老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

ブラック・ライヴズ・マターの歴史的背景

2020-07-03 09:33:11 | アメリカ
2020年5月25日、アメリカ・ミネソタ州のミネアポリスで、白人警官によって肘で首を押さえつけられ、黒人男性のジョージ・フロイドさんが死亡するという事件が発生した。

この事件を受けて、アメリカ各地でこの事件に抗議するデモが起こり、世界中でもデモが広がった。

日本では、こうした抗議活動の広がりなどは突然に起こったというマスコミ報道が多いが、それはアメリカの歴史と現在の問題状況を間違った視点から理解しているからであり、抗議運動における声明文の「ブラック・ライヴズ・マター」(黒人の命も大事だ)を初めて聞いたかのような日本人の感覚は、この「間違った視点」の帰結でもあるだろう。

つまり、日本ではアメリカの黒人差別問題が「アメリカの歴史」を表面的で、皮相な歴史としてしか情報として伝えられていないからなのである。

アメリカの「黒人差別」の歴史を順を追って見ることにする。

1、「南北戦争」
南北戦争(1861年)(アメリカでは「市民戦争」と言う)が奴隷解放を巡る戦争であったことは周知のことであろう。しかし、この「奴隷解放」という「歴史」が実は大きなミスリーディングの源であると思われる。

なぜなら、奴隷解放後のアメリカ社会で、「黒人の差別」はなんら解消されていないからである。分かりやすく言えば、「人権の保障なき奴隷解放」だったということである。

2、「人種差別の合法化」
南北戦争は奴隷解放を目指した北軍が勝利して、その後、連邦議会が奴隷制度の廃止や公民権の付与、黒人男性への参政権の付与を中心に3つの憲法修正条項を追加したことで、表向きは黒人奴隷の「解放」が実現したことになっていた。

しかし、1883年の公民権裁判での最高裁の判断は、「合衆国で生まれた(または帰化した)すべての者に公民権を与える」とした「修正14条は私人による差別には当てはまらない」として、個人や民間企業によって公民権を脅かされた人々を保護しなかった。

この判決は、1875年に制定され公共施設での黒人差別を禁止した公民権法のほとんどを、実質上、無効化した。さらに、1980年にルイジアナ州は、黒人と白人で鉄道車両を分離するという人種差別法案を可決した。

こうした「歴史」を簡単に言えば、つい最近まで南アフリカで大手を振るっていた「アパルトヘイト」政策のアメリカ版だと言えば分かりやすいであろう。

3、「公民権運動と事件」
こうしたアメリカにおける「人種差別」;「黒人差別」の長い歴史の中で、黒人が自分たちの「公民権」(日本ならば、市民としての基本的人権である)の保障を求めて権利の主張を提起した運動が「公民権運動」と言われる運動である。

この運動の最中に、様々な事件が起こった。詳細は省くが、公民権運動の中で黒人への様々な妨害工作や殺人事件が多発していたし、実際に黒人のデモに対する警察や州兵の発砲事件が大きな事件となっていた。

ここでは、有名な公民権運動の指導者であるキング牧師の業績などを見直してみたい。

キング牧師たちの呼びかけに応じて、1963年8月28日、ワシントン・D.Cにおいて、人種差別や人種隔離の撤廃を求める「ワシントン大行進」は20万人以上の参加者を集め、最高潮に達していた。この時のキング牧師の演説「I Have a Dream.」は、アメリカだけではなく、世界中でも有名なものであった。

こうしたキング牧師たちの運動の成果として、公民権法が制定されることになった。(ケネディ大統領がこの法律の制定などを次々に成し遂げたが、凶弾に倒れ、続くジョンソン大統領が後を引き継ぐ形で制定させたのである。)

「結語」
こうした、公民権運動と公民権法の制定にもかかわらず、白人警官による黒人差別殺人などは後を絶たない。

白人多数の黒人差別(有色人種差別も含む)がアメリカ社会から人権意識改革として重要視されず、「ブラック・ライヴズ・マター」として抗議活動を大々的に展開しても、アメリカの白人女性たち(多数であろう)は「白人のことも大事だよ」と見当違いも甚だしい反論などを大声で叫んでいることなどから、論点のすり替えや黒人への差別殺人は「黒人などがターゲットにされている」という問題認識もない白人社会の、「貧困なる知性」の賜物ではないかとも思える。

日本も、社会的弱者への差別の解消になんらの配慮も示さない小池百合子都知事の再選が可能性としてあり得る国なので、アメリカも日本も同じような社会ではないかとも言えるのであるが。

差別の問題への関心がないところでは、「ブラック・ライヴズ・マター」という声明は何時でも必要なのであると思える。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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「国連」とアメリカの覇権は検証が必要である

2020-03-27 09:15:55 | アメリカ
1、日本における学術用語は最大の盲点となる。

国際連合という日本語(訳語)は誤解の原因を作る。UNという英語には国際(インターナショナル)という意味はない。連合国としか訳せない。

日本の戦後の教科書では、(誤訳に基づくと思われる)「国際連合」という用語で統一されているが、これは以下の理由で誤解の原因になる。

日本の戦後史の一般的な歴史教科書では「連合国によって日本にポツダム宣言が発せられた。その後、日本はこれを受諾した」となっている。

ところが、戦後史の記述では「ポツダム宣言を受諾した日本はサンフランシスコ講和条約を締結した。そして1956年に国際連合に加盟した」と記述される。

しかし、国連という機関は、日本の敗戦時も敗戦前も国連という名称つまり「連合国」という名称を使用しているので、日本の歴史記述は誤りである。端的に言うと、連合国(国連)は戦時中(1945年6月)にサンフランシスコで発足しているので、日本の歴史家のように戦前と戦後で使い分けるのは間違いなのである。

2、以上の前提から(日本語による誤訳と誤解を解いてから)、連合国という世界的な機構は、発足当初から、超大国のアメリカや主要5か国の政治的な決定に基づく国際紛争などの解決問題においては、大きな限界を持っているばかりか、国際法なども(国連憲章と言われる)実効性を持っているのかも疑問が多い。

そして、そうした限界が最近(この20年前後)になり顕著になっている。ある歴史学者のサイトでも「近年は加盟国が増大する一方、国連を無視する大国主義の動きも顕著になっており、困難な課題に直面している」と記述されている。この大国主義というのは主に近年のアメリカの覇権を指すとみて間違いないであろう。

3、(本項は研究途上にあるため、今回は問題点の指摘に止まることを一応断っておく。)

アメリカの「大国主義」の跋扈は今に始まったことではなく、国連(連合国)発足当初から露呈していた。

最初は、ポツダム宣言を直ちに受諾せず「黙殺」している日本政府の和平の動きに、なんらの譲歩も示さず、当時の国際法(国際連盟などの法規その他)で許されていない新型爆弾(つまり原爆)を二発も投下して多くの国民の生命を奪った。

