老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「お隣さんはヒトラー?」これも傷跡

2024-08-12 17:07:36 | 戦争・平和
出演は初老の男性2人、小品であまり話題になっていませんし、映画館も限られていますが、ヒューマンドラマがお好きな方には、ことにお勧めです。

「お隣さんはヒトラー?」
https://hitler-movie.com/

1960年5月、南米アルゼンチンに潜んでいたナチスのアイヒマンが、イスラエルのモサドに拘束されました。アイヒマンはゲシュタポのユダヤ人移送局長で、ユダヤ人数百万人を強制収容所へ移送しました。

ホロコーストで家族全員を失ったユダヤ人のポルスキー(デビッド・ヘイマン)は、南米コロンビアの町はずれの家で家族の思い出の黒薔薇を大事に育てながらひっそり暮らしていて、アイヒマン逮捕のニュースを目にします。

その彼の隣家に、ドイツ人ヘルツォーク(ウド・キア)が引っ越してきました。ポルスキーは、彼はヒトラーだと確信、ユダヤ人団体に訴えますが、ヒトラーは1945年に死んでいると相手にされません。

それなら証拠を掴んでやると、ポルスキーは監視を始めます。しかしバッタリ顔を合わせてしまったり、挨拶されたり。ヘルツォークの敷地内になってしまった黒薔薇の水やりに忍び込んで、ジャーマンシェパードに追われたり。

何度も遭遇したために顔なじみとなり、やがてチェスに誘われたり、絵が趣味のヘルツォークがポルスキーの肖像画を描くなど、2人は仲良くなります。

しかしある日、ポルスキーは、ヘルツォークの友人が「ハイル・ヒトラー」と挨拶をするのを目撃。実はヘルツォークは本当に“ヒトラー”だったのです(史実ではないようです)。監督のレオン・プルドフスキーは、ロシア生まれのイスラエル人です。

南米にはアイヒマン、メンゲレ等も逃亡していました。なぜ南米が彼らの地になったかは、以下に書かれていますが、ロシア系のHPですから、そこを知ったうえでお読みください。
https://sputniknews.jp/20231007/17329135.html

政治的な背景はあるにせよ、南米で出会ったユダヤ人とドイツ人の老人2人の出会い、友情、そして…ほのぼのとしながら、戦争にもてあそばれた2人の悲哀が滲みます。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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農業と食の問題を通して世界の潮流を考える(3-2)

2024-08-12 12:59:37 | 環境問題
前回の(3-1)では、ブラジルを例として、遺伝子組み換え作物(GM作物)普及に誘導するシステムが、農業向け化学薬剤の使用量を低減化するのでなく、逆に拡大する可能性があることを示す情報を紹介して締めくくった。このブラジルの例を紹介した2024年1月13日の情報の序論部分の紹介から始めます。逐語的な訳でなく、大意を伝えることを念頭に置いています。

(序論)
ブラジルは、世界最大の食糧生産を誇る国の一つ。それに合わせて殺虫剤等農業向け化学薬剤の外部資源投入を拡大しており、2014年の殺虫剤市場規模は122億米ドルという。
2000~2012年の期間で、単位面積当たりの農業向け薬剤量は2倍以上に拡大している。

これら化学薬剤が環境及び人の健康に対し悪影響を及ぼすとする研究例は数多くあり、かかる観点からすると、ブラジルの化学薬剤拡大の方向性は懸念すべき問題である。

「世界の農業薬剤の使用量の増大傾向」と「遺伝子工学的に除草剤耐性を付与した作物の利用拡大」との間に正比例の関係が存在することを、数多くの研究報告が示している。
米国の研究では、1996~2011年の期間、GM作物の利用により農業向け薬剤が18.3万t増大している(この量は全作物への農業向け薬剤使用量の7%に相当している)。
代表的なGM作物である「グリフォサート耐性形質を付与した大豆」の栽培に限ると、除草剤「グリフォサート」の利用は1995年に年2500トンだったのが、2002年には年3万トン(12倍)へと急増している。

