老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

東日本大震災から13年、自衛隊の果たす役割は?

2024-03-11 11:59:36 | 災害
今日は3月11日。2011年の東日本大震災発生から13年が経ちました。

地震、津波、火災等により2万人を超える死者、行方不明者を出し、原発事故を引き起こした未曾有の大規模災害に、当時私たちは衝撃を受け、被災地はどうしたら立ち直れるのか、自分に何かできることはあるのか、政治は被災者救済と被災地復興に迅速適切に動けるのかと、息をこらしながら見つめる日々が続きました。

そんな当時の状況で、今も強く印象に残っていることのひとつが、自衛隊による献身的な救助活動でした。

震災発生後ほどなくして現地に入った自衛隊は、福島第一原発周辺のがれきの撤去やインフラ整備、被災者への食糧支援や風呂の提供、更には泥にまみれたアルバムの回収や、床の拭き掃除、仏壇の整備等々、被災者の心に寄り添う多岐に亘る支援を行い、その利他的献身と、訓練・組織力に裏打ちされた救援能力に、私たちは強い信頼と共感を抱くようになりました。

こうした国民の間に広がった自衛隊に対する信頼、肯定的評価は、3.11東日本大震災の貴重なプラスの置き土産だったと、今でも思います。

しかし、その一方で、震災後の政治の動きを見ると、野田民主党政権、それに続く安倍自民党政権、共に、安全保障政策の強化に傾斜。「積極的平和主義」と称して、自衛隊の海外派遣を断行するに至りました。

そんな状況下の2016年1月に、「自衛隊は戦場に行くの?」という毎日新聞社主催のシンポジウムがあり、そのシンポジウムのレジュメに、(見習い期間さんのコラム「積極的平和の意味するもの」とも通じる)瀧野隆浩さん(現毎日新聞編集委員)の以下のような印象深い言葉がありました。

「自衛隊には①いわゆる「普通の軍隊」になろうとする新しい流れと②60年かけて培ってきた「軍隊らしくない」「利他性組織」としての本流』がある。『相反する二つの流れをよく理解し、なんとか生かしていけば、安倍首相がいうのとは別の「積極的平和主義」の道が築いていける。』
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/0971579a34329e2702d43bbb99375ceb

現在の岸田政権は、安倍政権の路線を踏襲し、「厳しい安全保障環境」を強調し、「防衛能力」「反撃能力」の強化を全面に打ち出しています。

その一方で、今年1月に起きた能登半島地震に際しては、(3月4日の参議院予算委員会で山本太郎氏が指摘したように、)災害救助に自衛隊を投入することには極端に消極的な姿勢を示しています。

岸田政権の対応から、政府は東日本大震災時に示された自衛隊の「国民の命を救う」能力を活用するのではなく、「敵を殺す軍隊」の強化を重視していく方針だとしか思えません。

ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ攻撃、喧伝される中国や北朝鮮の脅威、等々、世界中に戦争の火種が存在し緊張が高まる中、「平和的生存権」を掲げる「日本国憲法」を持つ私たちは、自衛隊の「災害救助隊」としての機能を強化し、「国際災害救助隊」として世界に貢献することこそが、「真の平和構築」に繋がることを、今一度思い起こす必要があるのではないでしょうか。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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能登半島地震

2024-01-29 23:09:53 | 災害
2024年元旦、誰もが心穏やかに過ごすはずのこの日の夕方、能登半島に大地震が発生し大きな被害が出ているというニュースが流れ、日本中が衝撃と不安に包まれました。

我が家でも午前中に近くの神社で「世界の平和」と「家族の健康」を祈願し、夕方には我が家を訪れた娘家族と共に祝い膳を囲み始めた矢先にこのニュースを知ることになり、高校時代の親友が石川県(志賀町)に住んでいる娘が心配して先方に電話をかけ、「家が壊れてもう住めないかもしれない、猫が心配」と聞いて、「何か手助けできないか」とオロオロして、お正月気分は吹き飛んでしまいました。

その後ニュースで伝わってくるのは、死者236名(災害関連死を含む)、安否不明者19名、住宅被害4万棟超という甚大な被害状況と、避難生活をしている人たちの健康状態の悪化等、一刻を争う状況改善の必要性でした。

しかし、それに対する岸田総理をはじめとする政府の反応は鈍く(裏金問題で頭がいっぱい?)、対応は非常に遅く感じられ、こんな調子では助かる命も助からないと、強い苛立ちと焦燥感を覚えました。

地震発生から間もなく一か月。最近ようやく他の自治体からの助けも入り、少しずつインフラも整備され始めたようです。またボランティアの受け入れも開始され、現地に支局を持つ東京新聞等、メディアからの「リアルな今の状況」「早急に改善が必要なもの」の具体的な情報発信も増えて、それに応えようとする動きも見えてきて、事態が少しずつ改善されていることが感じられ、政府がトンチンカンでも生活を続けていくしかない人々の持つ底力は頼もしいと、少しホッとしています。

ちなみに、娘の友人は当初は自分の車に毛布を運び入れて猫と一緒に寝泊まりし、近くの食堂が提供してくれる食事を摂り、ストックしていた水を使って過ごしていましたが、1月4日には電気が通り、給水車も来るようになって、今は何とか自宅で暮らせるようになったそうです。

厳しい寒さと相俟って、能登地震被災地の皆さんにはまだまだ辛い日々が続きますが、日本全国の人々が被災地に向き合い、ささやかでも自分にできることをしたいと願っていることを信じて、どうか、今何が必要か、遠慮なく声を上げ、無事に生き抜いてください。私も状況がもう少し落ち着いたら、是非能登の地を訪れたいと思います。(『応援割』は要りません!そのお金があったら直接被災者支援に回してください!)

「護憲+コラム」より
笹井明子
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力を合わせることの困難さ ―限界と可能性―

2024-01-14 20:24:37 | 災害
初日から大きな自然災害が発生し、2024年は波乱の幕開けとなった。人間以外には暦など関係ないのだろうが、新年早々に今の日本が抱えている問題を国内外に露呈する契機となってしまったと感じられた。

前回のコラムでは、東日本大震災を経験しているにもかかわらず政府の災害救助能力が乏しいことを的確に指摘し、災害対応をおろそかにする理由も明快に説明されている。

原発のトラブルは今回も過小評価で、もはや見て見ぬふり状態だ。一部の報道によってなんとか断片的に現況を知ることができる。志賀原発の外部電源の復旧には最低でも半年程度かかるようで、定期検査で停止中でなければ大惨事が起きていただろう。

災害対応をおろそかにして、外部からの攻撃に備えた国防にばかり力を入れるのはなぜなのか。軍備を拡張して有事の際には武力行使することを「積極的平和主義」などと称してしきりに叫んでいた時期もあるが、お互いに「攻撃しませんよ」と約束をして戦争を防ぐことはできないのか。
 
