一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

兆し

2009-01-18 20:23:44 | 季節
     

     今の季節、兆しといえば春の兆し、
     ところがそんな気配など微塵も感じられない
     寒さである。
     ちぢこまって歩いていたら、よその庭の植え
     込みに紅梅が顔をのぞかせている。
     可憐にも凛と咲く花をみて、思わず足を止め
     見入ってしまった。

     万葉集では萩の次に多くよまれている梅だが、
     当時は白梅で、紅梅がもてはやされるように
     なったのは平安時代になってからだという。

     古くはやはり、梅も恋の歌だったらしい。
       
       春されば まづ咲くやどの梅の花
           独り見つつや 春は暮らさむ
                   山上憶良

       梅の花 夢に語らく みやびたる
           花と吾思ふ 酒に浮べこそ
                   大伴旅人(たびと)

     近代に入ってもよまれています。

       春もやや けしきととのう 月と梅
                   松尾芭蕉
 
       しら梅に明(あく)る夜ばかりとなりにけり
                   与謝蕪村

       道ばたの 風吹きすさぶ 野梅かな
                   高浜虚子

     しかしですねえ、
     実感のあるのはやはりコレ!

       梅一輪 一輪ほどのあたたかさ
            服部嵐雪(はっとりらんせつ)

     (写真は前回も今回も友人が送ってくれたものです)