蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

野の医者は笑う

2021年01月24日 | 本の感想
野の医者は笑う(東畑 開人 誠信書房)

沖縄で臨床心理士をしていた著者は、トヨタ財団からの援助を得て沖縄の民間療法(野の医者)の研究をはじめる。沖縄には多種多様なヒーラーたちがいた・・・という話。

著者を知ったのは、週刊文春の連載「心はつらいよ」。
ジャニーズの話題など、ちょっとふざけているのでは?というような内容が、自身のカウンセリング体験などに基づく心の話に変容していくのが面白い。
本作でも、とてもいいかげんそうな取材ぶりの描写が多い。しかし、最後にたどり着く結論は(トヨタ財団から選ばれるのにふさわしい?)研究の成果のようにも思えるのだった。

心の治療者は、自分自身がかつては心の病者であったことがあり、自身の治療経験に他者を巻き込んでいくことで、自分自身を治療者たらしめている、というのが研究の要約、ということになるのではないかと思うが、本書や「心はつらいよ」を読むと、このパターンは著者自身にも当てはまっているように思える。

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