除草剤、2,4-Dへの耐性形質を付与した種子の開発過程で、2,4-D耐性GM種子が実現した場合、2,4-Dの使用が3~7倍に拡大するだろうとの予測がなされている。

ブラジルのGM作物は1990年代末に当初違法に導入され、2003年に正式に承認された。6種類のGM作物が承認されたが、利用されているのは3種(大豆・トウモロコシ・綿花)。

遺伝子工学的に導入されている形質は、可能性としては数多くあるが、現在組み込まれている形質は、「除草剤耐性」と「殺虫剤耐性」と「除草剤・殺虫剤の両方に対する耐性」である。

GM作物の作付面積の観点からブラジルにおけるGM作物の状況を見てみると、興味深いことが見えてくる。
即ち、今回調査した期間の最初の2003年のGM作物の作付面積は300万haであったのが、最後の2014年時点ではGM作物耕作面積が13倍以上の4220万haにまで拡大している。ブラジルの耕作可能面積は、2017年ブラジル政府発表データによると6340万haとされていることから計算すると、2003年時点ではGM作物は全耕作地の5%弱だったのが、2014年に66%を超えるまでに拡大したことになる。
一方ブラジルには、耕作面積が2ha以下の小規模農家の耕作地が全耕地の23%存在しているとされ、これら小規模農家はGM作物の採用・普及は難しいとされており、この23%分を除外して計算し直すと、GM作物は導入が容易であり可能な全耕作地の86.5%に既に浸透していることになる。
【ブラジルの耕作可能面積(ブラジル政府データ):2017年時点で6340万ha
小規模農家数:390万、小規模農家の占める耕作地面積割合:23%】

極めて強烈な浸透・拡散力がGM作物にあったことが判る。

ここに浮かび上がるGM作物が持つブラジル国内への浸透力・伝播力・拡散力というものに注目することが重要と考える。
即ち、グリフォサート耐性GM種子を開発したモンサント社のビジネスモデルの訴求力が極めて大きかったこと、並びにこのビジネスモデルを受け入れる作物生産者側の思惑が上手く合致したことの相乗効果が働いたと思われる。

次にグリフォサート耐性GM種子を開発したモンサント社のビジネスモデルの現状を紹介する情報を基に、遺伝子工学を育種に応用するビジネスモデルの功罪を見てみたい。

紹介する情報は、『グリフォサート耐性作物(GR作物)の歴史と今後の行方(原題:History and Outlook for Glyphosate-Resistant Crops; Reviews of Environmental Contamination and Toxicology,2021 June 10)』になります。要約部分の紹介です。

1996年のグリフォサート耐性作物(Glyphosate-resistant, GR作物)の登場により、バイオ技術を作物に適用する研究開発の流れが開始された。
穀物栽培等を行う生産者らが、可能な限りGR作物を受け入れたことから、農耕史上最も急速に新規技術の利用が推進され、拡大化した事例となっている。

この技術の利用は、雑草対策としてグリフォサート[N-(phosphonomethyl) glycine]利用に依存することを要件としており、グリフォサートの継続的利用により、グリフォサート耐性の雑草が経年的に発現してくることは、当然の成り行きである。
近年、広範囲に拡大しているグリフォサート耐性雑草(GR-weeds)は、グリフォサートとは別の作用機序の除草剤に対しても耐性を発現してきており、GR作物を採用し栽培している生産者らは雑草の管理方法の変更に迫られてきている。
しかし、北米と南米の生産者らは6種の主要穀物栽培に、この技術(GR作物)の利用を継続しているのである。

農業向け化学薬剤製造会社や種子開発企業らは、グリフォサートを利用する耕作法の延命を図っており、その方策としてグリフォサートと他の除草剤との組み合わせ使用の拡大策が有る。
他の組み合わせ除草剤として、グルフォシネート[4-(hydroxy-methyl-phosphinoyl)-DL- homoalanine]、ジカンバ(3,6-dichloro-2-methoxybenzoic acid)、2,4-D [2-(2,4-dichloro-phenoxy)acetic acid]、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸2酸素添加酵素阻害剤(4-hydroxyphenyl pyruvate dioxygenase inhibitors)、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ阻害剤(acetyl coenzyme A carboxylase inhibitors)や他の除草剤がある。

