蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

パーフェクト・ケア

2022年08月24日 | 映画の感想
パーフェクト・ケア

マーラ(ロザムンド・パイク)は、単独での生活が難しくなった高齢者の法定後見人(ガーディアン)になって、被後見人の財産を処分したりしてたんまり手数料を取るビジネスをしていた。
手の内に入れた医者や裁判官を操って、健康になんの問題のない一人暮らしの金持ちまでを老人ホームに軟禁状態にしている。
ところが、その対象者の一人ジェニファーには、法的には存在しないはずの息子(ローマン(ピーター・ディンクレンジ)がいて、彼はマフィアの親分だった・・という話。

ロザムンド・パイクが主演していると、それだけで後味の悪い映画だろうな(失礼)、と思ってしまう。本作も(最後にとってつけたような幕切れを付けているものの)例にもれず、カタルシスのない、モヤモヤ感溢れる結末だった。

昔、訴訟社会のアメリカを揶揄して「アメリカでは、道の穴ぼこに躓いて怪我をすると道路管理をしている自治体を訴えるらしい」とか「ファストフード店のコーヒーをこぼして火傷したことで、その本部を訴えるらしい」なんて(日本では)あきれられたりしたが、今なら日本でも十分にありそうな話だ。

アメリカで法定後見人絡みの事件というとブリトニー・スピアーズのそれが有名で、きっとこの作品に近い事態も発生しているのだろうが、現時点の日本では、この映画のような不条理な悪夢(ある日突然見も知らぬ後見人が現れて、軟禁された上に全財産を処分されてしまう)は、起きそうにない。しかし、きっとあと20年もしたら同じような事件が頻発してそうな気がする。

マーラのパートナー:フラン役のエイザ・ゴンザレスがかっこいい。
ピーター・ディンクレンジはロザムンドを食ってしまいそうなほどの好演。ゲーム・オブ・スローンズの見すぎで、どうしてもティリオン・ラニスターに見えてしまうのだが。
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