老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

東京オリンピックは開催中止を!

2021-05-31 22:30:13 | オリンピック
コロナ感染が一向に収まらず、3回目の緊急事態宣言を再び延長することを決めた5月28日、菅首相は、開催まで2ヵ月を切った東京オリンピック・パラリンピックについて、「安心安全のために万全を期す」という漠然とした言葉を繰り返して、「開催ありき」の姿勢を崩そうとしなかった。

東京では今なお毎日300人~500人の感染者が続き、国内でイギリス株やインド株など感染力の強い変異株が全国規模で確認され、ベトナムでは新たな変異株が発見されるなど、国内的にも世界的にも感染は収まるどころか一層の広がりを見せていてる現状にあって、“人流を減らすために”、外での飲食や、様々なイベント、不要不急の外出の一層の自粛を呼びかける、その同じ口で、世界から何万人もの人々が集まる「オリンピック」を「安心安全に開催する」と語る矛盾に、菅首相や政府関係者は忸怩たる思いを抱かないのだろうか。

こうした対策と施策の明らかな矛盾は、非常事態宣言による自粛要請の呼び掛けそのものが国民の目にはバカバカしく映るという事態を招き、宣言の効果を無力化させている。

そして何より問題なのは、オリンピックを開催した場合、これが引き金となって国内外で新たなパンデミックが起きるという現実性と、そのリスクの大きさだ。

オリンピック開催の是非について、ほとんどの国内メディアが今なお明確に語ろうとしていないが、海外メディアからは率直な論評が様々な形で発信され始めている。

例えば、5月29日付東スポWebは、ドイツ紙「南ドイツ新聞」が、最近以下のように報じたことを紹介している。
「世界中から何万人もの人々が集まる世界最大のスポーツの祭典の責任者たちにとっては、パンデミックがあろうがなかろうが関係ない」
「パンデミック克服の象徴としての五輪開催は多くの人がリスクは大きいと考えている。でも、責任者たちが(マイナスの話を)聞きたくないと言うなら、どうぞご自由に。少なくとも、パンデミック下の五輪が失敗した場合、誰が責任を取るのかを明確にしておく必要がある。日本政府はもちろんのこと、国際オリンピック委員会(IOC)もね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/81eabefe3ddd4c49075aa0755c4af6b1792e73e6

実際、今回の五輪開催には日本人の8割近くの人たちが反対しており、5月5日に宇都宮けんじ氏が呼び掛けた「東京五輪開催中止を求める」ネット署名では、今日現在41万筆を超える署名が集まっている。それは、私たちが自分たちの命や健康が脅かされるリスクの大きさを、体感的に感じているからだ。

最近羽鳥モーニングショウで玉川徹氏が、「(IOCの委員らは)参加する選手の夢をかなえるため、選手のために開催するというが、目的はカネ、日本人の命と健康を掛け金にしたギャンブルですよ」と的確に指摘していたが、私たちはそんなギャンブルに自分や自分が大切に思う人たちの命を差し出すわけにはいかない。改めて、ここに東京オリンピック開催中止を求める。

そして、もし菅首相や小池都知事が、自己保身か権力保持目的か、単なる優柔不断か知らないが、ギャンブルを断れずに開催に突き進むことを選択するのであるならば、彼らには「問題が起きた時には必ず責任を取って辞める」と、その覚悟を今から国民の前に明確に表明することを、強く求めたい。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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パラダイムシフトをこのコロナ禍下、考えてみたい

2021-05-28 20:53:14 | 災害
“2001年宇宙の旅”宇宙船場面へと場面が飛ぶ直前の光景、猿人がモノリスの啓示で落ちていた骨を手にし、初めて武器とする場面がパラダイムシフトの典型的な例でしょうか。また蒸気機関の発明、電気の発明以前と以後も別の典型例でしょう。

今も進行中のコロナ禍はまさにパラダイムシフトが起こってもおかしくない、いや何らかの刻印をパラダイムシフトとして後代に残す必要と意義があると思っております。

温故知新、例えばスペイン風邪の時や、ヨーロッパで度々起こった黒死病の最中や直後等がどうであったかを調べることにも非常に興味があります。残りの人生をかけても良いテーマの一つとも思っております。

そこで現段階で不十分ではありますが、このコロナ禍に思うパラダイムシフトの一指針を提示してみたいと思います。

それは、“我々市民はもはや以前の声なきサイレントマジョリティーではないとの意識を持つ、声をも持つサイレントマジョリティーである”です。

言わんとする思いはお判りと思います。この契機にこうなって欲しいということを提案して、コロナ禍で疲弊するだけではないという気概を示すことも意義のあることと思います。

さてコロナの現状ですが、どうやら東洋人特有のファクターXの効力があやしくなってきております。

インドの爆発的感染が漸減しつつはあるものの、近隣のネパールやブータンを含めて高止まりしており、優等国の台湾も変調しており、日本含めてベトナム・カンボジア・タイ・マレイシアも心配な状況になっております。

最近10日間の各国の感染状況の数値を拾って示して見ますと、

台湾   ここ10日間の新規感染者4744人、10日前の感染者数2017人(235.2%)
ネパール ここ10日間の新規感染者77006人、10日前の感染者数464218人(16.6%)
ブータン ここ10日間の新規感染者195人、10日前の感染者1296人(15.0%)
ベトナム ここ10日間の新規感染者1955人、10日前の感染者4359人(44.8%)
カンボジア ここ10日間の新規感染者5094人、10日前の感染者22544人(22.6%)
タイ   ここ10日間の新規感染者30135人、10日前の感染者111082人(27.1%)
マレイシア ここ10日間の新規感染者66668人、10日前の感染者474556人(14.0%)
日本    ここ10日間の新規感染者46678人、10日前の感染者683175人(6.8%)
インド  ここ10日間の新規感染者2319735人、10日前の感染者25227970人(9.2%)

この表の最後のカッコ内の数値に注目して頂きたい。例えば台湾はここ最近の10日間で2.352倍の人が新規に感染と、ある意味爆発的な感染が起こっていることを示しております。心配ですが台湾のことです。まだまだ充分コントロール出来る状況と思います。

インドの近隣のネパールとブータンは15-16.6%の数値で60日から70日で感染者総数が2倍になるスピードで感染中であることを示しており、やはり心配な状況と言えると思います。

マレイシアも同様に心配な状況であり、ベトナムはここ10日間で45%と20日間程で倍増の極めて心配な状況の国と言えます。カンボジアとタイも40日程で倍増のスピードです。

インドはここ10日間から類推すると倍増するのに4カ月程かかるという状況ですが、減りつつあるとはいえ毎日20万人近くの人が新規に感染と言う母数の大きさの問題を抱えている状況です。やはりまだまだ危機の最中です。

我が日本はと言うと現状5カ月で感染者が倍増するペースが続いていると結論出来ます。アンダーコントロールとはとても言えない危険な状況がまだまだ続いています。

ちなみにシンガポールはここ10日間の新規感染者は0.05%程度で、倍増には計算上は50年程度かかるペースです。香港も同様ほぼアンダーコントロール出来ているようです。こういう国もあるのですが。まだまだ世界はコロナとの戦時下です。

オリンピックは今すぐ取りやめましょう。やるべきことは他にたくさんあります。

世界中の皆が、今進行中の第一回目のワクチンスキームを経験し終える来年の初旬の状況を先ずは見届けるのが第一のポイントと思います。その状況次第では第2回目のワクチンスキームを全世界の人が経験することが、乗り越えたと言える前提になるかもしれません。そんな極めてまれな時間のかかる体験を私たちは今世界の人々と共にしていると考えなければいけない所です。

また国連事務総長が確か今は戦時下と言ってくれていて、助け船を出してくれている状況だととらえることも可能な段階と思います。何故このチャンスを上手く利用して辞退宣言しないのでしょうか。

市民の結論もすでに出ています。アルマゲドンなどと軽々に口走るほど異常な人種が入り込んでいるIOCに、市民が市民の立場で静かにNOを言い渡す時期が来ていると思います。

オリンピックは今すぐ取りやめましょう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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先祖返りする日本の統治機構!