これらの疑問は昨年以前からずっと抱いていたことである。そして、災害時に可能な限り早く救助活動を開始して一人でも多くの命を救い、被災した人の衣食住を守るために公助が主導で必要な場所に物的人的支援を素早くできないものかと、災害が起きるたびに首をかしげていた。

これまでに挙げた疑問に対して、政府の中枢にいる人たちの意図を代弁し擁護する発言をテレビの報道番組で偶然に見かけた。これまでに一度は耳にしたことがある言辞も多く、あらかじめ予想できる論法ではあったが、管理し支配する側の手の内を大まかにつかむことができる。
 
すべての機動力を災害救助・支援に注力しないのは、外敵から自国を守る必要もあるのに内部での災害支援に全力を投じると、その隙をついて攻撃しようと考える国もあるかもしれないから、と説明していた。特に自衛隊はそもそも戦闘集団なのだから、外に対して弱みや隙を見せてはいけない、余裕があるところを見せないといけないのだそうだ。
 
市民からの「初動が遅い」という訴えに対しては、「一生懸命に取り組んでいる人たちを非難して足を引っ張らないでほしい」「SNSの発信で世論を形成していると思っているだろうが、世の中全体で見たらごく少数であり、世論とは言えない」「何に対しても批判ばかりしたがるのは日本人の心に余裕がなく貧しくなったからだ」などと、もう何度も耳にしてきた見解を述べていた。

「他者に弱みや隙を見せてはいけない」という男性性を中心に据えた考え方がもはや時代遅れではないかとも思えるが、災害対策に使えるものをすべて投入し全力で取り組む姿を目にしたら、支援したいと思う人も現れるのではないか。

複数の報道によれば、台湾からの救助隊の申し出は日本側が断ったようだ。陸路が確保できないとのことだが、海路・空路で現地入りすることはできなかったのか。有事の際にも何もしないのは、動じない余裕があるというよりも災害対応能力がないと思われるだけではないか。
 
異なる意見が共存できない状態の方がむしろ人々の心に余裕のない集団のように、筆者には感じられる。足を引っ張るためではなく、より良い方向に物事が進んでほしいからこそ、意見を言うのではないか。目の前にある課題に対して国内外を問わず力を合わせて取り組んでいけるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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災害対応能力を疎かにする自民党政権

2024-01-08 14:35:46 | 災害
今年は年初から能登半島地震と羽田空港衝突事故という思いもよらない大災害・大事故が発生しました。発生7日目にして被災地で避難生活を続けている皆様、お見舞い申し上げます。そして、未だ安否確認できない住民の皆様が多数おられます。政府の組織力と行動力で迅速に救出されることを願っています。

さて、東日本大震災を経験しているにも関わらず、政府の災害救助能力が乏しいと感じるのは私だけでしょうか。今回の大地震は能登半島の突端で、陸の孤島になりやすい場所だと承知の上でそう感じるのです。

政府が災害対策本部を立ち上げ、現地では警察・消防・自衛隊等の方々が余震を警戒しながら不眠不休で活動しているのも理解しています。また、民間レベルでは有志が駆けつけ、支援物資の搬入や炊き出し、医療活動を行っています。ヤマザキパンは企業使命をもって、今回も自社配送網を駆使して焼き立てパンを搬入しました。

たた、数多くの個々の意思・支援内容・動きが被災地へ各々向かうと限られた陸路が渋滞し、支援先や支援内容が重複します。すでに「私費でヘリを手配し、空路で支援物資を運び込んでやったぜ」と自己顕示する著名人も。東日本大震災でも熊本地震でも経験したことですが、これでは本当に支援の必要な避難所がいつまでも置き去りになります。

今回の震源地周辺では数年前から地震が頻発し、以前から活断層があることもわかっています。2011年の東日本大震災では主要な陸路から生活道路まで寸断されました。あれから10年以上も月日が過ぎているので、その教訓を活かして迅速に空路・海路を使って支援物資を搬入し、高齢者・傷病者を避難場所から平穏な場所へ移動させるような災害救援システムが構築されていて然るべきと思うのです。

災害救援システムの手順ですが(私見)、平時に
①事前のシミュレーション
②必要な機材・資材・人員(組織)の準備
③予行演習
を行い、災害が発生した場合は
④情報収集
⑤現地視察(被災状況の確認)
⑥救助の方法・手順の具体化
⑦迅速な行動(効果的、効率的な救助)
⑧行動の評価(救援はどのくらい達成したか)
を行い、前述した④~⑧を繰り返します。

すでに地震発生から1週間たっていますが、テレビ・新聞・webの報道や情報をみても、この総合的な対応(④~⑧)について政府からの発表もマスコミからの報道もありません。被災地から悲惨な避難状況が断片的に伝わって来るだけ。馳県知事は何を指示しているのか、岸田総理は何を支援しているのか。なぜ適時、適切なマスコミへの記者会見を行わないのか。これは、政府が2011年から今まで①~⑧を疎かにしてきた証左。すなわち、政府の怠慢ということです。なぜ怠慢かと言えば、政府は違うことに血道を挙げてきたからです。

安倍政権から岸田政権まで、政府は北朝鮮の弾道ミサイルと中国との尖閣諸島問題で国民を煽り、防衛費に人・もの・カネをつぎ込んできました。先制攻撃論を具現化するために米国からトマホークミサイルを購入し、有事にはオスプレイと空母(護衛艦を改造)で尖閣諸島へ乗り込む企てをしています。前述した災害救援システムの①~⑧は、戦争で敵地を攻撃する手順を参考にしています。すでに防衛省はこれらのシミュレーションや演習を米軍と共同で行っており、④情報収集においては米軍レーダーとのデータリンク運用を進めているでしょう。

中国が尖閣諸島へ奇襲上陸した時に攻撃~撃退する対応能力と、遠隔地が未曽有の災害に襲われた時に救助~支援する対応能力は同じことなのです。政府が巨額の防衛費を注ぎ込み、何ができるのか。その結果、何ができたのか。自衛隊は平時に「災害救助隊」にできないのか。今回の地震対応力を見れば、ハッキリとわかります。

もう一つ、被災地の甚大な被害が報道される一方で被災状況の全容が把握できない現状にも関わらず、近隣原発の被災状況が具体的に発表されません。被災状況が把握できていないのに一時は「異常なし」と発表する怪しさ。鳩山由紀夫元首相が不用意な発言をすれば、叩かれる始末。叩くべきは岸田政権であり、マスコミは「近隣原発の現状」をもっと追求しなければ。フクシマのようになってからでは遅いのです!

