老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」

2017-03-31 09:31:33 | 社会問題
ケン・ローチ監督が、「ジミー、野を駆ける伝説」を最後にすると言っていたのに、80歳を越えて撮らずにおれなかった…とのこと。

それは、「死に物狂いで助けを求めている人々に国家が…官僚的な煩雑な手続きを利用して」断っている有様を描いた作品です。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」 http://danielblake.jp/

「ゆりかごから墓場まで」と、その充実ぶりを言われていた英国の福祉政策は、サッチャー政権の引き締め以来、厳しい状況に変化してしまいました。

妻を亡くし1人暮らしのダニエルは、心臓病で大工の仕事は無理と、医師に止められます。そこで福祉手当を受けようとするのですが、「手は上がりますか?」などの質問の果てに、「働けるから福祉手当は出ない、就労支援金を」と。

職安で知り合ったシングルマザーのケイティも手当の減額と支払い延長が告げられて、2人は知り合いになり、互いに助け合いますが、どんどん追い詰められていきます。

日本でも、障害者、高齢者、片親家庭の貧困は問題になっています。福祉は申請しないと受けられないものも多く、受けられる福祉さえ知らない人や窓口の対応に諦めてしまう人もいることを思いながら観ていました。

もう1つ、この作品は、人々の助け合う姿を描いています。コンピュータに困惑するダニエルの手助けをする青年、「こうすれば…」と利用できる制度を勧める役人(後で上司に叱られる)、フードバンクの女性。

それは私たちにも、隣人にできることがあること、助け合えることを示しているのでしょう。困っている人がいたら、例えできることは僅かでも手を差し伸べることを。

監督自身が役所の官僚主義に振り回されたことがあるだろうと思うほどリアルに描かれています。目の前の人に心を通わせず、苦難を何とかしてやろうと思わず、「制度を無意識に扱う」ことへの、ローチ監督の抗議がこの作品に込められています。

『ハンナ・アーレント』は、「上からの命令に従って事務をしただけ」という、大量殺戮をしたナチのアイヒマンを、極悪人ではない。「動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない」ただ「考えることをしない」「ごく平凡な人間が行う悪」と言いました。

なだいなださんは「つつがなく任を終え」という退職時の挨拶は、「決まりきったこと以外、何もしなかった」ということだと言いました。

そして、「前例がない」からできないという言い訳は、良いことだと分かっていても、それを為す苦労をしたくないという言い訳。前例がないなら、良い例を作ればいいだけのこと…とも。

題の“I, Daniel Blake” は、人間としての尊厳を込めた、ダニエルの渾身の抗議なのです。その抗議に応えられる社会を目指せるようにと思いながら観てきました。

皆様もどうぞご覧ください。ケン・ローチ監督がぜひとも社会に訴えたかったことを、それぞれに受け止めていただけますように。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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「共謀罪」と国民監視システム

2017-03-27 10:04:11 | 共謀罪
安倍政権(第二次)になって、それまでの自民党とは異なる矢継ぎ早の法案提出(ほとんどは国会で可決)と、国家を私物化する如きスキャンダルの嵐に、60年以上生きてきた高齢の私でもあっと驚く。

安倍首相のキャラもさることながら、これまでにもましてアメリカとの一体化の深化がある。

しかし、これまでの立法過程とは違って、憲法改正までに出来る限りの憲法破壊をしようという、その総仕上げに王手をかける法案の提出が、現在進行中である。

それは「共謀罪」の度重なる提出である。後に明らかになるが、「共謀罪」は名称を変えて「テロ等準備罪」という口当たりのいい表現になっている。これは実に曲者である。

スノーデン事件の問題でスノーデン自身にロングインタビューを決行した元朝日の記者小笠原みどり氏のコラムを読めば(「共謀罪の狙いはテロ対策ではない。スノーデンの警告に耳を傾けよ。」)明らかだが、共謀罪はスノーデンが2013年に暴露したアメリカの諜報機関NSAによるアメリカ国民の監視システム「プリズム」の日本版であり、「共謀罪」はスノーデンによれば「アメリカの機関が設計したもの」ということらしい。

小笠原氏はコラムで、「共謀罪」の危険な特徴を「共謀罪の核心は、人々のコミュニケーションが犯罪化される、という点にある。合意すること、相談すること、言葉に出すことで犯罪が成立するのだから、警察は私たちのコミュニケーションそのものを捜査対象にすることになる」と警告する。

本稿では小笠原氏の警告をこれ以上書き込めないが(興味ある方はネット上の氏のコラムを読んで欲しい)、法律学の研究を長年してきた私の観点から「共謀罪」を分析しておこう。

まず、「共謀罪」は単独の法制度として安倍政権が制定するものではないということである。それはこれまでの一連の法律とのセットにして法律化されるのである。

最初に「盗聴法」の制定があった。これでいつでも私たちのコミュニケーションを丸裸にできる。次に「特定秘密保護法」の制定があった。これで国家が犯罪にできる秘密の範囲が絞られた。