2021-05-28 09:17:31 | 政治
🔸前例踏襲こそ権力の源泉

官僚を始めとする統治機構の思考の要諦は【前例踏襲】。前例がある問題の解決は、彼らの得意分野。前例に従い、粛々と解決策を提示する。法的根拠を提示し、スキのない論理を構築。解決策を提示する。(※この解決策の中身に有力者への配慮をさりげなく盛り込む。)こういう解決策の提示の場合、決して強権的な印象を与えないように配慮する。(※日本の建前は民主主義国家)これが能力のある官僚、立派な政治家の必須要件。

🔸無謬性の原則⇒官僚機構=統治機構は間違わない⇒行政と司法の一体化

それでいて、理屈や法理で彼らの政策や解決策に対抗してくる人間や組織に対しては、徹底的に対峙し、決して引こうとはしない。決して間違いを認めない。【無謬性の原則】(※日本の行政裁判を見れば、彼らの習性は明らか。)

彼らの自信の背景には、裁判所が統治機構の一翼を担っている、という確固とした信念がある。決して裁判では負けない、と考えている。たとえ、下級審で敗北しても、上級審に持ち込めば、必ず勝利する。この行政機構の信念が、行政裁判を長くしている。

行政裁判の長さは、他にも大きなメリットがある。原告が個人の場合、訴訟費用が続かなくなる。中には、原告が亡くなる場合もしばしばある。当初は大きく報道したメディアも時が経つにつれて、報道しなくなり、世間の関心が薄れる。裁判が長引けば長引くほど行政が有利になる仕組みになっている。

司法と行政の一体化を現実化するために、最高裁判所事務総局の人事評価による「ヒラメ裁判官」の増加という現実がある。ここに見えるのは、三権分立という日本国憲法の統治原則のなし崩し的改変であり、その結果としての統治機構(行政中心)の絶対化である。

※ ヒラメ裁判官を生む人事統制のカラクリ « 魚の目:魚住 昭 責任総編集 ウェブマガジン (uonome.jp)
※東電3人が無罪! ”ヒラメ裁判官” と最高裁が司法を腐らせる - 白坂和哉 デイ ウォッチ (k-shirasaka.com)

これに歯止めをかける方法はただ一つ。国や地方公共団体などとの訴訟の場合、一審で国民側が勝利した場合、国や地方公共団体の「上訴」は禁止。国民側が敗訴した場合のみ、「上訴」を認めるように法を変更する必要がある。

行政裁判の場合、国や地方公共団体と係争する相手は、国民個人か会社や何らかの組織など。国や地方公共団体と比べると弱い。だから、「上訴権」は、弱者にのみ認め、強者(国、地方公共団体)には認めないようにして、裁判の公平性を担保しなければ、弱者の権利は守れない。

同じ事が、刑事裁判でも言える。

検察が起訴した容疑者が一審で無罪になった場合、検察は上訴できないとするべき。検察が上訴を繰り返し、いたずらに裁判時間を引き延ばせば引き延ばすほど、原告の人権は冒される。酷い場合、故人になってから、無罪判決が下された場合すらある。高齢になって釈放されても、失われた時間は返ってこない。はっきり言えば、検察が上級審への控訴を繰り返すのは、原告になった人への緩慢なる殺人に他ならない。

有罪率が90%を超えるなどという馬鹿げた話が真顔で語られる刑事裁判など民主国家の話ではない。

🔸前例のない事態への対処⇒危機管理⇒力への傾斜が顕著になる

【官僚の無謬性】の原則に拘泥し、自らの政策遂行に絶対の自信を見せる官僚機構を始めとする日本の統治機構だが、「前例」がない事態に直面した時には、彼らの限界が明らかになる。

真に危機に陥った場合、人は何とかその危機を逃れようと懸命に考える。その場合、人は必ず真実を求める。「何で?」という問いは、人間の本能に近い。人々は、経験的に真実を知る以外、危機を乗り切る事は出来ない事をよく知っている。人間の本能と言って良い。あるいは、DNAに刷り込まれた「人類の知恵」と言っても良い。

ところが、人を支配する事に慣れ、息を吐くように「嘘」をつき、「真実」を秘匿する事が骨がらみになっている人間は、真実を語る事への恐怖が先に立つ。東大文学のような人を煙に巻く屁理屈も通用しない。官僚お得意の三百代言ばりの言い訳も、結果が急がれる「緊急事態」には通用しない。

本当の危機に直面した統治機構の構成員が、東大卒などが綺羅星のごとく並ぶ日本最高の頭脳集団とも思えない無残な対応をする。今回のコロナ禍でも「何でそんなすぐばれる嘘をつくんだ」という場面に何度直面した事か。彼らは、本能的に「真実」を語る事への恐怖心だけが先行し、「真実」に真正面から向き合う勇気が無くなるのであろう。

清話会が権力を握って以来、特に安倍首相以降、「真実」を如何にして糊塗するか。如何にして、国民を騙す言い訳を考えるか、が、官僚の仕事になっている。ありていに言うと、「どれだけ上手に嘘をつくか」が官僚資質の評価になってしまい、真実に正面から向き合い、問題解決を真摯に考えるなどは、処世術を知らない青臭い馬鹿野郎がする事だ、というのが常識になっている。

その結果は、火を見るより明らか。人々の信頼が得られず、誰もが統治機構の言う事を信じなくなり、国民から冷ややかな目で見られ始める。安倍・菅政権による度重なる「緊急事態宣言」の形骸化は、真実を語らない統治機構への「不信任の表明」である。

そうなり始めると、彼らは必ず国民に牙をむく。国民が騙せないと知った時、彼らはどうするか。
洋の東西を問わず、統治機構(権力機構)の最後に頼るところは「力」。物理的暴力(警察機構など)を含む法の力を借りて、無理やりに国民を抑え込もうとする。居丈高に権力や権威を振り回す。

今回の危機で言えば、自粛の要請に逆らう飲食店に罰金を科す。自衛隊のワクチン接種システムの弱点を報道した朝日、毎日などに対して、岸防衛大臣(安倍前首相の弟)や安倍前首相などが口をきわめて攻撃する。自らが批判される事に慣れていないボンボン一族の共通の感性だろう。

総務省の交付金を取り仕切る課長が、地方自治体に7月までに高齢者へのワクチン接種を終わってくれと電話する。(言外に、言う事を聞かないと交付金の配分を考えるぞ、という脅し。現に地方の市長はそう取っていた。)

洋の東西を問わず、統治機構(権力)の力への傾斜は、統治が危機に瀕すればするほど激しくなる。このようなあからさまな権力の誇示が目立ち始めると、権力機構の危機感が相当深刻であるという証左である。

🔸吉村大阪府知事に見る現代風政治家のありよう;大阪維新の政治(新自由主義者集団)