ちなみに「原発が運転停止中」とは核燃料の間に制御棒を入れ、「一時的に」核分裂反応を抑えている状態です。原子力発電が「消火している」わけではなく、種火がついています。例えて、クルマの運転中にブレーキを踏んでいる状態。ブレーキを踏む足をケガしたら、ブレーキが壊れかけていたら、どうなるか・・・怖ろしい話なのですよ。
◆原子力Q&A ー 原子炉を運転しているときと休止している状態では、どこが違うのか?
(NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん)
https://jein.jp/blog-bando/232-blog84.html

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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人手もお金も報道も被災地へ!

2022-09-27 17:49:21 | 災害
ツイッターには、家の中を濁流が流れている様子や、水びたしになった町の様子、水をもらいにきた人々長蛇の列などが溢れています。
きのうのNHKのニュースでは、被災地のことは全く触れずに、「国葬」のことを延々とやっていたそうです。
きょうの毎日新聞をしげしげと眺めても、被災地のことは全く載っていません。
ツイッターを見るまで、こんな酷い状況とは知らなかったという声もありました。

大分時間がたってから、市長⇒県知事に要請があり、知事から自衛隊の出動要請されたとか・・・?
泥のかきだしや、もう使えなくなった家具を運び出すことなど、人手はたくさん欲しいのではないでしょうか?

カナダの首相は、自国の水害のために「国葬」をキャンセルしたとのこと。
日本の首相は、この被害の様子、目に入らないのでしょうか?

「国葬」はキャンセルと発表した、れいわ新選組の山本太郎さんは、被災地の現場にいるそうです。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
コナシ&コブシ
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動物界のホットスポットを如何にあぶり出し次のパンデミックの出現を抑えるか?

2021-07-10 13:30:31 | 災害
動物界における発生リスクのもととなる野生動物の取引市場を監視する手法を、研究者が開発中という。その手法を利用すれば、行政は適切な時期に獣医学的に厳密なやり方で危機回避可能となるだろう。それは単に市場全面停止・禁止という手段より、有効な方法になるだろう。(DeutscheWelle、2021年7月6日)

7月6日は世界ズーノシスの日(World Zoonoses Day:フランスのパスツールが狂犬病ワクチンを初めて投与した日にちなんでの記念日のようです。人と動物とが動物由来の伝染病を介して互いに関連しあいつつ生存しているという哲学的な意識もある記念日のようです)。コロナパンデミックが世界を覆い続けるなか、積極的な施策が動物由来の感染症の更なる流行を抑えるために求められている。

数十年来、科学者は危険な動物由来感染症の存在に警告を繰り返し出している。SARSからMERSやEBOLAに至る動物に起源をもつウイルスにより感染していく。

世界生物多様性カウンシル(The World Biodiversity Council)の報告によると、動物界には170万に及ぶ未確認ウイルスが存在し、その827,000種は人間に感染力を持っている。人と野生動物の接触がより近くより多くなってきている現在、COVID-19が世界規模での最後の最終のパンデミック例であるとは到底考えられない。

“動物由来伝染病の可能性を秘める野生動物取引市場”

コロナウイルスパンデミックの始まり以来、野生動物の販売取引の厳格な規制や完全禁止を要求する声が続いている。野生動物の市場が、潜在的に動物由来感染病のホットスポットになることは、多種の動物種が狭い空間に閉じ込められていることから危険ウイルスの伝染がそこで容易に起こるだろう、ということから容易に想像されることである。

新型SARS CoV-2ウイルスが動物を起源とすることが判明した段階で、WHOは特にアジアとアフリカによく見られる野生動物取引市場に対し市場閉鎖を要請した。

中国が特に非難の対象となり2020年1月野生動物市場の取引をCOVID-19パンデミックが収束するまでの期間暫定的に停止するとしたけれども、結局は市場閉鎖をそう長く続けることは出来ず、希少種の動物や食品の取引はかなり落ち込んではいるものの今では部分的に再開されている。

“食品として又は医薬品として重要な野生動物”

野生動物は多くの人々の文化や伝統に重要な役割を果たしてきており、栄養にもなってきている。通常野生動物の取引や消費を禁止することは現実的でなく、加えて特にインフラの貧しい地域や行政の貧弱な地域では厳格な禁止を追跡確認することがほぼ不可能である。

衛生状態を整えたり取引と消費に獣医学的な条件や制約を加えたりすることの方が有効な戦略であろう。このやり方でもって、潜在的な危険要因を浮かび上がらせることも可能であろう。

“ホットスポットを特定するための危険分析”

香港の研究者と協同して世界自然基金(The World Wide Fund For Nature:WWF)が取引市場の感染症リスクを評価する方法の開発を行っている。

健康科学雑誌に掲載された「危険マトリックス(The Risk Matrix)」は、まず始めにアジア太平洋地域の野生動物市場の分析に使用された。市場を取り巻く販売状況・動物種・それらの取引数が関係項目として組み込まれている。

研究チームはラオスとミャンマーの46の野生動物市場を調査している。その結果、検討した期間の50%以上の日に、高い危険性があったというデータが得られている。

野生動物市場には高い動物由来感染症のリスクが明らかに内在している、とStefan Ziegler氏(WWFアジアの環境問題主任アドバイザー)は指摘している。

“厳格な獣医学的処置対効果の無い禁止”

WWFによると野生イノシシやシカ、ねずみ・コウモリを含めて数百万の野生動物が毎年食品として又は伝統薬として取引されており、それらが多数の病原体の温床となっている。

野生イノシシとシカはドイツでも消費されている。“しかしこれらの取引は厳格な獣医学的制約下に行われている”とZiegler氏はいう。

“動物由来の感染症の防止は世界規模での対処が求められる”

不法なそして獣医学的制約を受けていない野生動物取引を停止していくことは、野生動物市場・野生動物牧場・それらの肉を提供する飲食店を監視していくことと同様に重要なことである、と環境団体はいっている。監視し、法律を適切に適用していく能力を持つことが行政に求められるのだが、多くの地域ではそれが全く不十分であるのが実情だ、とWWFは言っている。

パンデミック防止は世界で取り組む必要があり、国際社会は目標を設定して該当地域の行政力向上に支援を行うことが求められる。“危険マトリックス”の利用は市場の合法化を促し、危険を最小化するのに役立つだろうとしている。

「危険マトリックス」という言葉は理解しにくい点があると思います。

本文中に引用されている文献「アジア太平洋地域の将来の動物由来疾病発生リスクに用いることが可能な野生動物取引市場の迅速評価の道具」(a tool for rapid assessment of wildlife markets in the Asia-Pacific Region for risk of future zoonotic disease outbreaks)(OneHealth、Vol.13、12月Elsevier)があり、参考のために以下に要旨部分を紹介しておきます。

