蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

赤朽葉家の伝説

2010年12月23日 | 本の感想
赤朽葉家の伝説(桜庭一樹 東京創元)

山陰地方の製鉄企業を経営する赤朽葉家の大奥様に見込まれて、万葉は同家の嫁になる。
万葉はサンガとも呼ばれる不可触民の子供だが、なぜか里に捨てられて一般家庭で育てられる。
彼女は字すら読めなかったが未来を予見できる千里眼で、製鉄会社の危機を回避させてオイルショック以降の不況を乗り切らせる。
彼女の夫と姑、泪・毛毬・鞄、孤独というヘンテコな名前の子供たちの生涯を描く。


長女の毛毬(レディースの伝説のリーダーで引退後はその経験を描いたマンガで超人気作家になる・・・うーん、こう書いてると相当に荒唐無稽な設定なんだけど、読んでいるうちは文章や筋立てに勢いがあって不自然さを感じなかった)のエピソードが相当長いが、魅力的だったのは、前半の万葉と姑タツの絡みのあたりと、万葉と製鉄会社の高炉職人・豊寿の永遠の恋を描いたあたりだった。

出版社から想像されるように、終盤で無理矢理ミステリっぽい設定が登場するが、やや唐突で謎解きもイマイチだったかな・・・という感じ。横道にそれるようなことをせずに勢いにまかせて最後まで「伝説」を語ってもらったほうが、より楽しめたと思う。
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シャッターアイランド

2010年12月12日 | 映画の感想
シャッターアイランド

精神病に冒された犯罪者を収容する施設が離島に設けられており、そこで起こった受刑者の行方不明事件を捜索するために、二人の保安官が派遣されます。
彼らに対して施設の警護者や医者はどこか敵対的。
保安官の一人(ディカプリオ)は本来の捜索とは別の目的を持っていました。
島を暴風雨が襲う中、保安官は島の施設の真相を語る医師と偶然めぐりあいますが・・・という話。

原作を読んだことはないのですが、映画から推測するに、それは叙述ミステリなのかな、と思われました。
しかもかなりテクニカル(というかアンフェアすれすれ?)系なトリックなのですが、かなりうまく映像化されているのではないかと感じられました。

映画でのドンデン返しの場面は、私としてはかなりびっくりできて「あれ、どうなってんの?どっちが正解?」みたいに揺さぶられてしまったのでした。

主人公の回想(妄想)シーンが繰り返し出てきて、それは、まあ伏線ではあるものの、ちょっとしつこいかなあ、と思えました。

ディカプリオは役柄(ちょっと神経質な刑事(保安官))にぴったりはまっていましたし、夜中にDVDを見始めたのですが、最後までとめられなくなるくらい、とても楽しめる映画でした。
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おとうと

2010年12月12日 | 映画の感想
おとうと

吉永小百合さんのファン向けの映画でしょうか?

その年代の人たちが「世の中および世の女性方はこうあってほしい」と思う願望を絵にした感じ。

弟役の鶴瓶さんを寅さんにすれば、もろに設定や展開がシリーズと同じなのですが、その弟が亡くなってしまうので、寅さんシリーズのような陽気さがなくて、見ていて気分が落ち込んていくような気がしました。

演出なのでしょうが、登場する人の動きやセリフがみんなぎくしゃくしているようなイメージがありました。(特に、鶴瓶さんのネイティブ関西弁に比べて、時々でてくる吉永さんのそれは、外人がしゃべってるみたいでした)
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MILK

2010年12月12日 | 映画の感想
MILK

同姓愛者の基本的人権を主張してアメリカのサンフランシスコ市の市会議員に当選したハーヴェイ・ミルク(ショーン・ペン)の政治活動を描いた作品。

ショーン・ペンが生々しく男と絡むシーンが、なんというか、ショッキングだった。
「オレにその気はないな」とあらためて確認できた気がした。
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ディアドクター

2010年12月07日 | 映画の感想
ディアドクター

瑛太演じる研修医は、山奥の村の唯一の診療所へ派遣される。
その診療所の医師(鶴瓶)は、医師免許を持たないニセ医者だった。しかし、医学書を読み込んだりして体裁を繕ううち、村人から信頼を獲得することに成功する。
ニセ医者がほのかに好意を寄せる未亡人(八千草薫)は、末期ガンに冒されていたが、告知することができない。未亡人の娘(本物の医者)は、帰省時に母親の様子がおかしいことに気づくが、ニセものの検査結果を見せられてだまされてしまう。
ニセ医者であることがバレると、彼にあこがれていたはずの研修医、感謝していた村人ともに、みずからの不明をあばかれたことが悔しかったのか、彼を口々に非難する。


私は、子供のころ、すでにその頃にして中年の域に達していた八千草さんのファンだった。「岸辺のアルバム」は欠かさず見ていた。
でも当時(小学生)、学校で「好きな女優・歌手」として彼女の名をあげると、うろんな目でみられて「しまった」と感じた記憶がある。
歳を重ねても八千草さんはきれいだったけど、この映画でみるとさすがに老いが隠せないものになっているなあ、と思われた。

同じ監督の作品「ゆれる」に比べてサスペンス色をはらんだ緊迫感には欠けるけれど、負けず劣らず優れた作品だったと思う。ただ、ラストシーンには違和感があった。突然ホラー映画っぽいノリに変わってしまったように思えたのは、私の見方が悪いのだろうか。

他に印象に残るシーンは、ニセ医者であることがばれて逃げ出した鶴瓶が、実家の父親(認知症で彼を息子を識別できなくなっている)に電話する場面。
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