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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

パロの暗黒

2021年01月24日 | 本の感想
パロの暗黒(五代 ゆう ハヤカワ文庫)

10年ちょっと前に栗本薫さんが亡くなられて、それまで130巻を読み続けていたグインサーガを読むことはなくなった。続編が出ていることは知っていたが、栗本さんでない人が書いたものを読む気はしなかった。
しかし、多分ゲームオブスローンズを(今頃やっと)見始めた影響で、グインサーガがなつかしく思えてきて、続編を読んでみることにした。

続編プロジェクトの第一弾である本書は、リンダに求婚するためクリスタル宮を訪れていたイシュトヴァーンがヤガへ向かうあたりから始まる。
読んでみて、懐かしいだけでなく、予想外に面白かった。リギアとマリウスの掛け合い、わがまま放題のイシュト、魔道士のくせに常人以上に俗っぽいヴァレリウス、強気なリンダ・・・10年を経ても誰がどんなキャラだったのか忘れることはなかったし、彼らが物語上で躍動するだけで(狂言回しが変わったとしても)ワクワクしてくるのだった。

そういった点を抜きにしたとしても、あるいは本書を単独の作品としてみても、本作は水準を超える出来栄えでとても楽しめた。
主人公たちが絶体絶命の危機に陥ると予定調和的に救世主が現れて救いだす、という王道のストーリー展開がよくて、栗本さんに比べるとテンポもとても速く(栗本さんなら本書の内容で少なくとも5巻は要したと思う。思えば、30巻くらいまでは香り高いヒロイックファンタジーだったグインサーガも、ある時期からはナリスをめぐる男たちの恋物語に化していたからなあ。へたすると登場人物たった一人の感情描写で1冊近く費やされたこともあったような・・・)て小気味よかった。

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