野生生物の取引と消費が重大な動物由来パンデミックを起こすと数十年来警告してきていたが、顧みられることはあまりなかった。今COVID-19禍が世界を覆っていて、もっと破壊的なパンデミックが続いて襲ってくるだろうという恐ろしい予測もある。

野生動物取引に厳格な制限を加える必要性や、更に進めてその完全禁止を求める声がある。一方多くの地域社会がその永続性・持続性に野生動物を根本的に必要としているという理由の下に、慎重な取り組みを主張する人もいる。

広範な禁止措置ではなく、制限と制約を拡大して規制していく方法の方がより現実的な取り組みになるだろうと思われる。

厳格な制約を課していくには、動物種市場に由来する危険性を監視し追跡する必要がある。

利害関係者や政府・行政関係機関の人々が取引市場を評価するのに役立つ道具をここに提示したい。この道具を使えば、現状多くの国で違法状態の取引市場に対して厳格に制御できる政策が導き出され、結果として動物由来疾病の制御に役立つだろう。

アジア太平洋地域で取引されている野生動物種の知識と、および場所場所で異なる市場の形態や取引網に関連しての高伝染性悪性ウイルスキャリアーである野生動物種の知識とに、この道具は基礎を置いている。

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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南米とアフリカのコロナの現在

2021-06-05 14:26:34 | 災害
南米大陸とアフリカ大陸の今を伝える記事がDeutscheWelleにあり、参考までに紹介いたします。

『南米大陸は世界のCOVIDホットスポット』(DeutscheWelle、2021/06/02)

ペルーの最新の統計によるとCOVID死者数が以前の発表数の2倍以上であったことが判明。南米大陸の他の国・地域にも同じ心配が及びつつある。

当初7万人だったペルーの死者数が、実際には18万人以上だった。この新たな死者数をペルーの人口10万人当たりに換算すると500人以上となり、これが世界最悪の数値でもあったことから、世界に衝撃を与えている。

この突然の変更の理由は実は単純なものであった。以前はCOVIDのテスト陽性者で死んだ人の数を用いていたのに対し、新たな方法はコロナ感染を明示する臨床データのある死亡者まで含めるとしたことによる。

“ブラジル:膨大な死者累積数にもかかわらずにCOPA AMERICA開催”

ぺルーの東隣、南米最大の国家ブラジルはCOVID関連死者数46.3万人以上にのぼり、死者数では米国に次ぐ世界第2位にある。

Rio de Janeiroが最初の感染例になったという事実が、ある意味で南米にコロナ感染が大流行した背景を示している。

最初の犠牲者である主婦Goncalvesさんは、多分仕事中に感染したと思われる。南米の会社経営等の支配層は休暇にヨーロッパによく出かける。多分その会社の経営者もカーニバルでイタリアにいき感染しウイルスを持ち帰ったと思われる。

南米は階級格差が大きく、支配層以外の階層の生活環境は劣悪であり、支配層により持ち込まれたウイルスが勢い良く社会に広まったのは当然の結果だったと言える。

これに輪をかけたのがCOVIDは“単なる風邪”以上の代物でないとして有効な防衛策を打ち出していないBolsonaro大統領で、2.12億人のブラジル国民はブラジル変異種(P1)WHO名(Gamma)と格闘中であり、第3波へと傾きつつある状況である。しかもCOPA AMERICAサッカー大会は止めようとしていない。

“アルゼンチン:ロックダウンでの世界王者、しかし今だ苦戦中”

ブラジルと異なりCOPA AMERICAの責任は回避出来ているものの、アルゼンチンは今毎日新規感染者が4万人以上という最悪のパンデミック進行のただ中にいる。

Bolsanaro氏と反対の姿勢を好むFernandez大統領は厳格なロックダウンを実施しているが、良い結果には結び付いておらず、今までに累計7.8万人を超す死者が出ている。

現在ほぼ2人に一人が貧困ライン以下で生活しており、よって多くの国民はコロナ禍の制約を生活の為には無視せざるを得ない。アルゼンチンはコロナにとって与しやすい国と言える。

“ウルグアイ:もはや素晴らしい国ではない”

数10年来ウルグアイは隣国よりも経済的に恵まれていると自負し、時に南米のスイスと称され多くのアルゼンチン資産家が自国でなくウルグアイに投資することを好んでいた。

この国土的には小国のウルグアイは、昨年来パンデミックに対しても南米第一の対応を見せてきていた。日によっては新規感染者ゼロもあり、多くても20人以下で押さえてきたのが実績であった。

しかしここにきて優等生の状況に変化が起こっており、3日前に6000人を超す新規感染者と死者は累計でほぼ4300人へと跳ね上がった。この変化は教訓的なものを含んでいる。

即ちウルグアイの様に上手くコロナを抑えている国の人々は時に過信してマスクを外したり、ソーシャルディスタンスを無視しがちになる。ウルグアイに正にその結果が出たといえる。

南米大陸には世界の5%を超える人間が住んでいる。世界のコロナ関連死者の1/3が南米で発生している。冬に向かい医療の崩壊も心配な南米大陸。ワクチン争奪戦にも遅れがちな大陸、新たな変異種が出る理想的な環境が存在しており、その新変異種が世界に拡散する恐れも大いにあると感染症専門家は指摘している。

今後上手く乗り越えていけるか目が離せない状況が続いている。

『アフリカはコロナ第三波への対応はまだ不十分(WHO)』(DeutscheWellle、2021/6/3)

ワクチン獲得にもがく、医療資源の不足に苦悩するアフリカは、次のコロナの波への準備が未だ出来ておらず、取り残されている。

木曜日、WHO(アフリカ担当・MatshidisoMoeti氏)はアフリカを襲う第三波の脅威が“現実のものであり、しかも高まっている”と警告し、大陸内の全ての国に医療崩壊を起こさないよう緊急にその整備充実するよう要請した。

“アフリカの現状”

WHOの先月の調査によると、アフリカ諸国は人口10万人あたりICU設備ベッドが1以下。アフリカの感染者累積者数は480万人、死者数は13万人以上であり、最近の2週間、大陸全体で新規感染者数が20%の増大傾向にある。8カ国に限定するとここ1週間で30%以上の増大地域も見られる状況である、とのWHO調査である。

Moeti氏は次の波にそなえるよう各国に要請するとともに、WHOは専門家および酸素濃縮器を含む医療機器の準備を迅速化する手伝いをする、としている。

“ワクチン事情”

人口の70%以上が免疫済み、が集団免疫に到達したという基準であるが、西欧諸国の幾つかがクリアしている中、アフリカ諸国はワクチン獲得に未だにもがいている。現状ワクチンはその大半が国連支持のCOVAX由来品の形でインド血清研究所から各国に入っている。

