蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

短編ベストコレクション 現代の小説2013

2013年07月14日 | 競艇
短編ベストコレクション 現代の小説2013(徳間文庫)

作家のベスト作品が処女作というのは、けっこうあるパターンだと思うが、これは、どんな大作家でも、さすがに毎度趣向の異なる傑作を書くことは難しいので、多くの作品を読んでしまった読者からすると、パターン化、マンネリ化、そうでなくても飽きが来るのは避けられないところから、どうしても初期作品が良く見えてしまうためではないかと思う。

本書のようなアンソロジーは、やっぱり人気作家の作品が多くなりがちで、「面白い」と思えるハードルが高くなってしまう。
なので、角田光代さんや筒井康隆さん、三崎亜記さんの作品などは著者名を伏せられた状態で読んだら、「これはすごい」「斬新だ」と思えるのかもしれないが、「角田さんのものとしては、今一つか」などと(他の作品と比較して)感じてしまうのだった。

逆に、売れっ子でも私にとっては初読だった平山夢明さんの「チョ松と散歩」は、とても良いと思えた。もっとグロい感じの作品傾向だと思い込んでいたが、ハートウォーミングというか、読後感がとても良かった。

同じく初読の関口尚さんの「晴天のきらきら星」も楽しく読めた。私は相当重度?の音痴なのだが(あるいはその裏返しで)学生の合奏クラブもの?が大好きなのだが、本作品はちょっとマンガチックだけど、爽やかさがあって良かった。

とても期待して読んだ高村薫さんの「四人組、大いに学習する」は、「なんだこれ」って感じで大外れ。小説でもギャグを書く方がはるかに大変だと聞くので、新たな挑戦なのかもしれにけれど、私には面白いとか、笑える、という場面はなかった。

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