さらに安保法制の制定である。日本国が憲法9条の縛りを超えて海外に派兵できる。(従来は個別的な派兵だった。)そして、マイナンバー制度によって国民のプライバシーを丸裸にできる。

そして、仕上げは「共謀罪」である。「特定秘密保護法」などでは国民の監視は非常に狭い範囲でしかできないからである。それは主に新聞記者などに限定されるからだ。

「共謀罪」はアメリカのNSA(国家安全保障局)が開発した「プリズム」の設計を日本版として送りだすシステムの構築を前提にしており、「共謀罪」という犯罪類型は古典的な(刑法に古典的というものは存在しないはずだが)犯罪と全く異なり、「共謀」という客観化できない、つまり実行という犯罪をそのままでは警察に察知できない人々の「相談」とか「合意」を「犯罪」とみなす、「国家の盗聴」を前提にしている。

これは常識的にみて「犯罪」とは言えない代物である。なぜなら、人々のコミュニケーションだけでは何らの犯罪の痕跡も法益(刑法上の重要な要件)の侵害も起こっていないからである。

例えば窃盗罪を例に出せば「あいつの財布を奪ってやろうか」と思ったり、冗談で口にしたりすることはなんら窃盗行為に該当しないのである。もし共謀罪が制定されれば、私たちはネットなどで冗談も言うことは危険なこととなる。

スノーデンが言うように、「共謀罪」は「この監視システムは狂気じみている」ということなのだ。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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安倍政権とメディアスクラム

2017-03-26 20:54:25 | 安倍内閣
森友事件で追いこまれた官邸の焦りが、今日(日曜日)のTV番組に如実に表れていた。まず、朝の新報道2001で、自民党の下村、維新の足立が、無茶苦茶な安倍夫妻擁護論を繰り広げた。

次に、わたしはこの番組は嫌いなので見ていないが、見た人によると、TBS系のサンデージャポンでは、テリー・伊藤がとんでもない論理で安倍首相や昭恵夫人を擁護していたそうである。

・「初めから終わりまで、安倍昭恵は籠池理事長に利用された気の毒な人みたいな話になっていた。 しかも最強は、「あの人は一家上げてモンスターペアレントみたいな人で、そんな人と安倍昭恵氏を、証人喚問という同じ土俵に上げたらダメですよ」と言っていた。
しかも、偽証罪に問われるかもしれない証人喚問についても、もし間違っていても後で訂正すれば、何も問題ないし、証人喚問をそれほど重く考える必要はないみたいな発言もしていた。」・・・
(まるこ姫の独り言・・・http://jxd12569and.cocolog-nifty.com/raihu/2017/03/post-19fe.html

要するに、籠池氏は信用できない人間だという人格攻撃を主体にして、それに利用された安倍昭恵夫人を可哀想だという論理である。

実は、午後の「たけしのTVタックル」でも少しひねった同様な論理が展開されていた。攻撃する対象を野党に絞り、「野党は森友問題を政局にして攻撃している。国有地払い下げ問題も今回だけではなく、これまでも行われていたのではないか。こんな問題だけをするのではなく、他の重要な問題で政府を攻めれば良い」などという論理を展開していた。

電波芸者どものたわごとと軽蔑するのはたやすいが、このような発言が罷り通るのだから、日本のTVの怪しさも行き着くところまで行き着いていると言わざるを得ない。

一言で言えば、彼らの発言は、【国有地の払い下げのいかがわしさ】も【安倍昭恵のいかがわしさ】も【安倍晋三の酷さ】も全て許すという事である。政治権力の腐敗・犯罪は一切追及しない、と言う事。テリー伊藤・ビートたけし・阿川佐和子などが生き延びてきたのは、そういう「鵺」のような態度を取り続けたせいであるという事を見事に示していた。

こう見てくると、森友問題は、ある意味で電波芸者たちの立ち位置を見事に見せてくれていて、見事な踏み絵になっている。

まあ、どれだけ無理筋でも、これだけ恥も外聞もなく、安倍夫妻擁護の論陣を展開しなければならないという事は、それだけ安倍政権が、今回の問題で追い詰められているという証左でもある。メディアを使って籠池氏の人格攻撃を行い、大阪地検か警察を使って籠池氏を逮捕し、一件落着を図ろうという意図が透けて見える。

この背景には、舛添知事が、洪水のような人格攻撃で失脚したという成功体験があり、柳の下の二匹目の泥鰌を狙おうというのであろう。国家権力を使えば、そう難しい話ではない。

ただ、今回の籠池氏の場合が違うのは、偽証すれば逮捕されるのを覚悟の上で、国会の場で、毅然として自らの主張を貫いた姿勢が、写し絵のように、逆に彼の人格攻撃に終始する連中の人間性の怪しさを浮き彫りにしている点である。

