一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

ピアノ調律

2019-12-07 10:38:37 | 雑記


        年末になるとやってくるピアノ調律のおじさん。
        (わが家ではサンタさんと呼んでいる)

        一年の経過があんまり早いので、
        挨拶もそこそこに笑ってしまう。

        「一年なって、あっといく間!」
        「ほんとに」

        笑うしかない、歳月の早さ。

        おじさんはすぐさまピアノのフタをはずし、
        まるでピアノの内臓をチェックするごとく、
        一個一個調律していく。

        聞けば、
        今年のわが家のピアノは大きく音が狂っている
        という。
     
        ほとんで弾くともいえないピアノだが、
        弾く、弾かないにかかわらず、
        年によって狂いが大きい年があるらしいのだ。

        「楽器って、繊細なんですね~」
        「そうなんですよ」

        繊細でない私は、多少、わが身を恥じていう。

        それからおじさんは、
        これまで手がけてきたピアノのあれこれを語る。

        コンサートまえの調律は、
        殺気だつほどの緊張だったし、
        個人でも、
        T国製のピアノを安易に買ってしまって、
        とても調律できる状態ではなく、
        正直にお断りしたという。
        (その場合はお金は取らない)

        私は、
        ああ、私の全く知らない調律の世界にも、
        あれこれあるのだな、と思う。

        かくして、一時間ほどの調律は済み、
        サンタのおじさんは
        「また来年」
        といって、帰っていく。