老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「9条がつくる脱アメリカ型国家」(品川正治著)

2007-05-16 17:45:38 | 憲法
松林さんが、以前紹介された品川正治さんの「9条がつくる脱アメリカ型国家」を読みました。

品川正治さんは、まず「序」の中で、沖縄平和祈念資料館に展示されている「むすびのことば」を引用し、『戦争を起すのは確かに人間だが、戦争を許さない努力ができるのも私たち人間ではないのか』をご自分の戦争と平和に関する座標軸とし、『その座標軸はまったく動くことは無い、なぜなら戦争体験は私の血肉そのものだからだ』とご自分の原点を明確にしています。

また、アメリカを『戦争国家』と言い切り、アメリカに協力する道だけを突き進む日本の政財界に疑義を呈し、『いずれアメリカを問う時代がくるのは間違いない。・・・日本がアメリカを問う場合、もっとも力をもつのは憲法「九条」だと思う。』『九条の問題では、保守も革新もない。九条が変えられたら国のあり方が変わってしまう。日本外交の基軸が崩壊してしまう。』と、憲法9条の重要性を訴えています。

本論「戦後日本の四つの国家目標」の中では、憲法を改定すべきかどうかを考える上で、『国家が掲げる目標を充分に吟味することが必要』とし、戦後日本の国家目標を「平和国家」「民主国家」「経済大国」「中産階級国家」と整理した上で、これからの進路という視点で検証。「平和国家」は、21世紀の世界の宝であるとし、一方「民主国家」については、「民主主義」が「国会主義」に陥っていることによる政治不信の現状を指摘。あるべき民主主義国家を目指す必要性をときます。

さらに、「経済大国」については、一定の経済大国になった今、「成長の呪縛」から脱すべきと提言。また「中産階級国家」については、小泉「改革」によってもたらされた格差拡大の事実を見据え、中間層が「社会を支え、弱者の側につく市民階級」に前進すべきととき、『現在の日本国憲法は、21世紀日本のあるべきかたちを支える最大の力でこそあれ、毫も改正の要なきことは明らか』との結論を述べています。

本論の最後は、『憲法9条の旗ばボロボロに破れてしまった。しかし国民はけっして旗竿を離さない。』『いかに強引にことを運ぼうとしても、ことは「憲法」だ。国民投票が控えている。この国民投票で九条改悪に国民が「NO」と答えれば、いっきに決着がつく。日本の未来が明らかになる。アジアの将来に希望が湧く。日米関係は変わり、アメリカの世界戦略が変わる。』と語り、『私はこの世界史的な変革に日本の国民の一人として立ち合えたことを生涯の誇りと思う。』と高らかに宣言しています。

欠陥だらけの「国民投票法」が通って暗然としている私たちや、憲法のことをどう考えたら良いのか判らないと困惑している人たちに、明快な指針と方向性を示し、勇気を与えてくれる、日本国民「必読の書」ともいうべき本です。

>『九条がつくる脱アメリカ型国家』(青灯社、2006年10月 1500円+税)
>経済界の大物ご意見番が自らの中国大陸最前線での戦争経験や経済界の内情をもとに、渾身の力で憲法9条を擁護し、戦争をしない21世紀日本のかたちを展望する。前著を凌駕する迫力と情熱が日本を動かす。これこそが品川9条論。

「護憲+BBS」「 明日へのビタミン! ちょっといい映画・本・音楽」より
笹井明子

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