へといたる遊歩道は森林浴も楽しめる格好の場所だ。気持ちのいい空間に身を委ねるというのが、精神衛生上一番いい。広いバルコニーテラスなどがあって、木漏れ日の中で読書にしばしの時間を過ごすことが出来れば、どんなに素晴らしいだろうと思う。残念ながらそんな環境に背を向けて、県立図書館は建てられている。

「書店浴」という言葉の造主は出久根達郎氏だが、「図書館浴」や「美術館浴」を楽しまれる方も多いことだろう。その「図書館浴」に出かけようと考えていたら、今日は休館日だと気がついた。ふと、我が家から2~3キロばかりの処に、「BookOff」が開店したことを思い出した。よし「BookOff浴」をしようと思い立った。良い掘り出し物に出会えるだろうか、「浴」ならぬ「欲」のはった「俗」な話が落ちである。
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細川家家臣・金津氏

2008-05-20 08:12:10 | 歴史
 金津(かなつ)家祖・金津助次郎は、ガラシャ夫人(秀林院)の生害に自刃してお供をした。その最期の模様は綿孝輯録(巻13)に詳しい。
「少斎(小笠原)と共に駆廻り御死骸のあたりへ猶燃草を投込、所々に火を散らし、台所にはしこを掛け、屋根の上にて大肌抜きつゝ立、われらハ金津助十郎と云もの也、越中守奥方生害にて少斎、石見(河喜多)も殉死を遂け畢ぬ、士の腹切て焔の中に飛入りしとなり、言上の表にはのせす候へとも、諸人の耳目を驚し勇猛の振舞なり」
 時に助次郎は43歳であったとされるが、幼い男子二人が有った。秀林院の七回忌(慶長11年)にあたり夫々二百石を拝領した。嫡子・助次郎十一歳、二男又十郎九歳である。

 福岡県史・近世編、小倉細川藩(二)の、「日帳」寛永六年七月十七日(秀林院御法事の日)の項に次のような記録がある。
「金津又十郎、粟野伝介を以被申候ハ、今朝之御御法事ニ参候ハて(てハ?)不叶儀と存、三日かけニ参候へ共、煩然々無御座ニ付而、今朝御寺へも不罷出候、明日ハ早々可罷帰と存候、少よく御座候ハヽ、別府之湯ニ入申度存候由候、可然候由申候事」

 これとは別に、何時の事であるのかが不明の次の資料がある。
「金津助太郎秀林院様焼香被成御免御詫言之事」とあり、「三齋より御しかり候間我々所へ三齋より状も不参使も不参候間中つをよく仕候へと可被仰候」と記している。(史料・細川家文書(ニ)15「覚」該当項抜粋)
 助太郎という名は、金津家侍帳には存在しない。上記又十郎の件と同様の事柄とすれば辻褄が合うのだが・・? 真相は闇の中である。

 助十郎---+--助次郎---+--十次郎---十次郎---十次郎---略(十次郎家)
        |        |  
        |        +--又助----左次兵衛---又助---略(又之允家)
        |
        +--又十郎----助十郎----又十郎----助之進---略(十郎家)

 父の従兄妹が金津某に嫁いでいるが、どの金津家やら分からない。
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