蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

幸福論

2009年05月30日 | 本の感想
幸福論(アラン 岩波文庫)

映画「ヒトラーの贋札」の感想でも引用した、

「フランスの哲学者アランは、希望の固有の目標が物質的な問題を解決することだとしているが、けだし至言というほかはない。畳の上で手足を伸ばして眠りたい。銀めしを腹一杯食べてみたい。桶から溢れんばかりにたっぷりの、少し微温めの湯にのびのび浸かってみたい。分厚い板チョコレートを思いきり齧ってみたい。<希望>とはつまりこうしたものなのであって、およし詩とは縁がないと知ったのは入営して三日目でした。」(奥泉光 「浪漫的な行軍の記録」より)

を、読んで以来、この本を読んでみたいと思っていた。

あまり読みやすい本じゃない(というか言い回しがこなれて無い感じ。訳のせい?)のだが、いいたいことは、「幸せとは何か?」なんて考えるな、ということのような気がした。

「生きるのが困難になればなるほど、人間はよく苦労に耐え、より多くの楽しみを味わうとさえ言ってもいいだろう。なぜなら、単にありえるというだけの不幸まで考えている暇がないからである。必然が予測を手綱でしばっている。
ロビンソン・クルーソーが故郷をなつかしみ始めるのは、自分の家を建ててしまった時である。(中略)行動が一切を領し、一切を引きずって行く。
あるかなりむずかしいことに、自分の全関心、全注意をそそぎ込んでいる人はまったくしあわせである」(P198)
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