しかしインド政府はこの4月ワクチン輸出を禁じ、国内使用に限定した。

アフリカの全人口は13億人、1回目の接種を受けた人は3100万人、2回の接種を済ませた人は未だ700万人である。

「アフリカでは感染で重度化しやすい又は死ぬ確率の高い人への接種すらいまだ不十分である半面、一方では優先度の高い人への接種を済ませ子どもへの接種をも考え出している国もある。アフリカの願いはそれら富裕国に余っている分を提供して欲しい、ということである」とMoeti氏は言う。

彼女の訴えは同じ日英国で開かれたG7健康相会議に届けられ、Biden大統領が米国は残余分の75%をCOVAXに提供すると宣言した。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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アジアのウイルス変異株が世界の脅威に(DeutscheWelle、June 1、2021)

2021-06-04 14:03:56 | 災害
コロナウイルスの流行が世界中に拡がり続けると、ワクチンの種類によっては有効性が減じることで免疫から逃れるウイルス種が生まれる可能性がある。適切な種類のワクチンを必要とされる場所に分配していくことが求められる。
(今は無駄に流行を起こしかねない機会を作ることを悪と考えて流行を抑える事が第一に求められること、またどの種類のワクチンであれ、ワクチンであればいかなる地域・国でも同じように有効であるとは言えない段階に入ってきている、と考えることが要求される段階に入ってきていると言えます。)

NEXTSTRAIN.ORGのようなゲノムのデータベースによるとSARS CoV-2ウイルスの変異株はすでに1000種を超している。

今までは“要注意変異種”は最初に発見された場所をその名前に使用してきた。この命名では特定の国に謂われなき汚名を与え続ける恐れがあり、WHOはギリシャ数字を使用する新たな命名法を導入している。英国/ケント種・南ア種・ブラジル種・インド種をそれぞれ今後Alpha・Beta・Gamma・Deltaと呼ぶように。しかしこの命名法は、より複雑な科学名まで置き換えて使わなくなるわけではない。

“要注意変異種”   
  WHO名      血統(Lineage)    初見地域と時期
  Alpha       B.1.1.7           UK 2020/9月
  Beta        B.1.351         南ア 2020/5月
  Gamma      P.1           ブラジル 2020/11月
  Delta        B.1.617.2        インド 2020/10月
”興味のある変異種“
  WHO名      血統(Lineage)    初見地域と時期
  Epsilon      B.1.427/B.1.429   米 2020/3月
  Zeta        P.2           ブラジル 2020/4月
  Eta        B.1.525        複数地域 2020/12月
  Theta       P.3          フィリピン 2021/1月
  Iota       B.1.526         米 2020/11月
  Kappa       B.1.617.1        インド 2020/10月

ベトナムで新たに発見の変異種は、Alpha(B.1.1.7)とDelta(B.1.617)とのクロスしたもののようだ。健康相Long氏によればこの新種は「空気感染で容易に」伝播するようで、5月に起こっている急速な感染者数の増大を裏付けるとしている。

ベトナムはコロナパンデミックが始まって以来この5月初めまでの累積患者数は3500名程、死者は47名と、簡便ではあるが厳格なロックダウンと包括的な隔離策を用いて比較的上手く対応してきた国であった。だが5月以降新規感染者は3000名を超している。BacNinh州とBacGiang州には国際的な技術企業の大量生産工場があり数十万人の労働者が働いているというリスクを抱えている。

“パンデミックの行方をきめるもの”

ベトナムの例をみると絶対数的には小さい部分の話と捉えることもできる。しかしアジアかまた別の地域で生じるだろう新変異種は、彼らの住む地域の全ての人に要注意のサインとなる。そして新変異種の発生は、単にそれによりパンデミックが長引き、苦難も長引くということだけの問題ではない。

中期的にみれば、北半球地域は広範なワクチン接種プログラムにもかかわらず再度感染の拡大が起こるかもしれない。グローバル化された世界では新要注意変異種は極めて速く伝播するであろう。

これらの新変異種が宿主の人間に適応していくと、ワクチン接種したことで、又は感染したことで得たわれわれの抗体が最早有効に働かなくなる恐れもある。入手可能なワクチンもその働きを抑制されていくかもしれない。

遺伝子配列の測定技術を使って変異種をできるだけ早く捕捉すること、更に適切なワクチンの充分な量を確保し富裕国に偏ることなく世界にあまねく提供するシステムを確保していくことが、極めて重要なことである。

“遺伝子配列測定が大切な理由”

4つの最も危険な要注意変異種とともに、ベトナムでのような合体種が生まれてきている。ある変異種がある時期広まっているような状況である。だが、多数の国が配列決定装置を持ってはいない事実を踏まえると、これら変異種の多くは単に偶然に発見されたともいえる。

今後ウイルスと戦うには、その遺伝子コードを解除し配列を捉える必要がある。次代の配列決定法(NextGenerationSequencingMethod)がウイルスゲノムを一塩基一塩基ごとに解除する方法を科学者に提供できる。それにより研究者はDNA断片を観察することでウイルスの遺伝子構造の微細な相違を検知でき、よって変異種の由来と伝染性の型を決めることが出来るようになる。この方法だけが適切なワクチン開発の道を開くといえる。

“多数の異なった変異種と誤ったワクチン”

現在アジアの各地で起こっている感染増大に一義的に関係していると目されるものとして、ウイルス変異種が挙げられるということを示唆する事実が多数ある。

SriLankaとCambodiaではAlpha(B.1.1.7)が主である。現時点での知見ではBioNtech/PfizerとModerna製のmRNAワクチンがこの種のウイルスに有効である。AstraZenecaワクチンも良好なワクチンと言える。

インド並びに北方のネパールではDelta(B.1.617)種が広まっており、ことにネパールでは4月中旬以降人口比を考えるとインド以上に急拡大しているとみられる。

インド国立ウイルス研究所で行ったゲノム配列研究によると、Delta(B.1.617)のスパイク蛋白内に8個の変異があると同定されている。その内の2つが伝染性の強さに関連しており、他の一つがGamma変異種と同様の免疫回避性能と関連しており人体内の免疫系に侵入する際の役割を果たすことになるとしている。

ロンドン帝国大学によると、Delta変異種はAlpha種よりも20~80%伝染性が高いとされる。加えてこの変異種は、以前の感染歴やワクチン歴由来の免疫系を回避し侵入する可能性があるとされる。英国の研究では、既存のBioNtech/PfizerやAstraZenecaワクチンがこの変異種にはそれほど有効でないことを示唆している。