続く「東京裁判」では、ニュールンベルグ裁判と異なり、アメリカの主導で軍事法廷を進めた。そこでは免責された戦犯容疑者と戦犯組織も多く、またBC級の裁判では不公正な判決も多いと思われる(検証中である)。

要するに東京裁判の見直しの作業も当然必要となってこよう。なぜ、戦争指導者の多くが免責されたのか。謎が多すぎるのである。

また、国連(連合国)は、アメリカの戦後の「紛争介入」にただ手をこまねいていただけであり、その理由も明らかになっておらず、少数の研究者が調査しているだけである。

この「紛争介入」とは、実際にはアメリカの戦闘行為を指すのである。これらが国連憲章を遵守していたかもあまり明らかにされていない。具体的にはベトナム戦争などである。

4、一番大きな問題点としては、世界各地に張り巡らされた多数の米軍基地であるが、その数は「無数」に近い。

また、国連でも最近条約として締結された「核兵器禁止条約」である。この条約に締結していない国がアメリカと原爆被災国の日本であるが、これが一番の難問である。

この4の問題(無数にある米軍基地の問題と核兵器禁止条約を締結しない問題など)は次回に続く。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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イラン危機問題

2020-01-12 10:27:05 | アメリカ
正月早々、きな臭いニュースが飛び込んだ。1月3日、アメリカ軍は、トランプ大統領の命令で、イラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を無人機(ドローン)を使って殺害した。

スレイマニ司令官は、軍人だが、イランが置かれている立場(イスラエル・サウジアラビアから敵視され、米国との関係も良くない)を熟知。この窮地を脱するために、レバノンのヒズボラ、イラクのシーア派民兵組織、南イエメンのフーシ派などとの関係を構築。武器その他の援助を通じて、緊密な関係を構築している。

さらに、シリアのアサド政権がISISなどの攻撃で窮地に陥っていたのをヒズボラなどとともに助け、現在の状況(ISISを壊滅状況に追い込む)に回復させた立役者である。

さらに言えば、ISIS掃討作戦では、米軍と協力もしており、米国にとっても重要な人物である。現在はイラク・シリア・レバノンなどとイランの良好な関係を構築したり、サウジアラビアとクエートの関係を改善したりしている外交官的役割を果たしている人物。今回はレバノン訪問後、民間機でバクダット空港に到着、バクダッド市内に向かう途中に空爆された。

名無しの探偵さんが指摘されているように、今回のスレイマニ司令官暗殺は、どう抗弁しても、「自衛権行使」という言い訳は利かない。「戦争を避けるために暗殺した」などという言い訳も説得力がない。

これは明らかな殺人行為で、訴追されても仕方がない。さすがにトランプ大統領本人もこの屁理屈が通りにくいことが分かったのか、ツイッターでは、「報復!」と言っているようだ。

米国と言う国は、自分に協力してくれた人物が自立して動き始め、米国にとって邪魔な存在になると消してしまう。ビンラディンもそうだし、ISISの指導者のバクダディも元々米国が育てた人間。イラク戦争で協力し、シリア戦争でも協力してくれたクルド人に対する仕打ちも同様である。

スレイマニ司令官は、米国子飼いの人物ではないが、邪魔になったISIS掃討作戦などで、緊密な連携を取っていたと言われる。だから、米国が様々な問題で苦境に陥っていた時に助け舟を出してくれる貴重な存在だった。イランと米国と言う敵対関係にある国同士でも、水面下での関係を結べる数少ない重要人物だったはずだ。

このような人物を暗殺するなど米国にとって「百害あって一利なし」の作戦。一つ間違えば、中東大戦争になる危険性が大。どうもトランプ大統領という人物、常識的な政策選択をしない人物のようだ。このような人物の政策決定を読み解くためには、彼の思考の根幹を読み解かなくては理解できない。

米軍は、12月29日にイラク民兵団(PMU)(イラン系)の拠点を空爆している。PMUを援助していたのがイラン。スレイマニ司令官はその中心人物。米軍が、ISISでなく、民兵団を攻撃したのは、2014年以来初めて。当然、PMU側は激怒。12月31日から米国大使館を占拠・破壊した。1月3日のスレイマニ司令官暗殺は、その報復だというわけである。

ところが、12月29日の「PMU」空爆は、12月27日にキルクーク近郊の米軍基地が砲撃されていた事への報復。この砲撃の犯人が誰かは分かっていないが、「PMU」に違いないと決めつけて報復した。米国得意の濡れ衣作戦に近い。

この文脈から考えると、どうもトランプの米国は、意図的に、イラク民兵団やイランとの対立を激化させようとしている。

🔷ここで大前提として考えなければならないのは、トランプ大統領はイランと戦争をする気はない、と言う事である。

① スレイマニ司令官暗殺直後、トランプ大統領はイランと戦争する気はない、と言っている。

② イランが報復にイラクの飛行場を攻撃したが、その前にイラク側にミサイルを打つことを教えている。当然その情報は米側に伝わり、人的被害はほとんどなかったはず。イランの攻撃は、司令官暗殺に怒るイラン民衆のガス抜きの可能性が高い。

③ スレイマニ司令官暗殺直後、米軍からイラン側に同じ規模の報復をするように話があったと言う。米軍側もイラン側の事情が分かったうえで、落としどころを示唆したのだろう。現に、飛行場にミサイルを撃たれても、トランプ大統領は報復の指示を出していない。

④ イラン側の戦力は米軍にかなり劣る。軍事費だけを比べると、10分の一程度と考えてよい。これで戦争に突入すれば、当然、米国有利。ただ、以下の理由でそう簡単には言い切れない。

⑤ 米軍側から見ると、イランはイラクの3倍以上の国土面積がある。人口も8千万以上いる。首都テヘランを占拠しようとすれば、米軍は千キロ近い陸路を進軍しなければならない。これもまた犠牲が大きすぎる。イラクですらまともな統治ができなかった米国にイランの統治ができるはずがない。

⑥ さらに言えば、イラクはフセイン支配に反発するシーア派の存在があり、さらにクルド人というフセイン政権に反対している勢力があった。米軍はこの対立を利用できたが、イランにはこの種の対立がない。つまり、「分裂させて統治せよ」という手段が使いにくい。と言う事は、戦争が始まれば、米軍そのものが標的になる。米兵の犠牲もイラク戦争の比ではない可能性が高い。
 さらに、イランは、レバノン、イラク、シリア、南オセチアなどにイランの影響下にある軍事組織を持っている。戦争が始まれば、これらの組織が米軍基地を襲撃する可能性が高い。
 イランと本格的な戦争を始めるためには、米軍は、100万人規模の軍隊が必要だとされている。同時に、イラクでの経験から類推すると、イラン占領のためには、約240万の米兵が必要という分析も出ている。予備役を投入しても今のアメリカ軍にそれだけの戦力はない。
 となると、勝利のためには、相当数の核兵器を使うしかない。通常兵器での戦争ならロシアや中国は表立って動かないとみられているが、核戦争なら話は別だ。全面核戦争に発展する恐れがある。

