一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

秋は夕暮れ……

2016-11-19 07:08:47 | 雑記
     


        先日のスーパームーン、
        当日関東は雨模様で見られなかったけれど、
        前日と翌日のお月さまは素晴らしかった。
        折も折、ちょうど出かけて帰る途中でみて気づいたので、
        余計にその美しさが身にしみた。

        68年ぶりに月が地球に最も近づくというスーパームーン、
        そう聞くせいか、よけいに神々しさが増して、つい手を合わ
        せたくなる。

        知人には煌々と光り輝く月が気持ち悪い。お星さまの方が
        いいという人もいるけれど、私は小さい頃からお月さまが
        好き。
        何となく子ども心にも寂しい時、ふと見上げて眼にうつった
        月に願いごとを託したり、感情をゆだねたりしたものだ。

        次回のスーパームーンは2034年というから、もう私は
        この世の人ではなくなっているだろう。
        そんなことも思ったりした。


        ところで千年前はどうだったのだろう。
        清少納言は『枕草子』のなかでこういっている。

        「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、ほたるの多く
         飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち
         光リて行くもをかし。雨など降るもをかし」

        「をかし」は風情があるということ。
        解釈するまでもなく、
        電気のない真っ暗な闇を照らす月明かりを「夏」の代表的な
        ものとしている。

        そして秋はーー
        「秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、
         からすの寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、
         飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、
         いと小さく見ゆるは、いとをかし」

        もっともこれは、
        「日入りはてて、風の音、虫のねなど、はたいふべきに
         あらず」
        と云っているから、立秋の頃のこと。

        (現代語訳)
        「秋は夕暮れがいい。夕日がさして、山の端に近くなって
         いるところに、からすがねぐらに帰ろうとして、3羽
         4羽、2羽3羽と急いで飛んでいく様子さへも、しみじみ
         とした趣がある。ましてや、雁などが列をつくって連なって
         いるのがとても小さく見えるのは、たいへん趣き深い。
         日がすっかり沈んでしまってから聞こえてくる、風の音や
         虫の声などもまた、あらためて云うまでもない」


        千年前の立秋と現代のそれとはかなり違う!
        温暖化の影響もあるのかどうか、夏の盛りの立秋は、
        現代人にはそぐわない。

        ついでに云うと、
        清少納言はこのくだりで、
        「春はあけぼの」
        「冬はつとめて」(キーンと冷えた冬の早朝がいい)
        と云っている。

        このあたりは違和感はないから、
        夏だけ突出して猛暑がこたえている証拠でもある。


        ※ 知人が送ってくれたお月さまの写真
         (私が撮るとなぜか、月が豆つぶになる)