一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

3・11を前に

2012-03-08 22:20:59 | 雑記


     ブログ更新をしなければと思いながら3・11を
     前にちょっとした失語状態に陥って、適切なこと
     ばが出ない状態が続いている。
     何をいっても空々しく、虚しい感じなのである。
        
     今日は、比嘉加津夫氏の『新版 谷川雁のめがね』
     の書評(抜粋)をご紹介することでご勘弁を。
     比嘉氏は詩人という立場から谷川雁に精通している
     人で、私のような付け焼き刃ではなく、雁を見る目
     は鋭い。
     なんていったって筋金入りの詩人だ。
     (このフレーズ、前にも使ったけど)
     この書評には、一般に詩人からみた谷川雁が綴られて
     あって、私自身が勉強になり、新しい発見もあった。
     以下は比嘉氏の文章。
     
     「時代の風雲児」
     ………… 
     谷川雁は時代の風雲児であった。あの時代があったから
     彼の思想は生きたし、彼に特別な存在感を与えた。また
     所詮は「人が思想なのだ」ということも、いいにつけ、
     わるいにつけ、ぼくらに示してくれた。
     …………
     (この本を)読んでいくと、谷川雁はやはり偉大な組織
     者であったという一面をみることになる。一方、権力志
     向は、結局は別の権力からはじかれてしまう運命にある
     ということ、あるいは人はつまるところ自らいだく「我
     がまま」さに見合った場所に移行させられていくという
     一面も見ることになる。

     谷川雁が(宮沢賢治の詩を)「等身大だからいやだ」と
     言ったのは、ぼくには非常によく伝わってくる。
     そうなのだ。雁は最初から最後まで、等身大の生活を
     嫌った。
     ……「やってみなければわかるまいって」と自分にホラ
     をふいて年齢(とし)を重ねていったのではないか。

     50年代、荒廃した日本の大地で革命…………それがむつ
     かしくなるとステージはどんどん小さくなり、駄目だと
     思うと、さらに小さなステージに……。
     しかし、それぞれの場でインパクトのあることをして  
     いる。雁の雁たる所以だ。
     彼自体がすでに偉大な「運動体」であった。

     内田聖子は「谷川雁はきわめて人間的であった」と
     書いた。
     人間的というのはぼくにとっては「文学的」と同義で
     ある。そのような眼で雁を追っている貴重な一冊なの
     である。
                     2012.2.18     
     
     (この文は抄出なので不備があります。
      「比嘉加津夫 Myaku 脈」を検索して
       全文をお読みいただければ幸いです)