大阪のコロナの被害は甚大。大阪の死者数は、全国でも突出して多い。10万人当たりの死者数で割り出せば、インドに匹敵する。それもこれも、吉村知事がイギリス株の脅威を低く見積もり、“緊急事態宣言”を焦って解除したのが一つの原因。

しかし、彼は自らの失敗に対する反省の弁を語る前に、各TV局で自らのコロナ対策を弁じたて、正当性を語っている。コロナ禍でメディアの寵児になった自信なのかも知れないが、自らの失政に対する反省の姿勢がない吉村知事と維新と言う政党の姿勢が問われる。

(1)この間、吉村知事は医療体制や検査体制強化はせず、変異株(大阪が多かった)の危険性が専門家から指摘されていたにもかかわらず、2月末に緊急事態宣言解除を要請。
3月1日に宣言解除⇒重症病床の確保数 215床⇒3割減の「150床」に縮小

(2)2020年度 大阪市内の病院の一般病床⇒「123床」に縮小
☆内訳は以下の通り  ほとんどが地域の中核病院  
・高槻市 高槻赤十字病院 45 床(急性期病床)
・富田林市 済生会富田林病院 40 床(急性期病床)
・寝屋川市 医療法人道仁会道仁病院 7床(急性期病床)
・堺市 医療法人淳康会堺近森病院 12 床(急性期病床)
・枚方市 田ノ口診療所 19 床(慢性期病床)

実は、2020年度の病床削減は、珍しい事ではない。橋下徹が知事になって以来、大阪府の医療削減、病床数削減は、激しい。コロナ下の大阪府の医療逼迫、病床数の足りなさは、橋下徹以来の維新の医療削減政策の結果だと言って過言ではない。

(3)2008年橋下徹が大阪府知事に就任して以来の医療削減

▼ 公立病院削減
  市立病院⇒独立法人化 府立病院に統合
 ・2007年度 大阪府の公立病院の医者と看護師 ⇒8,785人
 ・2019年度 大阪府の公立病院の医者と看護師 ⇒4,360人
大阪の公立病院の「医療提供体制」⇒半減 ※橋下以降の維新の新自由主義的医療改革

▼赤十字病院や済生会病院(慈善事業系病院)の補助金削減
 これらの病院は、地域の救急医療や感染症医療を担っている。⇒結果として、新型コロナの被害を拡大させた。

※戦犯は「橋下維新」。大阪のコロナ医療崩壊を招いた知事時代の愚策
https://www.mag2.com/p/news/497411
2021.05.18 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース

🔸なぜ、日本は病床数は世界一なのに、コロナ病床が逼迫するのか

日本の病床数は世界でも一番多い。人口100人当たりの病床数も一番多い。それなのに、何故コロナ病床が逼迫し、医療崩壊が叫ばれるのか。
※病床数の国際比較 
https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20210120_1.pdf

この問題を考えれば、日本の行き過ぎた「新自由主義的医療改革」の弊害が見えてくる。一言で言えば、日本は公立病院が極端に少なく、民間病院が多い、と言う事に尽きる。

下が先進国の「公的病院」と「民間病院」の病床数の国際比較。
    公的病院(非営利病院含む)   民間病院         

日本    約20%            約80%
アメリカ  約75%            約25%
イギリス  大半             一部のみ
フランス  約67%             33%
ドイツ   約66%            約34%

「諸外国における医療提供体制について」厚生労働省サイトより
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/dl/s0827-9j.pdf

小泉改革の時、耳にタコのできるほど聞かされた「民間にできる事は民間に!」という新自由主義的スローガンに最も忠実なのが、医療の世界。

理由は単純明快。世界一の長寿国の日本では、医療費の増加は火を見るより明らか。医療費増加は、国家予算の逼迫化を招く。医療費抑制は、社会福祉の最大の課題。医療費の負担を出来るだけ削減し、国家財政の健全化を図るというのが国の狙い。

公立病院のように赤字覚悟で、患者に対しできるだけ安くて良質な医療を提供するなどと言う医療にお金を出すわけにはいかない。医療費削減こそ、財政健全化の柱だというのが、財務省や国の目的。⇒典型的な【新自由主義的医療政策】

これに反し民間病院は、利益確保が最優先。できるだけ、無駄な医療設備は節約する。集中治療室(ICU)を持っているところも少ない。感染症や救急治療の受け入れ態勢も整備されていない。

だから、公立病院が、集中治療室(ICU)や感染症、救急治療の大半を担う結果になる。これは、世界のほとんどの国が同様である。

ところが、上の数値を見てもらえば一目瞭然だが、日本は公立病院の数が極端に少ない。大阪の場合は、日本の中でも一番少ない。だから、病院の数は多くても、感染症を扱う病院は限られており、病床数も少ない。結果、世界各国に比べても少ない感染者数にも関わらず、病床がないという医療崩壊状況に陥る。

今回のコロナ危機があぶり出したのは、日本の医療行政の行き過ぎた【新自由主義的医療制度改革】のひずみであり、この是正無くして次のパンデミックには対応できないという冷酷な現実である。

※病床を削減した病院に消費税でご褒美…病床削減推進の改正医療法が成立か 2021.05.18 リテラ
https://lite-ra.com/2021/05/post-5890.html

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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公金の研究(2)

2021-05-27 11:36:48 | 社会問題
今回は、「乗り遅れては大変だ位の発想で国や県からやって来るお仕着せバスに無闇に乗ってしまう自治から、少しでも自前仕様のバスに作り変えられないか・行き先も変えられないかと智恵を働かせる自治へ」というテーマで、如何に人の要素が特に地方自治の行方に影響するかを、信州長野のある村長さんの例で見てみたいと思います。公金の研究の役に立てたらと考えます。

出典は“奇跡の村‐地方は人で再生する”相川俊英著・集英社文庫2015です。

1.従来のおかしな公金の使い方

1980年代、上下水道整備計画が全国に展開されていた。長野県飯田市の南10km程にある下條村でも1985年から始まった上水道整備は1990年に完了していた(年間予算規模が約200億円の村で経費29.8億円で)。

一方の下水道整備の検討は1989年から始まった。当時、国と県は建設省所管の“公共下水道”と農水省所管の“農業集落排水事業”に沿って地方自治体は取り組むよう要請していた。いずれも管渠の末端に大規模終末処理場を設け処理水を河川や海に放流するという集中型処理方法であった。

この案に乗れば国の補助が1/2以上出るとともに残りは政府系金融機関が受け手の企業債の発行が認められるというプランであった。

見かけ上は元手無しでも事業に着手出来るこのプランに、全国の自治体は競うようにして乗り込もうとしていた時代であった。

下條村に当てはめると、下水道総事業費は約45億円と試算され、国・県から22.5億円の補助金、企業債分は22.5億円となる。当時の村議会と役場の意識は他自治体とおおむね同じで、資金がなくともスタートできる国・県主導のプランに安易に乗る流れであった。

2.伊藤喜平氏の出した対案

1983年に下條村の村議会議員に復帰し当時は村会議長であった会社経営者・伊藤喜平氏は、国の主導するこの整備計画に取り組むことになる。

氏は事業費の半分の22.5億円の借金に着目し、この分を30年償還で借りた場合、当時の企業債の金利で試算すると総返済額が約45億円となり、年間総予算200億円規模の村経営に大きな負担となること、この企業債は繰り上げ返済も出来ないこと等の問題点あることを指摘。また山間の村特有の問題の管渠の敷設には1メートル10万円程と高額の費用が発生することをも踏まえて、別の対案を考えるに至った。