⑦ 結論的に言うと、米軍もイランと正面切って戦争はできない。イランも同様。と言う事は、お互いに非難を応酬するが、全面戦争に至らないと思う。

⑧ 現在、トランプ大統領は、イランに対する金融制裁の強化とイランによるウクライナ航空機の撃墜という心理的揺さぶりで対処し始めている。これを見ていても、全面戦争にはならないだろうと思う。

🔷では、トランプ大統領の狙いはどこにあるのだろうか。日本の大方の評論家の話は、トランプは気まぐれで思い付きで政策を決定しているので、何も考えていないのだろう、という事になる。これはこれで怖しい話である。何も考えていなくて気まぐれで戦争を起こされては世界中の人間が大迷惑をこうむる。

それは違うと、わたしは、考えている。彼の目的は、金食い虫の中東でのプレゼンスを止める事。つまり、中東から軍を撤退する事にある。

【理由】
アメリカは、中東での戦争をことごとく失敗している。アフガニスタンは18年あまり戦争をしているが、結局勝利できていない。戦況はタリバンの勝利と言って良い。戦費は軽く1兆ドルを超えている。中村哲氏のアフガンでの貢献と、1兆ドルを超える米国の使った費用とその貢献を比較しても、中村氏の貢献の方がアフガンの人々の心に刻み込まれているだろう。費用対効果は最低と言って良い。

イラクも戦争自体には勝利したが、統治は完全に失敗。イランを敵視していたが、結局シーア派の政権を樹立せざるを得なかった(イランはシーア派)。莫大な戦費を使い、戦死者も多数出し、結局敵国イランを利する結果しか出していない。

シリアではアサド政権追い出しに失敗。結局アサド政権が勝利している。

リビアでは、カダフィは殺害できたが、今や国内は完全な破綻国家。テロリストの巣窟になりつつある。中東での指導者としては、カダフィの身ぎれいさと統治能力は出色だった。彼を殺害まで追い込んで一体どんな素晴らしい国家を作ったのか。現状を見れば、その答えは明白。アメリカの行動が正しかったという人間はいないだろう。

冷静に客観的に見れば、アメリカは中東で一体何をしたのか、何をしたかったのか、誰にも答えられない。結果として残ったのは、破壊され荒れ果てた国土と機能しない腐敗した政権と飢えた国民と多くの死者と難民だけ。そして、莫大な儲けを出したのが、軍産複合体だけ、という荒涼たる景色しか見えてこない。

多少なりとも、正確にものを見て、考える力のある人間から見れば、アメリカが世界最高の【ならず者国家】だと断定されるだろう。

その結果、中東でのプレゼンスは、ロシアに奪われかけている。莫大な費用と戦費を使い、多くの若者の血を流しておいて、結局、米国と米国人は、中東各国民衆の怨嗟の的にはなったが、何も得るものがなかったと言って良い。

トランプ大統領は、これを止めようとしている。商売人らしく、無駄金ばかり使って何の成果もない、と言う事である。この認識は正しい。ぜひ、実行してほしいものだ。

トランプ大統領の就任直後から、わたしはトランプ大統領の右派的言動の粗野さには辟易するが、大きな方向性には賛同すると言ってきた。ネオコンバリバリのヒラリー・クリントンより、ましだと言ってきた。

トランプ大統領の基本的方向性から考えると、米軍の中東からの撤退が彼の狙いであり、それはぶれていないと考えなければならない。

(1) スレイマニ司令官殺害の政治的影響

スレイマニ司令官のようなイラン本国では英雄扱いの外交的要人を殺害すれば、その政治的影響は計り知れない。まず、イラク議会は、駐留米軍撤退決議を議決した。イラク議会主流派(シーア派)が初めて米軍撤退を議決したのである。この影響は小さくない。

 ★2011年オバマ政権当時、米軍は一度撤退している。※軍産複合体はISISを育て、決起させ、イラク・シリアに大混乱を巻き起こす。ISISは米国のマッチポンプ。これだけは押さえておかねばならない。
 ★2014年⇒イラク北部をISISに占領されたイラク政府の要請⇒米軍イラクに再駐留。⇒軍産複合体の狙い通り。
 ★トランプ大統領時代⇒シリア内戦が終息状況に入る。ロシア・イラン・アサド側の勝利が確定する。軍産主導のISIS、トルコ、アルカイダ、米国の敗北が決定的。トルコはロシアと関係を回復している。ISISの残党は、トルコ監視下のイドリブで幽閉か、米軍監視下でイラクの砂漠に逃げ込む。
    ↓
 ★結果、米軍駐留の必要性が薄れ、米軍撤退の声が増大していた。⇔ところが、イランは、イラク国内のナショナリズム(イランに支配される事を嫌がる)に配慮⇒米軍撤退を急がず、イラクが米軍とイランの影響下にあるようにバランスを取っていた。⇒イラクがイラン支配下にある事をできるだけ公にせず、隠然としたものにしていた。(スレイマニ司令官の政治的配慮)
    ↓
   ●スレイマニ司令官の暗殺は、この微妙な勢力均衡状態をぶち壊すことになる。
   ●同時に、イラク国内の反米感情が高まり、反イラン感情が薄まる。
   ●米軍支配がやりにくくなり、米軍撤退の道が広がる。⇒トランプの狙い通り。

(2)スレイマニ司令官暗殺がもたらす世界の米国を見る目の変化

トランプ大統領の登場以来、彼の掲げる米国ファースト政策の持つ【独善性】【傲慢さ】【露骨さ】【下品さ】が世界中に知れ渡った。新自由主義思考の持つ「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の醜悪な姿が否応なしに世界中に知れ渡った。

トランプ大統領登場以降、中国との関係、ロシアとの関係、EUとの関係、北朝鮮との関係、南米との関係、カナダとの関係、どれ一つとってもうまくいっていない。

トランプ大統領の目的が「米国は世界の警察官を降りる」と言う所にあるのなら、彼のこの4年間はある意味大成功だった。彼は覇権国家米国の持つ負の側面(強引・傲慢・わがまま・自分勝手・脅して従わせる・利用して捨てる・露骨に金を要求する・他者の意見など絶対聞かない・・・)を世界中に認識させた。

多くの国が、眉を顰め、舌打ちをしながら、覇権国家であるためにしぶしぶ付き合っている。それでもEUの国々などは、それなりの抵抗を試みている。中ロなどは、公然と反旗を翻している。