孤立無援の中で孤軍奮闘した籠池氏のある種の「潔さ」が、多くの人々の心の琴線を打った。その覚悟のほどが、証人喚問時の籠池氏の表情から読み取れた。思想信条の違いは別にして、彼に人間的親近感を覚えた人は多いはずである。

逆に西田をはじめとする自民党などの連中が、恫喝まがいに籠池氏の人格攻撃をする人間の醜悪さ・品性の卑しさも照らし出した。国民から見れば、どちらが、人格的な問題があるかと言う話である。

これが、言葉だけでなく人間の持つ雰囲気、一挙手一投足、顔の表情全てまで、余す所なく映し出すTVという電波媒体の恐ろしさである。だから、テリー伊藤がいくら攻撃しても、ビートたけしが攻撃しても、逆に攻撃する側の品性の卑しさだけが際立つのである。

テリー伊藤にしてもビートたけしにしても、TVで長く飯を食っている人間のはずだが、そこの所を完全に見誤っている。

★それから、前の私の投稿に対する竹内春一さんのコメント。非常に重要な指摘ですので、レスをさせてもらいます。まず、竹内さんのコメントを紹介します。

・「激論「クロスファイア」の番組で、田原氏は籠池氏のワンマンショーを見て、背後に有力な政治家がついているのではないかという疑問を呈した。
そこで籠池氏を離れて、世界政治を俯瞰すると、四角関係が存在していることが言える。一つはトランプ大統領とciaを始めとする10いくつもある情報機関との対立関係である。その対立の中でトランプ側の閣僚が何人か失脚させられている。
もう一つは国内の対立である。経産省はロシアとの領土問題で日露首脳会談まで設定して、ロシアに接近した。所が外務省は北方4島に米軍事基地を作るかもしれないと匂わせた。

このトランプ対諜報機関、経産省対外務省という多角関係の中で、諜報機関が安倍首相に怒って失脚させ、トランプの勢力を弱めようとした可能性もある。諜報機関の強みは情報にある。全ての電話、全てのメールは情報機関のデーターベースに記録されている。情報機関は全面に出てこなくても、1パーセントの情報を配下の日本のマスコミに流せば大きな問題になる。自民党の中にも安倍おろしに走る大物政治家も出てくる。以上、一つの可能性の中で、踊らされてはいけないと老練な田原氏は思ったのでしょう。」・・・

田原氏のこの見解、23日のTBSの「ニュース23」でも述べていました。「籠池氏は、戦略的に大物政治家の名前を出さなかった」という意見でした。

その大物政治家は誰か。おおよそ想像はつきます。鴻池氏の親分は誰か。財務大臣は誰か、を考えれば、分かります。

実は、森永卓郎氏は、森友問題を財務省の陰謀ではないかと指摘しています。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」 2017/3/20 大竹紳士交遊録
https://www.youtube.com/watch?v=0KO7S5Mk26s
の中で、次のように語っています。

・・・「森友学園事件の裏で糸を引いているのは誰かと考えると、「状況証拠をみると消費税増税凍結、あるいは減税と安倍が言い出しかねない」と財務省は認識。
 その為、財務省、普通だったら総理大臣失脚させちゃえばいいんだが・・・。安倍の泣き所。昭恵、森友学園、土地代を突いてきた・・・可能性。 」・・・

そう考えると、安倍首相がトランプ大統領を訪問した時、何故彼が同行したのか、という疑問が湧いてきます。

竹内氏が指摘される【トランプVS諜報機関】の対立。米国では、既得権益層のクーデターとも言われています。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-d089.html

日本では、数少ないジャーナリスト山田厚史氏が、「米国の静かな内戦 トランプ対情報機関+メディア」
http://www.newsyataimura.com/?tag=%E5%B1%B1%E7%94%B0%E5%8E%9A%E5%8F%B2%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AF%E4%B8%B8%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%84
で、詳細に書いています。

さらに、竹内氏が指摘されている経産省と外務省の対立関係。プーチンの訪問前、安倍の側近である世耕経済産業大臣がロシアで交渉している時、NSCの谷地局長が、日米安全保障条約の適用範囲内に北方領土も入る、と発言したことで明らかになりました。完全な米国のポチである外務省にとって、経産省の出しゃばりは我慢できなかったはずです。だから、安倍外交は当初から成功する見通しは少なかったのです。

今回、籠池氏にFAXを送付した昭恵夫人付の官僚谷査恵子氏も経産省です。外務官僚も昭恵夫人付きになっているのですが、何故か問題になっているのは、経産省というわけです。うがって考えれば、様々な理由が考えられるはずです。

そういう意味で、竹内氏のご指摘は、森友問題を米国との関係という新たな視点で考えるもので、大変貴重な御意見だと思います。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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アッキード事件異聞!官僚の攻め方

