蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ロビイング入門

2016年04月10日 | 本の感想
ロビイング入門(明智カイト 光文社新書)

ロビイストと聞くと、アメリカの大手企業や銀行から大金をもらって議員に影響力をおよぼし、黒いものも白くしてしまうワルモノ、というイメージしかなかった。

本書では、自殺・いじめ予防やひとり親、性的マイノリティといった社会的弱者といえる人々が日本の議員に働きかけて自らの目的のために政策を実現させようとするロビイストを描いており、「ロビイング」という言葉の印象が大きく変わった。
特に児童扶養手当削減を防ごうとした赤石千衣子さんの活動は、世間の大勢(小泉首相の骨太方針など)に逆らうような目的を地道かつ粘り強い活動でほぼ達成させていて感心した。

本書によると、ロビイングで大切なのは、資金力や影響力よりも、議員を納得させ、かつ、そのまま議員が使えるようなわかりやすい理屈(もしくは実証データ)であるという。また与党に働きかけるだけではダメで、国会で成立させるために野党に対する活動も重要だそうである。また、中心になって進めてくれる議員をいかに確保するかがキーであるとのこと。

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