一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

その一瞬

2016-11-06 07:27:56 | 読書
      
      言葉に出すまでもなく、
      〈秋の日はつるべ落とし〉です。

      昼間の暖かさにつられて、つい薄着をして出かけ、
      思ったより帰りが遅くなってしまい、日がすとん
      と落ちる。
      気がついたときには肩のあたりがスースーして、
      「あ、いま、風邪ひいたな」
      と分かる。

      そういえば、向田邦子さんのエッセイにもそんな
      のがあった。
      お風呂から出て、ぐずぐずしてTVなんか見ている
      いるうちに、背筋のあたりがぞくぞくしてくしゃみ
      が出て、「あ、やられた」と一瞬にして思う。

      エッセイのなかで向田さんは、これと同じことが
      老いにもあると云っています。

      仕事に疲れてふうっと息を抜き、気がつくと背中を
      丸めて絨毯にペタンと坐ってあごを前に出して……
      まるで老婆の姿。
      「あ、いま老(ふ)けた」と思う瞬間だという。

      あるある、私にも思いあたることが。

      夕方、思い立って買物に出かけ、どうせ気の張る人
      には合わないのだからと、家にいるままのラフな
      恰好で……。
      思わず見たショーウィンドーの我が老いた姿に
      ぞっとすることが。

      いま、この瞬間に年をとったな、と思って
      あわてて目をそらしても、もう遅い。

      かつては、外見より中身!なんて、イキがっていた
      ものだが。
 
      齢をかさねたら、せめて小綺麗(こぎれい)に。
      とは思いつつ、根が無精なので、なかなかこれが
      難しいのですよ~。