2017-03-25 22:04:20 | 安倍内閣
森友事件。その本質は、三つある。
(1)アッキード事件⇒安倍首相別働隊として、利権確保・口利き役として安倍昭恵が動く。国有財産などを安倍首相のシンパなどに払い下げる。森友事件、岡山理科大学獣医学部建設(加計学園)や順正学園(加計学園理事長の姉が理事長)が南淡路市に大学建設した件などなど。精査すると、かなりの件数があるようだ。

(2)日本会議事件⇒森友学園問題を見ると、日本会議関係者が多数関わっている。23日の籠池氏の証人喚問が今一つ分かりにくかったのは、日本会議というキーワードが慎重に避けられていたため。何故、一介の民間人に過ぎない籠池氏があれほどの政治家・評論家などと知りあえたのか、何故、多くの有力者が瑞穂の国小学院建設に協力したのか、の理由は、【日本会議】という組織の理念実現という側面があったからである。籠池氏が【梯子を外された】と怒る理由もそこにある。

(3)官僚の犯罪(?)⇒今回の問題も加計学園の問題も犯罪の痕跡は慎重に消されている。一つ一つの実務的手続きは法手続きにのっとって行われている。その為、犯罪として摘発するのは相当難しい。大阪地検などの強制捜査がなかなか入らないのもそのためであろう。(※政権への配慮が大きいのは言うまでもない。)前の投稿で指摘した意図的【合成の誤謬】創出が行われている。

★さらに重要な点は、官僚による意図的な記録・メモなどの削除である。行政実務の書類・記録・メモなどは、後々の点検・行政実務の見直しなどに必要不可欠なものであり、大きく言えば【歴史に対する責務】である。安倍政権下、官僚による意図的な書類・記録・メモなどの隠蔽・削除は目に余る。以前の投稿でも指摘したが、ポツダム宣言受諾後、日本中の役所・軍基地などで大規模な書類・記録などの焼却が行われた。理由は単純明快。ポツダム宣言に明記された戦争責任の追及を逃れるため、証拠になる種類・記録などを消去したのである。

これが、現在の右派連中の従軍慰安婦問題や南京虐殺問題、731部隊の毒ガス人体実験などの論争が力を持つ一つの根拠になっている。つまり、証拠になるべき多くの書類・記録・メモなどが焼却され、失われてしまったからである。安倍政権下で官僚による書類・記録・メモなどの消去が顕著なのも同様な理由によるのではないかと疑われる。特に今回の森友事件における財務省・国土交通省などの意図的な書類消失は目に余る。これが、ファッシズム傾向の強い政権の特徴だと認識しなければならない。

今日は、この3番目の問題を考えて見よう。政権を攻める野党は、特にこの点を重要視しなければならない。

池宮彰一郎の小説に【四十七人の刺客】というのがある。忠臣蔵を新しい視点で描いた傑作。映画では、大石内蔵助に高倉健が扮し、新しい大石像を創り出した。

その小説の中で、上記の官僚を攻める示唆的な視点が提示されている。それは何か。

大石内蔵助が仇討を決意した時、その【大義名分】をどのように創り出すかに苦慮した。大石内蔵助は、浅野内匠頭が即日切腹させられた事に注目。浅野と吉良の言い分をきちんと聞き、刃傷の原因を明確にして処分していない点を重視した。

公儀が、刃傷の理由・原因調査をないがしろにした事を逆手に取る視点を提示。【公儀が原因を明確にせずに切腹させたのだから、われわれは原因をいかようにも創り出せるという事なのだ】と考えた。

そして、誰もが一発で理解し、誰もが汚いと嫌う理由、【吉良は賄賂を強要し、賄賂を嫌った浅野内匠頭をいじめた。内匠頭は我慢に我慢を重ねたが、遂に我慢できず、刃傷に及んだ】という理由を考え出した。

この理由(賄賂を強要する吉良上野介の強欲・内匠頭の純粋な人柄)をお金を使って、江戸市中に噂としてばら撒いた。この噂が幕閣に届き上野介は屋敷替えになり、討ち入りに有利な場所に住まざるを得なくなる。

この小説。今回の財務省や国土交通省などの書類廃棄の論理に抵抗するヒントに満ちている。

つまり、財務省などが書類がないのを理由に明確な答弁しないのを逆手にとり、全て財務官僚のせいだという話を創出して、責め立てるのである。【証拠になる書類がないのだから、どうとでも話を創りあげる事ができる】。それが違うというのなら、財務官僚自身に証明させれば良い。

書類・記録・メモなどは、自分たちの命取りにもなるが、自分たちの正しさを証明する材料にもなるというもろ刃の剣である。官僚と言う人種は、その事を一番よく分かっていたはずである。だから、日本の官僚たちは、全ての事を徹底的にメモり、記録を残しててきたのである。現在の国会審議でも、野党議員の多くはそのように官僚を理解している。

