一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

災禍の身代わりを人形に託して

2012-03-03 21:56:03 | 行事



    今日は桃の節句、ひな祭り。
    折しも(というか時期を合わせたのだろうが)
    鎌倉国宝館では、江戸時代の「ひな人形展」が
    ひらかれている。

    そもそもひな人形の人形(ひとがた)とは、
    身代わりという意味で、
    節句とは季節の節目の身のけがれを祓う大切な
    日なのだとか。
    最初は、災厄を引き受けてくれた人形を流す
    「流し雛」だった。

    それが現代のような飾り人形に発展するのだが、
    原点にもどれば、今年ほどひな人形を飾るのに
    ふさわしい年はないのではないか。

    そういえば『源氏物語』の須磨の巻に、光源氏が
    海辺に出てお祓いをし、災いや病気の身代わりと
    して紙人形を流す場面が出てくる。

    平安初期には「紙の着せ替え人形」で遊ぶ「ひい
    な遊び」が主であった。
    この遊びが一対の男女の人形となり、
    やがて宮中から武家社会、裕福な家庭にまで広が
    り、豪華な人形を飾るようになった。

    嫁入り道具にお雛様を入れたのも、お産や病気の
    災いから逃れるためであったろう。
    現代のようなひな壇を飾るようになったのは平安
    中期から。

    こんな時期に華やかな雛人形を飾るのもどうかと
    躊躇っていたが、それはお門違いだったようだ。