新聞に載っていた松村由利子さん(歌人)の
「うたのスケッチ帳」を読んで、
ハッとすることがあった。
本格的な梅雨に入った。
季節の贈りものだから仕方がないが2~3日
雨が続くと気が滅入りそうになる。
洗濯物は乾かないし、つい外出もおっくうに。
だいたい日課としている散歩もままならない。
なんと罰あたりなやつ!
農耕民族の我々日本人は梅雨があるからこそ、
水田を耕し、稲作によっておいしいお米が食べ
られるというのに、である。
「もうあまり会わなくなったきみの傘も
濡(ぬ)らしてますか今日の夕立」
小島なお
これは恋人というより、淡い恋だったのだろう。
「好きです」と告げることもなく疎遠になった
相手。
それでも「きみの傘」に入れてもらったことが
何度かあったのかもしれない淡い恋。
「きみ」ではなく、遠回しに「きみの傘」と表現
するところが切ない。
「ビニールの傘を通して空を見ぬ
われはまひるをさまよえる魚」
水上芙季
雨の日は足元があぶないので、
私はつい下ばかり見てもくもくと歩いてしまう。
なのに、この作者は、
透明な傘を通して空を見上げているのだろうか。
ビニールの傘を雨滴がパタパタと叩く。
作者は自分を水の中の魚にたとえているのだ。
なるほど、魚にとっては雨はこんな風に見える
のかもしれないと。
味気ないビニール傘だが、こんな効用もあるのだ。
そうだ、明日からもっと雨を楽しむことにしよう。
※ コンビニの傘売り場
わが家も家人が買ってきたビニール傘が計8本。
(先日、4本ほど処分した)
かくいう私も外出先で降られて買ったことが
2回ある。
(歌は「うたのスケッチ帳」からお借りしました)