蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

殺しへのライン

2023年07月25日 | 本の感想

殺しへのライン(アンソニー・ホロヴィッツ 創元推理文庫)

元刑事のダニエル・ホーソーンを探偵役、著者と同名の作家アンソニーをワトソン役とするシリーズ第3弾。イギリスの南部のチャネル諸島のオルダニー島で文芸フェスが開かれて、(シリーズ第1作の)「メインテーマは殺人」の出版を控えたアンソニーとホーソーンも招待される。島では海底ケーブル施設の誘致をめぐって島民の対立が先鋭化しており・・・という話。

毎年ランキング総なめで、少なくとも日本では本格ミステリの第一人者という感じの著者。本格ミステリがあまり好みでない私も煽られて「ヨルガオ殺人事件」を読んで見たら、これが大傑作で感心して他のシリーズも読んでみた。

うーん、ヨルガオに比べると、ちょっと軽め?かな、という感じ。主人公のホーソーンもイヤな奴であまり共感できない。

「きっとこいつが犯人だな」と私が思った人(以下A)は。もちろん真犯人ではなかったのだが、著者がわざわざ作中でアンソニーに「私はAが犯人かと思った」みたいなことを言わせて、読者に対し「ほら、あんたも引っかかったでしょ?」と嘲っているような感じ(考えすぎ?)がしたのもイヤだった。

これも物語の中で述べられているのだが、シリーズの1作目の原題は「The word is Murder」、2作目の原題は「The sentence is death」、本作は「A line to kill」で文法つながり?になっているそうだ。おお、凝っているねえ、という感じ(特に2作目がいい)。邦題はそれを全く無視しているのが残念かな。

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ティファニーで朝食を(映画)

2023年07月25日 | 映画の感想

ティファニーで朝食を(映画)

誰もが振り向くような美女のホリー・ゴライトリー(オードリ・ヘップバーン)は、ニューヨークで寸借詐欺や刑務所にいるマフィアのメッセンジャーをしては、取り巻きと部屋でパーティを開く毎日だった。ホリーと同じアパートに暮らす作家の卵のポール(ジョージ・ペパード)にはパトロンの2E(パトリシア・ニール)がいて、それが筆が進まない原因になっていた。ポールは次第にホリーに惹かれていくが、ホリーには生い立ちに秘密があり・・・という話。

昔、原作を読んでいたので、「あれ?こんな話だったっけ?」と戸惑ってしまった。というか、結局原作とは全く違う話で、有体にいうとヘップバーンのプロモーションフィルムという感じ。筋立て云々を語るのは野暮というものなのだろう。しかし、「ティファニーで朝食を」といえば、まずは映画を思い浮かべる人が今となっては多いはずで、カポーティは怒ったりしなかったのかな??

ヘップバーンを始めとして登場人物のほとんどが、ずーっとタバコを吸っているのが印象的だった。あとポールの愛人2Eが素敵だった。

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