しかしながら除草剤製造会社はここ30年以上にわたり、新しい作用機序を持つ別種の除草剤の商品化は出来ておらず、現在販売中の薬剤の能力をほぼ最大限に使い果たしてしまっているというのが、現在のGR作物栽培者らの行っている雑草管理の状況と言える。
GR作物の栽培は今日でも主流であり、雑草管理はグリフォサートに相変わらずに依存しているけれども、抵抗性を拡大している雑草の能力には追い付いていないのである。

従って栽培者らは新しい技術を切望しているものの、かかる新たな技術は見えてはいない。
GR作物の利用が進んでいない地域への利用の拡大や、6種の主要GR作物以外の例えばGR小麦やGRサトウキビを開発し利用していく方策は残されており、それなりの可能性はあるものの、モンサント社の敷いたRoundup Ready(モンサント社の登録商標名)の革新的なビジネスモデルは終了したと言える状況である。

GR作物が利用され、そしてグリフォサートで雑草対策は万全だとする農業システムにはいくつかの問題点が存在していると考える。
その一つは今見たように、栽培に不可欠な除草剤を使用することにより雑草に薬剤耐性が必然的に発生するという問題である〈雑草だけでなく害虫や植物病原菌にも耐性が起こる)。
2番目の点は、例えばモンサント社のビジネスモデルの構築には、地域農業従事者らの考えや希望が全く組み込まれないシステムで研究・開発が進行されるという事実である。当然ながら、そこには大企業の利益最大化の思想のみが反映されているのである。
更に3番目の問題点として、ビル&メリンダ ゲーツ財団に代表される慈善基金や国際開発金融機関等の存在が世界のGM作物推進の背景に有るのであり、これら組織はその大きな資金力とともに世論を形成し左右していくことが可能な情報発信力をも持っているのである。

換言すると、巨大企業は世界の小規模農家や先住民等が暮らす地域社会の声を聞かずに無視する形で革新技術を創出し、そのビジネスモデルを慈善団体や国際開発金融機関が有する資金力と情報発信力にモノを言わせて、世界に進めていく構図が浮かび上がるのであり、このビジネスモデルの浸透力と展開力の大きさは、始めに紹介したブラジルにおけるGM作物の浸透力と展開力をみれば驚異的だと言えるのである。

現在の農業には、少なくとも2つの耕作上の哲学が有ると考えている。
1つは大企業中心の革新技術の開発が先行し(革新技術開発競争主義)、それを契機にその開発されたビジネスモデルの拡大化を、国際開発金融機関や慈善財団が資金力と広告力を背景にトップダウン式に各国政府に押し付けていくシステムであり、アフリカの例でいえばAGRA的システムである。
もう一つは、AFSA的・ラ ビア カンペシーナ的なシステムであり、そこでは地域に密着し、その地域条件に適った種子を含めて農耕法全般の提案を、小規模農家や地域先住民等と地域の大学や組織の農業専門家とが協働して考案・採用していくというボトムアップ式システムである。
現在は、前者のトップダウンシステムのみが優先されている状況の存在の大きさが、我々に突き付けられている課題だと考えている。
少なくとも後者のボトムアップ式システムにも充分な資金が提供される仕組みを考えていくことが重要な視点と考える。

『遺伝子という山を越えた先にあるもの:アフリカの遺伝子組み換え作物の実態と遺伝子編集技術の暗示するもの(原題Beyond the Genome: Genetically Modified Crops in Africa and the Implications for Genome Editing; Development and Change 2023年1月5日 J.Sean Rock et al)』という報告がある。
この報告では、アフリカにおける農業の今後の向かうべき方向と遺伝子技術の利用の向かうべき方向との指針となる事柄が議論されている。興味深い情報なので 次に紹介します。

