一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

道を聞かれる

2014-05-04 17:28:21 | 雑記


     超のつくほどの方向音痴である私は
     東京に出ると、とたんに方角が分か
     らなくなる。

     めったに行かないが、たまに画廊を
     覗いたり、友人と待ち合わせるため
     銀座あたりに(年に1回くらい)
     出ることがある。
     そんなときに地下鉄の改札口を出た
     時にゃ、目も当てられない。

     思えば、私は18歳で東京に出て
     きてから、ずっと道に迷っている
     気がする。
     つまり、この齢になっても田舎者の
     気風が抜けないのだ。

     まあ、そんなことはどうでもいい。

     いくら地図をながめても、道路標識
     をみても(見れば見るほど)分から
     なくなる。若者なら何のことない、
     スマートフォンでさっと調べてしまう
     のだろうが。
     (残念ながらスマホは持っていない)

     なので、いつからか駅員なり、売店の
     スタッフなり、通行人なりに道を聞く
     ことにしている。
     (田舎者丸出し!)

     ありがたいことに、みなさん、とても
     親切に教えてくださる。

     
     そんな私が、逆に道を聞かれる羽目に
     なった。
     場所はわが家の周辺で、
     買物の帰りに、散歩の途中など。

     断わっておくが、
     わが家のあたりは観光地ではない。
     
     だが、時折、観光客が迷いこんでくる
     ことがある。
     たいがい、家から数分のところにある
     夫婦(めおと)池か、現在つつじが美
     しい仏行寺あたりがお目当てらしい。

     何の目印もない住宅地なので、
     みなさん地図を上にしたり横にしたり
     して途方に暮れておられる。

     今日は熟年のご夫婦、昨日は一人旅の
     女性であった。

     「私も同じ方向ですので、途中まで
      ご一緒しましょう」
     私は、銀座の恩を、鎌倉で返す、
     つもりで嬉々としてご案内する。

     
     道々、お天気のことや、盛んに聞こえる
     ウグイス、ホトトギスのことなど話して
     あっという間に、お別れの時間に。
     「助かりましたあ」

     これも一期一会。
     ああ、かくして今日も終わってしまった。

     ※ 夫婦池に立っている案内版