一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

書けなかったこと

2013-11-02 18:49:34 | 雑記


     11月に入った。
     年賀状、おせち予約、紅白司会、今日は流
     行語大賞云々……と急くことばかりである。

     このブログでは重いテーマでどうしても
     書けなかったことを今日は書かなければ
     ならない。

     10月30日毎日新聞朝刊の一面トップ
     は<福島「全員帰還」断念>であった。

     そんなの知っている!といったら不遜か。
     帰れる人も帰れない人も身近にいるから
     だ。

     たとえ自分の家に帰れたとしても、汚染
     されているから米も作れず、青々と生育
     した畑の野菜も食べられない。

     
     仕事を失い、何を楽しみに何を生きがい
     に生きていったらいいのか。
     生きる方途を見つけられないでいる人が
     ほとんどで、見るにつけ聞くにつけ
     つらかった。

     私はずっと考えてきた。
     人は何によって生きるのだろう。
     パンのみにて生きるにあらずというけれ
     ど、それに続く言葉が見出せないのである。

     そんなときだった。
     9月のはじめに「梨のたより」が届いた。

     福島第一原発のある(福島県)双葉郡大熊
     町で代々果樹園をひらいていた親戚は、
     震災当日から二つに別れて避難していた。
     若夫婦と三人の子供は南会津只見町に、
     老夫婦は会津若松の仮設住宅に。

     息子が千葉に離農した梨農園を見つけ、
     昨年から一人でいって手入れをしていた。
     家族で行きたかったが、小中学生の子供
     たちが学校に馴染んで友と別れるのが
     つらく、終業式を終えて3月に晴れて
     家族が合流。

     そして新天地で育てた初の梨が届いた
     というわけである。
     みずみずしくてとてもおいしい梨だ。

     聞くと今年はお世話になった方々にお礼
     と近況報告を兼ねて送るだけで、販売は
     しない。

     そして只見町の子供たちにも食べさせた
     いと思い、地元の学校給食センターに
     児童生徒401人+先生の分を送った
     のだという。
     子供たちからはお礼の手紙やメールが
     きて、かえって励まされた。

     どんな逆境にあっても未来にぽっと
     光が差し込めば人は生きられる。
     私は立派な梨を手に実感した。
     老夫婦も住環境が整うのを待って
     千葉に移住する。