暴雪圏(佐々木譲 新潮社)
「制服捜査」に続く、川久保巡査シリーズ。
彼岸荒れとよばれる雪の嵐におおわれた十勝地方のあるペンションに行き場をなくした人々が偶然集まるが、そのうちの一人はついさっき暴力団組長の自宅に押し入って強盗殺人を犯した犯人だった。
川久保巡査は、犯人がそこにいることがわかっても雪嵐に阻まれて駐在所を出ることができない・・・という話。
「制服捜査」は、地味な巡査の日常的な防犯活動を描きながらも、ミステリとしても楽しめる出色の出来だった。
それと比べると、警察官の活動を描くという点およびミステリとしては今一つかという感じ。
ただし、それは、本書の主題が、タイトル通り、北海道の凶暴ともいえる風雪のすさまじさを描くことにあるせいであろう。確かに、ちょっとした外出が生命の危機にもつながる雪のすさまじさが実感できる内容になっており、著者の狙いは十分に伝わってきた。