しかし、今回の事件。憲法学者木村草太氏が報ステで【解明が進まないのは政府側が記録がないと言っているから。籠池氏の証言を崩すためには、嘘ばかり言う人として人格攻撃をせざるを得ない。仮に籠池氏が潔白でないとしても、国家権力が一私人を人格攻撃するのは常軌を逸した対応。問い正すべきは認可を出した官僚、政治の側】であると指摘。【麻生財務大臣は職を賭して記録を出させるように努力すべき】と語っている。そして、記録を破棄した職員の処分をすべきだと言っている。

野党は徹底的に官僚を攻め立て、書類を廃棄したと嘯く財務官僚や国土交通省の官僚たちには、本当は記録を残す事が、自らの身を守る書類の重要性を身に沁みて分からさなければならない。

野党議員の質問力と姿勢が問われている。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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肩書きの重さを私的に使う「総理大臣」と役人の「忖度」

2017-03-25 21:43:27 | 安倍内閣
森友学園問題で、今朝(3月23日)の情報番組「とくダネ」では解説者が「役人の忖度」についてコメントしていました。今回の問題では、

1)政治家の口利きは、金銭授受がない限り、違法ではない。
2)安倍首相は「自分の名前が勝手に使われ、違法行為が行われても対処しようがない」というスタンス。
3)今後、一般人が役所へ陳情する際に首相・大臣の名前が添えられても「忖度しない」法整備が必要。
4)「忖度をどのように防ぐか」の議論が行われなければ、証人喚問の意味がない。

とのこと。確かに市町村議員から国会議員まで、政治家の役割に口利き(陳情への応対)行為は欠かせないのでしょう。「直接」金銭の授受がなければ、取り締まりようもありません。

しかし、この問題は不特定多数の一般人が安倍首相の肩書をかたって利益誘導したわけではありません。安倍首相が個人的な友人・思想を利するために「内閣総理大臣」の肩書を使って首相自身から(または夫人を介して)安易に接近したことが責められるべき点です。

だから、制限を受けて取り締まられるべきは政治家側の言動・行動です。「(私の肩書で)役人が忖度するわけがないじゃないですか!」と声を荒げる安倍晋三氏は「最高責任者」と自称する総理大臣の重さを全く理解していない・・・むしろ、悪用しています。即刻、総理も国会議員も辞職すべきです。

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猫家五六助
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籠池理事長の国会証人喚問

2017-03-25 21:34:52 | 安倍内閣
3月22日朝の情報番組「とくダネ」で、コメンテーターの深澤 真紀さん(コラムニスト、淑徳大学人文学部客員教授)が重要なコメントをしました。

籠池理事長が「安倍首相(側)から100万円の寄付金をもらった」という爆弾発言が引き金で、参考人招致さえ渋っていた自民党が「証人喚問」にあっさり同意し、明日の国会が注目を集めています。ウソの証言をすれば偽証罪に問われる場で、籠池氏がどんな証言をするか、さらにどんな爆弾をさく裂させるか、あらゆるメディアが注目している状況です。

しかし・・・冒頭の深澤さんは「共謀罪」にからめて、大きな疑問を投げかけました。それは、籠池氏を証人喚問するすることに同意した自民党側の理由です。

「安倍総理を侮辱したことが許せない」

こんな理由で一私人・個人を国会に呼びつけ、証人喚問するなんて、おかしい!今後は総理大臣を侮辱しただけで罪になるのか。共謀罪が加われば、どこまで拡大解釈・恣意的運用がされるか・・・深澤さんは、このように問うているのでしょう。

あの日刊ゲンダイも、同様な記事を発信しています。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/201766

こんないい加減な国会、「美しい国」を唱える安倍政権は、すでにファシズム状態といえます。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
猫家五六助
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「共謀罪」の制定を急ぐ安倍政権

2017-03-21 16:34:34 | 共謀罪
以前にも指摘したように、オリンピックの開催時におけるテロの防止を徹底させるために「共謀罪」を制定しようと安倍政権は躍起になっているが、この「共謀罪」を犯罪類型として制定するとなると、現在の刑法が想定する犯罪行為の概念を根底から変えることになるのだ。

現刑法では、犯罪行為は実行されてはじめて処罰されるという仕組みになっている。それも実行行為が既遂になって処罰できるのが原則であり、未遂の場合には例外的にしか処罰されないのである。

この刑法は明治時代に制定されたものであり、自由主義的な刑法でもなかった。そういう古い刑法でも想定していない「共謀罪」を制定するということは、ほとんど軍事独裁政権と言っても過言ではない。

