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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

牛を屠る

2015年09月05日 | 競艇
牛を屠る(佐川光晴 解放出版社)

大宮市営と畜場は、大宮駅のすぐそば(歩いて10分くらい)にあって、本書でも紹介されているように数年前に改築されるまで、埼京線の電車からも牛や豚が搬入されるところがよく見えて、「都会のど真ん中にと畜場があるんだ」などと思ったりした。
改築されたのか移転されたのかわからないが、今は何かの工場かな・・・くらいにしか見えず、近くにはマンションが林立するようになった。

その大宮市営と畜場で著者は10年働いた。その概要は著者の出世作「生活の設計」にも書かれていたが、本書はより技術的、職業的な側面を紹介している。また、と畜場で働く人たちの労働問題にも言及している。

と畜(本書では「」というべきとしている)は、何百キロもある牛をナイフ一本で解体していくかなりきつめの肉体労働で、キーポイントはナイフの切れ味をどう保つか(絶えずヤスリなどで研ぐ必要がある)そうだ。

本書を読んでいて驚いたのは、(主題とは関係ない豆知識なのだが)牛や馬が草食なのに巨大に育つ理由だった。以下引用(P121)
***
牛や馬は草の栄養で成長しているわけではない。草は体内に生息するバクテリアを繁殖されるための媒体にすぎないのであって、反芻されるうちに発酵が進んだ草を養分にバクテリアが爆発的に増殖する。そのバクテリア=動物性タンパク質を消化吸収することで牛や馬は大量の栄養を得ているのだという。

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