この情報は、遺伝子操作技術の中でも特に最新の技法である『遺伝子編集技術Genome Editing、GE技術』が出現した現時点において、アフリカの人々が、この技術に純粋に期待をかけている実態を指摘するとともに、一方では最新GE技術に先立つ数十年前に現われたGM(Genetically Modified)技術が辿った道程の轍を、今回のGE技術が繰り返すことのないような方策を指摘することを狙っているものになります。

(要旨)ゲノム編集技術(GE技術:遺伝形質の改変を促進する植物育種技術の一種)が、アフリカの農業技術開発に従事する研究者や専門家の想像力を膨らませている。遺伝子組み換え作物(GM作物)が数十年前に世の中に登場した時分を彷彿させるものがあり、ゲノム編集は、「高い精密さ・低コスト・短期間で結果が判る」ことから育種の常識を変革する可能性のある技術として歓迎されている。

この論文では2つの事柄を取り扱っている。1つ目はゲノム編集GE技術と以前の遺伝子組み換えGM技術との関係性を考察すること、2つ目は遺伝子組み換え技術の経験から学んだ教訓を、ゲノム編集技術の今後の方向性にどのように活かしていったら良いか、に関する一連の推奨事項を提示することである。

著者らの結論は、技術開発者・開発企業や政策担当者および科学者が、地域農民たちと共同してゲノム編集技術を開発していくシステムを優先することが大切であること、そしてシステムを全体として一体的に構築していくことの重要性を意識して進めていく必要があると考えており、1990年代当時のGMシステム開発の際の『遺伝子の開発・改変のみに焦点を当てたシステム組み立て』にならないよう注意を喚起している。

換言すると、知的所有権によって使用・利用に制約と利権が発生する作物を開発対象とするのでなく、地域ごとに特有の様々な作物を開発対象として選択し、利用することで資源保有の面で劣る地域共同体の農民らにも利用可能なシステムの構築を目指すことである。

複雑であり絶えずダイナミックに変化しているアグロエコロジー型農耕システムの中で、様々な種子が重要な構成要素の一つであることを認識してシステムを構築する必要がある。
これらの考え方が組み込まれない形式での開発システムになるのであれば、そのゲノム編集技術プロジェクトは過去に起こった失敗を再度繰り返す危険が出てくるであろう。

(序論)
2018年、Foreign Affairs 誌上で慈善事業家ビル・ゲーツがゲノム編集の有用性について熱烈メッセージを述べている。
即ち「生命に宿る遺伝形質の改変操作を高速化できる植物育種技術であるゲノム編集技術(GE技術)は、従来最も脆弱な状況にある世界の農民たちを貧困から救い出す武器として有効だ。この技術の持つ可能性を失ってしまうのであれば、それは悲劇だ」と発言している。
政治家たちや政策担当者たちも同様の興奮に包まれていた。例えば前英国環境担当のMichael Gove氏はゲノム編集作物(genome-edited crops)が次に来る農業革命の推進力となるだろう、と発言している。

ゲノム編集技術が注目された事情には、2020年のノーベル化学賞がゲノム編集手段であるCRISPR-Cas9の開発者(E.Charpentier とJ.Doudna)に贈られたことが挙げられる。
ゲノム編集技術はアフリカ農業の開発・推進および転換を目指す専門家らにも刺激を与え、アフリカ大陸の農業を革新する可能性を持つ非常に大きな技術が開発された、と称えている(Komen et al 2020, Tripathi et al 2022、Mudziwapasi et al 2018, Li 2020)。

以前の遺伝子組み換え技術(GM技術)に比べて、ゲノム編集技術(GE技術)が、作物の形質転換のスピードの速さと精密さの点において優れていると、アフリカのゲノム技術擁護者らは指摘している。

これらのゲノム編集にまつわる楽観情報の流され方を見ると、遺伝子組み換え作物(genetically modified crops,GM crops)がアフリカに到来した当時のGM作物を支持する言説の流され方、説明のされかた、物語の語られかたを思い出す。

2000年代の初期、「グリーン革命」の父といわれるNorman Borlaug氏が、遺伝子組み換え技術は増大する世界人口を養っていく上で基本的に重要な武器だと主張した。
アフリカにおける停滞する収穫量の低さを改善し、小規模農民らの飢えと貧困を解決する役割を、このGM作物が担うとして、アフリカの人々もBorlaug氏が説くような話に魅せられていたのである。