当時、下水処理方法には国と県推奨の集中型処理法以外に、各世帯単位に個別に合併浄化槽を設置する方式があった。伊藤議長は集中方式と個別合併浄化槽方式の比較を行った。

         集中方式       個別合併浄化槽方式

管理       村が委託管理     水質検査と清掃(汚泥引き抜き)を各年1回
         住民は経費負担    各世帯が管理を求められる 
ランニング費用  年11.96万円      年4.79万円
        (管理費+元利償還金、
         下水道使用料の合計)
初期費用     村として45億円    村として約8.8379億円
                   (国県の1/2補助を考慮しても40%で賄える)
                    1世帯あたり18.56万円(3ヶ月のランニング費用で回収できる)
         
上の表に見るように、個別方式の方が初期費用も安く、将来的な村の負担の点や市民のランニングコストの点でも有利な事は明らかで、これを根拠に村議会・役場で同調する者を増やしていくことが出来た。

当初下條村の住民の反応は“税金を払っている我々がなんで管理までしなければならないのか”、とか“他市町村は集中方式で進めているではないか”とか“国・県の補助を貰わないのは損だ”といったものだった。しかし、最終的には市民も議長の対案の良さを認め支持するようになり、伊藤氏を村長に選ぶまでになっていた。

国の方針に無条件に従う今までのやり方から少し外れてみる事の良さを実感したと思います。また適切な人材を首長に選択できるという経験もしたと思います。

国県の指導に無闇に従うだけでない、地域の特性をも踏まえての柔軟な独自プランを描く人物・描ける人物を見出し選んでいく作業が特に地方自治体の今後を考えていく際、大切な視点の一つになる例と思います。

最終的に住民の利益に結び付く、また村財政上有益な施策となる面白いプランも伊藤村長は行っています。
“低予算の公共事業については資材支給方式で対応”するというものです。

これは市民から出される要望で総事業費200万円以下の低予算公共事業に対応する物に対し、手間賃部分を省くことで迅速対応できるようにするという施策です。

当初は手間を市民に押し付けるのかという理由で市民から反発されていたものの、従来のやり方は時間がかかるばかりで、しかも何時執行してもらえるか分からないという欠点があったことから、要望が直ちに解決出来るという利点を市民側が大きく評価し今では定着しているとの事です。手間賃部分のコストカットによる負担減は村財政にも良い方向を与える、興味ある町村自治体の施策であると思います。

納税者意識の持ちようにも多様性があるという話でしょうか。払いっぱなし・要求だけでは済まないという一例でしょう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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コロナ禍不況、生きられぬ世からの脱出 個人の尊重、平和を求めて

2021-05-25 16:21:45 | 自民党政治
この処の安倍菅政権の『政治主導』で、間違いなく、日本の官僚制は傷んだ、酷く傷んだ。菅の支配した総務省の腐敗を見れば疑いない。
 
政府や官僚制のイタミもさる事乍ら、主権者、国民はもっとひどく傷んだ。安倍菅政権は、これを緩和しようとしたかというと、左に非ず。唐突に、「①自助、②共助、③公助」(小さな政府⁉)と言い放って、御仕舞にしてしまった。前政権から引き継いだ、コロナ禍対策もない侭に。騙す、偽る、隠す、シラを切る、の安倍の文化(人事で人を支配)を其の侭に。
  
さて、今年になって、米国にバイデン政権が誕生した。覇権国家の余裕からか、『大きな政府』の政策を打ち出した。定額給付金も3回目、15万円だという。…菅政権の反応はない。
 
しかし、コロナ禍で、社会の大方が傷んだは、間違いない。観光業、飲食だけが傷んだのではない。ステイホームを強いられた者は、等しく傷んだ。1年余も、蟄居謹慎を強いられているのだから。補填もない。
 
余談だが、傷まない者がいたとすれば、永田町の住人か、経済界や投機家・投資家の成功者かも。
 
責任者は、どの面下げているのだろう。今は、兎に角、ワクチン、東京五輪で手一杯、足りているか。こんなチンケなことをだれが卒業させてくれるか? 主権者と指導者だ⁉ 主権者は明らか。
 
指導者は、どうだろう? 「大きな政府」を取れるのか。大風呂敷を広げるのか。科学に合わないそれは駄目だ。 痛みを緩和するだけでも、大きな予算になろうが、明るい将来展望を含む、展望を語ってもらわねば。
 
単に、野党共闘してもらっても困る。多分、その程度の“爆発”熱量では、政権交代もならないのでは。 市民参加、国民主権の爆発、期待を一身に受けるグループが待たれるのではないか。
 
安倍の亜流など、以ての外。せめて、萌芽は見たい。 個人の尊重(人権)、平和追求 偽物はいらない。

 ☆添付
コロナ不況脱出へ全速力 「大きな政府」で成長主導―バイデン米政権 時事通信 2021年04月29日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042801111&g=int

「強すぎる官邸」 ゆがむ官僚との関係、コロナで表面化 朝日新聞 2021年3月5日 https://www.asahi.com/articles/ASP333J8TP2FUTFK006.html
官邸主導の弊害正すには 豊田洋一・論説委員が聞く 東京新聞 2020年10月26日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/64235
検証「安倍政治」 官邸主導 統治機構の根腐れ生む 東京新聞 2020年9月12日  https://www.tokyo-np.co.jp/article/55087
論座: 「政治主導」をめざした平成の統治機構改革、そこに欠けているものは何か 政治の綻びに映る「コンテスタビリティ」の重要性
田中秀明 明治大学公共政策大学院教授 2020年05月27日 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052500011.html

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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スルースキルだけでは現状を打破できない

2021-05-17 10:15:57 | 菅政権
目の前に手ごわい敵が現れたとき、その敵をいないことにしてしまう、ないものと思いたくなるのは、生き物として当然のことである。そして、物理的に距離を置くことによって敵が自然消滅することも起こりうる。文字通り水に流して最初からなかったことにできる場合もあるだろう。

しかし、今、人類が立ち向かわないといけない敵はそう簡単に手を緩めてくれない。そうなると、いつまでもスルーを続けていても戦況は変わらないどころか悪化の一途をたどるばかりだ。

まさにスルーを続けた結果、危機的状況を迎えているのが現在の日本である。市民の行動変容に一任していれば公的な感染症対策はそれほど行わなくても流行は下火になるだろう、という見通しでこの一年を過ごしていたために、一年前よりも感染がより広範囲かつ速いスピードで拡大している。

国内にウィルスを流入させないための検疫や入国制限は最低限しか行わず、感染しても自覚症状がない人が半数近くを占める事実が判明しているにもかかわらず、感染者を特定するための検査を抑制してきた。

私たちの代表者たちは、病原体に対してだけではなく、自らの心身と生活を脅かされている市井にたいしても同様にスルーの姿勢を貫いている。今日に至るまでオリパラは必ず開催するというばかりで、具体的にどのような感染症対策を施すのか、感染者が出た際の対応などには具体的には答えず、記者に聞かれても毎回のようにスルーしている。国内での感染再拡大をスルーして、アメリカに行った際にも五輪に関する質問をスルーしてかわす姿勢は崩さなかった。

東アジアとオセアニア地域内では最悪レベルの流行であることも、医療崩壊がすでに起きてしまったことも無視し、検疫などの水際作戦も検査も強化せず、予防接種で集団免疫を獲得することも喫緊に必要であるとは考えてこなかったのだろう。他国は大量に検査を行い、無症状感染者をあぶり出して保護し、さらにはワクチン接種を急速に進めて感染症を下火にしているなかで、日本は現在も出口が見いだせないでいる。

