蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

工学部・水柿助教授の解脱

2011年05月29日 | 本の感想
工学部・水柿助教授の解脱(森博嗣 幻冬舎)

水柿くんシリーズの3作目。

本作では、著者のWEB日記では書かれなかった海外滞在やパスカル(飼い犬の名前)を飼い始めたころのエピソードが紹介されていて面白かった。

しかし、なんといっても興味深かったのは、印税で大金持ちになった著者の実感が書かれている部分。
ざっくり計算すると20~30億円くらいの印税を得たはずなのだが、大きな家を買ったくらいでとても使い切れない、という。

自宅で工作をするのが最高の幸せである著者、一日中本を読んでいたいという妻、という組み合わせのせいかもしれないが、モノを買うだけではとても使えないという感想は、「そうかもしれないなあ」と思えた。

大金を稼いでも簡単に飛ばしてしまうには、他人を雇用するしかない、というのが著者の感想。
そうして取り巻きとなった他人にいろいろ(事業とか、株とか)勧められるうち、カネがなくなるのでは?というのも、なるほどと思えた。

本書は、一読するととてもいい加減に書き散らされているように思えるが、著者のエッセイ(本書とは別のもの)によると、書くのに一番苦労したのは水柿くんシリーズらしい。ストーリがあるわけでもなく、駄洒落や悪ふざけっぽい表現を考えたりするのも大変だそうだ。

図書館で借りたハードカバーで読んだのだが、装丁の不気味な絵(大竹茂夫:赤の王様)がよかった。

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