GM作物に対し1.7億ドルを超す投資をし、現在もGM作物システムへの最大出資者であるビル・ゲーツ氏は、「アフリカ農民らが抱える栄養上の課題・生産性の課題・作物の疾病の課題をGM技術が解決を約束している」と主張している(Gates,2015)。
これらBorlaug氏やGates氏が謳うビジョンを実現すべくここ30年ほどの時間を使って様々な努力が為されてきたが、アフリカにおけるGM作物の現実・実態は、謳われた宣伝文句程には成果を見せてはいない。

農業バイオ技術の取得に関する国際サービス機関(the International Service for the Acquisition of Agri-biotech Applications, ISAAA)のデータによると、アフリカにおけるGM作物の耕作面積は2%以下であり、南アを除くと僅か0.3%となる。

学者らや活動家らは、GM種子の様な新しい種子技術が、アフリカ農業を如何に工業型への転換を促進するか、そして多額の資本が必要とされる中で農家らの興味を如何に優先して取りつないでいくか、の視点の重要性を指摘している。そして学者らや活動家らは、特許で守られている種子を持続可能な形で利用していくことがアフリカの小規模農家達にとっては困難であると見ている (Juma,1989;Kloppenburg 2004)。

社会科学者らもまた、アフリカにおけるGM作物栽培の拡張が妨げられる政治的-経済的要因を指摘している。それは、購入して利用する種子がコストの高い外部投入資源(肥料や農薬や灌漑設備等)を要求することであり、制約条件の多い作物管理体制を要求するものであるからである。

そしてアフリカの科学者らや農民らの介在が、研究開発段階や育種プログラム検討の時点で制限されていること、確立されている官民協力体制のシステムが、アフリカ農民の利益を優先するのでなく、技術提供企業者の利益を優先していること、そしてGM種子技術と目指すべき農業システムの目標との間の両立性を評価する方法が、妥当性を欠き不適切であること等が問題だと指摘されている(Dowd-Uribe,2014;Adenle,2014;Muraguri, 2010;Rock& Schurman,2020;Luna&Dowd-Uribe,2020)。

これらの批判的な意見の存在を踏まえての推進派と懐疑派との意見の交換が、現在のゲノム編集に絡んでの話題に欠けていることが、目立っているのである。

現在までの状況を観察しているBartkowski氏ら(2018)は、ゲノム編集が抱えている潜在能力・可能性や課題を広範なそして社会科学的な立場から分析している情報はほとんどないとしている。
例外としては、Kuzma氏(2018)がGM作物の遺産から学ぶことが重要な視点だと議論している。Shah氏ら(2021)は、ゲノム編集に関わる言説・説明・物語が戦略的に狭められ、利用されている点の問題を取り上げている。そしてMontenegro de Wit氏(2020)はゲノム編集が「民主化された」技術であるとの概念に疑念を示している。

この論文で、我々は、言説的分析(discursive analysis)と経験上得ている証拠とを組み合わせるやり方でもって、これら批判的な考察に貢献しようと考えている。
即ちアフリカにおけるGM作物遺産のどのような教訓が、今後ゲノム編集技術を理解し、利用していく上で役立つか?

結論的に言えば、過去30年間にわたり近代農業にバイオ技術が介在してきたことで生じた歴史的教訓を我々が適切に評価することが、GM技術とGE技術を擁護する議論が継続したことによって妨げられてきた点を議論することになる。

以上が(要旨)と(序論)部分の紹介でした。
この研究情報は、この後に多くの情報が詰め込まれており、全ての紹介は無理になります。
焦点を絞った形で次回に紹介致します。
ポイントは、GE技術擁護者の訴える3つの特徴(精密さ・コスト面・スピード)に関する擁護側と懐疑派側の論点の整理、そしてGE技術を成功裏にアフリカに普及させたいのであれば、どのような条件が必要なのかの議論を展開すること、になると思います。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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