政府が生活者たちをスルーしてきた結果として、現在では自国民から逆にスルーされるようになってしまったのではないか。五輪については日常生活ではもはや話題になることもなく、大規模な世論調査やアンケートにおいても今夏に開催すべきではないという意見が多数を占めるようになった。国外向けに「国民が望んでいるから五輪を開催したい」という主張はできず、それは明らかな誤りということになってしまう。

そして、その国外でも今夏の五輪開催は中止するという報道や、取りやめるべきという主旨の論説が、今年の年明け以降に相次いでいる。なにより日本国内同様に東京五輪については話題にもならないというのが現実だろう。報道だけではなく、すでに個人単位で出場を辞退する代表内定者や日本国内での事前合宿を取りやめるチームが相次いでいる。国外からも日本政府の姿勢はスルーされているのではないか。

仮に夏になるまで無視し続けていても、その後長きにわたって国際社会から信頼されなくなるだけだ。そして何より国民から支持されなくなるだろう。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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危機管理について

2021-05-15 13:57:50 | 政治
🔸 序

昨年からの世界的なコロナ・パンデミックの中で、世界中の国民が自国政府の【危機管理】について考えざるを得なかった。

平和時の政策と危機的状況の政策とは、全く違う。しかも、情報化時代のパンデミックである。自国の対策と他国の対策との違いや差が誰の目にも見える。
 
多少なりとも物が見え、自分の頭で考える事が出来る人間にとって、今回のパンデミックは、平和の時代には陰に隠れて見えなかった物事が、はっきりと見えるようになった。今回のパンデミックでの唯一の収穫と言っても良いかもしれない。

元々、【危機管理】とは軍事用語だった。つまり、戦争のような【国家的危機】を管理する事を意味したのが、【危機管理】。それが転じて、企業統治などの社会の様々な組織の危機管理という意味に膨らんでいた。その為、【危機管理】という用語自体が、国や社会や会社などの組織を統治する指導層が指導層であるための【必須の要件】という意味合いが強かった。簡単に言えば、危機管理ができない奴は、指導者ではないという意味である。

🔸危機管理の基礎知識

本来、危機管理とは、予見(予想)と準備が8割。危機管理が失敗したとしたら、それは、予見(予想)=想像力の欠如を意味し、準備不足を意味する。その事を念頭に置いて以下の手順で危機管理は行う。

1,予防:危機発生を予防する
2,把握:危機事態や状況を把握・認識する
3, 評価
 〇損失評価:危機によって生じる損失・被害を評価する
 〇対策評価:危機対策にかかるコストなどを評価する
4,検討:具体的な危機対策の行動方針と行動計画を案出・検討する
5,発動:具体的な行動計画を発令・指示する
6, 再評価
 〇危機内再評価:危機発生中において、行動計画に基づいて実施されている点・または実施されていない点について効果の評価を随時行い、行動計画に必要な修正を加える。
 〇事後再評価:危機終息後に危機対策の効果の評価を行い、危機事態の再発防止や危機事態対策の向上を図る。

🔸菅政権のコロナ対策の評価

上記の手順で菅政権(自民党政権)のコロナ対策をきちんと評価しなければ、次の対策など出てくるはずがない。

1, 予防・準備⇒(評価)
台湾政府は、2019年12月には、中国の新しい感染症に対して警戒を強め、水際対策に乗り出している。それに対して日本政府は、20年3月の春節での中国人の来日に対して何の手も打っていない。結果、第一波の感染を招いた。
  
◎感染症蔓延時に対する対策準備
(1)保健所の数と人員⇒新自由主義的医療制度改革の結果、保健所の数は激減・人員も減少⇒PCR検査の数は伸びない。(先進国では最低レベル)職員は過剰労働を強いられる。
(2)病院・医師・看護師⇒医療制度改悪の結果、病院数は減少。ベッド数も削減。医師数も先進国でも下位。看護師もかなり削減されてきていた。⇒パンデミックの準備は0に近い。
(3)医療資源(マスク・防護服・手袋・消毒薬・PCR検査機器・人工呼吸器・酸素吸入器・エクモなど)もかなり不足。結果、第一波でのマスク不足騒動を引き起こす。最大の問題点は、国内での生産不足。他国に医療資源を頼る事の危うさが露呈している。 
(4)厚生労働省の感染症(パンデミック)に対する準備不足⇒SARS・MARSなどの教訓が生かされていない。
  
以下の論文を読んでいただければ、今回のコロナ対策の失敗が、小泉政権以降の新自由主義的医療改革に遠因がある事が了解されると思う。

※資料 公益財団法人日本医療総合研究所ニューズレター 第 21 号 医療動向モニタリング小委員会作成(2020 年 5 月 15 日)
http://iryousouken.jp/wp-content/uploads/2020/05/%E7%AC%AC21%E5%8F%B7%E3%80%80%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%94%93%E5%BB%B6%E3%83%BC%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%85%AC%E7%9A%84%E5%8C%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E6%8A%91%E5%88%B6%E6%94%BF%E7%AD%96%EF%BC%882020.5.15%EF%BC%89.pdf

※ 小泉・安倍政権の医療改革-新自由主義的改革の登場と挫折
(『月刊/保険診療』第62巻第12号113-121頁,2007年12月10日)
二木 立(日本福祉大学教授・大学院委員長
https://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/data/20071210-niki-article.pdf


2, 把握;危機事態や状況を把握・認識する
⇒きわめて弱い。当初中国で起きた感染症(コロナ)の発生をパンデミックに発展するかも分からないという予測のもとに対策を立て、抑え込みに成功したのが台湾。台湾政府は、SARS,MARSの経験があるため、やりすぎぐらい敏感に危機に対応した。
  
それに比べると、日本政府の状況把握は、如何にも認識が浅すぎた。20年の春節の休暇の時に、中国からの観光客を水際対策で封じ込めておけば、その後の日本の感染上対策は、ずいぶん違ったはず。この反省がないため、以降の対策が全て手遅れになった。

3, 評価;
損失評価⇒危機によって生じる損失の評価⇒経済的・金銭的評価だけでなく、コロナ危機によって生じる中小企業の倒産、および職場の倒産によって生じる雇用の喪失、雇止めなどによる非正規労働者の生活危機、ひとり親家庭などの生活困窮と子供の貧困化の加速などにより、孤立し、国や社会を信じられない家族や個人の増加など金銭での評価が難しい損失をどう評価するか。

この評価を誤ると、必ず【社会不安】を招き、日本社会の崩壊を招きかねない。⇒社会不安の拡大は、ファッシズムの台頭を招来する。(萌芽としての憲法改悪:緊急事態条項など)

◎対策評価
⇒①医療機関・医療従事者などへの対策 
 ②打撃を受ける企業への補助 
 ③失業者への補助 
 ④非正規労働者などへの補助 
 ⑤ひとり親世帯・貧困家庭への補助(子供の貧困化阻止) 
 ⑥高齢者への援助 
 ⑦エッセンシャルワーカーへの補助(※金銭的補助だけではなく、社会的評価の向上への努力) 
 ⑧国民・社会への安心を提供する施策の実施など
・・・・・・⇒金銭的評価だけでなく、国民へ【安心】や【希望】と政府への【信頼】を勝ち取る絵策をどう評価するかが、最重要。
 
4, 検討;具体的な危機対策の行動方針と行動計画を案出・検討する

★危機対策の具体性⇒日本の場合、政府とか地方自治体が何をどうするから、国民はこれ、これ、これをきちんと守ってほしい、というメッセージが完全に欠落していた。一言で言えば、【グランド・デザイン】の欠落。

