蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

英国王のスピーチ

2012年01月14日 | 映画の感想
英国王のスピーチ

(とても恥ずかしいのですが)本作の主役ってコリン・ファレルだと思ってました。ちょっと似合わないキャスティングだと思っていたのでが、各所でとても高く評価されているので、イメチェンしてうまく演じたんだなあ・・・と思っていたのですが、コリン・ファースだったんですね・・・というか、ファースさんがどういう人か実は知りませんでした・・・。

英語の吃音症って、日本でイメージするものとはだいぶ違うなあ、と思いました。
いわゆるドモリというと同じフレーズを繰り返して次が出てこないというイメージだったのですが、本作で見る限り、ジョージ6世は、そもそも言葉自体が出てこない感じでした。

本作の主題は「セレブはつらいよ」でしょうか。

王族に生まれれば、何の悩みも苦労もなさそうですが、実際には多くの人々の視線にさらされる、とても辛い立場なのだということがよくわかります。
(生まれつきの王族ではありませんが、華々しいキャリアを誇った我が国のプリンセスの苦しみを見ても、それはよく理解できるところです
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穂足のチカラ

2012年01月14日 | 本の感想
穂足のチカラ(梶尾真治 新潮文庫)

私がSFマガジンを欠かさずに読んでいたのは、高校生のころで、もう30年前の話。そのころ、山田正紀さんの「宝石泥棒」が連載されていて、毎月楽しみにしていた。
そのころ、梶尾さんも主力ライタの一人で、短編の作者としては森下一仁さんと並んで好きな人だった。

その梶尾さんが、今でも元気?に活躍しているのは、どこか力づけられるものがある(あまり売れているとは思えないSFマガジンが欠かさず刊行されているのもすごいなあ、とは思うけど)。

穂足という幼稚園児が事故にあって意識を失ってから、その家族に不思議な能力が備わり、崩壊寸前だった一家は立ち直る。実は穂足はキリスト級の救世主だった・・・という話。

筋立てには特にひねりはなく、展開も結末も恐ろしく楽天的だけれど、読んでいると、「オレも世のため人のためにがんばるか。そうすれば世界はもっと良くなるかも」という、根拠のない高揚感が感じられる。

著者の良心みたいなものが、ストレートに反映した、読後感がさわやかな作品だった(元が新聞連載ということもあって、いくらなんでも700ページは長すぎるとは思うが)
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