ベトナムで発見された変異種はAlpha(B.1.1.7)とDelta(B.1.617)との混合種である。ベトナムでは未だ9600万人強の人口のうち100万人だけがAlpha種に有効とされDelta種には有効性に疑問のあるとされえるAstraZenecaワクチンを接種中である。今年の後半の半年、ベトナムではBioNtech/PfizerとModernaのmRNA型のワクチンを追加的に行う事を希望しているが、今の所ベトナムの変異種に対しどのワクチンが有効かを調べる検討は終えていない。

バングラディッシュにおいてはBeta(B.1.351)変異種が主要な疾病原因種となっている。AstraZenecaワクチンがこの変異種に対して最低限の防護性能しか提供できないと報告されているが、実際にバングラディッシュで入手可能なワクチンはCovishield(インドで製造のAstraZeneca品の名称)であり大きな問題を抱えていると言える。

“世界における不公平なワクチンの分配状況”

多くの先進工業国家はこの夏の終わりまでに全成人の大半のワクチン接種を目指している一方、他の多くのアジア・アフリカ・ラテンアメリカの国々はワクチン接種運動のスタートさえおぼつかない状況である。

最近の医学会誌“TheLancet”によると、世界の富裕国は5種の主要COVIDワクチンの70%の入手を済ませており、その対象人口は世界の全人口の16%にも満たない、としている。

WHOによれば貧困国ではその人口の0.2%のみがワクチン接種済みであるという。ある経済誌は、貧困国での大規模ワクチン接種が今の状況が続くとすると2024年まで始まらないのではと指摘している。

WHOも共同で進めているCOVAX運動は、より公平なワクチン分配に向かう動きを意味しているが、しかし出だしから富裕国がワクチンメーカーと直接契約を結んでいった結果、一部寛大な贈与の形での移動は見えるものの、市場から余分のワクチンが消失するという事態が発生している。

WHOのGhebreyesus氏は“パンデミックは未だ終わっていない”と警告を発している。彼は分配に大きな格差があるとの非難を続けている。もしも今のような急激な変異種拡大が続けば、そしてそれらが人体に適応をし続けていけば、この不公平な格差の問題が富裕国に跳ね返っていくかもしれないとしている。まさに最後は“情けは人のためならず”そのものが突然出てきた感じです。

最たる不用不急のイベントのオリンピックが迫っています。

今は世界からの人を一堂に集める時期ではないでしょう。SARS CoV-2“要注意変異種”混合作成合戦大会になる恐れが極めて高いと言えます。

200ともいわれる参加国の人々の温かい交流・そして彼らと日本人との交流は理念上、止めようがなく防ぎようもないことでしょう。よって引き起こされる不必要な流行の拡大と併せての変異種種類の増大化と混合化が起こりうることが第一の問題点。そして第二の問題点として変異次第で的確ワクチンが限られるとか、新たなワクチンが必要とされる事態になって行く可能性も高く、更に今でも問題なワクチンの分配の不公平さの問題に大きな新たな負荷をかけていくことが懸念されます。

今は無用で不必要なリスク要因を如何に排除するか、人類に与えられた対応・対処時間を如何に多く作っていくかが問われている所です。こんなリスクを内在するオリンピックに何故未だにこだわるのか、大会関係者は開催することにより起こる結果に対する重大な責任を自覚した上で進めているのか、が問われるべき段階と思います。

説明は未だなされていませんよ。菅さん小池さん橋本さん丸川さん山下さんバッハさん、本当に重大な結果を日本のみならず世界中の人に生むかもしれないのですよ。極めて大きな責任を自覚して音頭をとっているのでしょうね? 世界の人々と共に今生きている市民の立場として中止を勧告します。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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パラダイムシフトをこのコロナ禍下、考えてみたい

2021-05-28 20:53:14 | 災害
“2001年宇宙の旅”宇宙船場面へと場面が飛ぶ直前の光景、猿人がモノリスの啓示で落ちていた骨を手にし、初めて武器とする場面がパラダイムシフトの典型的な例でしょうか。また蒸気機関の発明、電気の発明以前と以後も別の典型例でしょう。

今も進行中のコロナ禍はまさにパラダイムシフトが起こってもおかしくない、いや何らかの刻印をパラダイムシフトとして後代に残す必要と意義があると思っております。

温故知新、例えばスペイン風邪の時や、ヨーロッパで度々起こった黒死病の最中や直後等がどうであったかを調べることにも非常に興味があります。残りの人生をかけても良いテーマの一つとも思っております。

そこで現段階で不十分ではありますが、このコロナ禍に思うパラダイムシフトの一指針を提示してみたいと思います。

それは、“我々市民はもはや以前の声なきサイレントマジョリティーではないとの意識を持つ、声をも持つサイレントマジョリティーである”です。

言わんとする思いはお判りと思います。この契機にこうなって欲しいということを提案して、コロナ禍で疲弊するだけではないという気概を示すことも意義のあることと思います。

さてコロナの現状ですが、どうやら東洋人特有のファクターXの効力があやしくなってきております。

インドの爆発的感染が漸減しつつはあるものの、近隣のネパールやブータンを含めて高止まりしており、優等国の台湾も変調しており、日本含めてベトナム・カンボジア・タイ・マレイシアも心配な状況になっております。

最近10日間の各国の感染状況の数値を拾って示して見ますと、

台湾   ここ10日間の新規感染者4744人、10日前の感染者数2017人(235.2%)
ネパール ここ10日間の新規感染者77006人、10日前の感染者数464218人(16.6%)
ブータン ここ10日間の新規感染者195人、10日前の感染者1296人(15.0%)
ベトナム ここ10日間の新規感染者1955人、10日前の感染者4359人(44.8%)
カンボジア ここ10日間の新規感染者5094人、10日前の感染者22544人(22.6%)
タイ   ここ10日間の新規感染者30135人、10日前の感染者111082人(27.1%)
マレイシア ここ10日間の新規感染者66668人、10日前の感染者474556人(14.0%)
日本    ここ10日間の新規感染者46678人、10日前の感染者683175人(6.8%)
インド  ここ10日間の新規感染者2319735人、10日前の感染者25227970人(9.2%)

この表の最後のカッコ内の数値に注目して頂きたい。例えば台湾はここ最近の10日間で2.352倍の人が新規に感染と、ある意味爆発的な感染が起こっていることを示しております。心配ですが台湾のことです。まだまだ充分コントロール出来る状況と思います。

インドの近隣のネパールとブータンは15-16.6%の数値で60日から70日で感染者総数が2倍になるスピードで感染中であることを示しており、やはり心配な状況と言えると思います。

マレイシアも同様に心配な状況であり、ベトナムはここ10日間で45%と20日間程で倍増の極めて心配な状況の国と言えます。カンボジアとタイも40日程で倍増のスピードです。