対策の力点が、国民にこれ、これ、これを守ってほしいというばかりで、国民に対して【お前たち次第だぞ】【自己責任だぞ】と言い続けてきたに等しい。

人間誰しも自分が納得できるものについては、多少時間が長くても頑張れる。しかし、納得できないことをそんなに長く頑張る事は出来ない。まして、飲食業の営業主は、日銭が命。その日銭を稼げないで、お前たちの対策が悪い。密になるな。マスクをつけているかどうかチエックしろ。換気は出来ているか、等々、責め続けられると、「もう勘弁しろよ」というのが本音だろう。

それでも充分な休業補償が出るなら我慢もしよう。休業補償も出るには出たが、充分ではない。出るのが遅い。スピードがない。これでは、堪忍袋の緒も切れる。

5、発動;具体的な行動計画を発令・指示する 
⇒三度にわたる「緊急事態宣言」が出され、様々な行動計画・指針が出された。メディアなどを通じてこの行動計画・指針を説明するたびに、必ずエクスキューズ(言い訳)がつく。「日本には行動を制限する法がないので、全てお願いベースだ」と。 

実はこの「エクスキューズ」が大問題。失敗をした場合の責任逃れのためにあらかじめ布石をうっているとしか見えない。日本政府の対策が中途半端で多くの国民理解を得られない最大の理由がここにある。

①法がないのは周知の事実。⇒法がないのを前提にして行動計画を作成するのが為政者の責任。⇒これをひねり出すのが【知恵】⇒危機対応はこの種の【知恵】を集合してはじめて成功する。あらかじめできない言い訳をひねり出すなど、国民の信頼を得られるわけがない。

②さらに、この言い訳を材料に、憲法改悪の理由に【緊急事態法】がないことを理由にしようというよこしまな狙いがプンプンしている。本当の危機(今回のパンデミックのような)に対処する責任者は、上記のようなエクスキューズ(言い訳)をしてはならない。それは、国民が言うものである。

「あれだけ懸命にしてくれたのになかなかうまくいかなかったのは、憲法や法の不備があったのも一因。政府や責任者は本当によくやってくれた」とパンデミック終焉後に国民がそういうのなら納得できる。

それをまだ何の結果も出ていない時に言うなど、失敗を前提にした言い訳にしか聞こえない。⇒憲法改悪をしたいがため、本気で対策をしていないのではないか、と疑われても仕方がない。

6、再評価
〇危機内再評価:危機発生中において、行動計画に基づいて実施されている点・または実施されていない点について効果の評価を随時行い、行動計画に必要な修正を加える。
⇒ある程度はなされている。しかし、最大の問題点は、政治の担う領域と科学の担う領域との区分が不明確⇒分科会などの存在が、政府の行動にお墨付きを与える忖度集団という認識を払しょくできていない。⇒信用度が低い

〇事後再評価:危機終息後に危機対策の効果の評価を行い、危機事態の再発防止や危機事態対策の向上を図る。
⇒ここに現在の日本の統治機構の最大の弱点があるように思えてならない。
 ①正確な統計数値に基づき忖度なしの科学的な組織・個人などの評価ができない。小泉政権以降、とくに安倍政権の政策評価や統計数値は信用できない。⇒日本の地盤沈下の最大の要因
 ②危機事態の再発防止の駄目さ加減は、「福一の事故」以降の対応を見れば一目瞭然。⇒責任を取るべき人が取らず、無関係な庶民が事故の重さ、激しさ、辛さなどを一身に背負わされている。⇒日本の統治機構の【無責任】、【無能力】、【無反省】の象徴。

🔸台湾の対策・・・・アジアで最も成功した台湾の対策を見てみる。(日本と対照的⇒日本の地盤沈下の象徴)
 
▼台湾の感染症対策の三本柱
1,感染症への意識の高さ
SARSの苦い経験⇒台湾でも病院で集団院内感染が起こり、84人の死者を出した。当時から台湾は、中国の圧力によって国際機関に加入できておらず、世界保健機関(WHO)から情報提供などの協力を得ることができなかった。当時の台湾は、WHOに加盟できていなかった。(中国政府の一つの中国論の圧力)
  
 ※陳副総統=今回の台湾の感染症対策の事実上の責任者の『産経新聞』(2月26日付)インタビュー 彼は、【公衆衛生学のプロ】
・・・「SARSの際、台湾は国際防疫の孤児だった。原因、診断法、死亡率、治療法の全てが分からず、世界保健機関(WHO)に病例を報告したが反応はなかった。検体は米国から入手し日本の専門家とも情報を交換した。香港やシンガポールの状況から学んだ。WHOから検体が得られていれば、不幸な院内感染は起きなかった。」と語り、「WHOにいないことで、世界の防疫網の穴になってはいけない」と決意したという。・・・・・
https://www.sankei.com/world/news/200226/wor2002260030-n1.html

その結果、感染対策の法整備を一気に進めた。これが、今回の迅速な対応を可能とした原因の1つになったようだ。彼の危機感を多くの人が共有し、この意識の高さが、今回の対策の成功の要因になった、と考えられる。

2、デジタル対策 
◎マスク管理⇒マスクの実名導入性⇒健康保険証の提示で、マスクが買える仕組み(枚数制限はあるが、確実に手に入る) マスクを購入できる薬局などをアプリで提示する。外国へのマスク輸出の制限をかける。
◎海外からの帰国者⇒QRコードを活用して、確実に14日間の隔離を徹底。(毎日、スマートフォンで報告が義務付けられ、家を出ると警察が警告に来る仕組み
   
 ◇デジタル対策の中心 オードリー・タン氏が語る成功の要因
  ◎3つのF 
  Fast (高速)⇒SARSの経験を活かし、中国からの渡航を世界で一番早く実施
  Fair(公平)⇒マスク分配が象徴しているように、誰にももれがないように政策を実施
  Fun (楽しい)⇒高齢者などデジタル弱者が楽しくできるように、チャットポットなどをつくり、ハードルを下げた。
 
3,専門家集団(プロ集団)⇒国民に安心感と信頼を醸成。
ジャーナリスト野島剛氏は以下のように指摘する。  
 ▼日本は対策を“感染症”の専門家が主導し、台湾は“公衆衛生”の専門家が主導した。
    
 ◎台湾で感染症対策を主導した人物
  陳建仁副総統や陳其邁・行政院副院長ら「公衆衛生」のキャリアや経験のある人
 ◎日本
  「感染症」の専門家中心⇒20年6月に廃止された感染症対策専門家会議
・・・ 座長の脇田隆字・国立感染症研究所所長はC型肝炎の専門家で、副座長でいつも安倍首相の側で説明役を務めている尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は、地域医療を専門としている。ほかのメンバーも押谷仁・東北大学大学院教授、岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長をはじめ、12人中、9人が感染症の専門家で、公衆衛生の専門家は東京大学医科学研究所の武藤香織教授しか入っていない。残りの2人は、医師会と法曹界からの当て職メンバーである。
 ・・・コロナ対策に成功した台湾、日本と明暗を分けた理由は? (msn.com)

 ▼公衆衛生学の専門家と感染症の専門家のどこが違うのか。
 ◎感染症学⇒ウイルスや細菌の能力そのものを調べ、治療法を研究する純粋医学
 ◎公衆衛生学⇒感染症の流行から生まれた医学と他の専門知識を統合したような学問