つまり、米国が覇権国家(世界の警察官)を降りるための世界の国々の心理的条件は整ってきたのである。覇権国家が覇権国家であるために必要な理念(尊敬の心)、力(恐怖心)、利益のうち、恐怖心(力)に特化した脅しが主体の外交で覇権国家を維持できるはずがない。

トランプ大統領は、意外とその事を分かって振る舞っているのではないか、と思う。今回のスレイマニ司令官暗殺事件は、中東の覇権をロシアに譲渡するトランプ流戦略の一環だと考えれば納得がいく。

(3)米国が世界の警察官から降りた後の日本の惨めな姿を想像しておく必要がある。

以前からわたしは、日本は、米国と一緒に沈没するのか、と書いてきた。米国だって、世界の警察官をできれば続けたいが、それができないから、様々な強引な手段を使い始めている。その一環が、米国の戦争に他国を強引に巻き込み、戦費や戦力を負担させるやり口の拡大である。

EU諸国にも韓国にも日本にも米国駐留のための費用をもっともっと負担しろと要求している。日本には、現在の思いやり予算の4倍の要求をしているとも言われている。当然要求された国々から、そんなにお金を出すくらいなら、米軍は帰ってもらって結構、という声が出るのは承知の上。

ところが、どの国にも米軍と一体化し、おこぼれを頂戴して生きている勢力が存在する。彼らは米軍が撤退するとうまい汁が吸えなくなる。要求された国々の国内では、米軍の要求を呑めという勢力とそうでない勢力の軋轢が増している。

もう一つは、世界的な規模で発展している【エネルギー革命】である。日本では馬鹿な政府と電力会社(原子力村)たちが、クリーンエネルギーの普及にブレーキをかけ続けているが、世界的には物凄い勢いで普及している。この結果、世界各国の電力価格が限りなく0に近づいている。これが生産価格に影響しないわけがない。日本の生産品が価格競争で敗れる日も近い。

さらに、このエネルギー革命は、環境問題と深く結びついている。日本がいまだに化石燃料発電にこだわっている間に、世界各国(特に欧州など)はこの分野で圧倒的な発展をしている。今や自動車も電気自動車などが主流になりつつあり、石油(化石燃料)の役割が縮小しつつある。

日本ではあまり報道されないが、世界では【ギガフォール】現象が注目されている。簡単に言えば、化石燃料の需要が激減し、価格が下落。化石燃料自体を採掘しなくなる。つまり、否応なく、化石燃料発電ができなくなる、という事を指す。

今回のイラン危機も米国にとって中東の重要性が減少しつつあることの証左でもある。米国は国内でシェールガスによって石油の必要量を賄える。サウジアラビアなどの産油国の重要性が減っている。

さらに言えば、石油の重要性が減少すると、石油取引をドルだけで行うペトロダラーシステムの意味が減少する。と言う事は、アメリカの覇権国家システムが機能しなくなることを意味している。

一方、【石油の重要性】と【ペトロダラーシステム】を通じて米国との一体化で政権を維持してきたサウジ王室にとって、現在の状況は体制の危機そのものを意味する。イランの影響力増大は、それをさらに深刻化する。

これに加えて、中東における【イスラエル】の問題がある。トランプ政権は、イスラエル政権と言っても良い性格を持っている。娘婿のクシュナーとイスラエル政権との関係が象徴するように、トランプ政権とイスラエルとの関係は密接。米国大使館をエルサレムに移したように、一方的にイスラエルに加担。もはやアメリカはパレスチナ問題の解決の仲介者の資格を失っている。

と言う事は、イスラエルにとって米国だけが頼りの状況がますます大きくなり、パレスチナ問題の解決など現実的に不可能という状況になりつつある。この状況で米国が中東でのプレゼンスを引き払うと、イスラエルは生存の危機に陥る。

イスラエルのネタニエフはこの状況を打開するため、何度もロシアを訪問している。もし、アメリカが中東でのプレゼンスを減少した場合、ロシアに頼ろうとしている。(もともとイスラエルに入植したユダヤ人は、ロシアやウクライナに住んでいた連中が多い。建国当初から、イスラエルとロシアは関係が深い)

このように、世界各国とも、21世紀世界の変動を予想して、様々な手を打っている。日本のように、米国命で思考停止した政策など取っていない。世界の指導者の肩には、それぞれの国の命運がかかっているのである。

日本政府が、エネルギー革命に真剣に向き合った話も聞かない。環境問題でイニシアチブを取っていれば、クリーンエネルギーでこれほど世界に立ち遅れる事もなかったはずである。

長期間、安倍ぼんくら政権に政権をゆだねたつけをこれから日本は払わなくてはならない。イラン危機は、その始まりだろう。

安全保障上の脅威だと騒いでいる連中が多いが、そんな問題より、これからの多極化世界と中東世界の激変とエネルギー革命にどう対処するかを真剣に考えなければ、日本は21世紀世界で沈没する以外道がなくなると、覚悟しなければならない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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アメリカのイラク司令官暗殺は宣戦布告に等しい

2020-01-07 21:12:33 | アメリカ
アメリカはイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官をドローンによって暗殺しておきながら、トランプ大統領は「宣戦布告ではない」、「戦争を止めるためにした、戦争を始めるためではない」と訳の分からない弁明をしているが、敵の司令官を暗殺してこういう虚偽の弁明をする大統領も珍しい。

しかし、実はこうした軍事行動は今に始まったことではない。アメリカの太平洋戦争終了間近における日本への原爆投下の論理も同じことだったのである。

このアメリカの戦争の歴史の問題は後に述べることにして、今回のテーマは「戦争」の大義名分、つまり戦争の正当化の問題である。

今までの戦争論では、正当化の論理として「自衛のための戦争」というロジックが通説になってきた。

しかし、この論理には自ずと限界がある。

具体的には、「自衛のための戦争」という戦闘行為を正当化する論理が、実際には戦争の名分に過ぎず、違法な戦争である場合である。

だが、侵略に抗して自衛権を発動する場合もないわけではない。急迫不正の侵略に抵抗して自衛権を発動する場合は、現実にあることであり、それを否定することはできないからである。

この「自衛のための戦争」というロジックに自ずと限界があることは、今回のアメリカによるイランの司令官暗殺に明確に現れている。

トランプ大統領は「自衛のための戦争」つまり「自衛権の行使」であると言いたかったが、それには無理があると考えたのだろう。そこで、「宣戦布告ではない」、「戦争を止めるために行動した」と言い訳しているのである。

今のアメリカに、「自衛権の発動」であると明言する必要性もないのであろう。現にブッシュ(ジュニア)大統領の時代に「先制攻撃」も正当化しているのであり、今回のトランプ政権も「自衛権の発動」と明言せずに、「戦争を止めるための」暗殺であると詭弁を弄しているのである。