この国家類型に相当する国は、意外にもアメリカ合衆国かもしれない。スノーデン事件を引き合いに出すと、彼がアメリカ政府の一部機関が国民を監視するシステムを構築していることと、日本も監視対象(もちろん国民も)になっていることに危機感を深め暴露しただけで、愛国法などに違反するとして犯罪者扱いされ、ロシアに亡命していることは、映画などでも有名である。

こうした「共謀罪」の発想は、同盟国のアメリカ政府の機関から吹き込まれたのかもしれないのである。

安倍政権(自民党政権は以前から極右化しているが)は、民主主義と立憲主義を破壊することはなんでも行う危険な政権なので、「共謀罪」という治安維持法の復活を意味する法律の制定を急いでいるのである。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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目眩ましと安倍の策略

2017-03-18 15:14:21 | 安倍内閣
流水さんも指摘してるが、森友事件の本筋は「国有地の不当に安い払下げ」問題であるのに、籠池氏の「窮鼠猫を噛む」ような暴露告白に踊らされている如き流れになっている。

いくらガードの甘い権力者でも理由のない金は出さないのではないだろうか。国有地払い下げの便宜まで払っている上に利益供与の証拠となる寄付金100万円を提供するとは思えない。

籠池氏というキャラが際立っている自称「教育者」はこれまで保育園や幼稚園を経営してきたが、幼児や子供たちに「教育勅語」や安倍首相がんばれだとか毎日繰り返し暗唱させている「教育」が、極右思想の注入になると本当に言えるのだろうか。

それはともかく一連の森友学園疑惑の流れで気になるのは、籠池氏の「暴露」の動機である。日本会議を批判した著書を出しているノンフィクション作家にインタビューを受けて今回100万円の安倍首相の寄付金問題を暴露したということになり、国会での証人喚問まで引き出したのである。

ところが、当の安倍首相は言うと、外務省委員会の答弁ではいつになく落ち着き払って「私が面識もない籠池氏に100万円も支払うことはありえない」と答えている。

これはもう一つの森友学園とも言われる親友加計氏の大学・獣医学部の新設大学問題を社民党の福島みずほ議員から追及されたときの恫喝を伴う逆切れした応答とは全く別人格の冷静さであった。

この冷静さこそが曲者なのであり、安倍首相の胸中を推しはかれば「籠池氏は錯乱状態であげてもいない寄付金の暴露に出ている。これで森友学園の追及は完全にかわせるな」というものだったのではないだろうか。そして安倍首相と極右政権の狙いは他のところにあり、実は今回の流れは野党などにとっては泥船だったのではないか。

森友学園問題の籠池証人喚問の流れは、もう一つの「森友事件」と言われる加計学園問題の矛先を他にそらすための「目眩まし」だったのではないかという疑念が強いのである。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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稚拙な情報操作とトリックスターの蜂の一刺し

2017-03-17 20:10:46 | 安倍内閣
森友事件。藪をつついて蛇どころの騒ぎではない。出るわ、出るわ。魑魅魍魎総出演の様相を呈している。それに加えて、出る役者のキャラの濃い事、濃い事。不謹慎だが、これだけ面白い芝居は、滅多に見られない。連日ワイドショーで取り上げられるわけである。

中でも一番のトリックスターは、籠池理事長夫妻。旦那もそうだが、奥さんのキャラの濃さは尋常ではない。彼女に対抗しようと思う事自体が無理。おそらく、幼稚園の保護者達もそう思っていたはず。彼女を巡るトラブル話が絶えないのも頷ける。

それはそれとして、あまりに登場人物のキャラが立ち過ぎて、森友事件の本質を忘れてはならない。

●この事件の本質は、何故、国有地が「不当な廉価」で森友学園側に払い下げられたのか。そこに、何らかの政治的圧力が存在したのではないか。ここが肝。

●もう一つは、何故、こんな問題のある森友学園に小学校建設の認可が下りたのか。そこに何らかの政治的圧力が存在しなかったのか。

ところが、国有地の払い下げの権限は、国(財務省理財局)が持っている。小学校設立の認可権限は、地方(大阪府教育委員会私学課)が持っている。

★森友事件の最大の謎は、大阪府という地方と財務省と言う国が持っている別々の権限が、【瑞穂の国小学院建設】という一点で見事に協力し、一致しているという点である。森友事件が並みの疑獄事件と違い、きわめて深刻な問題を孕んでいるのはここにある。

周知のように、籠池理事長は、「日本会議」の大阪の実力者だった。しかし、いくら「日本会議」の実力者とはいえ、いっかいの幼稚園経営者である籠池氏側の要求を、大阪府教育委員会や近畿整備局が簡単に受け入れるはずがない。

ところが、籠池氏の要求(小学校認可や学校用地取得=国有地の安価な購入)がトントン拍子に進められていた。「そんな馬鹿な!」と驚くような事態が進行していた。

国と地方の行政機関がここまで協力一致して行動する事はきわめて珍しい。つまり、国と地方の行政機関・官僚を恐れ入らせる強力な力が働いているのではないか、という疑いが拭いきれないのは当然。

