蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

孤狼の血

2017年10月03日 | 本の感想
孤狼の血(柚月裕子 角川文庫)

広島・呉原市の東署の刑事・大上は、長年暴力団担当を務め、地元の組に多くのツテとコネを持つ敏腕だったが、一方で暴力団との癒著を疑われてもいる。
その相棒として若い刑事・日岡が赴任してくる。日岡は大上の一線を越えた強引な捜査に驚くが・・・という話。

本書の解説によると本書は映画「仁義なき戦い」シリーズに発想を得たものらしく、広島を舞台とした組同士の抗争を描く点がよく似ている。
私は、中学〜高校生の頃、知り合いの人から映画館への招待券(今思うと、東映の株主優待券だったと思う。その人自体は映画をあまり見ないのでいつも余っていたみたい)をもらっては「仁義なき戦い」シリーズやその他の(実録系)ヤクザ映画を見にいった。(今だったらR指定とかで入れなかったと思う)
よく、ヤクザ映画を見てきた人が歩く姿はヤクザっぽくなって肩で風切っている、なんて言われたものだが、単純な私も「仁義なき戦い」シリーズを見た後は、気が目一杯大きくなってしまっていた(そしてそれが気持ちよかった)ことをよく憶えている。

本書もラスト近くのドンデン返し〜結末に至る部分にカタルシスがあって、それまで読んできた読者の中に溜め込まれたエネルギーが一気に解き放たれるような爽快感がある。(途中では説明調の部分があったりして、ややモタつき気味の箇所もあるが・・・)

これも解説によると、本書は映画化され(しかも大上役は役所広司)来春公開、続編は雑誌連載中という。どちらも非常に楽しみだ。
コメント
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