今回のような軍事行動はトランプ政権で始まったことではない。第二次世界大戦、とりわけ太平洋戦争では、「自衛のための戦争」論はなりを潜めていた。アメリカの軍事行動の歴史の中では、例外的な出来事ではないのである。

アメリカは国連の憲章との整合化を図るために「集団的自衛権」の発動というロジックを好んで使うが、それはレトリックの次元の問題であって、この国は大義名分の下に絶えず鎧を身にまとっているのであり、それは戦争が「商品」の売買となっていることから来る装いにすぎないのである。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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21世紀を読む;米覇権の後退と多極化世界へ (2)

2018-08-03 16:40:40 | アメリカ
★トランプの戦略

こういう巨大な力と戦っているトランプ大統領の戦略は、基本的には(2)の戦略を踏襲している。北朝鮮との交渉に持ち込んだ手法は、今にも戦争を起こさんばかりに危機を煽りまくり、軍産がそれはやりすぎと沈静化に勤め始めた時を狙って交渉に持ち込んだ。

この手法は、シリア空爆やイランとの合意の破棄、エルサレムに米大使館移転などの手法に共通している。トランプの言うディール(交渉術)だろう。現在、行われているのは、イランとの戦争を起こさんばかりのやり取り。イランが本気でホルムズ海峡封鎖を強行したら、戦争は必至だろう。ただ、マティス国防長官が、話し合いの可能性を示唆しているところを見ると、おそらく落としどころを探る動きが出ていると思われる。

これらの政策を冷静によく見れば、米国は中東での仲介者の役割を降りた。仲介者を務めると言う事は、対立する二者の利害から離れて中立の立場を取る事を意味している。

これまで、米国は曲がりなりにも中立性を保ってきた。だから、覇権国家として行動できた。その中立性を捨て去るというのである。これでは仲介者の役割は果たせない。俺たちはイスラエルと同じだと言う事を宣言したと同じである。と言う事は、中東での覇権を手放したと言う事と同義である。

中東の覇権はロシアに任せたのである。(ヘルシンキでのプーチン大統領との会談の主要目的)

★覇権のコスト

さて、冷静に考えてみて、世界で唯一の覇権国家という立場は、アメリカやアメリカ国民にとって幸福なものなのだろうか。

この問いは、アメリカという国の将来を真剣に考えている大統領・政治家・学者・評論家・国民にとって重い問いである。覇権を維持するためには、膨大なコスト(資金的にも社会的にも、兵力維持のための兵員確保をどうするかなど)がかかる。こういうコストを支払ってまで覇権を維持するのが正しいのか。簡単に答えの出る問題ではない。

(1) 覇権を維持するための軍事的コスト⇒> 軍事費:6,110億ドル(約73兆円)
2007〜2016年、軍事費の変化:4.8%減 (オバマ政権下)
軍事費、GDP比:3.3%
1人当たり軍事支出:1,886ドル(約20万円強)  世界の軍事費の35%

(2) 兵士をどのように確保するか⇒現役兵士の数⇒約140万人 世界各地にある米軍基地の数⇒約800。(内訳;ドイツ=172。日本=113。韓国=83、など世界80ケ国に存在。) 
文化人類学者ヴァイン教授の試算⇒アメリカの納税者たちは1年に平均して1万ドルから4万ドルを、海外で働く一人の軍人を養うために支払っている。しかしながら納税者たちはまず、その事実に気づくことはない。

専門家は、アメリカ駐留軍は11の航空母艦とそれらの海軍基地を含め、様々な形をとって160の国と領土に存在していると指摘している。また、宇宙空間でもその存在が増している。公正を期すために指摘しておくと、国外における基地というのは他国も有しているが、そのような基地の数は全部で30といったところだ。とするとアメリカの有する国外に配置している駐留軍は、全世界の在外駐留軍のうち95パーセントにあたる。(スプートニック;
https://jp.sputniknews.com/us/20150918913887/

この膨大な費用と人員(兵士)を確保しなければならない。これが「覇権」を維持するためのコストというわけである。

(3) 帰還兵のPTSDなどが示す社会へのコスト⇒イラク戦争が始まった時、声高に語れたのが「戦争の民営化」という言葉。特にラムズフェルド国務長官がよく使った。

⇒文字通り、戦争を金儲けのタネにする発想⇒ハリーバートンなどの企業の名前が挙がっていた。・・・・・⇒このように、一部の企業経営者にとって戦争は文字通りビジネスだった。
           ↓
イラク戦争での米軍死者⇒約4500人
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty.htm
イラク戦争でのイラク人死者⇒約50万人
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8459/

一部の企業の儲けのために、これだけの人命が失われた。よく考えれば、すぐ理解できるが、米軍戦死者の保証は国が行う。しかも、米軍兵士の給料は国が払う。戦争をする主体の費用は、全て国が負担。企業が負担する必要経費ではない。こんなうまい儲け話はない。文字通り、坊主丸儲けの世界である。「戦争の民営化」とは、人の生命を金儲けのタネにする、「ハイエナ資本主義」の極致である。

問題はそれだけで終わらない。米軍帰還兵の精神的疾患(いわゆるPTSD)の発症率はきわめて高く、しかも事態は非常に深刻。

ランド研究所(米軍にきわめて近いシンクタンク)が出した数字。
https://www.rand.org/pubs/monographs/MG720.html

・・・「戦争による目に見えない傷」(Invisible Wounds of War)として、帰還兵の3割がPTSD(心的外傷後ストレス傷害)やTBI(脳損傷)に侵されているという報告書を出した。また、同研究所は5月には、【帰還兵の自殺者】が、イラクアフガンでの戦死者数を上回ったことをレポートしている。

それによれば、「およそ300,000人がPTSDまたは大うつ病に現在も苦しんでいると見積もり、320,000人の退役軍人が配備中にほぼTBIである病を経験し、」「過去に配備された人々のうちの三分の一(31パーセント)が、これらの3種類の体の異常の内の少なくとも1つを持っている」。つまり、派兵された兵士の3分の1、およそ50~60万人近くが何らかの形で精神疾患・脳障害を負っているのだ。そこで明かされるコストも膨大である。重度精神疾患者一人に4000万円近いコストがかかる。治療費にとどまらない「社会的負担」が覆い被さるのである。9月にはこの報告書に基づいて、TBI患者への補償の増額が決定されている。・・・

日本でもNHKスペシヤルでこの問題が報告されている。
戦場 心の傷(1)兵士はどう戦わされてきたか  2008年9月14日(日) 放映
戦場 心の傷(2)ママはイラクへ行った  2008年9月15日(月) 放映

そして、この問題がアメリカ社会の格差拡大につながり、社会の大きな不安要因になっている。自殺だけにとどまらず、凶悪犯罪に手を染める帰還兵も多く出ている。

映画ランボウの苦悩はベトナム戦争が舞台だったが、イラク戦争やアフガン戦争帰還兵も同じ悩みに苦しんでいる。時の流れは残酷でそのような悩みを抱えた帰還兵たちも容赦なく年をとる。ますます、彼らの社会復帰が難しくなり、問題の深刻さは増すばかりである。

