蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

キャプテンサンダーボルト

2018年03月31日 | 本の感想
キャプテンサンダーボルト(阿部 和重、伊坂幸太郎  文藝春秋)

相葉は友人をAV業界から救い出そうとして法外な金額を要求され困っていた。
相葉と高校の野球部で同級生だった井ノ原は、長男の皮膚病治療のために借金を重ね、こちらもカネが必要だった。
ふたりは、ひょんなことから蔵王の山奥にある泉の水がとても高く売れそうだということを知るが、この泉の水には重大な秘密があり、陰謀をめぐらす国際的テロ組織もこの水の採取を狙っていた・・・という話。

リアリティがない設定やなんでもない一般人がスーパーマン的に活躍する強引な展開は、いつもの伊坂さんの作品の通りでしたが、本作のストーリーの柱である「村上病」をめぐる、妙に理に落ちた結末とかは阿部さんカラーなのだろうか?(伊坂さんの作品だとわざわざ辻褄合わせや謎解きをせずに、あえてあいまいなまま終わらせることも多いような気がするので。もっとも私は阿部さんの作品を読んだことがないので想像にすぎない)

相葉と井ノ原は、二人ともカネに困って家族にも迷惑をかけているような境遇にある。
輝いていた野球部時代の自分たちが、将来こうなることを知ったとしたらどう思うだろう?
と、苦い思いを二人とも抱いているのだが、本作の終盤では奇跡的(というか、ありえね~的な大活躍の末)に事件を収拾させて、これまでの自分たちの人生が無駄なものではなかったと思い直す。このシーンが特によかった。

あと、二人の道中に同行する犬の名前(ポンセ)もよかった。昔のプロ野球の外国人選手の名前(ただし巨人所属の選手は除く)を犬の名前にする飼い主ってセンスいいよね。

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