一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

調律師

2018-12-09 07:46:57 | 雑記



       毎年、師走に入る草々、
       ピアノの調律師から電話がかかってくる。
       (そのため、わが家では「ちょっと早いサンタさん」
        と呼んでいる)

       電話で、私も向こう様も、
       あはは、と笑う。

       もう一年たったのかと。

       早い。
       ほんとうに一年が過ぎるのは早い。

       さあ、ピアノの上を片付けなきゃ。
       写真立て、メガネケース、DVDおよびCDケース、
       楽譜、夜光スタンド、その他もろもろ。

       ピアノの上は一年のうちに物置きと化してしまう。
       ピアノカバーの埃もはらって、
       ちょっとした大掃除だ。

       毎年のことだが、
       調律師のおじさん(といっても私より若い)は
       ピアノおよび調律に対する愛を熱く語る。

       ピアノはまるで生き物のように、
       一つ一つが違う。
       (素人にはみな同じに見えるのだが)
       
       だから初めてのピアノは非常に緊張する
       らしい。

       そして、
       調律することによって、
       少しずつ良くなるのだという。

       おじさんは今年70歳。

       「今がいちばん(調律の仕方が)上手い」
       (30代からずっとこの仕事をやってきて)
       「何かつかんだような気がする」
       とも云った。

       こんな話を家に帰って奥さんにはなすと、
       「何回もつかんだと云っているわよ」
       と笑われるそうだ。

       ああ、どの仕事も奥がふかい。