上記のような問題を深刻に受け止め、真摯に問題に向き合うなら、【世界唯一の覇権国家】であり続ける正当な理由を見つけ出すことは難しい。

歴代の米大統領は、軍産の力を削ぐために、覇権の一部を中ロなどに譲り渡したいが、軍産の代弁者たちの「敵に覇権を渡すなどとんでもない」という主張に阻まれてきた。それでも強行しようとするとケネディ家のような悲劇に見舞われる可能性が高い。

アメリカが覇権国家になった初期の理想(世界平和の構築)などどこかに飛んで行き、軍産複合体の利益確保のための【覇権国家】という現状になっている。

現在、トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領との会談で譲歩しすぎたという批判にさらされている。わたしたちは、メディアから、トランプ大統領がロシアの代理人だという主張をずっと聞かされ続けている。彼がロシアの代理人だという証拠は何もないのに関わらず、である。

Paul Craig Robertsは、【アメリカ大統領を打倒するCIA/FBI/DOJの策謀】という文章でその事を告発している。
(マスコミに載らない海外記事 http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/ciafbidoj-e76f.html

如何にトランプ大統領が軍産複合体から危険視されているかがうかがえる。軍産にとってトランプを潰さなければ、自らの基盤が失われるという危機感が伝わってくる。

・・・トランプ大統領はその事をよく知っており、軍産の主張に同調したように見せかけながら、過剰な敵視政策をとることにより、反米国家や非米国家を団結させ、米国の覇権外に新たな国際秩序を構築するように仕向けている。(上海機構や今回の北朝鮮が良い例)イランとの確執もその戦略の一環ではないかという疑いがある。

さらに米国が起こし、無残な失敗をした中東などの馬鹿な戦争の後始末をロシアやイランなどの非米国家に任せ、その地域を非米国家の覇権下に押しやる方法である。イラク、シリア、北朝鮮、エジプトやイスラエルもロシアに任せている。つまり、中東の覇権はロシアに譲っている。・・・(田中宇説)

さらにG7やNATOでのトランプの言動。トルコに対する言動。アメリカの同盟国に対するこれらの言動は、当然同盟国の首脳を怒らせる。そうなれば、同盟各国はアメリカに過剰に依存する事を止めようと考え始める。良い例がドイツのメルケル首相で、彼女ははっきりと「アメリカにはもう頼れない」と言い始めている。

特に、貿易問題などで欧州産品の関税を上げようというトランプの主張を受け、EU各国も報復関税をかけようとしている。こうなると、経済でもEU各国は自立する以外ない。TPP離脱やNAFTA再交渉もこの文脈で見なければならない。

さらに、注目しなければならないのは、NY連銀に対するトランプの要求である。アメリカでは、伝統的にNY連銀の独立性が重視されてきたが、ここにきてトランプ大統領は、利上げしないでドル安・低金利を維持しろと圧力をかけている。さらに、日本やEUに対し、ドル高・円安ユーロ安を維持するQEなど緩和策をやめろと言い出している。これが利いたかどうか定かではないが、8/1に行われたNY連銀の金利は現状維持だった。

トランプのこの政策は、短期的には米国貿易の縮小。長期的には、アメリカ国債の利上げ、を齎す。

つまり、米国覇権にぶら下がりたいEUや日銀にとって、米国貿易を拡大し、アメリカ国債の利下げが利益。トランプの政策は、この狙いを壊すもの。日本もよくよく考えなければ、トランプの経済政策で経済がボロボロにされる可能性がある。

アメリカ覇権に永久にぶら下がりたい同盟諸国は、これからはトランプ大統領の政策に安保・経済両面で追い立てられると覚悟しなければならない。

★トランプ大統領の政策目標

◎安全保障と経済(金融)⇒対米自立・非米化の強制

日本の官僚機構⇒対米従属(隷属と言ってもよい)が自らの官僚独裁を守る要諦と信じている。(※鳩山由紀夫が知らなかったと証言した日米会議で様々な方向性が決定している)

例えば、・・・7月31日、黒田日銀が政策決定会合で、QEを今後も長期にわたって続けることを決めた。今回の政策決定は「次回大統領選挙でトランプが再選を果たす2020年まではQEを続ける。QEの資金によって、日本だけでなく米国の金利安(債券高)や株高を維持し、米国中心の債券金融システムの破綻を先送りすることで、トランプ再選に貢献する」という意味だ。・・・田中宇(田中宇の国際ニュース)

つまり、国家の方向性を決定するようなQE(その弊害はもはや看過できないところに来ている)を日銀が決定してしまう。下手をすると、日本経済がクラッシュする可能性が囁かれているような政策をこのまま続けるというのである。

欧州の中央銀行(ECB)は今年末でQE(金融緩和)を止める。彼らは、対米自立を加速させようとしている。

トランプ大統領が続く限り、欧州の動きが世界の主流になる。日本政府が購入を決めたイージス・アショアの馬鹿高さ一つとっても、対米従属のコストが看過できない規模にまで達している。日銀の異次元とうそぶいた金融政策も、そもそもは、米金融当局を助けるため、行われた政策。

トランプアメリカが、対米従属を止め、対米自立をしろ、と言っているのに、「どこまでも付いて行きます 下駄の雪」という対米従属政策以外にひねり出せない安倍政権と日本官僚機構の能無しぶり、へたれぶりにはあきれ返る。

現状維持思考だけで、こんな「無能政権」を支持していると、日本沈没が目の前にくる。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水
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America First ⇒America Only⇒America Aloneへ

2018-06-18 16:56:15 | アメリカ
トランプ大統領が、中国に対する500億ドル相当の経済制裁を発動した。主たる狙いは、IT産業(AIやロボット産業)である。

それに対して中国も即座に自動車・農産品を中心に、500億ドル相当の報復関税措置を発表。米中両国が貿易戦争に突入する可能性が高くなった。

トランプ大統領は、シンガポール会談の前、カナダでG7会合に出席した。America First を標榜し、保護主義貿易と多国間協議を否定し、二国間協議を主張するトランプ大統領に対し、G7各国は、首脳宣言では焦点の貿易問題について「保護主義と引き続き戦う」とした上で、「自由で公平で互恵的な貿易が成長の鍵」などと自由貿易の重要性を訴えている。

ところが、トランプ大統領は、ツイッターで、首脳宣言を認めない、と書き、あからさまなチャブ台返しを行った。

G7では、米国以外の国々と米国の対立は明らかで、G7の結束が疑われている。米国の孤立を象徴している写真が出ている。ドイツのメルケル首相がトランプに詰め寄っている写真である。
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/136.html

