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エムポックス(mpox)とはなにか? WHOが世界に健康緊急事態宣言を発した理由は?

2024-08-15 10:44:10 | 医療・介護
エムポックス(mpox)とはなにか? WHOが世界に健康緊急事態宣言を発した理由は?
(原題:What is mpox and why has WHO declared it a global health emergency)
aljazeera.com 2024 Aug 14 Areesha Lodhi氏記す

アフリカでウイルス性疾患が急速に拡大しているとして、WHOは最高レベルの警告を発表。

エムポックスに対する緊急宣言が発せられたのは、2022年以降今回で2回目となる。
WHOが水曜に発した宣言によると、今年度のアフリカにおける感染者数は14000人を超えており、死者数は524人とされ、2023年の数値を既に越しているという。
WHOの宣言は、前日のアフリカ疾病管理予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention in Africa;アフリカCDC)の宣言に次いでのことになる。

エムポックスとはなにか? 感染はどのように伝わるのか? 以前の流行に比べて今回の症状はどの位危険なのか?等心得ておくべきことを以下に紹介する。

(エムポックスとは何か?)
主に人と動物が罹患するウイルス性疾患。エムポックスウイルスは「オルソポックスウイルス属(Orthopoxvirus genus)」に属し、通常皮膚に隆起や水泡を伴う発疹を含む水泡様疾患を起こす。皮膚の隆起は液体や膿で満たされており、最終的にはかさぶたとなり、治癒する。
エムポックスは、現在根絶している天然痘や牛痘に類似している。

1958年にサルで初めて確認されたことから、当初は「サル痘(monkeypox)」と名付けられ、デンマークの研究所で飼育されたサルを用いて研究が行われていた。
1970年、最初の人への感染例がコンゴ民主共和国(Democratic Republic of Congo)の9カ月の乳児で確認された。

2022年にWHOは、サルに限定される懸念から現在のエムポックス(mpox)への名称変更を推奨した。

(どのように感染が拡がっていくのか?)
感染している動物や人との接触を通じて感染が拡大していく。
動物から人への感染は、感染した動物に咬まれる、引っ掻かれる、あるいは感染動物の血液・体液または傷口に直接触れることから起こる。
人から人へは、感染者の皮膚病変や体液の直接接触や、感染者の呼吸器からの飛沫を直接に受けること・感染者との長時間の対面接触・感染者が使用の寝具や衣類等の汚染されたものへの接触、といった3つの経路が有るが、最後の感染経路はまれに起こるとされる。

ウイルスは、皮膚の傷口・呼吸器器官・目や鼻や口といった粘膜から侵入する。

(どんな症状か?)
発熱・頭痛・筋肉痛・顔手足その他の部位に現れる特徴的な発疹が主な症状。
膿庖は大きな白または黄色のニキビのように見えるが、膿が詰まっており小さな隆起物状を呈する。

免疫システムの両脇の下や首の側面や後ろにあるリンパ節もウイルスとの争いで腫れることが有る。
感染により致命的となる場合がまれにあるとされる。

感染は2~4週間継続し、症状の発現は感染後3~21日とされる。他の人へ感染させる可能性は、症状が発現する1~4日前からであり、無自覚での伝染が起こることになる。
エムポックスは発疹のサンプリング検査で特定できる。

(WHOが世界に緊急事態を宣言した理由)
エムポックスの新たな変異株が確認されたこと、そしてこの変異株による感染例がケニアやルワンダといった幾つかの国で初めて確認される事態となっており、アフリカ大陸内および海を超えて他の地域への拡大の恐れがあると判断したことが、宣言を出した一つの理由。

この宣言の発表により、各国及び各支援機関・団体は行動を起こすこととなる。
ジョン・ホプキンス大学医学部のアミタ・グプタ氏は「資源を動員する試みが現在真剣に進められており、この行動の促進を狙っての今回の緊急事態の呼びかけだ」と指摘している。

(エムポックスが拡大している地域)
先週アフリカCDCは、少なくとも13のアフリカ諸国でエムポックスが確認されたとしている。この状況は昨年同時期と比べて、症例数は160%増、死者数は19%増という。
現在までの所、症例の96%以上はコンゴとなっている。

今年初めに症状は軽く、性器の損傷を引き起こす新しい型のウイルスを研究者らが発見しており、この型のウイルス感染は発見が難しく、自覚なく他人を感染させる可能性があるとしている。
グプタ氏は「コンゴ民主共和国への出入りは少なく、現状のリスクは低いが、他のアフリカ諸国へ拡大すると、世界的な感染拡大の恐れが出てくる」と指摘する。

2022年7月の前回の緊急事態宣言時(2023年5月に緊急事態を解除)は、MPOXの系統IIにより引き起こされたが、現在の流行はより致死性の大きいとされる系統Iにより引き起こされている。

(ワクチンはあるのか?)
エムポックス向けの承認された治療法とワクチンはない。

天然痘の治療薬の抗ウイルス薬テコビリマット(TPOXX)がエムポックス治療薬として研究が行われている。アメリカFDAは、18歳以上の重症多発性硬化症患者向けの天然痘ワクチン(イムバムンまたはイムバネックスの名で知られる)JYNNEOSの承認も行っているが、しかし現状では発症者の60%は18歳未満とされている。

当局はエムポックス感染者と接触した人のワクチン接種を推奨している。

グプタ氏は「コロナ禍で多くのことを学び、世界では感染監視体制は向上しているが、エムポックスが拡大するアフリカでの迅速診断や治療へのアクセスはまだまだ不足している」と指摘する。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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