一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

「ビルマの竪琴」 その2

2020-10-18 10:39:04 | 雑記

        やがて 水島を探しまわって 
        森の中を歩く隊員の前に、
        一人の青年僧が あらわれる。

        彼は インコを肩にのせ 
        立派な ビルマの僧侶になっていた。

        水島に ちがいない。
        そう確信した隊員たちは 口々に叫ぶ。

        「ミズシマ、 一緒に日本に帰ろう」

        だが、青年僧はかたく口を閉じたまま、
        森の奥に消えていった。

        隊員たちの唄う「埴生の宿」
        こらえきれなくなったのか、
        青年僧も 竪琴をかき鳴らす。

        私がこの映画をみたのは 学生の時。
        このシーンで 嗚咽をこらえきれませんでした。

        これが実話だと聞き、
        さらに衝撃は大きくなったのです。

        ※ 作者の竹山道雄さんは ドイツ文学者
         水島のモデルと同じ部隊にいた 元・教え子
         から この話を聞いたそうです。


「二十四の瞳」その2

2020-10-11 17:23:58 | 雑記


        学校に復職した先生は、
        かつての教え子の子どもたちがいて、
        その名前を呼ぶたびに涙が止まらなくなる。
  
        それからは 
        「泣きむし先生」と呼ばれるようになった。

        後年、同窓会がひらかれて、
        戦争で失明した 磯吉(田村高廣)も出席。

        磯吉は 一年生のときの写真をいだき、
        指差しながら 全員の位置を 間違いなく
        示すのであった。

        戦争を描かずして、
        非戦を訴える 不朽の名作といえるでしょう。

        映画の舞台となった 分教場は残っていて、
        「教育の原点」とされ、
        全国の教育関係者が訪れるそうです。

        

二十四の瞳

2020-10-11 17:11:05 | 雑記
    

        加齢のせいか、昔のことを思いだします。

        「二十四の瞳」という映画。
        舞台は瀬戸内海べりの寒村・小豆島。

        女学校出たての女教師(高峰秀子)は
        洋服姿で自転車を乗りまわすので、
        「ハイカラな おなご先生」と
        村人から 揶揄されます。

        唯一の味方は 子どもたちで、
        村の古い慣習に苦しめられながらも、
        良き教師になろうと頑張る 大石先生。

        ある日、子どもたちの いたずらによる
        落とし穴に落ち、足を負傷して、町の病院に入院。

        先生に会いたい一心で 子どもたちは
        遠い道のりを 歩いて見舞いに行こうとする。

        田舎道を 町まで 泣きながら 歩くシーン。
        (私も 幼いながら このシーンには号泣しました)

        やがて戦争がはじまり、 
        かつての生徒の半数は出征します。
        女の子たちも 生活にあえぐ日々。

        先生の夫も 戦死しました。

        (原作は 壷井栄著「二十四の瞳」)

        

金木犀

2020-10-09 11:10:15 | 雑記

       路地を歩いていると、
       どこからともなく 漂ってくる あの匂い。

       そう 金木犀だ。

       もう そんな季節になったのか、
       懐かしい人が訪ねてきたような、
       一瞬、ドキドキする 匂い。

       そういえば 
       織田作之助の短編に こんなのがあった。
       以下 「秋の暈(かさ)」から 抜粋。

       「誰がそうしたのか、
        秋の下に 心をつけて 愁と読ませる。
        かつて 極めて孤独な時季が私にもあった。
        ある夜、暗い道を下駄をカラコロ鳴らして
        歩いていると、
        いきなり暗がりに 木犀の匂いが閃いた。
        私は なんということもなしに 胸を温めた。
        雨あがりの 道だった」

       そして 主人公の「私」は 翌日 金木犀を
       一枝 手折ってきて アパートの部屋に
       飾るのである。

       織田作之助、通称・オダサクは、
       今回調べたら 33歳で他界という若死にだった。

       でも 織田作之助賞という 権威のある文学賞が
       現在も存在している。
        
      