パンデミックのような感染症の大拡大は、流行が拡大すればするほど社会を崩壊させる暴力的な破壊力がある。ブラジルやインドの悲惨な映像を見れば、パンデミックで失われる人命の数は、数万、数十万、否下手をすれば、数百万、数千万に及ぶ。

パンデミックレベルでは、通常の感染症の対策では、対処できない。国家機関や人員を総動員して対処しなければならなくなる。とにかく、滅茶滅茶に金と人がいる。

普通の感染症の専門家では、こういう事態に対処できない。政治の出番になる。このような医療レベルで対処できない対策を考えるのが【公衆衛生学】。

台湾は発生当初から、公衆衛生学の専門家が、パンデミック対策の指揮をした。特に、陳建仁副総統は、公衆衛生の専門家。蔡英文総統は、彼にパンデミック対策の全権を委任し、見事に成功した。

🔸結語

残念ながら、台湾と日本の対処の決定的相違点は、本当の意味での専門家を大切にせず、常にある種のバイアスのかかった【御用学者・御用専門家】を重用してきた日本の専門家会議のありようだと思う。

言葉を変えれば、台湾は本当の学者を大切にし、日本はヒラメ学者・ヒラメ専門家を大切にする。台湾は科学を大切にし、過去の教訓を良く学び、未来に生かしている。日本は、科学や科学的真理を軽視し、過去の苦い教訓から学ぼうとしない。もはや、先進国とは言えない無残な状況だと思う。

今回のコロナ対策の彼我の違いは、科学的真実を尊重し、過去を謙虚に反省し、過去からきちんと学ぶなどという当たり前の事を、台湾政府は、きちんと行った。それに引き換え、日本政府は権力者の忖度に慣れすぎ、全ての対策が、スピード感がなく、小出し。

政府の広報も「できない理由を語る」「言い訳をする」という側面が強すぎ、国民の信頼を失った。それに対し、台湾政府は、感染症の専門家などが、連日、正確な数値に基づき、丁寧な説明を行い、国民の信頼を勝ち取った。

この彼我の違いには、台湾政府と日本政府の置かれている政治的立場の違いが鮮明に出ている。台湾政府は、日常的に中国政府との緊張関係に置かれており、国民の信頼を失えば、それこそあっという間に自分たちのいる場所がなくなる。国民の信頼を勝ち取る事は、自分たちの生きる場所の確保に即つながるのである。だから、台湾政府の政治的対策の一つ一つに真摯さがある。指導者の言葉一つ一つに重みがある。

これに比べると、日本政府の対策は、おざなりの感が否めない。自民党独り勝ちの政治の弊害がもろに出ている。「国民なんて誤魔化せば何とかなるさ」というせせら笑いが聞こえてくるような緊張感のない対策のオンパレードだ。

自民党の今回のパンデミックの対策の酷さは、国民の政治意識の低さに比例している。物言わぬ国民には素晴らしい政治など手に入らない。「この程度の国民にこの程度の政治」という言葉は真実である。国民は、この事を肝に銘じなければならない。

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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東京五輪中止、署名35万筆超=IOCや都に要望書―宇都宮氏

2021-05-14 16:46:23 | オリンピック
5月6日の「護憲+」ブログでもご紹介した「東京五輪開催中止」のネット署名に関し、呼び掛け人の宇都宮さんが14日午前時点の結果をまとめ、IOC、IPC、東京都に要望書を提出。その後記者会見を行いました。

『東京五輪中止、署名35万筆超=IOCや都に要望書―宇都宮氏

 元日弁連会長の宇都宮健児氏は14日、東京五輪・パラリンピックの開催中止を求めるインターネット署名活動を踏まえた要望書を、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)、東京都に提出した。集まった署名は同日午前で35万筆を超えた。

 宇都宮氏は都庁で記者会見し、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、国内では医療が逼迫(ひっぱく)しているとして、「命を優先するのか、五輪というセレモニーを優先するのかが問われている。この署名は人々の命を優先する運動だ」と強調した。

 また、大会中止の場合にIOCが大会組織委員会に賠償請求すれば、「世界中から袋だたきに遭い、IOCは崩壊してしまうのではないか」と語った。』
(時事通信社 2021/05/14 15:37)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021051400727&g=soc

記者会見のもようは、以下のYouTubeで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=AT_UovlyOwE

一部メディアの記者からは、ピント外れの質問も出されていますが、さすが宇都宮さん、全ての質問に、落ち着いて誠実に答えています。

宇都宮さんは、「オリンピック開催中止決定まで署名は続ける」と言っています。開催中止を望み、署名がまだの方は、今からでも是非、署名にご参加を!
https://utsunomiyakenji.jp/stoptokyoolympic/

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
笹井明子
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公金の研究(1)

2021-05-13 16:17:05 | 社会問題
1.警察庁・警視庁の壁面研究

1)駐車違反監視員制度
 (2,000人が現在採用され活動中と推定される・200万円年収と仮定して)警察としては40億円の投資。
 (2006年頃から民間監視員制度化)
  2012年度実績の交通反則者納金額(内閣府2014年度歳入予算概算見積額総括表より):
  2012年度に622億円の収入があった。(投資の15倍)580億円程の余剰資金が発生。
 
  2000人の職を提供していることは評価しなければと思う。但し580億円程のブラックボックスの資金が産まれていることをやはり問題視しなければと思います。この金がどうなっているのか、興味あるところです。

2)違反に付随する警察としてのビジネスチャンス

2)-1.レッカー移動代(普通車でレッカー移動されると14000円程が請求されます。)
  622億円分の違反の車両数として、約400万車両がレッカー移動対象車両になるが、当然全てではなくレッカー移動までされる車両数はその5%と仮定すると20万車両。レッカー移動金額が1.4万円/1台だからほぼ30億円が毎年発生することになる。
 レッカー会社数は2151社(いつの調査結果かは不明)との記事があり、1社約4人体制と仮定して約1万人が働いていることになる。更に一人年収300万と仮定すると、レッカー市場の規模は300億円程度に計算上はなる。
 警察は(30億円/300億円)x100=10%分を、レッカー業者団体に毎年貢献していることになる。この癒着具合の実態を調べてみたい欲求はある。

2)-2.レッカー移動で民間駐車場に止め置くことがある。駐車料金(5000円程/1日)
 これは駐車場ビジネス業界への利益供与になる。5億円から10億円程度と想像する。

2)-3.違反講習料金(約10000円) 違反点数が6点程たまると強制的に講習となる。
 講習場所は東京の場合府中・江東の2か所。他に各県に1か所以上あるとして約70か所位か。
 1日50人の累積違反者講習を100日間行うと仮定すると、35万人を講習させるキャパがあることになり、MAX35億円の講習料を徴収することが計算上は可能である。
 講習が必要な累積違反者が毎年35万人発生という仮定は、2)-1の違反車両台数の運転者400万人の9%程であり、あながち見当はずれではないと思うが、公表されている実態ではありません。ここは更に調査が必要と思っております。
 全て仮定通りであれば、警官の再就職場所の鮫洲等の運転試験場の1000人分以上の給与分を供与していることになる。

2)-4.違反ではないが最近の高齢ドライバー違反の増加で70歳時と75歳時の特別講習が始まっている。これは民間の自動車教習所への利益供与のためだろう。 
 毎年30万人程いると仮定すると、一人1万円として30億円の利益提供になる。結構大きな資金付け替えで、やはり癒着の有無を調べたい所です。

