蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

検察側の罪人(小説)

2019年06月29日 | 本の感想
検察側の罪人(雫井脩介 文春文庫)

映画を見た後に読んだ。

映画と違って、小説全体がテーマ(正義とは何か)に収斂するような構成になっていて、自らの目的のために有り得ないほどの手段を用いる最上の動機も、最後まで読むと、納得できるものになっていた。

検察・警察は裁判を維持するためにストーリーを構築するが、一度構築してしまうとそこから軌道修正するのが難しくなって、結果として現実とはことなる主張になってしまう。そのことの恐ろしさがよくわかる内容にもなっている。
エンタテインメントとしても飛び切りだが、高踏的ともいえるテーマとともに社会的な課題も提示されている上出来の小説だった。

原作では映画ほどの出番はないが、犯罪ブローカー?の諏訪部は、小説の中でもやたらとカッコよかった。

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