蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

会津執権の栄誉

2019年08月04日 | 本の感想
会津執権の栄誉(佐藤厳太郎 文藝春秋)

戦国期に会津地域を支配した芦名氏が伊達政宗に攻められて事実上の滅亡に追い込まれる経緯を描いた短編集。

表題作の「会津執権の栄誉」がいい。
会津執権というのは芦名氏の重臣筆頭で、内紛が絶えなかった芦名家をなんとかまとめてきた金上盛備のこと。
政宗は芦名家の部将である猪苗代氏の寝返りに乗じて大軍を擁して攻め込む。金上盛備は摺上原で迎え撃つが・・・という話。

芦名氏の要である金上盛備を除くことが、摺上原合戦における政宗の主目的だった、という本書のストーリーは多分創作だと思うが、時系列を逆にたどって金上盛備が秀吉との会見などを改装する形式とあいまって面白く読めた。

それ以外の短編も摺上原合戦の前日譚でまあまあ面白いのだが、登場人物の視点で説明的な文章が続く箇所がけっこう長くて、そのあたりはちょっと退屈だった。
コメント
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