蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ジュノ

2009年05月10日 | 映画の感想
ジュノ

16才の高校生の女の子が妊娠する。相手は同級生の男の子。中絶しようかと思ったけど産んで養子に出すことにする。養子先は地元紙で見つけた小金持ちのスノッブな夫婦。女の子は父親である男の子とギクシャクし、養子先の作曲家の夫と妙に趣味が合い・・・といった話。

まあ、ありがちなストーリーなんだけど、「結局、産んでみたら情がわいて自分で育てるという筋なんだろうな」というありふれた想像は見事に裏切られた。

本筋より、今時のアメリカ社会の「さばけ方」みたいなのが尋常じゃないな、という点が印象に残った。例えば次のような点。

高校生の娘が「妊娠した」と両親に報告しても、多少驚く程度で、「まあそんなこともあるだろ、交通事故(この娘は16才で自動車を乗り回してる)とか退学でなくてよかった」みたいな感じ。
父親である同級生も、あんまり動揺しない。
養子を探す広告は地元の新聞の募集欄にペットの飼い主さがしと並んで掲載されている。
中絶センターみたいなところがあって、その入り口近くでは、中絶反対運動をしている高校生の女の子がいる。
苦しい思いをして産んだ子を全く未練なく養子先に引渡してしまう。・・・等々

そっけないそぶりだった主人公の両親が、無軌道な娘をそれでも信じて肝心なところではサポートしているシーンが、さりげなく感動的。
義理の娘(主人公)とはうまくやっていけないと自覚しながらも妥協点を見つけようと努力する継母の方が特にいい。まあ、かくありたい、という願望にすぎないのだろうけど。
コメント
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