誰もが、思い浮かぶ人物はただ一人。安倍晋三首相その人。なにさま、一度は、【安倍晋三記念小学校】という名前をつけようとしていたのである。さすがにあまりの露骨さに躊躇して、【瑞穂の国小学院】と変えてはいるが、名誉校長に妻安倍昭恵がなっているのだから、疑われても仕方がない。

しかし、さすがに首相自身で圧力などかける事はできない。しかし、腐っても鯛。【聞け、悟れ】の暗黙の力が働くのはやむをえない。大阪府知事の松井一郎が、「安倍昭恵の名前が名誉校長にある。もし、その小学校を不認可にしたり、国有地売却で損をさせたりすると大変。みんなそう考えて忖度したのだろう」というニュアンスの事を語っていたが、その通りだろう。実力者に対する【忖度】行政というわけである。

問題は、このシナリオを誰が書いたのか。そもそも、この小学校建設を誰が計画したのか。

勿論、籠池理事長に小学校建設の野心はあったろうが、資金面、その他の問題で、大阪府の認可を取るのが難しかったはずである。神の声でもなければ、大阪府の教育委員会も馬鹿ではない。森友学園の評判を知らないはずがない。簡単に認可などしなかったはずである。

昨日、籠池理事長が、「この学校の建設には多くの人の力が加わった」と言っていたが、これは本音だろう。

以下は、わたしの想像でしかないが、「日本会議」の理念を教える学校建設は、「日本会議」の指導部にとって悲願に近いものがあったのではないか、と思う。現在の「日本国憲法」や「教育基本法」の下では、公立学校で【教育勅語】の暗証や軍歌の斉唱などできるはずがない。これをやろうと思えば、『憲法改正』しかない。それにはまだまだ時間がかかる。とするならば、私立の学校でやる以外ない。(本当は駄目なのだが、私立ならば何とか誤魔化せる)

良く見て見ると、森友学園の幼稚園では、教育勅語を暗記させているし、軍歌を歌わせている。「何と素晴らしい事か!」よし、この教育を小学校でもやるようにしよう。籠池氏にやらせれば、うまくやるだろう。

その為には、①学校の認可 ②費用 ③校地 ④生徒集め などなどの問題が山積み。

①学校の認可⇒大阪府の与党である維新に働きかける。※特に松井知事

②費用・校地⇒寄付金を全国から募る。(広告塔が必要⇒安倍昭恵)⇒校地取得の金を安くする(国=財務省に働きかける) ※ 傍証⇒寄付金集めに最も熱心だったのが、安倍首相の地元の選挙参謀と言われている。校地払い下げ当時の財務省理財局長が迫田氏。(山口県出身)この後、国税局長官に出世。

③この学校の宣伝のために、「日本会議」系政治家・評論家などが、数多く講演に訪れる。

今回の事件。このようなグランドデザインがあったとしても不思議ではない。関西系の右派番組「そこまで言って委員会」で、ある経済評論家が上記のようなシナリオを描いた人がいると語っていた。その人物は誰かと尋ねられ、「命が惜しい」と言っていたが、これもこの種の問題を語る時、よく言われる話だ。

つまり、今回の問題は、単純な「金儲け」の話ではなく、「日本会議」を中心とした右派思想(憲法改悪、戦前回帰)団体の思想・教育運動の一環として起きている、という側面を見落としてはならない。事実、豊中市議の勇気ある行動がなかったら、今頃は、新しい小学校ができていたはずである。

だから、今回問題になった森友事件、本当はこちらの方がはるかに問題は大きいと思われる加計学園問題。その双方に「日本会議」などの右派政治家の影がちらつくのも頷ける。

たとえば、今や四面楚歌状態にある稲田防衛大臣の父親椿原泰夫は、関西では有名な右派活動家で、籠池理事長とは古くから知り合い。「頑張れ日本!全国行動委員会」の京都本部代表だった。菅野完氏によれば、「この人は関西保守運動の有名人。増木とか在特会とかあの辺みんな、この人を介して稲田に繋がってる」と指摘している。
http://blog.goo.ne.jp/yoroshiku109/e/4bad503d5236439e0a307d6b8133331a

コンニャク云々で有名になった鴻池参議院議員とも、講演を頼まれた事で分かるように、思想的につながっている。「維新の会」の松井一郎氏も思想的には、籠池氏と同根。

さらに言えば、今回、籠池氏の「顧問弁護士」を降りた酒井康生氏についても、どうもうさんくさい。何やら情報操作の匂いがする。
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/488.html
http://diary.onna-boo.com/?eid=427

