蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

捜索者

2023年06月09日 | 本の感想

捜索者(タナ・フレンチ ハヤカワ文庫)

離婚してシカゴ警察を辞めたカルは、アイルランドの山間の村に移住する。ボロ家を改修して暮らしていたが、近所の子供トレイから、失踪したトレイの兄の行方を探すよう頼まれる。兄はどうやらダブリンの麻薬組織と関係があったようだが・・・という話。

あとがきで訳者が指摘するようにロバート・パーカーの「初秋」に似たテイストの筋立てで、トレイの成長物語としても読める。ただし、一つ単純だが面白い仕掛けがあって、けっこう驚かされる。

各種ランキングの上位を占めた評判の作品だが、本筋とあまり関係ないエピソードもたくさん挿入されていて少々冗長な感じがした。人によっては、そういう寄り道的な描写がいいのかもしれないが。

トレイの兄の失踪の謎解きが行われる部分の後に数十ページも残っていたので、「これはドンデン返しがあるに違いない(だって傑作という割には真相があっさりしすぎだし)」なんて思ったのだが、そういうことはなかった。


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