なんでこんな事を始めたか、には幾つかの理由があります。
① 権力があれば如何に簡単に億円以上の金が作れるか、の実態を調べたいと思ったこと。
② 費用対効果的に問題点を探れれば、またそもそも無駄の可能性のある事案をあぶり出したいがため、と思ったこと。
③ ブラックボックスになりかねない泡銭の実態を暴いておくことを狙ってのこと。
④ 市民側の発想で何か良いことをしたい場合、やはり資金の問題が即発生します。マネ出来る、盗める部分があれば、柔軟に考える必要があるでしょう。
 
先ず取掛かり的に警察関係を取り上げただけで、他意はなく、以後いろいろの面を追加する形にしていきたいと思っています。

如何にふざけた社会が知らない間に出来あがっているかを、総括的俯瞰的に調べておき残して置きたかったからです。どこまでできるか?協力していただけると有り難い所です。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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Covid-19ワクチン―-人はなぜ2回目を見逃すか?(DeutscheWelle5月1日)

2021-05-12 13:57:34 | 社会問題
コロナ禍のなか、ワクチン接種が身近な話題になって来ております。参考になればとの思いで世界の現況を紹介している記事をアップしてみました。

アメリカ人の8%近くが1回目のBioNTech-PfizerかModernaを打った後、2回目の接種場所に現れない、と疾病制御予防センター(TheCenterForDiseaseControl&Prevention)が発表している。果たして1回接種で効果あるのか?

(何故数百万のアメリカ人は2回目をいやがるのか?)

TheNewYorkTimesによれば2回目を受けない理由は、2回目の副作用を恐れること、1回で充分と考えること、等から個人の責に問えない例えば予約キャンセル、希望ブランドのワクチンがなかったこと等々いろいろある、としている。逆に見れば92%のアメリカ人は当局の指示通りに2回目まで接種うけているのではあるが。

ワクチンおよび感染症機構のA.Rasmussen博士はこんな経験をしている。彼女はワシントンでBioNTech-Pfizer ワクチンを一回目に接種後、2回目の前に新たな職の為、カナダに移住せざるを得なく、よって2回目がJ&Jワクチン(一回接種でOKのワクチン)になってしまった。彼女は自身の経験をもふまえて、更に人によっては移動手段にハンデを持つことや、インターネットに疎いこと等も考えると、8%程の人が2回目を辞退する気持ちもわかると言う。

(何故人は2回目を飛ばすのか?)

専門家は2回目を飛ばす理由にいろいろな点があるという。
ある人は1回の接種で充分だとの情報を見たという理由で。また他の理由は接種後の副作用に関してである。

「一回目の接種で不快な症状があった場合、人は2回目でまた同じ目に会いたくないと思うものだ」。また少数ではあるが単に2回目を忘れたがための人もいる。

また専門家から2回目を打たないよう指導されている人たちもいる。彼らは過去にワクチン接種でアレルギー反応を起こしたり、ワクチン賦活剤に悪い影響を受けた経験をもっている等、少数ではあるが専門家から注意を受けているケースもある。

人口統計学的要因も働いている可能性がある。Cooper博士はアフリカ系アメリカ人が一回目の接種機会においてすら有る特別の障害から困難を抱えているという。

「あなたがもし年老いた有色系人種の場合、あなたは多分携帯やパソコンを持ってはなく、昔ながらの固定電話に頼る生き方をしているだろう。ワクチン予約等の受付場所は連絡先電話番号の表示はなく、オンラインのみで初めてやり取りできることになっている。」

「例えそのオンラインの関門をクリアできたとして、次に接種場所が隣町であったりした場合、移動手段がバス列車等の公共機関を当てにしなければならないとしたら、このコロナ禍の最中、かかる経費も含めてこの次なる関門を皆が全員クリア出来るのか、ということになるだろう。」

経済的な心配もワクチンを敬遠する動機になる。多くの米国の労働者はワクチン接種をしたいと希望しても、必ずしも経営者から支援が必ず得られるわけでない状況に置かれている。この点に関しBiden大統領は中小企業の経営者に従業員の接種に有給扱いを求めており、税制上の措置もするとしている。

(一回の接種で充分なのか?)

COVID-19に対して長い期間に亘り、しかも充分有効に感染を予防するには2回の接種が望ましいと専門家は繰り返して言っている。短期間で考えれば1回目の接種である程度の予防は可能である。しかしその効果がいつまで続くかは良く分かっていない。

2つの最近の研究からいずれのワクチン接種後においても、接種後に強い抗体反応が起こることが分かった。1方の研究は、BioNTech-Pfizer またはアストラゼネカの一回の接種で感染症状を72%抑制するとした。BioNTech-Pfizerワクチンを2回接種した後には90%の抑制が見られるとした。アストラゼネカワクチンの方は2回目の接種後の抑制率は報告されてはいない。この研究を行ったPouwels氏は2回目の接種は感染抑制をより永く、より良く抑制するとしている。

「いかなる他の感染症と同様、一般的には一回目の接種後の初期に高い感染予防効果があるが徐々に効果は薄れていく。抗体応答性からみると効果の低下は比較的早い。第2回目の接種後の抗体レベルはより高くなり、より抑制性が高まる。特に高齢者にこの傾向が見られる。」とPouwels氏は言っている。「第2回目の接種は大切である。」としている。

2回目の接種までに長く待たされた場合に2回目の接種が機能しないというわけではない。2回の接種の間の期間に有るだろうとされる予防効果が期待できないということである。人が切望することは、2回目の接種が長期にわたる免疫応答記憶を引き出すのに真に必要だと思うことである、とRasmussen氏は言っている。

(COVID-19感染回復者は1回のワクチン接種で充分か?)

Cedars-Sinaiメデイカルセンターの研究者によると、260人以上の被験者の結果からPfizer-BioNTechワクチンはCOVID-19感染回復者には1回の接種だけで2回接種したグループと同等の免疫応答が見られるとした。研究者によると感染回復者には2回目は必要ないとの結果が出ているとしている。問題は1回の接種がどれほどの有効性か、ということである。

「多くの人がすでにCOVID-19に罹っている。ワクチンの入手性はまだ多くの地域で不十分である。従ってCOVID-19に罹患済みの人に対し接種一回で済むということは、免疫予防された人の数を有意義に増加させる結果になり、地域レベルで感染の流行を阻止する上で大いに有効である。」とBraun教授は述べている。

Penn免疫研究所の研究によっても、感染から回復した人は第一回目のmRNAワクチン接種で強い抗体応答を示すことが判明している。報道によればWherry氏は「これらの結果は短期的有効性の観点でも又長期的有効性の観点でも元気づけられるものであり、このことは記憶B細胞の分析を通じてのmRNAワクチン免疫応答に関する我々の理解に、“記憶B細胞は長期免疫性を補強する”という考えを、付け加えることになる。」と言っている。

ドイツのワクチンStanding委員会は最近かれらの知見を更新している。それによるとCOVID-19を引き起こしたSARS-CoV-2に感染した人に対しては“一回のワクチン接種を回復後-‐‐-(ここの‐‐‐‐には一方では「半年以内」に行うべきととれるし、他方反対に「半年はあけて」行うべきともとれる原文になっております。専門家でない私としてはこの点断定的には表現することは避けたいと思い、両面の併記とした次第です。ワクチンと関係なくコロナに罹患した人でワクチンをどう考えたらよいかについては、専門家に確認してください)に行うべきとした。感染によりその後生じる継続される免疫がある故、ワクチン1回接種での追加免疫で充分良好な免疫応答が生じるからとした。全ての認可されているワクチンが回復後に使用するワクチンとして使用可能としている。”

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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