同時期に行われた上海機構の会議では、参加各国が和気あいあいの雰囲気で議論していたと報道されているのと好対照。

・・「習近平主席が、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンやインドやパキスタンやカザフスタンやキルギスタンやタジキスタンやウズベキスタンやイランの指導者を温かく歓迎した。これら指導者の陽気なまとまりは、G7での不和と激論とは実に対照的だ。
 何十年もの戦争や紛争の後、インドとパキスタンがSCOの新たな二国として参加、同席したのは、新たな地政学的パラダイムが、東で立ち上がりつつあることを証明する強力な証拠だ。
 
SCO加盟諸国は、経済発展と相互安全保障での提携の取り組みを倍加すると誓った。新世界秩序は、アメリカ率いる秩序の場合のように、一つの大国が、他の国々に対し、覇権を行使するのではなく、協力に基づくものを手招きしていると習主席は述べた。」・・
二サミット物語 Finian Cunningham (マスコミに載らない海外記事)

わたしたちが目の前にしているのは、世界史的な「パラダイム・チェンジ」の光景である。

トランプ大統領が意図的に行っているのは、これまでの世界秩序(米国一国覇権主義)の破壊であろう。

米朝会談は、その象徴。米国覇権主義の象徴であり、米国軍事力の誇示であった「米韓軍事演習」の中止は、米国が「世界覇権」から降りるという明確なメッセージである。

しかし、G7や中国製品に対する「関税強化」は、戦後世界を形作っていた「世界貿易秩序」に対するあからさま挑戦である。

【貿易の自由化】は、米国覇権の重要な要素だった。戦後、米国にとって、【貿易の自由化】は各国に対する【錦の御旗】だった。日本との貿易戦争が象徴するように、各国との貿易摩擦の主要議題は常に【貿易の自由化】だった。

この【貿易の自由化】理念は、後進国にとって大きな政治的リスクを伴う主張だった。その産業以外主だった産業がない国に【貿易の自由化】を押し付けると、安い外国製品が流入し、その国にとって死活的な産業が壊滅状態に陥る。例えば、TPPのような完全自由化を目標にすると、それこそ窮地に陥る産業が多数存在する。このため、政治力が弱く、米国のいいなりの国では、国内産業が衰退し、近代化が遅れたところは多数存在する。

ところが、その反対に、日本のように安い労働力と能力が高く勤勉な労働者を持った国が、優れた製品を作り、それを米国に輸出するという構図もできる。

その結果、その製品が米国市場を席巻し、いまや米国の製造業は壊滅状況に陥った。トランプの主要な支持層のラストベルトがそうである。

トランプの今回の措置は、崩壊しつつある米国国内産業(製造業)への救済を意味する。もしこれが後進国の主張なら、多くの国が、一国の指導者として当然だろうと思ったはず。

ところが、米国というのは、「自由貿易」を旗印に、世界各国に関税を下げろと迫ってきた張本人。それが自国に都合が悪くなると、「関税」を吊り上げ、自由貿易の旗印を下ろす主張するのだから、他国が怒るのは当然。G7で、ドイツのメルケルはじめ各国首脳から詰め寄られるのも無理はない。トランプの主張は、America Firstではなく、America Onlyと受け取られている。

実は、歴代米大統領もトランプ大統領とさほど違ってはいない。かれらの政策決定は、常にAmerica Firstであり、ブッシュ政権のようにほとんどAmerica Only(英国はブレア政権だけが支持)でイラク戦争を戦った政権もある。

しかし、彼らは建前であっても、America Firstとは決して口にしなかった。ましてや、America Onlyなどとは口が裂けても言わなかった。「自由主義世界のため」か「民主主義という価値観を同じくする国家」のためとか、必ず、建前を口にした。それだけ、世界のリーダーとしての米国という意識が強かったのである。

ところがトランプ大統領は全く違う。そんな建前を気にしていたら、米国は衰退する、と本気で信じている。米国を立て直すためには、お上品な建前など、「百害あって一利なし」と考えている。

このトランプ大統領の信念は、米朝会談のようなドラスティックな変化をもたらすが、G7のような無用な混乱も引き起こす。

さらに厄介なのは、「覇権の多様化」が進む中で、【覇権国家】のありように慣れた国内の勢力(軍産複合体など)との軋轢が増加する事である。米国が覇権を放棄する過程で、次の覇権国中国などとの軋轢は避けられない。(そうしないと国内勢力を抑えられない。)さらに、国内勢力(永遠に米国が覇権国家である事が飯のタネ)との軋轢が激しさを増すであろう。ケネディのような暗殺の危険性もはらんでいる。

その為、事は、トランプの思い描いているようには、一直線には進まない。わたしの予想では、米国の「孤立化」が進行する。「America Alone」の進行である。

これが、【転形期の混乱】である。

日本人は、世界が東西冷戦終結以来の【パラダイム・チェンジ】の時代に入っていることを認識しなければならない。

これから当分の間は、世界中で子供が玩具をひっくり返したような、取っ散らかった光景が現出するに違いない。その後、新たな世界秩序が創出される。この秩序の創出に参加できない国は、21世紀を生き抜けないと覚悟しておいた方が良い。

※安倍政権にその能力があるのか。

日本や日本人が21世紀を生き抜くためには、腹の底から上記の問いを考え抜かなければならない。(あまり、時間はない。)

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「アメリカの歴史」再考

2018-03-01 17:42:10 | アメリカ
アメリカの大統領に共和党のトランプ氏が選ばれて、最近では核態勢の見直しまで表明しています。将来の戦争に小型の核兵器を使用するという内容でした。

その後にまたしても高校で銃の乱射事件です。マスコミは大分前に起きた「コロンバイン高校での銃の乱射事件にも触れていません。マイケル・ムーア監督はこの事件をドキュメンタリーとして映画化しました。

ムーア監督はアメリカとカナダを比較して、同じように銃の保有が許されているのに(市民の武装の権利として)カナダでは大量殺人は起きていないし、殺人事件も少ないとして、なぜアメリカではこうも銃の乱射による大量殺人が多いのか、その原因をアメリカの建国の歴史から解明した興味深い映画でした。

今回の投稿では銃の乱射事件の問題に直接触れることはしません。そうした危険な社会である(白昼に高校などで銃の乱射があるのですから「危険」です)背景をアメリカの近現代から探ることが目的です。

最近、二つの映画を観ました。一つは原題「セルマ」日本では「グローリー・明日への行進」で、キング牧師の「公民権運動」の過程を映画化したものです。もう一つの映画は50年代前後の赤狩り旋風に巻き込まれた脚本家のトロンボ氏を描いた作品です。

まず、キング牧師の指導した公民権運動の映画「セルマ」から、アメリカ近現代の歴史を垣間見ることにします。

この映画でキング牧師の実像と、暗殺事件とその根元にある「黒人差別」と、それを跳ね除ける運動に映像で触れて、私自身の無知とアメリカの真実の歴史に触れて戦慄したことを告白します。