インドはここ10日間から類推すると倍増するのに4カ月程かかるという状況ですが、減りつつあるとはいえ毎日20万人近くの人が新規に感染と言う母数の大きさの問題を抱えている状況です。やはりまだまだ危機の最中です。

我が日本はと言うと現状5カ月で感染者が倍増するペースが続いていると結論出来ます。アンダーコントロールとはとても言えない危険な状況がまだまだ続いています。

ちなみにシンガポールはここ10日間の新規感染者は0.05%程度で、倍増には計算上は50年程度かかるペースです。香港も同様ほぼアンダーコントロール出来ているようです。こういう国もあるのですが。まだまだ世界はコロナとの戦時下です。

オリンピックは今すぐ取りやめましょう。やるべきことは他にたくさんあります。

世界中の皆が、今進行中の第一回目のワクチンスキームを経験し終える来年の初旬の状況を先ずは見届けるのが第一のポイントと思います。その状況次第では第2回目のワクチンスキームを全世界の人が経験することが、乗り越えたと言える前提になるかもしれません。そんな極めてまれな時間のかかる体験を私たちは今世界の人々と共にしていると考えなければいけない所です。

また国連事務総長が確か今は戦時下と言ってくれていて、助け船を出してくれている状況だととらえることも可能な段階と思います。何故このチャンスを上手く利用して辞退宣言しないのでしょうか。

市民の結論もすでに出ています。アルマゲドンなどと軽々に口走るほど異常な人種が入り込んでいるIOCに、市民が市民の立場で静かにNOを言い渡す時期が来ていると思います。

オリンピックは今すぐ取りやめましょう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan
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危機におけるリーダーの人物像とは!

2021-05-02 14:58:29 | 災害
🔸危機管理の要諦 -最悪を想定して、充分な準備をするー

どんな組織でも、危機管理はすぐれてリーダーの仕事である。大袈裟に言えば、リーダーの仕事は、危機管理しかない、と言っても良い。

平穏な日常の時間が流れている時には、リーダーは目立たない方が良い。教師の経験から言えば、静かな時代の学校で名校長と呼ばれた人物の多くは、運動場の草取りや、校舎の破損個所の修繕などを黙々としていた。現場で直接教育に取り組んでいる教師のバックアップに徹していた。

しかし、学校現場は多くの子供たちが生活している場所なので、必ず問題が起きる。喧嘩もあれば、怪我もある。病気もあれば、盗みもある。いじめもあれば、体罰もある。こういう問題が起きた時には、現場教師の責任だけにせず、自ら正面に出て問題解決に乗り出す校長が名校長と呼ばれた。

すぐ現場の責任だけを問いがちな教育委員会の圧力をどう受け流すか、校長の腕が問われた。部下の教師の不祥事は、自らの管理不足と正面から部下をかばえる校長への信頼は厚かった。

危機の時のリーダーのあり方を考えるヒントがここにある。

◎平穏な時には、現場の部下の支援に徹する。部下の力を存分に発揮させる。
◎問題が起きた時には、責任者が正面に出て、解決にあたる。自らの責任を逃げない。
単純なようだが、これが信頼されるリーダーの一般的な像だろう。

ここからさらに考えなければならないのは、平穏な時ほど、危機の場合を考える必要があると言う事。

何度も言うようだが、平時の時のリーダーは、いるのかいないのか分からない方が良い。うちの親分は居眠りでもしているんだろう、と陰口をたたかれるくらいが丁度良い。リーダーがリーダーである必要があるのは、危機の時。つまり、リーダーの最大で最重要の仕事は、危機の時のありよう。良きリーダーこそ、常日頃から、有るか無いか分からない危機の対処の仕方を考え、あらゆる準備をしておくのが通例。

学校で言えば、学校には子供がいる。子供がいない学校は、学校ではない。子供は活動する。活動しない子供ばかりの学校は学校ではない。活発に活動する子供は大小にかかわらず必ず問題を起こす。問題を起こすから子供であり、問題を起こさなかったら問題を解決する能力は養えない。だから、学校や教師や親は、問題が起きる事を恐れて子供の活動を抑えてはならない。

と言う事は、学校や教師は、常住坐臥『危機管理』を忘れてはならない、と言う事になる。名校長と呼ばれた校長は、上記の二つの課題に見事に対処できた人物だった。

🔸強権的管理こそがリーダーの資質と勘違いする現在のリーダーたち

ところが、新自由主義的思考が教育現場にも影響を与え始めた時代から、文部省(文科省)が推し進めた教師の階層化(校長・教頭・教務・主任・平教師。現在はさらに細分化されている)が進展するにつれて危機管理の考え方が変化した。

◎平穏な時には現場の教師の支援に徹する。部下の力を存分に発揮させる。
⇒ (現在)●平穏な時ほど、上意下達を重視。部下教師の些細なミスを徹底的に責め、上司の意向に忠実な部下を重視。教師間の分断(差別構造)を促進し、教師の階層化を広げ、固定化する。
◎問題が起きた時には責任者が前面に出て問題を処理。
⇒(現在)●校長は、教育委員会の意向に従順に従う⇒責任を下に下に押し付ける⇒▼問題の本質を体制や組織の問題として捉えず、全て個人(問題教師)の問題として処理する。問題の矮小化を図る。

その為、教育現場では、ヒラメ教師が増加。事なかれ思考が現場を覆っている。日本の子供の学力が低下したのは、公教育の現場の退廃が大きな要因になっている。

実は今回のコロナ禍における日本政府・官僚・東京都などの『危機管理』能力の無さ、お粗末さは、上記の教育現場における変化と対をなしている。

菅首相が「自分の政策に反対のものは止めてもらう」と公言し、内閣人事局を拠点に強権的人事を強行。霞が関では、忖度が横行。ヒラメ官僚だけが出世するようになってしまった。

こうなると、官僚たちのモチベーションは低下の一途。有能な若手官僚はどんどん辞めている。自らの頭でものを考え、行動し、その結果の評価は、甘んじて引き受ける、という覚悟の無い連中だけ生き残りはじめた。高度成長経済後の日本を覆っている『現状維持が正義』という退嬰的思考がもたらしたものだと考えなければならない。

さらに悪いことに、新自由主義的思考が蔓延しているために、指導的立場(政治家・官僚など)の連中には、『自分が間違っているかもしれない』という自己否定・自己批判の視点が皆無に等しい。かっての全共闘のように『自己否定・自己批判』を強調しすぎるのも問題だが、自己批判の視点が全くないエリートも問題が山積みである。