加賀千代女

2020-09-27 09:54:35 | 雑記

      「朝顔や つるべ取られて もらい水」

      解釈の必要もない、
      加賀千代女の歌である。

      もはや 「つるべ」なんて 死語ではあるが、
      どことなく 情景が見えて、
      ほっこり(?)する歌である。

      千代女は 江戸中期の俳人。
      武家政治、男社会のなか、
      こんな形で足跡を残していることに、
      現代の我々はハッとする。

      ちなみに、千代女は こんな歌も詠んでいる。

      「何着ても うつくしくなる 月見かな」
      「夕顔や 女子(おなご)の肌の 見ゆる時」

      ※ 千代女は加賀の出身だが、江戸に出て、
        歌碑は 麻布狸穴の薬王寺にある。
        (晩年、剃髪したので 歌碑には「千代尼」
         とある)


      
      

つるべ落とし

2020-09-27 08:47:35 | 雑記

        猛暑はお彼岸を境に去って、
        気がついたら すっかり日が短くなっていた。

        つまり
        「秋の日は つるべ落とし」です。

        なぜ、つるべを落とすように
        ストンと日が暮れてしまうのか。
 
        日没後、しばらく空が暗くならず、
        ぼんやりと明るさが続くのを「薄明」という。

        これは 上空の大気が太陽光を散乱させる
        ことで生じる自然現象なのだが、
        秋になると この現象が短くなるので、
        急に真っ暗になった感じがするのだとか。

        夏の喧騒は どこへやら、
        ちょっと拍子抜けして 人恋しくなる季節でもある。
 
        
      

「ぶあいそうな手紙」

2020-09-13 17:27:48 | 雑記

       久しぶりに映画をみた。
       というより、所要で横浜に出た折、
       要件が早くすんだので 映画館に入ったのである。

       コロナ禍にあって、貸し切り状態、
       もったいない。

       「老い」をテーマとしたブラジル映画(女性監督)。

       ブラジル南部に住むエルネスは 78歳。
       隣国のウルグァイから移住してきて 46年になる。

       妻に先立たれ、頑固で融通の利かない彼は、
       離れて住む息子とも疎遠。
       視力もほとんど失ったので、大好きな読書も
       ままならない。

       そんな彼のもとに、かつて思いを寄せていた
       女性から手紙が届く。
       そして ひょんなことから知り合った 23歳の
       女性・ビアに手紙の代読と代筆を頼むようになる。

       彼が「拝啓」と書こうとすると、
       「そんな他人行儀はよくない」とダメ出し。

       映画はユーモアに満ち、決して暗くはない。

       世代も性別も異なる二人の交流。
       もしかしたら 社会の片隅で ひっそり死んで
       いったかもしれない 一人の老人が、
       生き生きと輝き、
       ビアもまた 抱えていた悩みが、
       老人によって癒されていく。

       いろいろ考えさせられたが、
       現代の78歳は こんなに老いぼれていないぞ、
       と思ったことはたしか。
       

猛暑日

2020-08-29 15:09:40 | 雑記
       もう9月になるというのに
       衰えない夏。

       マスクをして出かけると、
       頭がボワァ~ンとするほど暑い。

       高齢者ばかりかと思ったら、
       宅配業者、郵便配達・新聞配達の人、
       建築現場・道路工事の人等々、
       いやあ、頭が下がる。

       コロナも怖いけど、
       緊急の課題は熱中症対策!

       ニュースによると、
       熱中症によって亡くなった方は、
       案外、室内でのことが多く、
       クーラーを使ってなかったという。
   
       ならば、と家にいるかぎり、
       昼夜 クーラーをつけ、
       ほぼ 100㌫の稼働率。

       これじゃあ、
       東京でのマラソンは無理だわね。

       と思っても、
       来夏、オリンピック、パラリンピック
       が出来るかどうか。

       ※ 夕方 散策する森のなかの
         リョウメンシダ