この映画は黒人の方たちが投票権を行使したいと思い、投票行動に出るのですが、白人に妨害されます。そして、キング牧師たち差別撤回運動の指導者は、最終的にセルマを目指して大行進を始めます。黒人や差別に反対する白人などが行進しますが、南部の州知事は州兵などを使って妨害(実際には銃で威嚇)します。途中のエピソードとして「血の日曜日事件」を実際に映像化したシーンもありました。黒人がデモをしただけで多数が殺害されました。

この映像を観て最初に思ったのは、南北戦争の後に黒人は奴隷でなくなり自由を獲得したのではないのかと。これは誤解でした。(日本の、アメリカの歴史の説明が間違っていると思う。)単に奴隷でなくなっただけで、酷い差別からはなんら解放されていないのが実態であり、特に南部諸州では差別は酷かったのです。投票権もない国民がどんな人間なのでしょうか。公民権運動は奴隷身分から解放された黒人が行った当然の権利行使です。

その運動の過程でキング牧師が暗殺されたという事実を重くみないことが、アメリカの真の歴史を歪めることになるのです。アメリカに民主主義が根付かず、大量殺人が頻発するのは、こうした歴史的背景が原因なのかもしれません。

キング牧師の暗殺事件のときにアメリカはベトナム戦争の泥沼の中にいました。そして、現在も大統領は核兵器の態勢見直をし発表しています。この国は根本のところで変っていないし、変ろうという運動も十分に育っていません。

最近の高校での銃の乱射事件の後も大統領は「銃の規制」に触れようともしていません。これが民主主義の国なのでしょうか。

もう一つの映画「トランボ」もアメリカ社会の非民主的な一面を鋭く描いていました。赤狩りの対象にされた脚本家のトランボは家族を守るために偽名で(刑務所から出所する場面から映画は始まる)脚本を多数世に出します。映画の題名を記しましょう。「ローマの休日」、「スパルタカス」です。この二つの映画で、偽名のトランボはアカデミー賞を受賞しています。(スパルタカス」の方は主演のカーク・ダグラスさんがトランボさんをクレジットに名前を出しています。)

この40年代から60年代にかけてのアメリカの歴史こそが真実であり、表面的にはともかく、「非国民」や黒人には民主主義の恩恵は全くありません。

こうした歴史的な風土から、学校などでの大量殺人が引き起こされる背景が産まれるのではないでしょうか。いまだに、この国ではキュー・クラックス・クランという白人至上主義団体が盛んです。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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フロリダ州バークランドの学校内で銃乱射事件

2018-02-15 14:48:07 | アメリカ
度々起きている事件なので、あまり関心も向かなくなっている。「少なくとも17人が犠牲になっている」という報道内容であるが、アメリカの政府も議会も「銃の規制」を憲法上の権利;市民の武装の権利に反するとしているので、今後も銃乱射事件は後を絶たないはずである。

アメリカは対外的にも内国的にも、最終的な方法として銃による紛争解決を是とするのであり、このことは以前に指摘した。

そして、大統領自ら仮想敵国に対しての「核の使用」は有り得るという立場を鮮明にして、戦争という政治的解決を選択し、しかも核兵器まで使用するというのだ。

この国に普通の意味での「平和」と「平和的解決」(日本国憲法全文の言う「平和的生存権」が代表的な原理である)を望むと言う選択肢はあまり期待できない。「戦争を違法とする近代国家」という表向きの顔は仮面にすぎないのではないかという疑念もわいてくる。

そうした精神のありようが「銃の乱射事件」として市民生活の場においても表面化しているのではないだろうか。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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アメリカ大統領:トランプのもう一つの正体

2018-02-04 11:08:50 | アメリカ
ついに来ましたね。(評論家A)

そうですね。とうとう本音があらわになりました。(政治学者B)

トランプさんは「核兵器禁止条約」が多数の国の賛同で締結されている時期を狙っていたのでしょう。(A)

「核態勢見直し」(ニュークリア・ポスチュー・レヴュー)とかなんとか言って、核兵器を所有しない国に対しても「核攻撃」はありうる、とまで言っている。(B)

1945年のヒロシマ・ナガサキへの原爆投下後に書かれた(1948年)小説「1984」は、こういう事態を予測しているSFではなく、予言の小説だったのではないですか。(A)

そうです。トランプさんはこの小説の主人公の一人である「ビッグブラザー」の兄であるという予言なんですね。(B)

では弟は誰ですか。役不足ですが、ビッグブラザー弟は安倍さんでしょうか。(A)

そうですね。アメリカと日本は一体化を深めています。弟は役不足ですが、安倍さんに間違いないでしょう。(B)

それにしてもとんでもない時代になりました。予言が的中しないようにお願いするほかないですね。
神頼みではなくて、抵抗勢力を結集して「核兵器禁止条約」を実のあるものにしないといけません。
このままだとビッグブラザーの台頭によって「地球」が持ちませんから。

皆さん、お願いしますよ。

「護憲+BBS」「どんぺりを飲みながら」より
名無しの探偵
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日本にまでフェイクコメントを持ち込むな

2018-01-20 16:41:30 | アメリカ
19日のNHKウエブニュースによれば、アメリカのハガティ駐日大使は、アメリカ軍のヘリコプターが、沖縄県宜野湾市の小学校の上空を飛行したことについて、『「この情報は誤りだ。調査チームがレーダ-の分析なども行って何が起きたか調べたが、ヘリコプターは小学校の上空は飛行していない」と述べ、日本側の指摘はあたらないと主張しました』と報じている。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180119/k10011294311000.html?utm_int=news_co
ntents_news-genre-politics_002
>「米大使「小学校の上空は飛行していない」
>アメリカのハガティ駐日大使は、先月、アメリカ軍のヘリコプターからグラウンドに窓が落下した沖縄県宜野湾市の小学校の上空を、18日、アメリカ軍のヘリコプターが飛行していることが沖縄防衛局などによって確認されたことについて、「この情報は誤りだ。調査チームがレーダ-の分析なども行って何が起きたか調べたが、ヘリコプターは小学校の上空は飛行していない」と述べ、日本側の指摘はあたらないと主張しました。(以上記事)

小学校の上空を飛んでいるヘリの姿は日本の沖縄防衛局も小学校も映像に撮り確認しているにもかかわらず、このような事実を公然と否定する米国大使の姿勢は一体何なのか。トランプ大統領の、自分に都合の悪い事実は全て否定する手口が、沖縄米軍、日本の米国大使館内にも蔓延しつつある証ではあるまいか。

外務省はハガティ駐日大使に、『嘘は泥棒のはじまり』という日本の子供向けの教訓(諺)を教えてやれ。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔



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