これは私だけではなく、加藤哲郎氏も同様な意見を述べている。
・・「また財務省官僚と首相官邸官房機密費が動いたのでしょう。この間、戦後占領期における731細菌戦部隊の隠蔽・免責・復権過程を追ってきましたが、こうした情報操作は、権力の常道です」・・
http://netizen.html.xdomain.jp/home.html

また、加計学園の問題についても、日刊ゲンダイが痛烈な記事を書いている。
「デタラメ契約のバックに次々と登場する「アベ友」たち またアベ友に…第2の森友の現場を追う」
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/489.html

籠池氏から言わせれば、「俺は皆のために精一杯頑張ったのに、何でトカゲのしっぽ切りにされなければならないんや。俺は自己破産は決定的。嘘つき、胡散臭い人間と指を指され、全てを失った。どうせ、何もかも失うのなら、みな道連れにしてしもうたる」と言うわけだろう。私たちから言わせてもらえば、籠池氏に精一杯頑張ってもらって、道連れにする人間を一人でも増やしてもらいたい。

【権力は腐敗する】【絶対権力は絶対に腐敗する】何度もいうようだが、安倍政権は強くない。この腐敗追及を徹底的に続ければ、安倍政権打倒も不可能ではない。

【水に堕ちた犬は 徹底的に打て!】野党と国民は、この言葉を合言葉にガンバロウ。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「森友学園」問題から浮かび上がってきたこと

2017-03-14 14:24:04 | 安倍内閣
この一ヶ月、「森友学園」の国有地払い下げに纏わる不可解な動き、籠池理事長と安倍首相夫妻の浅からぬ関係、塚本幼稚園のあきれた教育などの話が次々に浮かび上がり、マスコミを賑わせ、私自身もこの問題から目を離せなくなってしまった。

この中でまず浮かび上がってきたのは、安倍昭恵夫人が瑞穂の国記念小学校の名誉校長に就任し、籠池氏は安倍首相の考え方に強く共感していると当初は首相自ら認めていた籠池氏の「愛国教育」なるものが、戦前回帰の道徳観、韓国・中国に対する偏見・見下し、更には安倍首相への個人崇拝までも、幼い子供達に刷り込もうという、現代の常識では考えられないものだった、ということだ。

そして、土地払い下げに関する不透明な金銭問題が浮かび上がり、籠池氏の珍妙な教育方法がマスコミに喧伝されるようになると、安倍首相はそれまでの好意的な姿勢から一転、感情をあらわにして、国有地売却への介入のみならず、籠池氏との親密な関係を全否定。昭恵夫人が名誉校長であったことも、「非常にしつこい中において」実現したと言い切った。

その後、稲田防衛相も世間で噂されていた籠池氏との繋がりを強く否定する虚偽の発言を繰り返すに至って、安倍首相や自民党閣僚らにとって、「日本会議」のお仲間の価値観は、内輪で讃え合い、盛り上がる分には良いけれど、国民の前に広く提示されてはマズイと認識されていることが偲ばれた。

更に、「保守」と自称する人たちは、国の連続性や文化を守りたいのではなく、国民が主権者として判断し主張することを嫌い、国民を国家や天皇などの権威に糾合して、自らの権威・権力を「保守」し道徳観を押し付けたい人たちで、自分の特権保持のためには嘘も平気でつくし、脅しもかけるし、時に仲間も簡単に裏切れる人たちなのだ、という印象が強まった。

今も国会では安倍首相が、質問から外れた恫喝まがいの高圧的な発言を日々延々と繰り返している。一方、今日は、肩書きに「総理大臣夫人」と明記し、その行動に公務員が同行しているにも関わらず、昭恵夫人を「私人である」とする閣議決定が行われたという。

また、稲田氏の虚偽発言を「全く問題ない」という菅官房長官の発言もあり、どうやらこの内閣は、いつものウヤムヤなままの幕引きに突入するつもりのようだ。

だが、もしこんな風に何も解明されない状態で「森友学園」問題が強制終了させられることになったら、私たち多くの国民は失望と虚無に襲われ、政治不信はますます酷くなるだろう。それは社会として、国家として、決して健全な姿とはいえない。

自称「保守」「愛国者」の皆さんには、他者に「道義」を押し付ける前に、自分たちのしていることが道義に適っているかを、よくよく省みてもらいたい。

官僚など公務についている人たちには、安倍首相や安倍内閣の意向を忖度して、「あべ友」に過剰な便宜を図るのではなく、国民への奉仕者として、誠実に、公正に、自分達の職務を全うする、本来の使命を思い返してもらいたい。

今まで慣行となってきたらしい「権威に寄りかかって社会を回す」歪なシステムを、この機会に徹底的に洗い直し、民主主義の大原則に則って、政治や社会システムを抜本的に整備し直すことが、健全な日本社会を取り戻すために急務である。そのためにも、今回の「森友学園」問題は、絶対にこのまま幕引きとさせるわけにはいかない。

「護憲+コラム」より
笹井明子
コメント (5)
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