コロナ禍の日本では、日本の権力中枢の“退廃”が露わになり、もはや修復不可能なほどの無残な姿を露呈している。

🔸旧日本軍の失敗と相似形

コロナ禍の現在、多くの識者が、現在の日本の現状を戦前の陸軍の失敗と重ねて見ている。
・・・
今の菅氏の一挙手一投足を観ていると、太平洋戦争時の日本を敗戦に導いた元凶・旧日本軍幹部(当時の首相は東條英機)を彷彿とさせます。
旧日本軍幹部連中は、当時の米国の国力・軍事力をまともに分析せず、無謀にも、対米戦争を挑んでいます。彼らは当時から、自信満々で、米国に負ける敗戦シナリオ(最悪シナリオ)をまったく描かず、自分たちの願望(Desire)だけで突っ走って、最後は玉砕しています。その結果、300万人以上の日本国民を犠牲にしています。・・・新ベンチャー革命 
http://blog.livedoor.jp/hisa_yamamot/archives/9796809.html

旧日本軍の幹部と現在の類似点

(1)失敗=間違いを認めたくない。=責任を取りたくない。それでいて、権力(権限)だけは欲しい。

(2)対策は中途半端で小出し⇒旧日本軍で言えば、戦力の逐次投入。

(3)コロナ対策についての総合的・科学的・合理的・論理的分析もしないし、データも取らない。会議の議事録すら満足にない⇒後世の歴史(評価)を怖れる=歴史の審判に立つ覚悟なし。
旧日本軍が米国の戦力分析・国力分析を怠り、精神力だけで戦争に勝てると言い続けたのと相似形である。
※悲惨な退却戦を戦わざるを得ない安倍後の日本!(インパール作戦の二の舞)

(4)縄張り意識が強く、自らの権益《省益》に強いこだわりを持つ・・
※日本の統治機構(政治家・官僚たち)は、何故軌道修正ができないのか!
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/d51cf56a1bc50fb145d6b27ec7140efc
「護憲+ブログ」2020-08-17 15:43:40 | 災害

(5)説得の言葉を持たない・・・教師をしていた人間の立場から言うと、言葉で伝わるものは約2割。後は、まなざし・表情・声音・抑揚・身振りなど言葉以外で伝わるものが8割。『指先に言葉をつけろ』とよく先輩教師に教わったものだ。もう一つ大切なのは、子供の顔、目をよく見て、語りかけなければ、教師の想いは伝わらない。

菅首相や安倍首相などの言葉が空疎なのは、言葉に1人の人間である首相個人の願いや想いが込められているように感じられないからである。自分の心の底からほとばしり出る血を吐くような言葉(自分自身の言葉)が感じられないからである。

🔸大石内蔵助に見るリーダーの資質

忠臣蔵の大石内蔵助は、平時なら「昼行燈」と噂された凡庸な人物のまま一生を送ったはずである。彼は「昼行燈」でいる事に満足し、意識的にそうしようと心掛けていたと思われる。「昼行燈」の家老として一生を送れるなら、藩にとってこれほどの幸せはない。内蔵助は、そう思い定めて過ごしていたと思われる。

そんな内蔵助が、「お家断絶」の危機にあたっては、見事なばかりの立ち居振る舞いを見せた。浅野内匠頭が刃傷を起こし、江戸表から赤穂まで2挺の早籠でその知らせが届いたのは、4日半後。走った距離は155里(約600km)。駕籠を担いで、人力でこの距離を走ったのである。常識では考えられない速さである。

実は、浅野家は、江戸表に異変があった場合に備えて、常日頃、宿場宿場に相応の金子を与え、万一の場合に備えていた。だから、駕籠をかく連中も懸命に走った。日ごろの手厚い心づけが役に立ったのである。大石内蔵助は浅野家家老。万一に備えて、こういう手当を怠らなかった、とされている。

さらに大石内蔵助は、城受け渡しにあたっては、藩士を督励し、毛ほどの隙もないほど武器弾薬などの員数を数え、全てをきちんと文書に記載し、後世の批判をさける見事な受け渡しをやってのけた。

もう一つ付け加えると、江戸時代、藩が取り潰しになったり、国替えになったりした場合、一番問題になったのは【藩札】の交換をどうするかの問題。

多くの藩では、雀の涙程度で交換。なかには、交換をしない藩もあった。藩札が紙切れ同然になるのが通例。多くの民衆が馬鹿を見た。ところが、浅野家では大石内蔵助らの指示のもと、発行高が900貫目あった藩札の回収に現有する銀700貫目をあて額面の6割で引き換えたとされる。

赤穂藩は塩の産地なので、内緒が裕福だったせいもあるが、簡単にできる事ではない。藩が潰れ、藩士は全員路頭に迷うのである。そんな金があったら、俺たちに回せ、という声があったに相違ない。それを抑えて、領民にお金を渡す。武士支配の江戸時代である。生半可な覚悟では藩士の不満を抑えられない。見事な差配だと言わねばならない。

現在でも赤穂で大石内蔵助や浅野家が愛されるのは、仇討ちばかりではない。潰れ方の見事さがあったからでもある。

このように、内蔵助は、対外的にも藩内の領民にも“立つ鳥後を濁さず”の見事な対処をみせた。同時に、自分についてくる50人近い人数を一年以上まとめ上げ、“主君の仇を報じる”という大義名分のもと、“喧嘩両成敗”の原則を踏みにじった幕府の拙速で片手落ちの裁きに見事な異議申し立てを行った。

仇討ちを成功させても後は切腹だけが待っている行為に、50人近い人間をまとめ上げるのは至難の業。たとえ、武士道がモラルの江戸時代であっても、誰でも命は惜しい。“死んで花実が咲くものか”は、心の中の真実。赤穂浪士全員にあったであろう心の中の迷いを吹っ切らせ、死を目指して全員の心を一致させる。そんな芸当は、並大抵の人物ではできない。

それができたのは、大石内蔵助が語る言葉・声音・仕草・表情などから、内蔵助の覚悟を皆が『感得』できたからに相違ない。

人を動かすのは、この【感得】以外ない。理解などという上っ面のものでは人は動かない。菅首相や大臣、官僚などはこの人心の機微が分かっていない。平時なら、東大文学のような人間の血が通っていない官僚言葉でも誰も批判はしない。誰しもがそんなものだと諦めて聞き流しているから、大きな批判は来ない。

しかし、今は平時ではない。戦時と言っても良い『緊急事態』。最初に書いたように、緊急時ほどリーダーの存在が大きくなる。だからこそ、リーダーは、何をさておいても、自らの言葉で語らなければならない。

しかし、残念ながら、日本国民は、菅首相からも、安倍首相からも、誰からもそんな言葉を聞いた事がない。百年に一度ともいえる危機にあたって、この程度のリーダーしか持てない日本国民は、不幸である。

同時に、日本国民は、こんな程度のリーダーしか生み出せない政党に戦後の大半をゆだねていることを深刻に反省しなければならない。

「護憲+コラム」より
流水
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