蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

探偵は教室にいない

2019年06月08日 | 本の感想
探偵は教室にいない(川澄浩平 東京創元社)

鮎川哲也賞受賞作で著者のデビュー作。

中二で170センチでバスケ部の海砂真史が、日常のちょっとした謎(真史の机にラブレターを残したのは誰?(love letter from)、真史の友人が合唱コンクールの伴奏役をやめてしまったのはなぜ?(ピアニストは蚊帳の外)、美人の彼女ができたバスケ部のモテ男が浮気をしたのはなぜ?(バースデイ)、家出して携帯の電池も切れてしまった真史は今どこにいる?(家出少女))を、幼なじみでスイーツ好きで登校拒否中の天才:鳥飼歩が解決する連作集。

日常の謎モノは、事件が刺激的出ないだけに、謎の強烈さ・不可思議さが勝負だと思うのだが、本作はその点がちょっと弱いかな、と思えた。
登場人物のほとんどが中二(14歳くらい)なのだが、皆おとなび過ぎているように思えた。皆、モノのわかっている大学生みたいな言動だ。
今ちょうど私の子供が中二なんだけど、思考や行動がこんなに洗練されていないぞ(我が子がボンヤリしているだけかもしれんが)

一方「バースデイ」という短編で主人公たちが海を見に行くシーンや、「家出少女」の妙な?緊迫感はよかった。
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開店休業

2019年06月08日 | 本の感想
開店休業(吉本隆明・ハルノ宵子 幻冬舎文庫)

吉本さんが料理雑誌に連載した食事にまつわるエッセイに、吉本さんと同居して家での食事作りを担当してきたハルノさんが追想を書き足したもの。

ハルノさんが指摘しているが、さすがの吉本さんもトシのせいで同じような話題が出てきたり(事実関係の内容がすこしずつズレているのがまた微妙なのだが・・・)してきてエッセイとしてのキレみたいなのが衰えてきているのと対照的にハルノさんの追想部分が大変面白い。

命の粉(味の素のこと。吉本さんは味の素が大好き?で何にでもてんこ盛りにかけたそうだ)の話、飼いネコの“フランシス子”(吉本さんの“愛人ネコ”で、この猫が死んでから吉本さんは急速に衰えたという)の話、熱狂的なファンであるタイガースの話とかが特によかった。
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